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2017

第193国会 参議院 予算委員会 2017年1月30日


○委員長(山本一太君) 次に、福山哲郎君の質疑を行います。福山哲郎君。
○福山哲郎君 おはようございます。福山です。総理を始め各閣僚の皆さん、よろしくお願い申し上げます。
まず、冒頭でございますが、全国各地で大雪による被害が出ています。私の地元の京都でも、中丹・南丹地域で被害が出ています。先週、被災された市町の各首長さん方、福知山や舞鶴、綾部、南丹、亀岡、京丹波、それぞれの首長さんが知事に対して緊急要望をされました。府で単費でやる場合もありますが、国の交付金を頼らなければいけないことも出てくると思います。京都では、本院からは予算の筆頭の自民党は二之湯議員、そして西田議員、共産党の倉林議員、私も、それぞれ与野党関係なく、地元の厳しい状況では対応いただきたいと思っているのは同じだと思います。
昨今、糸魚川の火災を始め全国で本当にいろんな災害が起こっています。麻生大臣におかれましては、それぞれの地域、自治体から要望があった場合には、党派を超えて、どんな知事であろうが、どんな首長であろうが、財務省として丁寧に対応していただいて国民を安心させていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
○国務大臣(麻生太郎君) 昨年以来、熊本地震、それから今御指摘のありました北海道、東北の台風また洪水等々の災害が、これは、この間の糸魚川の話も今出ておりましたけれども、災害が相次いでおりますが、これまでも、平成二十八年度の当初予算だけでなくて、今回の補正予算も含めまして、一日も早い復興というものを期すために、御存じのように、当初で七百三十一、第二次補正で二千九百七十九億、第三次で一千九十三、合計四千八百二億円ということで出させていただいておりますので、これ、福山さんだからするんじゃなくて、被災自治体の声をお伺いしつつ、被災地の方々の気持ちに寄り添い、きっちり対応してまいります。
○福山哲郎君 よろしくお願いします。
じゃ、次に行きます。
パネルを御覧いただければお分かりのように、先週から文科省の天下り問題が大変問題になっています。(資料提示)
今回の事案は、文科省が人事課を中心に組織ぐるみで天下りのあっせんをしていたと。特に、元人事課のR氏はあっせんを継続的に繰り返していたと。そして、R氏の文教フォーラムという団体と天下りの典型的な団体である公益財団法人文教協会が、家賃の丸抱えも含めて非常に密接な関係だったということだと思います。
松野大臣、この文教協会の目的をまずお答えください。
○国務大臣(松野博一君) 公益財団法人文教協会は、昭和二十四年四月、文部大臣所管の財団法人として設立をされ、平成二十五年四月、公益法人制度改革により内閣府所管の公益財団法人に移行した団体であります。
同協会の定款によりますと、同協会の目的は、「文教に関する諸課題について調査研究の推進を図るとともに、文教に関する各種情報資料の収集・提供及び相互扶助等の事業を行い、もって文教の振興に寄与すること」とあります。
具体的な事業といたしましては、文教関係の調査・研究助成、文教関係の研究会等の開催、全国大学一覧等の書籍の刊行等を行っているものと承知をしております。
○福山哲郎君 この文教協会には、何人の文科省のOBが役員として行かれて、これまで幾らの公金が入っているかお答えください。
○国務大臣(松野博一君) 現在の公益財団法人文教協会の役員のうち、理事四名、監事二名の六名が文科省OBから就任をしております。
続きまして、文教協会と文科省の委託事業、書籍購入、補助金等の関係でありますけれども、文部科学省から文教協会に対しては、平成二十一年度から平成二十八年度までの間において、委託費、書籍、雑誌の購入及び補助金の交付により約一億四千八百万円の支出が行われております。
具体的には、免許更新制高度化のための調査研究事業の委託費が、これは平成二十八年でございますが約四百万円。文教協会が発刊する全国大学一覧等の書籍、雑誌の購入費が、平成二十八年度約五百万円。補助金として、平成二十一年度に大学改革推進等補助金約五千万円。平成二十八年度に教員免許管理システム開発費補助金約五千万円を支出をしております。
委託や補助金につきましては、公募を行うなど公正な手続により支出をされていると承知をしております。
○福山哲郎君 二十一年から全部合わせて一億数千万ですと、そんなに大きい金額とは思えないんですね。大きいですけれども、もうかなり時間がたっておりますので。
ところが、この文教協会、中身見ると、どうも単年度で二億四千万、受取負担金というのが入っているんです。この受取負担金というのは、大臣、何ですか。
○国務大臣(松野博一君) 文教協会の収支にある受取負担金については本日御通告いただきましたけれども、文教協会に早急に事実関係を問合せをいたしました。平成二十八年度につきましては、教員免許管理システム運営管理協議会運営経費、これは各都道府県から受け取る分担金でございます。教員免許管理システム開発費補助金、文部科学省の公募事業による補助金でございます。免許更新制高度化のための調査研究事業、これも文部科学省の公募事業による委託であります。これが受取負担金等の中身でございます。
○福山哲郎君 ということは、先ほどの一億数千万、平成二十一年から以外に、今言われた文科省からの補助金見合いのものは二億四千万行っているということでいいわけですね、概略でいえば。
○国務大臣(松野博一君) 先ほど申し上げました文科省からの補助金又は購買等以外に、各都道府県から受け取る分担金が加わったものということでございます。(発言する者あり)
先ほど申し上げた個々の平成二十一年度からの文科省からのものに加えまして、各都道府県からの教員免許管理システム運営管理協議会運営経費が、これは各都道府県から受け取る分担金がありまして、これが加わったものの総計でございます。
○福山哲郎君 とにかくそれなりのお金が入っているということです。中身はちょっと精査します。
大臣にお伺いをいたします。先ほど言われた文教の相互扶助業務とは何でしょうか。
○国務大臣(松野博一君) 先ほど申し上げたものは文教協会の定款から引用されたものでございますが、その相互扶助等の事業に関しての内容は承知をしておりません。
○福山哲郎君 これ、実は定款によると、文教関係者の相互扶助業務となっています。本当に大臣、具体的に何のどんな事業か御存じないんですか。
○国務大臣(松野博一君) この文教協会に関しましては、文教フォーラムの、これは監視委員会の方から文部科学省の再就職規制違反の潜脱を目的とした枠組みというふうに認定をされております機関との関係において、この文教フォーラムと文教協会の関係についてもしっかりと調査を進めるようにという御指示をいただいておりますので、今後調査をさせていただきたいと思います。
○福山哲郎君 大臣、私は実は大臣とはずっと長いお付き合いです。私、大臣、信頼をしています。大臣、ここで文科省の役人の話を聞いて隠し事しては、大臣、良くないと思います。
これ、文教協会、もう一回、じゃ、大臣、聞きます。この文教関係者の相互扶助業務というのは一体どういう業務ですか。もう一度お答えください。
○国務大臣(松野博一君) 先ほど御答弁したとおりでございますが、現状、この内容について承知をしておりません。
○福山哲郎君 じゃ、大臣、もう一回別の質問をします。
R氏、あっせんをしていたR氏は平成二十一年に文科省を離職をされています。どちらに再就職をされたか御存じですか。
○国務大臣(松野博一君) R氏は、平成二十一年七月に文部科学省を退職した後、同月に一般財団法人教職員生涯福祉財団の審議役及び株式会社第一成和事務所の顧問に就職をしたと承知をしております。
○福山哲郎君 先ほど申し上げたこの文教協会のホームページを詳しく見ていくと、一発では分かりません、詳しく見ていくと、文科省の共済組合と退職者が契約できる団体火災保険のチラシが見付かりました。実はこの文教協会は、団体火災保険の窓口業務、集金機関になっています。さっき何か大臣がお答えをいただかなかった業務です。これが文教関係者の相互扶助です。そして、この団体火災保険の代理店をしているのが今大臣の言われた第一成和事務所です。
つまり、これ見てください。私はD社というふうにしました。民間企業なので、民間企業には罪がありません。しかし、R氏は文科省を離職された後、すぐこの保険会社に入っています。そして、この保険会社は文教協会を窓口に文科省関係者、退職者を含めて保険の集金業務をしています。
大臣、R氏はどこから生計を立てたかは知らないと、関知しないと文科省はずっと言われていましたが、今でもそのお答えでいいですか。
○国務大臣(松野博一君) R氏の生計に対しては、今現在文科省で把握をしているものに関しましては、平成二十一年七月に退職をした後のこの一般財団法人教職員生涯福祉財団の審議役としての収入があったかと思いますし、株式会社第一成和事務所の顧問に就任をしておりますが、この顧問収入等については現状把握をしておりません。それらの収入、顧問料等があったかと考えられますが、全体としてこのR氏がどういった生計を立てていたかについて詳細に把握をしていないということでございます。
○福山哲郎君 今誠実にお答えいただいたと思います。
実は、文科省はずっと、我々の調査の場面でもR氏の再就職先については全く具体的なことを挙げていただけませんでした。衆議院のところでも、保険の仕事と言うだけで何も具体的な名前を言っていただけなかったんですが、今日は大臣が言っていただいたので、それは有り難いと思います。そして、大臣から、顧問としての報酬は受け取っていたかどうかつまびらかでないが可能性はあると思うという発言もいただきました。
そうなんです。実は全部つながったんです。マッチングをしていたRさんは、顧問としてD社に行って、文教協会はD社の代理店として集金機関の丸抱え、集金機関としてやって、そして文科省はここに補助金を出して、そして文教協会はR氏に場所を提供して、R氏の生計は、恐らくですが、この保険会社D社から支払われていて、あっせん業務と保険のある意味営業というか集約をしていたと。ぐるっと一周して、R氏がある意味でいうとあっせんをずっとやり続ける状況を組織としてつくったということです。
再就職監視委員会、お伺いします。この全容は監視委員会はもう御存じでしたね。
○政府参考人(塚田治君) 大変恐縮でございますけれども、私どもは今全体像の解明を文科省さんにやっていただく立場にございますので、その点の御答弁は控えさせていただきます。
○福山哲郎君 いや、内偵に入って、内偵というか、去年の春からずっとやっていたということは、こういう状況の全容については、再就職等監視委員会、僕は頑張られたと思いますが、全体像は把握していた上で今回の摘発というか、この問題を明るみにするという状況になったということでいいんですね。
○政府参考人(塚田治君) 私どもも、ある程度の前提を踏まえて文部科学省さんに今調査をお願いしている立場にございますので、そこら辺、申し訳ございません、控えさせていただきます。
○福山哲郎君 じゃ、大臣にお伺いします。
R氏は、あれですか、この保険会社D社の顧問はまだ継続されているかどうか、御存じですか。
○国務大臣(松野博一君) R氏が現在D社の顧問を続けているかどうかに関しては、今日確認をしておりません。
○福山哲郎君 私は昨年末までは顧問を続けていたということは聞き及んでいるんですが、現在、私も実は土日だったもので確認しようがありませんでした。
大臣、このことは調べてお答えいただくことは可能ですね。
○国務大臣(松野博一君) この事案についてもしっかり確認をさせていただきますし、監視委員会の方から既に認定を受けたこと、また指摘を受けていること、それ以外に関してもしっかりと文部省の方で調査班をつくり解明するようにという指示があります。これはもう平成二十年の十二月三十一日まで遡ってしっかりと解明をしていきたいと思います。
文部科学省の私は今責任者でございますが、同時に、国民の皆さんから授権されてその立場にあるという意識をしっかりと持ってこの調査に当たっていきたいと考えております。
○福山哲郎君 もう一つ、大臣。
文科省は、実は、共済団体扱いの火災保険を平成二十六年の一月に開発をして始めています。そして、退職者や文科省関係の団体で募集が始まっているんですが、これと文教フォーラムの設立が全く同時期だということは御存じでしたか。
○国務大臣(松野博一君) 承知をしておりません。
○福山哲郎君 これ、山本大臣、相当巧妙につくられた仕組みです。R氏は、見かけ上、文科省からも文教協会からも何ももらいません。しかし、家賃と部屋は提供を受け、あっせんをやっています。R氏のD保険会社は文教協会とつながっていました。顧問としてR氏に報酬が支払われていたのは容易に想像ができます。そして、文科省の退職した職員はR氏のおかげで再就職先のあっせんを受ける、退職者ですから退職者対象の保険を入ることも可能になる、そして文教協会は保険の営業ができて窓口としての集金業務ができる、D社は保険契約が取れる。こういうある意味つくられて、仕組みの中で天下りのあっせんが行われていました。
これ、山本大臣、全省庁の調査は、そんなにたやすい調査ではこれだけのもの出てきませんよ。大臣、いかがですか。
○国務大臣(山本幸三君) 御指摘の文部科学省の例は、全く言語道断な例だと考えています。その意味で、私どもも、総理からの指示に基づいて徹底的に調査をする覚悟でありますし、当然文科省についても私どもの調査も入れます。もちろん、全省庁ですが文科省も対象になるわけでありまして、そういうことも含めて徹底的に調査したいと思います。
○福山哲郎君 総理、私の話聞いていただいていたかどうか分かりませんが、目をつぶっておられたので。これ相当悪質だと思いますが、総理、どう思いますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) こうしたことも含めて、文部科学省、そして山本大臣の下において全省庁についてしっかりと、また外部の目を入れながら、内閣人事局で主導してしっかりと行っていく。調査の実効性を担保して国民の疑惑、疑念払拭に努めていきたいと思っております。
○福山哲郎君 山本大臣、具体的にどういう調査をやられると考えられているのか、そしていつまでか、もう一度お答えください。
○国務大臣(山本幸三君) 調査のやり方、内容について今ここで事前につまびらかにすることは効果的な調査が図れないおそれがありますので、この点は控えさせていただきたいと思います。タイミングについても、スケジュール感、スケジュールありきということでやれる話ではないと思っておりまして、徹底的に調査をする、中身をきちっとするということが大事だと思っておりまして、しかし、当然それもできるだけスピード感を持ってやっていきたいと思っております。
○福山哲郎君 大臣、今の法的な状況では省庁が自らの調査するんですよ。自分で調査するんですよ、各省庁が。こんなので出てくるわけないじゃないですか。
だって、今、文科省はこのことを最初何やっていたかというと、隠蔽し、想定問答をして、最初我々の質問に対してこのRさんの再就職先さえ言わなかったんですよ。再就職先を言っていれば、この構図はすぐ分かったと。
大臣、そんな甘いもんじゃ駄目ですよ。まず、いつまでに制度設計を発表するか言ってください。
○国務大臣(山本幸三君) 総理の指示を受けてやるわけでありますので、各役所に丸投げとかそんなことをやるような生易しいものでやるつもりはありません。私は、陣頭指揮を執って内閣人事局から徹底的に調査をやりますので。
しかも、いつまでということを今ここではっきりと申し上げることはできません。スケジュール感を持ってやると、やれるというような話ではないと思います。中身をしっかりと国民の疑念を払拭するようにやるということでありまして、当然、しかしスピード感を持ってやっていきたいというふうに思っております。(発言する者あり)
○委員長(山本一太君) 山本行革担当大臣。
○国務大臣(山本幸三君) 調査の制度設計ということであればほぼでき上がっておりまして、早急に調査に掛かる体制に近づいております。
○福山哲郎君 さっきの答弁と違います。でき上がっているんだったら、その状況を教えてください。
○国務大臣(山本幸三君) これは先ほども申し上げましたように、どういう調査をやるということを事前にここで発表した方が効果的な調査ができないというふうに私どもは思っておりまして、それは、調査の結果が出た段階で、こういう調査が終わったということは申し上げることになると思いますが、事前に全て、こんな調査ですよなんていうことを言えば当然それなりの問題が生じてくるわけでありまして、私どもは、効果を上げる、しっかりと国民の疑念を払拭する調査にしなければいけないということで、覚悟してやっているわけであります。(発言する者あり)
○委員長(山本一太君) 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○委員長(山本一太君) 速記を起こしてください。
○国務大臣(山本幸三君) どういう項目について、どういう人を対象にし、どういう中身でやるかということについては、ある程度固めてきております。
それを踏まえて早急に調査に掛かりたいと思っておりますが、当然、外部の目も入れてやりたいと思っております。その意味で、国民の疑念を払拭するように全力を挙げてやりたいと思っております。
○福山哲郎君 最初の答弁は、今検討しています、二回目の答弁は、ほぼでき上がっています、今はまた違ったんです。これ、どれが本当なのかというか、どういう制度設計でやっているか、例えば組織はどうするのか、人員はどうするのか、誰に対して中心的に調査を掛けるのか、このぐらいは言えるはずでしょう、でき上がっているんだったら。お答えください。
○国務大臣(山本幸三君) それを言えば、効果的な調査ができないと私どもは考えております。当然、調査が終わった段階では、こういう形でやりましたということは明らかにいたします。(発言する者あり)
○委員長(山本一太君) 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○委員長(山本一太君) 速記を起こしてください。
○国務大臣(山本幸三君) 国民の疑念を払拭するということですから、基本的に退職、これまでに退職した公務員について、対象になり得るところについては全面的に調査するということであります。また、役所がそれに対してどういう関係をしていたかということについてもきちっと調査するということであります。
ただ、その体制とかやり方等の個別の中身について申し上げることは、かえって効果的な調査に、妨げるということでおそれがありますので、現時点では控えさせていただきたいと思います。終わりましたら、調査が終わった段階では、当然、きちんとこういう調査をやったということは報告いたします。(発言する者あり)
○委員長(山本一太君) ちょっと速記を止めてください。
〔速記中止〕
○委員長(山本一太君) 速記を起こしてください。
○福山哲郎君 大臣、今、自民党の理事から理事会に提出すると……(発言する者あり)理事会に提出するとおっしゃったじゃないですか。そうしたら、もう一回座ります。今、話が違うから。
○委員長(山本一太君) 速記止めてください。
〔速記中止〕
○委員長(山本一太君) 速記を起こしてください。
○福山哲郎君 調査についてほぼでき上がっていると大臣が言われたので聞いているんですが、調査に影響のない範囲で、どういう制度設計をされているのか、お答えいただけますか。
○国務大臣(山本幸三君) 要するに、国民の疑念を払拭できるようにするために、再就職状況が公表された再就職について、それがきちっと問題がないかどうかについて徹底的な調査を行うということであります。(発言する者あり)
○委員長(山本一太君) 山本行革担当大臣。
○国務大臣(山本幸三君) 私は、徹底的に調査をやらなきゃいかぬというふうに思っておりまして、しかも効果的な調査でなければいけないと覚悟してやるつもりであります。その意味で、調査に悪影響を与えないというようなことで、どこまでお話ができるかについては検討させていただきたいと思います。
○福山哲郎君 松野大臣、今文科省がやられている調査について、概略で結構です、お答えください。
○国務大臣(松野博一君) 今行われているということであれば、これから調査班をつくりますので現行これでスタートしたわけではありませんが、文科省で行われる調査における調査班は国家公務員法に規定されております再就職等監視委員会の指示に基づいてつくります。この報告を監視委員会の方に上げることがこれは義務付けられております。
その調査班の構成でございますが、公務員有識者、法曹関係者、また人事関係の有識者の外部の方々をメンバーの中に入っていただいて構成をいたします。対象としては、先ほど申し上げましたとおり、平成二十年の十二月三十一日以降の文科省の文科省関連に対する再就職全事項に対して対象といたします。特に、御指摘をいただいておりますそのR氏との、R氏と文科省、特に人事課との関係、また、R氏と、R氏が執行する文教フォーラムと先ほどのお話にありました文教協会等の関係を先行して調査したいと考えております。
○福山哲郎君 文科省は、事案が起こっていますから事案を中心に調査されるのは当然ですが、一応調査班の構成について松野大臣は今お答えいただきました。この程度のことは全く調査に影響を与えません。どうぞ山本大臣、お答えください。
○国務大臣(山本幸三君) 外部の目を入れるということは当然私どももやるわけであります。それは最初から申し上げております。(発言する者あり)
○委員長(山本一太君) 答弁中ですから、まだ答弁中です。
○国務大臣(山本幸三君) それはそういう形でやりますし、ただ、どういう体制なり、どういうところにやるとかいうようなことについては、これは効果的な調査に悪影響を及ぼすおそれがありますので、その具体的なことについては控えさせていただきます。ただ、その上で、どこまで調査の体制について言えるかどうかについては検討させていただきたいと思います。(発言する者あり)
○委員長(山本一太君) 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○委員長(山本一太君) 速記を起こしてください。
委員長から一言申し上げます。
大臣におかれましては、質疑者の趣旨に沿った答弁をしていただくようにお願いをいたします。
○福山哲郎君 委員長の采配には感謝申し上げますが、先ほど松野大臣がお答えいただいたレベルで、もうでき上がっているとおっしゃったんだから、お答えください。調査に影響あるようなものを教えてくれと私は一言も申し上げておりません。よろしくお願いします。
○国務大臣(山本幸三君) 外部の目も入れて、そして調査チームをつくって、そして再就職で、いわゆる、の規制の対象になる方々に対して、その遵守状況についてしっかりと調査するということでございます。
○福山哲郎君 大臣、何も決まっていないんですか、実は。実は何も決まっていないんですね、調査の方法、具体的には。
総理、総理は指示出されたのはいいんですが、指示出してもこれでいいんですか、総理。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) いや、そもそも、私は大臣に対して、徹底的に調査をするということと、そしてしっかりと外部の目も入れていく、そして監視委員会としっかりと連携をしながら調査をしていく、そして、全省庁ですから、当然これ全省庁でありますから、私が指示をしてしっかりと全省庁にこれは協力をさせる。人事局、人事局はしっかりと指導をしていくわけであります。言わば人事局というのはそれぞれの省庁の人事を行う人事局でありますから、これは大きな権限を背景としてしっかりと調査をしていくわけでありまして、我々も、何もこれを隠そうなんて全く思っていませんよ。こうした事態が起きたことは、私は行政府の長として大変遺憾に思っております。
ですから、今回の事案がどれくらい深いものかどうかということもしっかりと見ていかなければいけないわけでありまして、最近起こったことなのか、ずっと、自民党政権、民主党政権、そして今に至るまでずっと組織的に行われたものであれば、そうしたことがなぜ起こったかどうかということ、しかし、今回、監視委員会がしっかりとその機能を果たしたということは評価をしていただきたいと思うわけでありますが、監視委員会とともにやっていくということでございまして、もう手段、調査としては、ちゃんと外部の目も入れながら、そして人員も確保しながら結果を出していきたいと、このように思っております。
○福山哲郎君 総理のおっしゃること、すごく大切なんですけど、重要なことが抜け落ちているんです。監視委員会にもある意味手伝ってもらうとか、いや、確認しながらとおっしゃったのは重要なんですが、今、監視委員会には、全省庁、新しい調査をする権限ありません。今、各省庁しかできません。だから実は言っているんです。
総理が言われたので、あえて、僕、今日提案しようと思っていたんです。総理の指揮命令権を実は再就職監視委員会は受けません。これは法的に独立機関になっています。でも、組織の人員を厚くして調査を逆に総理から委託をする、調査方法は任せるぐらいのことをやらなければ、国民の納得は得られないと思います。先ほど、総理、重要なことを言われました。人事局がやる、人事だから権限があるとおっしゃいました。その人事課が今回全部あっせんやっていたんですよ。そこが重要なんです。
だから、例えば、再就職等監視委員会に総理がまあある意味手伝ってもらいながらみたいなことを言われたんですけど、今権限ないので、総理から再就職等監視委員会に委託をするようなこと、例えば法改正が要るんだったら、僕らすぐにでも協力しますよ。そういう具体的な提案をしていただかないと、今だったら、誰がどこで何の調査をするのかさっぱり分からない。どうですか、総理。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 各省庁の人事課と内閣のこの人事局は、これは違いますから。
人事局は、萩生田官房副長官が人事局長として、言わば政治主導で、これは官邸、官邸主導で各省庁のこれ人事を行っている、これが一番今までとは違うんですよ。今までは、各省内で人事は完結、省内の人事ですよ、省内の人事は完結をしていたわけでございます。ただ、この人事局は天下りをこれを監視するところではなくて、まさに今おっしゃったように、監視委員会が、これは第一次安倍政権でつくった、なかなかこれは御承認、人事を御承認、当時の民主党にはいただけなかったわけでありますが、御承認をいただいた後はしっかりと機能しているのは事実でございます。ここは独立しているわけでございまして、私がここに指図するということはできないわけでありますから御協力をいただいてということを申し上げたわけでありますが、基本的には、基本的には山本大臣の下で、下でしっかりとこの人事局の力を使ってこれは行っていく、そしてちゃんと外部の目も入れてやっていくわけでありまして、我々は、もちろんこれ隠し立てなんかする必要は全然ないわけでありますし、しっかりと全貌を明らかにしていきたいと、そしてその対策を打っていきたいと、こう考えているところでございます。
○福山哲郎君 今のも威勢はいいんですが、具体的にどういう調査をやるかさっぱり分からないんです。ですから、先ほど山本大臣言われたみたいに、どういう形なのか、できる範囲で理事会に提出をまずいただけるように、委員長、お取り計らいをお願いします。
○委員長(山本一太君) ただいまの件につきましては、後刻理事会で協議をいたします。
○福山哲郎君 もうあれなんですけど、実は今回のことは非常に重要です。二〇〇七年、天下り規制に対して、当時、第一次安倍政権と我々は意見がかなりぶつかりました。安倍政権は、あっせんを一元化して人材バンクをつくると言われました。我々は人材バンクなんか不要だと言って、あっせんは全廃だと言いました。
先ほど蓮舫代表も言われましたが、離職後二年間の天下り禁止だったものを何と安倍政権は撤廃をしました。つまり、離職後すぐに再就職できるようにしました。我々は、逆に二年を五年に延長すべきと当時主張しました。ところが、文科省の利用者は、人材バンク、ゼロでした。この間、松野大臣が答弁されました。そして、離職二年間の天下りが撤廃されたので、あの早稲田に行った吉田局長も二か月以内に再就職しました。今回のR氏も、先ほどの保険会社に一日、翌日です。
これはどう見たって第一次安倍政権の天下り根絶と言われた公務員制度改革法案が、私は余り口汚く言うのは嫌なので、やはりこれは政策効果としては、余り効果としては上がっていないと言わざるを得ません。そのことを反省して調査を進めていただきたいと思いますが、総理、いかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 現在、こういうことが行われていたことは我々も反省しなければならないと思っておりますが、私たちのやった公務員制度改革が効果がなかったわけでは全くこれはなくて、まさに私たちは行為規制を、行為規制を導入し、そして行為規制によって、行為規制を導入したと同時にこの監視委員会がしっかりと機能することが大切であったわけでありまして、この監視委員会によって、監視委員会によってまさに今回これが、今回の事案が明らかになったわけでございます。
このようなことは私は余り言いたくないわけでありますが、この監視委員会の委員の選任を、これ民主党政権時代にこれは選任していただけなかったのは事実であります。いただけなかった時代に、当時に、国交省においてこの天下りの事案がありました。そして、国交省において、御党の国交省の副大臣が、この問題は調査委員会が二度にわたって違反行為はなかったとこれ認定をされたわけであります。それは、監視委員会がなかったからなんですね。しかし……(発言する者あり)監視委員会がなかったからなんです。
再就職等監視委員会が、しかし、その後、自公政権下、平成二十年の六月等々には三度にわたって出したにもかかわらずこれは否認をされた、そういう中でこういうことが起こったんですが、その後、監視委員会ができた後、今言った御党におけるこれ白と言われたものがこれ黒ということがこれは明らかになったわけでありまして、監視委員会ができる前はこれは見逃されていたものが監視委員会ができた後ははっきりとしたことは、これは明らかじゃありませんか。
ですから、そこのところは御理解をいただけないと、これを全部否定されたんではこれは議論の、これ事実を認定した上での建設的な議論にはなれないのではないかと、このように思うところでございます。
○福山哲郎君 細かいことは反論したくないんですけど、これ、あっせん一元化したんです。それまでまだ三年間あっせんの状況が各省庁続いていたんです。我々、あっせん全廃をして、人材バンクなんか要らないと言っていたから当然再就職等監視は要らないんです、あっせん全廃ですから。当たり前じゃないですか、制度設計をそもそも我々は要らないと言っていたんですから。私は、それぞれのあっせんが一元化されて、人材バンクが我々反対だったけど通ったおかげでできた、できてそこであっせんが一元化されたときに、我々はこれは仕方ないなと、あっせんがなくなった各省庁、監視しなきゃいけないなというので、私がそのときの再就職監視委員会の人事案を国会に説明に回った副長官ですからよく分かっているんですよ。それを、逆にその人事案否決したじゃないですか、総理。自民党、否決したじゃないですか、野党のときに。だから、あのときどうのこうのということを言うんじゃなくて、この制度設計自身がそもそも間違っていて今回の原因になったと僕は申し上げているんです。
総理、別に民主党の悪口言われるのは構わないけど、あれでしょう、過ちは、何だっけ、改むるにはばかることなかれでしょう。だって、この状況だから今のようなことが起こったのは間違いないじゃないですか。そのことをちゃんと認めてほしいと私は申し上げているんです。いかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 過ちは何か。過ちは何かといえば、再就職等監視委員会ができなかったことであります。
ですから、その否決したことをもって、それも含めてですよ。御党、御党も三度にわたってそれは否決をしている。認めなかったのは、これは、これはお認めになる、これファクトですからね。これは認めていただいて、その上において、その上において、これが機能していなかった民主党政権下の平成二十三年の国土交通省の再就職規制違反事案については、国会での指摘に対して、当時の国交副大臣をメンバーとする調査委員会が二度にわたって違反行為はなかったと認定したわけであります。しかしながら、第二次安倍内閣発足後の平成二十五年三月に再就職等監視委員会が調査した結果、違反行為が認定されているんですよ。
つまり、我々の、行為規制を違反したことと、この行為規制の違反、行為規制をもって違反とするということと、これは再就職等監視委員会と、これはセットでなければしっかりと機能しないということでありまして、それが今言ったことがまさに私は証左だろうと思いますよ。これがないときには機能しなかったから、皆さんのときにはこれは白と認定されたものが、これが言わば委員会ができて、安倍政権になってそれは黒となったのは国交省の事案では事実であります。
今回の事案についても、今回の事案についても、これはずうっとやっていたかもしれないわけでありますから、安倍政権ができて起こったことではなくて、これは民主党政権も含めてずうっとあったかもしれない。これは調査をしてみなければ、これは調査をしてみなければ分かりませんよ、調査をしてみなければ分かりませんが……(発言する者あり)
○委員長(山本一太君) 御静粛に願います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 調査をしてみなければ分かりませんが、しっかりと調査した結果そうであれば、まさに今回、この委員会がそれをまさに摘発をしたわけであります。そうした意味において、そうした事実をしっかりとお互いに謙虚にそれは認め合いながら、認め合いながら、しっかりと調査をしていきたい、徹底して解明していきたいと、このように考えているところでございます。
○福山哲郎君 時間がないので。私は、監視委員会は頑張ったと先ほども申し上げたはずです。ただ、指揮命令権は、別に安倍総理からいただいて、監視委員会は持っているわけではありません。
次に行きます。共謀罪です。
そもそも、国民の皆さん、是非お聞きいただきたいと思います。今回条約を批准したいと言われている国際組織犯罪防止条約、TOC条約は、テロをそもそも目的とした条約ではありませんでした。二〇〇〇年にできましたが、これはマネーロンダリングや人身売買を防止する条約でした。今回、この国際組織犯罪防止条約を締結できなければ東京五輪・パラリンピックは開けないと言っても過言ではないとまで言われた安倍総理はいわゆる共謀罪の制定に躍起となられています。しかし、この国際組織犯罪防止条約は、共謀罪か参加罪をつくらなければいけないというのが元々の政府の方針でした。今回、名前だけ変えてテロ等準備罪と言っても、それは本質は共謀罪です。また、共謀罪の本質は合意であるとされています。不法な計画を複数の者が実行に移すことを合意する場合、当然、その計画をするに当たって共謀や謀議や、そして合意が行われます。そして、準備行為があって初めて共謀罪が成立しています。
そういったことをまず国民の皆さんに知ってもらった上で質問したいと思います。
昨年、G7サミット、伊勢志摩サミットがありました。先進国の首脳が訪日されました。安倍総理が議長を務められました。お疲れさまでした。一昨年は国連防災世界会議があり、被災地の仙台で百八十五の国が参加し、元首や首相、副大統領級を含む百名以上の閣僚が訪日されました。大変なテロに対する防護の準備だったと思います。
この伊勢志摩サミットや国連防災世界会議で、他国からTOC条約が締結されなければ参加できないというような要請を受けたことがあるかどうか、総理、お答えください。
○国務大臣(岸田文雄君) ちょっと、事実関係ですので私の方から御説明させていただきます。
二〇一五年の国連防災世界会議あるいは二〇一六年の伊勢志摩サミット前にこの国際組織犯罪防止条約、TOC条約締結について国際社会から要請があったか、こういった御質問をいただきましたが、これ、累次にわたってこうした要請は我が国は受けております。
サミットということを考えましても、この伊勢志摩サミットの前、二〇一二年、二〇〇八年、二〇〇六年、二〇〇四年、二〇〇三年、二〇〇〇年、こうしたサミットの際の首脳宣言において、このTOC条約の締結及び完全な実施、こういったことが呼びかけられていますし、二〇一四年の国連総会の決議においても、このTOC条約締結を要請する、こうした発言が取りまとめられています。更に言いますと、マネーロンダリング対策に関するFATF、金融活動作業部会の我が国に対する評価、あるいは米国国務省が作成する人身取引報告書において、我が国が当条約を締結していない、こういったことについて言及を受けています。
このように、常日頃からあらゆる機会を捉えて、国際社会全体によってこの条約締結に向けて我が国に要請が行われていると受け止めております。
○福山哲郎君 外務省は、事前に通告していただいた答えと外務大臣の答弁をいつも最近たがえます。私に対する答えでは、テロに対する問題として、このことに対する条約締結の要請はなかったと。つまり、参加をそれはできないとか、それじゃ参加できないとか、それじゃ開催できないということはなかった。一般論としてFATFからの要望があるのは私は知っています。それはマネーロンダリングとか金融の問題です。テロではありません。そうやって都合のいいように答弁を変えるのはやめていただきたい。
では、私はテロ防止を要らないと言っているわけでは決してありません。日本は十三本既に締結を、テロに関する関連条約について締結をしています。外務省の事務方、恐縮ですが、我が国が締結しているテロ防止関連条約十三本の名称をお答えください。
○政府参考人(水嶋光一君) お答え申し上げます。
国際社会におきましていわゆるテロ防止関連条約について画一的な定義があるわけではございませんが、我が国としては十三本のテロ防止関連諸条約を締結してございます。その十三本は次のものでございます。
一、航空機内で行なわれた犯罪その他ある種の行為に関する条約、二、航空機の不法な奪取の防止に関する条約、三、民間航空の安全に対する不法な行為の防止に関する条約、四、国際的に保護される者に対する犯罪の防止及び処罰に関する条約、五、人質をとる行為に関する国際条約、六、核物質及び原子力施設の防護に関する条約、七、千九百七十一年九月二十三日にモントリオールで作成された民間航空の安全に対する不法な行為の防止に関する条約を補足する国際民間航空に使用される空港における不法な暴力行為の防止に関する議定書、八、海洋航行の安全に対する不法な行為の防止に関する条約、九、大陸棚に所在する固定プラットフォームの安全に対する不法な行為の防止に関する議定書、十、可塑性爆薬の探知のための識別措置に関する条約、十一、テロリストによる爆弾使用の防止に関する国際条約、十二、テロリズムに対する資金供与の防止に関する国際条約、十三、核によるテロリズムの行為の防止に関する国際条約、以上十三本でございます。
○福山哲郎君 我が国は、ちゃんとテロに対する条約、批准しています。批准するためには、締結するためには国内法が必要だと思います。
事務方、本当に恐縮ですが、航空機関係、爆発物、核の関係、テロ資金の問題、テロに関係する問題だけで結構ですので、担保法をお答えいただけますか。
○政府参考人(水嶋光一君) お答え申し上げます。
今御案内のありました中で、例えばテロリストによる爆弾使用の防止に関する国際条約、いわゆる爆弾テロ防止条約の担保法といたしましては、テロリストによる爆弾使用の防止に関する国際条約の締結に伴う関係法律の整備に関する法律などがございます。また、テロリズムに対する資金供与の防止に関する国際条約、いわゆるテロ資金供与防止条約につきましては、担保法といたしまして、公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律等がございます。また、核によるテロリズムの行為の防止に関する国際条約、いわゆる核テロリズム防止条約の担保法といたしましては、放射線を発散させて人の生命等に危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律などがあると承知しております。
○福山哲郎君 ありがとうございます。
今、航空機、言っていただけましたっけ。
○政府参考人(水嶋光一君) 失礼しました。
航空機の場合で、例えば航空機内で行なわれた犯罪その他のある種の行為に関する条約につきましては、例えば航空法改正、それから航空機内で行なわれた犯罪その他ある種の行為に関する条約第十三条の規定の実施に関する法律などがございます。
○福山哲郎君 お手数をお掛けしました。
実は、このぐらい実はテロに対して国内担保法をちゃんとやっています。今議論されている条約がなければ東京オリンピックは開催されないと言っても過言ではないなどというのは少し言い過ぎだと私は思います。
そして、次へ、ちょっとパネルを御覧ください。
これに加えて、我が国はもう既に、共謀罪、陰謀罪、予備罪などが既にあります。爆発物取締罰則はもう共謀罪が既にあります。破壊活動防止法も陰謀罪はあります。予備罪も、航空機の強取等の処罰に関する、ハイジャックに関する法律もあります。
なぜこれだけ法律が担保されているにもかかわらず六百を超えるような法律に共謀罪の網を掛けるというようなことが必要なのか、お答えください。法務大臣。外務大臣。
○国務大臣(岸田文雄君) TOC条約第五条に、重大な犯罪に対する合意罪そして参加罪、これ、どちらかを犯罪化することが求められています。その条約から求められている内容をしっかり担保する法律を作らなければならないということで、この議論につきましてはかなり前から度々国会にお願いをしております。もう三度法律を提出させていただき、長年にわたって御議論をいただいているということであります。
そして、委員の方から、既にこうした様々な法律の手当てがあるではないか、こういった御指摘がありましたが、これは、政府の判断としましては、この第五条における合意罪と参加罪のうち、この合意罪のうちの一部に御指摘になられました様々な法律のありようは該当するとは考えていますが、この条約が求めているもの全てを満たすことはできないと判断しています。
我が国は憲法九十八条の要請もあります。条約を誠実に履行しなければならない、こうした要請が憲法においてもあるわけですので、こうした国際条約が求めているものをしっかりと担保する法律を作らなければならない。今申し上げたように、現状においては十分この国際条約が要請しているものを満たしていないという判断の下に、それを補う手だてとして新たな法律をお願いしているというのが理由であります。
○福山哲郎君 ということは、今でも六百以上の法律に共謀罪の網を掛けようと考えておられるんですか。
○国務大臣(岸田文雄君) 先ほど申し上げました、今まで三度法律の御審議をお願いしてきましたが、御了解をいただけなかったという経緯をたどってきました。その際に、その過程で、一般の方々もこの法律で処罰される対象になるのではないか、こういった御意見が随分出されまして、そしてこの議論がまとまらなかった、こういった経緯があったと承知をしています。
今、こうした一般の方々も対象になるのではないかという心配につきまして、是非一般の方々が処罰の対象にならないことを明確化するべきではないか、更に言うと、この実行の準備行為が行われた、こういった場合に限って処罰の対象とするべきではないか、こういった考え方、こういった新たな考え方に基づいて、この条約の担保法として必要最小限、どこまで求められるのか、こうした検討を今政府の下で行っているということであります。検討して、もしこの整理が付いたならば、また国会に御提案をさせていただければと考えております。
○福山哲郎君 ということは、六百を減らすこともあり得るというような類いだと聞いていましたが、十年前の審議で、対象犯罪を約三百に減らした我々の修正案に対して、当時の麻生外務大臣はそれでは締結できないと発言されています。岸田外務大臣、どうするんですか。
○国務大臣(岸田文雄君) 以前御議論をお願いした際には、TOC条約第五条が求めている、犯罪化することを求めているこの合意罪、そして参加罪につきまして、懲役四年以上の犯罪、こういったものを対象に法律を作らなければならない、こういったことで政府として法律を提出させていただきました。そういった物差しに従って対象を考えた場合には、過去に説明させていただきましたように、これは以前説明させていただいたこの法律全てが必要になるということ、このことは今でも変わっていないと思います。
先ほど申し上げたように、この過去の議論の中で、一般の方々も対象になるのではないか、こうした心配の声が強く出されたことを受けて、この一般の方々が処罰の対象にならないことを明確化することはできないか、要はこの犯罪の主体等において限定することによってそれを、今申し上げたことを実現することができないか、あるいはこの実行の準備行為が行われた場合に限ってこの処罰の対象とすることができないか、要は発想を変えてこの担保法として必要なものを満たすことができないか、こういったことを考えているわけです。
それで、この法律の数を絞れるかどうかにつきましては、今申し上げた発想の下において今議論を行っています。結果としてどういうことになるのか、今引き続き法務省を中心に政府として検討を続けているところであります。是非、整理をし、まとめた上で国会にしっかりしたものを提出させていただき、御審議をお願いできればと考えています。
○福山哲郎君 法務大臣、どのぐらい減らせそうですか。
○国務大臣(金田勝年君) 福山委員にお答えをいたします。
ただいま外務大臣が答弁をしましたとおり、現在、TOC条約を締結するための法案の具体的な在り方については、条約との整合性を図りながら、そしてテロ等準備罪の対象範囲の、犯罪の範囲をどうするかを含めて、条約を所管します外務省と協議をしながら政府部内で慎重に検討しているところであります。
したがって、その検討を進めていく過程で成案ができましたときにその数ができてくると、このように考えるべきものと申し上げておきます。
○福山哲郎君 はっきりとした答えはなかったんですが、実はこれまでは六百じゃなきゃ駄目だと政府は言っていました。今減らすので検討していると。
今、国民の皆さん、お二人の大臣の答弁聞かれて不思議だと思われたと思いますが、岸田外務大臣は合意罪と言われています。そして、法務大臣はテロ等準備罪と言われています。
これ、どう見ても、この条約を担保する国内法は共謀罪です。法務省は誠実で、いまだにホームページには共謀罪と書いてあります。外務省は、いつの間にかこの条約を担保する法律が共謀罪だというものを削除しました。
これ、外務大臣、御存じでしたか。
○国務大臣(岸田文雄君) 法律の、失礼、犯罪の呼び名について御質問いただきましたが、政府としましては、先ほど申し上げたように、過去三回のこの法律の提出の様々な経緯を振り返りながら、TOC条約の条件をしっかり満たし、なおかつ国内においてもしっかり国民の皆様の御理解をいただき、担保法を制定することができる道を今ぎりぎり検討、調整をしているところであります。
そして、その経緯の中で、先ほど申し上げました、一般の方々がこの処罰の対象になるのではないかというこの心配に対してしっかり応えようということで、主体を限定するとか、この準備行為がなければならないとか、こういった新たな物差しを作って整理をし直しているわけです。
要は、過去御審議をした際とは全く発想を変えてこの新たな法律を用意しているわけですので、こうした中身が変わったということを表すためにもこの名称の呼び方を新たにしたということであります。
こうした、先ほど申し上げましたような発想に基づいてしっかりとした整理をし、法律を作りたいと思います。それをしっかり示すためにも犯罪の呼称について従来とは違ったものを使っている、こういったことであります。(発言する者あり)
○委員長(山本一太君) 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○委員長(山本一太君) 速記を起こしてください。
○国務大臣(岸田文雄君) ホームページ上で法律の呼称が変わったことについて私が知っていたかという御質問に対しましては、私は承知しておりませんでした。改めて確認をいたします。
○福山哲郎君 法律の呼称というか、まさにこの条約の立法ガイドの記述に対して、ずっと共謀罪と参加罪と書いてあったのが、これ、いつの間にかホームページから消えているんです。こういう不誠実なことをしたら本当に国民の不信感を招くと私は思います。
それで、じゃ、外務大臣。これ、共謀罪、条約の要請上、懲役四年以上で全部満たして共謀罪をつくった国は百八十七か国のうち幾つあるんでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 百八十七か国、今既にTOC条約締結している百八十七か国それぞれにつきましては、事情は様々であります。参加罪、合意罪、従来からあった国、新たにつくった国、様々でありますが、一つ言えることは、百八十七か国それぞれ、締結した国は、自分の国はこのTOC条約を満たすための担保法をしっかり用意しているということであります。
我が国ももし締結をするとしたならば、憲法との関係に照らして、十二分に国際社会に説明できる準備をしなければならない、そういったことで今この国内法、担保法のお願いをしているということであります。
○福山哲郎君 そうなんですよ。最初は、全部、六百要るんだ、四年以上だと言っていたのが、いつの間にか、それぞれの国の事情でいいんだって、これ変わったんですよ。
それぞれの事情でいいんだったら、総理の言われた具体的なものに入りましょう。法務省の言われている対応できない事例を御紹介します。
対応できない事例、総理、真ん中から行きましょう。一番国民の皆さんが多分関心があるハイジャック。航空券を予約した場合には今の法律上は対応できないと総理は言われましたが、それでよろしいですか。お答えください。
○国務大臣(金田勝年君) ただいまの御質問にお答えしますが、航空機の例でおっしゃられたその点に対しましては対応できないケースがあると、このように考えております。(発言する者あり)あっ、その事情ですか。
それは、申し上げます。そこまで申し上げますが、例えばテロ組織が複数の飛行機を乗っ取って高層ビルに突撃させるテロを計画した事例を例に取りました場合には、このような行為が実行されますと、現行法では組織的な殺人罪、航空機の強取罪、航空中の航空機を墜落させる罪、そういったものが成立することが考えられます。実行された場合ですね。そして、組織的な殺人罪や航空機の強取罪には予備罪があります。
現行法においては、裁判例を見ました場合に、例えば役割分担に従って相当数の凶器あるいは乗客の拘束具といった必要な装備を持って空港に向かうなどをしなければ予備罪の成立を認めることは難しいことがあると考えられております。それ以前の行為を処罰することは困難であります。
そのように考えられますので、そのために、それ以前の段階では、捜査において計画を把握しておって、犯人らがその計画に従って搭乗予定の航空機の航空券を予約したといった行為があったとしても捜査機関が検挙の対象とすることも難しい、こういうことになるわけでありまして、したがいまして、現行法では的確に対処することができないというケースも想定されるわけであります。
○福山哲郎君 総理も同様のことを衆議院で言われていましたが、同様でいいですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 裁判例では、今大臣が答弁をいたしましたように、予備罪の予備とは、構成要件実現のための客観的な危険性という観点から見て、実質的に重要な意義を持ち、客観的に相当の危険性の認められる程度の準備が整えられたことを要すると、こうされておりまして、空港に向かって出発する行為やあるいは航空券を航空機強取の目的で購入する行為がそのようなものに当たると認められない限り、予備とは認められないものと承知をしております。
○福山哲郎君 その裁判例は、総理、何例、判例は何例あったか御存じですか。
○国務大臣(金田勝年君) 昭和四十二年の東京高裁の判決だったと記憶をしております。
○福山哲郎君 中身は、法務大臣、御説明いただいていいですか。
○国務大臣(金田勝年君) 東京高裁、昭和四十二年の六月五日の判決であったと思います。
当該基本的構成要件に属する犯罪類型の種類、規模等に照らし、当該構成要件実現のための客観的な危険性という観点から見て、実質的に重要な意義を持ち、客観的に相当の危険性の認められる程度の準備が備えられる、備えられたることを要するということになっておるわけであります。
○福山哲郎君 判例の内容を聞いているんです、中身を。
○国務大臣(金田勝年君) 現在、手持ちしておりませんので、お答えは正確に行いたいという思いで、ただいま、直ちには答えることはできません。
○福山哲郎君 総理も衆議院で答弁されました。事例御存じですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 事例について、事前にこれこちらに言っていただいてなければ、直ちに正確な事例を答弁することはできません。
○福山哲郎君 今のは明確におかしい。総理が衆議院の答弁で判例がありますからとおっしゃったから、私は当然知っておられると思って聞いたんです。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) いや、答弁で私、判例がありますなんというふうに答弁はしておりません。その中において、これは我々こういう対応はできないということを申し上げたわけであります。
○福山哲郎君 衆議院の答弁、御紹介します。今までの準備罪だけであれば、今までの判例であればといって、ずうっといって、できない可能性がある、このことによってたくさんの人たちが死ぬ危険性があるのは事実じゃないですかとおっしゃっています。
判例、実はたった一例です。それも、先ほど私が冒頭説明したテロ条約に関連する航空機の強取というものに対して、これは予備罪があるといって、もう私は正直言って共謀は要らないと思っていますが、その判例しかありません。
これ、実は、当時政治犯だった三十一歳の若者がヘリを、まあ乗って、ヘリを奪って、ある労働組合の大きい集会の上からチラシをまこうという犯罪です。ある意味でいうと、大した犯罪じゃありません。この判例には、済みません、チケットの話ですけど、チケットも何も関係ありません。
実は私、そう思ったので、これ、刑法の教科書三つ、全部調べてきました。お手元の資料を見ていただければと思いますが、「航空機の強取等の処罰に関する法律」、「航空機強取等予備について」。最初、「一切の準備行為を意味している。」、そのうちの(2)です、「航空機に乗り込む行為」。まあ乗り込む行為は駄目ですね。もうこれは検挙しなきゃいけない。その次です、「航空券をその目的で購入し」ってちゃんと明確にあります。これ三つとも、航空券の購入は強取等の処罰に関する法律の予備罪が適用されて検挙可能だとなっています。
これ、問題です。この一つの「注解特別刑法」というのは、東大総長で日本刑法学会の理事長が書かれています。東京高等裁判所判事、法務省刑事局の検事、ほかも同様の方が、三冊確認しました、全部チケット購入で予備罪適用できると書かれています。
法務大臣、これ本当に大問題ですよ、こんなこと言い出したら。あなた、この答弁どうするんですか。
○国務大臣(金田勝年君) 私からお答えいたします。
ただいま福山委員がお示しになった点につきましては、公刊物の中に御指摘のような記載があるということは承知をしております。
犯罪の成否は捜査機関が収集した証拠に基づいて判断すべき事柄でありますけれども、個別具体的な事案につきましては、その事案にもよるんですけれども、裁判例では、予備罪の予備とは、構成要件実現のための客観的な危険性という観点から見て、実質的に重要な意義を持ち、客観的に相当の危険性の認められる程度の準備が備えられたことを要するとされております。
先ほど申し上げた四十二年の東京高裁判決を、その後もそれを使いながら解釈をしているという側面がありまして、空港に向かって出発する行為や航空券を航空機強取の目的で購入する行為がこのようなものに当たると認められない限り予備とは認められないものと承知をしております。
すなわち、お示しの書籍に記載のある事例が常に予備罪を構成することにはならない、するものではない、構成するものではないと考えられるわけであります。
○福山哲郎君 法務大臣、それも大問題。元々計画があって合意があるから準備行為としてのチケットで今回のテロ等準備罪も構成するわけでしょう。予備罪で捕まえられるんじゃないですか。今、法務大臣、何と言いました。その事前に合理的な問題がないんだったら、そんなもの捕まえられるわけないじゃないですか、そもそもが。元々計画、皆さんの言葉でいえば計画、我々でいえば共謀があるからこそ、そこにチケットを買うことで逮捕ができるわけです。
じゃ、この刑法の教科書全部、三冊間違っているというんですね、法務大臣。これ、大問題ですよ。お答えください。
○国務大臣(金田勝年君) 先ほど申し上げましたが、予備罪の予備とは、構成要件実現のための客観的な危険性という観点から見て、実質的に重要な意義を持って、客観的に相当の危険性の認められる程度で準備が備えられたことを要するということになっております。そういう観点を考えて対応しなければいけないと、このように考えております。
○委員長(山本一太君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。
午後一時に再開することとし、休憩いたします。
午前十一時五十五分休憩
─────・─────
午後一時開会
○委員長(山本一太君) ただいまから予算委員会を再開いたします。
平成二十八年度第三次補正予算二案を一括して議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。福山哲郎君。
○福山哲郎君 先ほど共謀罪の話をさせていただきましたが、実は、一つ目の高い殺傷能力のある化学薬品の原料を入手した場合という、今のは対応できないというやつも、実は警察学論集という警察官が逮捕、捜査に当たってのコンメンタールを読むと、予備の具体例を挙げると、製造については原材料の購入というのが一番最初に出てきます。これも予備罪で対応できます。
法務大臣、いかがですか。
○国務大臣(金田勝年君) 福山委員にお答えをいたします。
ただいまお話ございました化学薬品を用いたテロ事案におきましては、殺傷能力の高い化学薬品を製造して、これを用いて同時多発的に一般市民を大量殺人するという目的のために単に化学薬品の原料の一部を入手する行為は、裁判例を見ますと、組織的殺人の予備に当たるとは言い難い場合もあるものと考えております。
○福山哲郎君 具体的に判例を挙げていただけますか、じゃ。
○国務大臣(金田勝年君) ただいまの御質問にお答えしますが、個別の事案ごとの判断ではございます。判例を検討した結果ではございますが、御指摘のようなサリン等を用いて、そういうサリン等を用いて大量殺人を計画する事例というもの……(発言する者あり)
○委員長(山本一太君) どうぞ答弁続けてください。答弁続けてください。
○国務大臣(金田勝年君) におきましては、原料となる化学薬品の入手行為がサリン等の製造等の予備に当たることが考えられます。
もっとも、先ほども申し上げましたが、サリン等に当たらない薬品を用いた大量殺人を計画することも想定されるわけでありまして、常に殺傷能力の高い化学薬品の入手が犯罪になるとは限らないと、このように考えている次第であります。(発言する者あり)
○委員長(山本一太君) 金田法務大臣。
○国務大臣(金田勝年君) 判例としてどれを指すかと言われますと、私の方からただいま申し上げることはできませんが、予備罪における判例による考え方と申し上げたわけでありますが、予備罪における予備とは実行の着手に至らない行為でありまして、構成要件を実現する相当の危険性を有するものと承知するわけであります。
個別具体的な事実関係によるものの、化学薬品の原料の一部といっても様々なものがあり得て、それを入手したにとどまる場合には、それだけで殺人の構成要件が実現される相当の危険性があるとまでは言い難い場合も多いものと考えられます。(発言する者あり)
○委員長(山本一太君) 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○委員長(山本一太君) 速記を起こしてください。
○国務大臣(金田勝年君) 委員御指摘の点につきましては、直接の判例はありませんが、その点は訂正をさせていただきます。
ただ、判例的な考え方を申し上げているのであります。(発言する者あり)
○委員長(山本一太君) 金田法務大臣。
○国務大臣(金田勝年君) 薬品直接の判例は私は申し上げたわけではなくて、その点は訂正をさせていただきますが、薬品直接ではなくて、先ほども御指摘をいただいた航空機のような四十二年の判例、そういうものを含めて、その判例等を考慮して申し上げましたのが先ほどの答弁であります。
○福山哲郎君 私は、サリンの殺傷の問題について法務省が例を挙げているから聞いたら、最初は判例です、次は判例はありません、その次は判例的、今は訂正。何を信頼して、いいですか、人を処罰する法律を今議論しているんですよ。非常に重要なんですよ。下手すれば人権侵害も起こるんですよ。その刑法の問題をしゃべっているのに、こんないいかげんな答弁成り立ちますか、法務大臣。ちょっともう一回答弁してください。
○国務大臣(金田勝年君) 先ほど申し上げました昭和四十二年の東京高裁で示された基準を当てはめて考えたものを述べました次第であります。これは昭和四十二年のあくまでも判例で示された考え方でありますので、そういうふうな引用を申し上げたつもりであります。
○福山哲郎君 判例で示された基準を、じゃ、述べてください。
○国務大臣(金田勝年君) 先ほど申し上げた東京高裁昭和四十二年の判決の中から申し上げます。
当該基本的構成要件に属する犯罪類型の種類、規模等に照らし、当該構成要件実現のための客観的な危険性という観点から見て、実質的に重要な意義を持ち、客観的に相当の危険性の認められる程度の準備が備えられたことを要するという考え方であります。
○福山哲郎君 その基準に照らして、全てのコンメンタールは、チケットの購入で逮捕ができる、サリンは原料を購入して逮捕ができるとなっているのに、法務大臣だけ違う答えを言われているんです。これ逮捕できるんです。ということは、立法事実がなくなりました。
法務大臣、お伺いします。この三例以外にテロの対応で予備罪、未遂罪等で対応できない法律は一体何本あって何か、お答えください。
○国務大臣(金田勝年君) 法務省からお示しをしました三つの事例につきましては、現在政府において検討中のテロ等準備罪につきまして、その成案を得られていない現段階でその検討の方向性を少しでも分かりやすくイメージをいただくためにお示ししたものであります。
そして、法案がまだ検討段階にあります関係上、テロ等準備罪の限界事例等をお示しすることは難しいと、このように考えております。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) そもそも、我々も、大変な負荷のあるこの法案を新たに提出するということであれば、できるだけ今の法制度でこの国際組織犯罪防止条約にこれは締結できる、そして、かつ実際にそういう様々なテロを防げるのであれば、それはもうそれでいくのは当然のことでありまして、これは政権に負荷が掛かることでありますから。
そこで、我々は法務省にも、今、福山委員が述べられたように、私も法務省側にも今ので駄目なのかと何回も確認をいたしました。そして外務省には、これは国際法との関係、条約との関係においては外務省の国際法局がやりますから、国際法局的には、これは国際組織犯罪防止条約のこれは批准には足りませんということでありました。と同時に、そこで今おっしゃった事案については、例えば、先ほどちょっと議論になりましたが、飛行機のチケットを予約した段階でどうなのかということを申し上げました。
そこで、その中に、御指摘のように予備罪の整理については様々な見解があり得るわけでございまして、確かに、その挙げられたコンメンタールについての議論もございますが、法務省の立場は、しかしそれは、かつての裁判例においては、構成要件実現のための客観的な危険性という観点から見て、実質的に重要な意義を持ち、客観的に相当の危険性の認められる程度の準備が備えられたことを要するということでございますから、言わばそれによって、予約あるいは購入したことによってそれは有罪になることもありますが、それはありますが、しかし個別の、様々なこのたくらみの中においてそれが当たらないこともあり得るというのは事実でございまして、そういう議論が、それは法務省の解釈であります。
それは、法務省はそういう解釈をしていて、そういう解釈がある以上、この段階で、犯罪を犯す組織が集まって、言わば飛行機を乗っ取って、それを九・一一のような行為をしようという合議をして、それぞれ役割分担を決めて、かつチケットの予約をした段階で、しかし、それは必ずしも予備罪が当たらない、当たらない可能性もあることによってそれはちゅうちょする場合はあるんです、当然。ということで、これはやはり法整備が必要。
言わば議論が、今こうやって議論をしているわけでありますから、議論が存在するのは事実なんですよ。議論が存在するんであれば議論の余地をなくす、議論の余地をなくすることが大切であって、今言った要件が当たればこれは確実にその対象になるという法律を作るべきだと法務省から説明を受けて、私はそれはそのとおりだなと。
つまり、そこで、当局であればちゅうちょするんであれば、まさにそういうテロが、テロの発生を防げない可能性があるわけでありますから、テロを防げない可能性があるんであればその法制を整備する。議論がある中においては当局が実務的にちゅうちょすることはあり得るんですよ。でなければ、我々もわざわざこの法整備をしないですよ、それは、そもそもですね。ですから、我々は、しかしそれは、つまり明文的にですね、明文的にしっかり、解釈によって予備罪を広げていくというのはむしろそれは危険である、そういう解釈を恣意的にするよりも、しっかりと明文的に書いてあるものを、ちゃんと法制度を確立をしようというのが政府の立場でございますので、どうか御理解をいただきたいと思います。
○福山哲郎君 何でチケットの購入で、計画があってチケットの購入で予備罪に当たらないのか、法務省、じゃ、答えてください、法務大臣。今総理が言われた理由をちゃんと答えてください。何で当たらないのか。
○国務大臣(金田勝年君) 午前中からも申し上げております東京高裁昭和四十二年の判決がございます。
その判決で、当該構成要件実現のための客観的な危険性という観点から見て、実質的に重要な意義を持ち、客観的に相当の危険性の認められる程度の準備が整えられたることを要するというこの記述の要件に当てはめて、それが当てはめられて、そしてそのように理解されるということにならないというケースがあるということであります。
そもそも、申し上げますが、ただいま議論している航空機の例、あるいは危険薬品の例、あるいはサイバー的な話、この三点をお示ししておりますが、三つの事例につきましては、現在政府において検討中のテロ等準備罪について、その検討の方向性を少しでも分かりやすくイメージをしていただくために、まだその成案を得ていない段階でお示しをした話でございます。
そして、実務は裁判例に従って法律を解釈、適用しているものであります。ここが重要であります。この点、お示しした裁判例、ただいまの裁判例に従えば、ハイジャック目的での航空券の予約であっても予備に当たらない事例もあるということを受け止めていただきたいと思います。それは、ただいまの裁判例に当てはめてその適用があるかどうかという考え方に沿うものと思います。
そして、加えて、予備罪が設けられていない重大犯罪も多数あるわけでありまして、その意味において、予備罪などの現行法制ではテロ行為を未然防止できない事例は存在するというところでございます。そのために、テロ行為の未然防止のためにはテロ等準備罪を設けて対処することが必要であるということであります。
以上です。(発言する者あり)
○委員長(山本一太君) 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○委員長(山本一太君) 速記を起こしてください。
○国務大臣(金田勝年君) 予備罪における予備というのは、先ほどから申し上げております東京高裁昭和四十二年の判例によると、実行の着手に至らない行為であっても、構成要件を実現する相当の危険性を有するものであると私どもは承知しております。
そして、個別具体的な事実関係によるものの、ハイジャック目的での航空券の予約が、それだけではハイジャック行為が実現する相当の危険性があるとまでは言い難い場合も多いと、このように考えられるわけであります。
○福山哲郎君 大臣、今の話で、航空券を買うのがハイジャックに至らないかもしれないというときに、計画はあるんですね、大臣の言う計画はあって、私らは共謀と言いますが、それがあって切符を買っても予備罪に当たらないと言い切れるんですね、本当に。
○国務大臣(金田勝年君) 計画があって、そして予備罪に当たらない場合というものもあると、切符を買って当たらない場合もあるというふうに考えております。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) つまり、私どもはテロを未然に防がなければいけないということでありますから、つまり未然に防がなければいけない。出来事が起こってから、起こってから、たくさんの人たちが死んでから裁判所で黒にすればいいというものではないわけであります。
それが、それがポイントであって、つまり、今まさにお答えをさせていただいたのは、合意をして、合議をして合意をして、そして誰かがチケットを予約をする、予約をする。しかし、それでその後テロが起こったとしますね。しかし、今の……(発言する者あり)いや、起こらないとしても、今その段階で捕まえたとしても、これは言わば完全に、それをもってしてこれは構成するとは限らないわけでありまして、それが先ほどの裁判例でお示しをした例でございまして、しかし、今回の場合は、今回の場合は言わば合意をして、かつチケットを予約、購入をすれば、それはもう間違いなくこれは我々の、テロ等の準備罪に当たるわけでありますから、その段階で間違いなく、ちゅうちょするなく警察は検挙できるわけです、検挙できるわけです。
しかし、そうでない場合は、いや、これは間違いなく……(発言する者あり)いや、今、うそは駄目とかおっしゃっているけど、それが、それが逮捕できるということではなくて、まさにそれによって、しかし、裁判によって、裁判によって、それで逮捕をしたところで、それの言わば関連性を十分に証明できるかどうかというのは明らかではないわけでありますから、それぞれの事案によって、裁判例に、今、私が先ほど申し上げました裁判例にそれははっきり明確に書いてあるように、相当のこれは、これは構成要件実現のための客観的な危険性という観点から見て、実質的に重要な意義を持ち、客観的に相当の危険性の認められる程度の準備、認められている程度の準備なのかどうかということが証明されなければならないわけでありまして、それは、今申し上げましたように、合意をして、そして今言ったチケットを予約するという行為をして、それが全体の中の、これは詳しく、その事案事案の中によるんですよ、それは。
そういう中で、当たる場合もありますが当たらない場合もあるんです。当たらない場合がある以上、当たらない場合がある以上、そこで直ちに、直ちに検挙はできないということでありまして、それであれば、直ちに検挙できるようにするのはこれは当然のことじゃないですか。
○福山哲郎君 僕は、逆に、合意があって計画があってチケットを買ったときに、今総理が言われたように、検挙できないという方が怖いです。我が国はそんな状況ではありません。検挙できます。じゃないとテロから守れないから。それがちゃんと書いてあります。
じゃ、大臣、お伺いします。大臣の言われる準備行為というのは、いいですか、計画なのか共謀なのか合意なのかは別にして、共謀は構成要件だと思いますが、準備行為は処罰条件かどうか、大臣、お答えください。明確にお答えください。
○国務大臣(金田勝年君) 私ども政府が検討しております実行準備行為が構成要件か、それとも処罰要件かと、処罰条件かというお尋ねでございます。
テロ等準備罪につきましては、かつての国会審議等の場における批判あるいは懸念というものを踏まえて、合意に加えて実行準備行為が行われたときに処罰の対象とすることを検討中であります。(発言する者あり)
○委員長(山本一太君) 福山君、済みません、委員長の許可をもって発言してください。(発言する者あり)
金田法務大臣。
○国務大臣(金田勝年君) お尋ねの点は、法案の成案を得た後に具体的な罰則の内容に基づいて説明をすべきものだと考えております。(発言する者あり)
○委員長(山本一太君) 金田法務大臣。
○国務大臣(金田勝年君) 先ほども申し上げましたが、成案を得た上で具体的な罰則の内容に即して法律案に関する議論というものは行うべきであると考えておりますが、お尋ねではございますから、現在検討中の法律案については、可能な限りで検討の基本的な考え方をお示ししているつもりであります。
お尋ねの実行準備行為についても、かつての国会における批判あるいは懸念といったものを踏まえまして、条約との関係、テロ対策としての実効性にも配慮をして、そして、合意に加えて実行準備行為が行われたときに処罰の対象とすることを検討中であると申し上げているところであります。
お尋ねの点は成案を前提とした解釈あるいは理論的整理にも関わるものと思われますので、詳細は具体的な罰則の成案が得られた段階でしっかりと御説明をしたいと考えております。
○福山哲郎君 これ、人権に関わる大変重要なものを曖昧にされるのは非常に問題だと私は思います。
じゃ、金田大臣、もう一個聞きます。
過去に犯罪をしていた犯罪集団だけにこの法案は適用されるのか、過去に違法行為をやったところだけが適用されるのか、別な言い方をすれば、過去に犯罪をしていなくても組織的犯罪集団とみなし得ることができるのか、どっちですか。
○国務大臣(金田勝年君) 組織犯罪集団については、現在、その内容については検討中でございます。(発言する者あり)
○委員長(山本一太君) 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○委員長(山本一太君) 速記を起こしてください。
○国務大臣(金田勝年君) 組織犯罪集団についてでございますが、例えば、重大な犯罪等を行うことを目的とする集団をいうわけでございますから、例えばテロ組織、暴力団、薬物密売組織といったものに限られることになろうと思います。重大な犯罪等を行うことを目的としているか否かは客観的に判断されるものと考えておりますし、したがって、正当な活動を行っていた団体がたまたま一回だけ犯罪を行ったことで組織的犯罪集団と認められるようなことはあり得ないと、このように考えております。
しかし、先ほども申し上げましたように、ただいま内容も含め成案を作るべくやっておりますので、その時点で明快な説明が申し上げられると思っております。
○福山哲郎君 組織的犯罪集団の要件には過去に違法行為があったかどうかが必要か必要でないか聞いているんです。
○委員長(山本一太君) 時間が来ておりますので、簡潔に答弁をお願いします。
○国務大臣(金田勝年君) 具体的な要件については現在検討中であります。
○福山哲郎君 本当に、共謀罪の本質的なものを聞くと全部検討中で答えて、現実問題として法務省が出してきた具体的な事例は予備罪で十分に検挙も逮捕もできます。
長くなってはいけないので短くしますが、正直申し上げます。
総理の言われたこと、重要なんです。重大犯罪で、例えばこのウイルスの問題は、実はこれ未遂罪作らなきゃいけないと僕は思っています。だから、どのぐらい本当に重大犯罪で必要なのかを、何本かって聞いたら答えられないんです。逆に言うと、それで穴埋めをしていけばこの条約は十分批准できます。六百本も三百本も……
○委員長(山本一太君) 福山君、時間が来ておりますので、まとめてください。
○福山哲郎君 はい、もうやめます。
三百本も、市民に影響の与えるような、そんな共謀罪を作る必要はなくて、十分に私はこの条約は批准できると申し上げて、不誠実な答弁を甚だ遺憾と申し上げて、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○委員長(山本一太君) 以上で福山哲郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)

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