03/20
2014
第186国会 参議院 予算委員会 2014年3月20日(締めくくり総括質疑)
○福山哲郎君 福山です。よろしくお願い申し上げます。
まず冒頭でございますが、今日の読売新聞に、外務大臣、ODAリベート疑惑というのが大きく記事が出ておりました。このことに対して、私もODAに関しては非常に関心の強い方なので、是非こういったものは調査をしていただきたいと思うんですけど、大臣の御答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、ODA事業につきましては、不正競争防止法を始めとする関連法令にのっとって適正に実施すべきものであり、仮にこの報道が事実であったとしたならば、これはODA事業に対する信頼性を損なうものであり、これは極めて遺憾なことであると感じております。
まずは取り急ぎこの事実関係をしっかり確認した上で、適正に対処していきたいと考えております。
○福山哲郎君 ありがとうございます。よろしくお願いします。
午前中質問できなかったので、規制委員会田中委員長、お越しいただいてありがとうございます。
ALPSの不具合が出てきたという状況ですが、現状どのような状況でしょうか。御報告いただけますでしょうか。
○政府特別補佐人(田中俊一君) 現在、御指摘のいわゆるALPS、多核種除去装置と申しておりますけれども、これが、三つの系統がありまして、A系とC系が停止したということ、B系については洗浄作業中で、結局今は三つとも止まっているということでございます。A系、B系の方の除去性能が少し不具合が出ているということで、それについて今原因調査と対策を進めているという段階でございます。
○福山哲郎君 委員長、報道によりますと、除去されていない汚染水がタンクに流入したというのも報道されていますが、この事実関係も教えていただけますか。
○政府特別補佐人(田中俊一君) 本来の性能が発揮できれば、ストロンチウム90のようなああいった放射性核種は、あるレベルまで、所定のレベルまで除去できることになっているんですが、それがうまく除去できないままであったということで、今いわゆるタンクの方にたまっているという状況になっております。その原因については今調査中ですけれども、当然そのタンクの水については更にもう一度、原因がはっきりして対策ができた時点でもう一度精製するというプロセスに入ることになります。
○福山哲郎君 何基ぐらいに流入したのか。それから、これ、ALPSが止まっている状況で、でも水は注水しなければいけませんから、タンクの残量も含めてどのような今見通しと、代替策としてはどのように今お考えでしょうか。
○政府特別補佐人(田中俊一君) 二十一のタンクにたまっているということでございます。ですから、今それを、どの程度の汚染になっているか今サンプリング調査をして、それを見て今後の対策を更に詰めていきたいと、そのように考えております。
○福山哲郎君 二十一基のタンクが汚染されたら、汚染の度合いは別にして洗浄なりをしなければいけませんし、今注水している水がALPSで除去されないまま水が出ますから、それはタンクの残量も含めて大きな課題です。
これ、経産大臣、非常に僕は、新たな汚染水問題はもう別のステージに入ったと思っておりますので、これは与野党関係ありません、経産大臣におかれましてはしっかりと対応いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(茂木敏充君) 事故の収束に向けまして極めて重要な課題でありますから、しっかりと対応したいと思います。
○福山哲郎君 よろしくお願い申し上げます。
環境大臣は、十八日、このALPSの問題については報告を受けましたか。
○国務大臣(石原伸晃君) 環境大臣は原子力発電所内の事案について報告をしていただける対象者ではございませんが、事案を察知いたしましたので、翌日、原子力規制庁から詳細についてヒアリングをさせていただきました。
○福山哲郎君 それで結構ですが、実は環境省にヒアリングをしたら、当日は報告は上がっていないと。
総理、実は先ほどの審議でやったんですけれども、委員会の欠席は、これもけしからぬと、総理、昨日言っていただいたのでいいんですが、実は宮中行事、理由がはっきりないのに欠席をされたということは、これ非常に私遺憾なことだと思っておりまして、外交的にも非礼ですので、このことについても是非総理からも御注意をいただきたいと思いますが、総理、いかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 歓迎式典のことであろうと、このように思いますが、歓迎式典につきましては、閣僚のメンバーにおいて、都合が付く閣僚についてはできる限り出席するようにしていきたいと、このように考えております。
○福山哲郎君 注意していただきたいと思いますが、これ以上この問題は言いません。
集団的自衛権についてお伺いします。
安倍総理、何度も何度も現在安保法制懇で検討が行われていますがと答弁をされて、政府としては懇談会からの報告が提出された後にいろんな検討に入ると言われているんですが、安保法制懇が一番直近に開かれたのは、総理、いつですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) いわゆる安保法制懇としては、直近では平成二十六年の二月四日であります。
○福山哲郎君 なぜ、検討されているという法制懇、四十五日間何も動いていないのでしょうか。なぜ動いていないのか、お答えください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この安保法制懇においては、御承知のように、第一次内閣において四分類について議論を進め、第一回目の報告書が出されたところでございますが、それから約六年の時間が経過をいたしましたので、その中におきまして、こうした国際状況の変化、この六年経過したことによる国際状況の変化等々も含めまして、また新たな分類対象についても協議を始め、法制懇、積み重ねてきたわけでございますが、現在、言わば委員間、委員の間同士における、座長、座長代理を中心として最後の詰めの議論が行われているというふうに承知をいたしております。
○福山哲郎君 四月中に出すような話があったんですが、私、安保法制懇の議論、全部議事録読んでおりますが、そんなに集約できているような状況だとは思いません。委員がそれぞれの意見を言っています。記者会見で多少、座長代理の方が、そんな意見出ていないだろうというようなことを、集約されたこと言われていることがたくさんあるんですが、議事録を見ている限りはそれぞれがまだ意見を言いっ放しでございます。それで現実には四十五日間動いていません。
これ、四月中に報告書を出すというような話がありましたが、どういったスケジュール感で考えておられるのか、総理、お答えください。
○国務大臣(菅義偉君) 現時点で、この安保法制懇で詰めの議論を行われておりまして、期限ありきでなく、しっかり議論を深めていただきたいというふうに思っています。ですから、いつかという期限については、現時点においては未定であるということであります。
○福山哲郎君 官房長官のお言葉で恐縮ですが、懇談会開かれていないんです。委員同士も誰がやられているかも分からないんです。これは国民にとって非常に重要なものにもかかわらず、四十五日間開かれていないのに、検討されている検討されていると言っても何を検討されているのか全く分かりません。出ているのは、二月の四日以降何も、議事録の議論も出ておりません。
そんなさなかに、総理の首相補佐官が三月五日です、二月四日の安保法制懇から一月後、いろんな法律の改正が必要だと述べ、十本以上の関連法改正が必要になるとの見通しを示しました。これ、委員会、表で全く開かれていないのに、いきなり一月後に補佐官が十本以上の関連法案が必要だと言ったと。これ事実なのか、それから総理はこのことについて承知をされているのか、お答えください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 政府としては、懇談会から報告書が提出された後に、内閣法制局の意見も踏まえつつ、与党とも相談の上に検討を重ねた後、閣議決定を行い、国会で御議論をいただきたいと、こう考えておりますが、さらに、憲法解釈の変更が行われても、集団的自衛権を実際に自衛隊が行使していく上においては関連する法律を変更をしなければならないわけでありますが、その際にももちろん御議論になるわけでございますが、そして、そこで、今御指摘の礒崎補佐官の発言につきましては、今こうしたようなプロセスを踏まえて将来必要となれば改正をしていくわけでございますので、礒崎補佐官自身の認識に基づいて述べたものだと、言わば改正をする必要が出てくる場合の必要となる法律というものについての礒崎補佐官としての整理について述べたものだと思います。
○大塚耕平君 関連。
○委員長(山崎力君) 関連質疑を許します。大塚耕平君。
○大塚耕平君 総理は今憲法解釈の変更をすればという仮定でお話をされたんですが、しかし、その後のスケジュール、かなり具体的におっしゃいましたが、憲法解釈の変更をするもうお気持ちをほぼ決めていらっしゃるんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) それは、法制懇の結論を得た上において政府として検討していくということであります。
○福山哲郎君 なぜ、総理が法制懇の結論を得てと言われているのに、補佐官が認識として十数本法律が要るということを言われるのか、その根拠は何だと、じゃ、総理は思うんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私は礒崎補佐官ではありませんから根拠を私が礒崎補佐官に代わって述べることはできませんが、今御説明をさせていただきましたように、流れとして、実際に、もし、安保法制懇において結論が出され、そして法制局を中心に政府として検討を重ね、そして与党とも協議をしていくわけでございますが、そこでもし、これは仮定の仮定でありますが、そこでもし憲法解釈の変更が必要となれば、その中において、しかし、実際に自衛隊が行動していく上においては関連法案を改正していかなければいけませんから、その改正する法案がどれぐらい必要かということについての礒崎補佐官としてのイメージとして述べたものだろうと、このように思うわけであります。
○福山哲郎君 じゃ、その礒崎補佐官の認識と総理の認識は御一緒ということですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) それは礒崎補佐官の認識を述べたものでありまして、私は、まだ法制懇の結論も出ておりませんし、そういうことについて考えてはいないということであります。
○福山哲郎君 補佐官が勝手にそんなことを言われちゃ困りますね、仮定の仮定で。今日、補佐官出てきてくれと言ったのに出てこないんですね。これは問題なんですよ。
そのさなかですよ、三月の十一日、小松法制局長官は、国家安全保障基本法について、首相は国会に提出する考えはないと答弁されました。これについては総理は御理解をいただいているのか。自民党の中からもけしからぬという声が上がっていますが、国家安全保障基本法については国会に提出する考えは総理はないんですね。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私自身は、国家安全基本法については、提出するしないということについてはまだ決めておりませんし、それはもう国会で答弁しているとおりでございます。
しかし、答弁した際に、国家安全保障基本法においては集団的自衛権の行使を事実上示唆することが書き込まれていますが、現時点では当該行使はできないというのがこれは政府としての解釈であり、その解釈を変えることなく基本法を提出をすることはできないと、これは述べてきたとおりでありまして、つまり、今の政府の解釈においてはできないという解釈でありますから、この解釈の変更なしには解釈が変更できるという法律は出せない、これは違憲立法になるのは当然のことであります。
ですから、その中におきまして、法制局長官としての私の今までの答弁について申し上げたことだと、このように思うところでございます。
○福山哲郎君 法制局長官はそういう文脈で言われたんじゃないですよね、法制局長官。法制局長官は、いわゆる関連法案で出すので、総理は国会に提出する考えはないとおっしゃったと認識しておりますが、長官、いかがですか。
○政府特別補佐人(小松一郎君) この点に関します平成二十六年二月二十日の安倍総理の答弁は、総理が今その御真意を明確に御答弁になったわけでございますが、私は福島委員からのお尋ねを受けて、安倍総理の答弁は、憲法解釈の変更を行うという結論を出したものではなく、ましてや、国家安全保障基本法を国会に提出するとかしないとかについての考え方を述べたものではなく、憲法解釈の変更を行う場合には、まず閣議決定の手続を行って、その後必要な立法措置を行うことになるとの趣旨であると理解していることを述べたつもりでございました。しかし、私の言葉が足りず誤解を招いたとしたら大変申し訳なく、おわび申し上げます。
○福山哲郎君 答弁違うんです。だって、安保法制懇に、再検討して、その結果を閣議決定すると。その上で、自衛隊の行動に反映させる必要があるものであれば当然これは立法が必要なので、複数の法律案を国会に提出するという考えであるというふうに述べられていると私は理解しておりますと。その前に、安全保障基本法はお考えではなくてと言っているので、これ、安保法制懇の結果を受けてという前提であなたは答えているのに、今答弁をすり替えたじゃないですか。
○政府特別補佐人(小松一郎君) これはすり替えということではなくて、私の、私の答弁が非常に拙劣なところがあって、私が本来申し上げたかったことが十分明確に表現されていないということは大変申し訳ないということを申し上げている次第でございます。
○福山哲郎君 ちょっと待ってください。国会の答弁を、私のはまずかったと、ころころころころ変えて法制局長官は務まるんですか。
総理、僕、何度も申し上げているんです。実は官房長官にもお願いしたんですけど、総理も言われていますが、小松長官は療養中であります。私は、病気の方が治って出てこられるのは立派だと思います、治っていないんですけどね。それは立派だと思うけど、平日に実は投薬療法をしておられます。この間も外防委員会のときに、各委員会が、投薬療法だということで呼ぶのを若干ためらった先生もいらっしゃいました。これは国会の審議として、情緒的な議論だとか、何か集団的自衛権と殉じるみたいな議論になっちゃ困るのです。今みたいに答弁がころころころころ変わるのも非常に法制局長官としての私は職責上問題だと思っているので、私、例えば体調悪くなられたりすると本当に寝覚め悪いので、総理、これは療養していただけるように本当にお願いをしたいんですが、いかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほどの答弁にいたしましても、先ほど私が答弁をさせていただきましたように、言わば政府が解釈の変更をしなければこの法案は出すことができないわけでございまして、この法案を出すということを前提とした質疑が続いていたので小松長官がああした形で答弁をされたと、こう思うわけでありまして、しかし、それが十分に伝わっていない結果、福山委員も違うとおっしゃっているから、小松長官は真意が伝わっていなかったということについて謝罪をされたということでございます。
しかし、それは事の本質とはやや違う議論ではないかと私は思うわけでございまして、この議論につきましては、相当深くしっかりとした見識、あるいは今までの議論について参加した方々が議論を積み重ねてきているわけでございまして、その意味におきましては、国際法局長としてもこの議論に参加をして、かつて第一次安倍政権においてですね、見識を更に深めておられる小松今法制局長官に私はしっかりと職責を全うしていただきたいと、このように思いますし、様々な病気を克服し、またあるいは克服しながら職務をしっかりと果たしておられる方はたくさんおられるわけでありますから、私は小松長官にしっかりと今後も長官としてその職責を果たしていただける、このように確信をしているところでございます。
○大塚耕平君 関連。
○委員長(山崎力君) 関連質疑を許します。大塚耕平君。
○大塚耕平君 法制局長官は、集団的自衛権の行使対象として密接な関係にある国というふうにおっしゃっておられます。総理も以前そうおっしゃられました。密接な関係にある国の定義を、長官、述べてください。
○政府特別補佐人(小松一郎君) 突然の御質問でございますので今十分な御答弁を申し上げる材料を手元に持ち合わせておりませんが、何度も申し上げましたけれども、集団的自衛権にしろ個別的自衛権にしろ、自衛権というのは国際法上の概念でございまして、したがって、国際法上の概念である自衛権の定義ということになりますと、これは外務省の所掌でございますので、私の所掌ではないわけでございます。
○大塚耕平君 法制局長官として、密接な関係にある国の定義をお伺いしています。もう一回答弁してください。
○政府特別補佐人(小松一郎君) これはもう既に委員の質問を受けてお答え、なぜ国際法の解釈は外務省の所掌であるのかということについてこの委員会で御質問を受けましてお答えをいたしましたけれども、それは外務省設置法の所掌事務のところに、国際法の解釈、適用、実施については外務省の所掌とすると、こうはっきり書いてあるわけでございます。もちろん、憲法ということになりますと、これは内閣法制局の問題でございます。
この今議論されている問題につきましては、もちろん憲法、特に九条と国際法が交錯する非常に複雑な問題でございますけれども、集団的自衛権の定義は何かという御質問があって、それについて私が通告をいただいていないのにうかつに御答弁をいたしまして、また後で訂正をするのはけしからないと、こういうことになるのは非常によくないと思いますので、この集団的自衛権、集団的自衛権の定義でございます、集団的自衛権の関連で密接な関係にある国というのはどういう国かというのは国際法上の問題でございますので、外務省からお聞き取りを願いたいと思います。
○大塚耕平君 いや、関連法、つまり国内法をやがて整備する必要性は仮定の上ではあるわけですから、そのときはあなたの担当になるんですよ、国内法ですから。だから、聞いているんです。
もう一回聞きます。密接な関係にある国の定義を長官としてはどう思っておられますか。
○政府特別補佐人(小松一郎君) 今申し上げたとおりでございまして、繰り返しになって恐縮でございますけれども、自衛権というのは国際法上の概念でございますので、この定義につきましては外務省からお聞き取り願いたいと思います。
○福山哲郎君 外務省、答えられるんだったら答えてください。
○委員長(山崎力君) 質問通告されていますか。
それでは、岸田外務大臣。
○国務大臣(岸田文雄君) 集団的自衛権の国際法上の定義ですが、これは一般に、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利というふうに定義されていますが、この集団的自衛権についてはそのように国際法上定義されていることは承知しておりますが、この密接な関係にある外国、この内容につきましては、いま一度確認をした上でお答えをさせていただきたいと存じます。
○大塚耕平君 関連。
○委員長(山崎力君) 大塚耕平君。
○大塚耕平君 どこに確認するんですか。
○国務大臣(岸田文雄君) 外務省として、まず国際法上の定義について内容を確認させていただきたいと存じます。
○大塚耕平君 国際法上の定義をオーソライズする国際機関はあるんですか。
○国務大臣(岸田文雄君) 国際法上のこうした集団的自衛権の内容につきましては、外務省として責任を持ってこれは解釈しなければならないものだと思っております。ですので、いま一度、外務省としてこれをどう解釈しているのか、確認をさせていただきたいと存じます。
○福山哲郎君 総理に、先ほど官房長官にお答えいただきましたが、総理にもう一度聞きます。
この安保法制懇の報告は一体いつをめどに出されるおつもりか。当初四月とかなんとかおっしゃっていたんですが、そのことについてお伺いしたいと思います。明確にお答えください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私、日にちについて明確に申し上げたことはございませんが、言わば、日にちありきではなくて、安保法制懇において結論が出た段階において言わば報告が出されると、このように理解をしているわけでございまして、今の段階ではまだ議論を、先ほど申し上げましたように議員間において、言わば一委員間において議論を更に行っているというふうに承知をしております。
○福山哲郎君 これまた礒崎補佐官が、今回国会中に決定したいという報道があるんです。これも総理と今違うんですが、この補佐官の御意見については総理はどのように思われますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 補佐官も政府を代表して、言わば政府全体の意思が決定された上で述べているわけではございません。言わば担当する補佐官として、それは、政府というのは、政府を構成している人々がそれぞれの考え方を述べる場合は、当然これは許されるわけでございます。
しかし、政府として決定した際には、意見は、意思はまさに統一されるわけでございまして、私がまさに閣議決定の必要性を述べているのはそこでございまして、閣議決定がなされて基本的に政府の意思は決定をしていくということでありまして、礒崎補佐官は言わばこの問題に関わってきた者として言わば自分の考え方として述べたものだろうと、このように思います。
○福山哲郎君 いや、先ほど申し上げたように、補佐官は国会に出てこないんですよ。権限もないし、国会も出てこないで、個人の意見だと。政府の意見で好きなことを言っていいんだと。それは、だって総理の補佐官なんですよ、総理。補佐官は総理に助言するけれども、外に向かって何か言うなんてないですよ。総理、どうですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) それは、様々な、政府には補佐官もいれば参与もおります。そして、それぞれが、それぞれがそれぞれの見識で自分の考えはこうだということを外に発表するということについては、それはおかしいということではないと思いますし、それは、言わば我々と全く見解が根本的に違うことを述べればそれは問題でございますが、しかし、いつ、どれぐらいにまとまるかということの考え方の予想について聞かれた中において、解説する上において出てきた発言とすれば、それはそれほどおかしな考えではないのではないかと、このように思います。
○大塚耕平君 関連。
○委員長(山崎力君) 大塚耕平君。
○大塚耕平君 その関連法案十本程度というのは、法制局長官、どういうものを想定していると今お考えですか。
○政府特別補佐人(小松一郎君) そういう議論を局内でもやっておりませんし、そういうことをお答えする立場にございませんので、お答えすることはできません。
○福山哲郎君 これでまた答弁変わったんです。
あなたはこの間、外交防衛委員会で、部内的な頭の体操をやっていると委員会で答弁しました。そして、委員長に向かって、資料を提出してという要望があれば提出したいとおっしゃって、そうおっしゃっています。あなたは部内的に、じゃ、どこで頭の体操をしているんですか。さっきあなたは、逆に言うと、そんなことやっていないと言ったけど、これまた答弁違うんですよ。
○政府特別補佐人(小松一郎君) これは、外交防衛委員会において、委員の御要求を受けまして理事会で協議された結果、その資料を提出するということになっているわけでございますけれども、私が申し上げましたのは、安全保障の法的基盤の再構築に関しまして懇談会で議論が行われていると、それに基づいて報告書が提出されるということが予定されているわけでございます。いつかということは私も分かりません。
総理大臣が、その報告書を受けて、内閣法制局の意見を聴きながら、内閣としてこの安全保障の法的基盤の再構築に関する問題について内閣の立場を検討したいと、そう述べておられるわけでございます。
所掌事務的に申しますと、内閣法制局三条に基づきまして、内閣法制局は、総理、内閣、国務大臣に法律問題について意見を申し上げるという立場にあるわけでございます。
したがって、この報告書が出てくれば意見を、恥ずかしくない意見を、これは政策的な観点ではなくて法的な観点から、プロフェッショナリズムに基づいて恥ずかしくない意見を申し上げなければならないわけでございますから、これだけ蓄積のある問題でございますので関連答弁というのはもう無数と言っていいほどあるかと思いますけれども、主要なものをよく精査いたしまして、それと、現在行われている、懇談会で行われている議論との関係についてあらかじめ勉強をしておくということはむしろ当然のことではないかと。
で、そういう資料を出せという御指示でございますので、これは委員長から正式の御指示をいただいたわけでございますので、これはお出しするわけでございます。
○福山哲郎君 だから、どこでやっているんですか、それは、法制局の。
○政府特別補佐人(小松一郎君) 内閣法制局、いろいろな部局はございますけれども、まず、これは憲法に密接に関係する問題でございますので、これは第一部というところが担当しております。
それから、それだけではなくて、これは総理がもう既に何度も御答弁になっていますけれども、安全保障の法的基盤といった場合に、この集団的自衛権の行使にだけスポットライトが当たっている、それだけではないですと、憲法九条との問題は既にクリアされているという問題で、従来の答弁に基づいても、問題について、法律が十分でない場合もあるかもしれないと。そういう法律について整備をして、安全保障環境が厳しさを増す中でシームレスな対応ができなければならないであろうということを総理は再三おっしゃっておられますので、そういうことになりますと、例えば自衛隊法を担当しておりますのは第二部でございますので、第一部とか第二部を中心として検討を、勉強をしているということでございます。
○大塚耕平君 関連。
○委員長(山崎力君) それでは、大塚耕平君。
○大塚耕平君 今、第九条をクリアしているかもしれないという御表現があったんですが、それ、ちょっと意味不明でしたので、その部分、もう一回説明してください。
○政府特別補佐人(小松一郎君) これは私が今突然申し上げていることではなくて、もうPKO法の御審議の過程において、憲法第九条一項の武力の行使と、それから、その武力の行使には当たらない武器の使用、これは憲法九条との抵触の問題はないわけでございます。
そういうものはあるということは従来政府から申し上げているわけでございまして、私の申し上げているのは、そういう憲法九条上禁止されていない、武力の行使に当たらない武器の使用という問題があって、しかし、それは当然、武器の使用の権限を自衛隊等国家機関に付与するというためには、これは法律がなければいけませんので、当然国会にお願いをして、立法をお願いする必要があるわけでございます。そういうことを、そういう必要性が出てくるかもしれないということについて勉強をしているということを申し上げているわけでございます。
○大塚耕平君 今の御発言の、立法をお願いするの主語と述語を、相手を明確にしてください。
○政府特別補佐人(小松一郎君) 主語は内閣総理大臣でございます。自衛隊法というのは一例として申し上げたのであって、述語は、熟語と申しますか目的語といいますか、それは当然に国会に、国の唯一の国会、立法機関でございますから、総理大臣が、自衛隊の行動を変えるというようなことであればそれは当然に立法を必要とするであろうとおっしゃっているので、それと同じことを私は申し上げているわけでございます。
○福山哲郎君 先ほどあなたは、過去の答弁のおさらいとかの勉強はしているけど法律のことについてはやっていないと言ったのに、今自衛隊法の話をし出しているじゃないか。どういうことなんですか。
○政府特別補佐人(小松一郎君) 明確にお答え申し上げますが、自衛隊法の改正をこの国会にお願いすると一言も私は申しておりません。
ただ、憲法解釈の問題については第一部が担当でございます。それから、第二部においては、武力の行使ではない武器の使用というものがあると、そういうものに関連したエキスパーティーズは第二部が持っておりますので、主に第一部、第二部で勉強しているということを申し上げたわけでございます。
○福山哲郎君 法制局長官、もう一回お願いします。
公明党の市川雄一議員の質問に対する角田法制局長官の答弁をもう一度、五十八年二月二十二日の答弁をもう一度読み上げてください。「仮に、」からで結構です。
○政府特別補佐人(小松一郎君) そのまま関連部分を読み上げて、いただきます。
仮に、全く仮に、集団的自衛権の行使を憲法上認めたいという考え方があり、それを明確にしたいということであれば、憲法改正という手段を当然とらざるを得ないと思います。したがって、そういう手段をとらない限りできないということになると思います。
以上でございます。
○福山哲郎君 これに対して、法制局長官の述べたとおりですと答えられた外務大臣は、総理大臣、どなたかお分かりですよね。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 安倍晋太郎外務大臣であります。
○福山哲郎君 非常に重たいんです。
片方では、法制懇は四十五日開かれていません。全くその議論の積み重ね見えません。それから片方では、補佐官が十数本法律が出ると言い出します。法制局長官はしょっちゅう答弁を変えます。国民から見たら非常にブラックボックスなんです。これでいきなり報告書出てきたら、本当に手品みたいなものです。これ、非常に問題だと思います。これは与党で勉強会始まったと自民党で言われていますけど、これ、与党の議員さんも本当は怒らなきゃいけないですよ、全くブラックボックス入っているわけだから。
次、行きますけど、総理、これ、アメリカの日米ガイドラインに対して反映させたいと昨日国会で答弁されました。私の外交防衛委員会での外務大臣と防衛大臣は、今の現状の解釈で日米ガイドラインの準備は進めたいと答弁されました。これ、実は総理と若干ずれているんです。いかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 当然、今の段階で解釈変更しておりませんから、それを前提に答えるのは当然であろうと思っておりますし、今の段階で私はそれをガイドラインに反映させるということは申し上げているわけではありません。
この解釈の変更をするかしないかもまだ決めていないわけでありますから、今の段階では、当然、今の解釈においてガイドラインについて議論をするというのは当然のことではないかと思います。
○福山哲郎君 そこははっきり分かりましたが、十数本例えば仮に法律が出てくるとなって、これからいつ出てくるか分からない報告書に、与党の議論があって、国会で議論をして、十二月のガイドラインまで、これは時系列的に総理は間に合うとお考えですか、反映させるとしたら。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは仮定の質問ですから今お答えはできませんが、いずれにいたしましても、まずは安保法制懇の結論が出ることを待ちたいと思っておりますし、そして、ここでの議論はまさにこれはオープンにされるわけでございますし……(発言する者あり)いや、結論が出れば当然オープンになるわけでありますし、出た結論は、お約束しますが、オープンにするということを、今別のことをおっしゃっているんだと思いますが、出た結論についてはオープンにするわけでありますし、そして、それを法制局を中心に議論をしながら与党と更に協議を重ねた結果において政府として意思を決定し閣議決定をしていくと、こういうことになっていくわけであります。
○大塚耕平君 関連。
○委員長(山崎力君) 大塚耕平君。
○大塚耕平君 日米ガイドラインに関する今の総理の御説明はよく分かりました、私。
昨日、集団的自衛権行使することになっても防衛費は今の防衛大綱の予算方針で変わりがないということを御答弁されました。ということは、今の防衛費の中に、あるいは防衛装備の中に集団的自衛権行使となっても必要になる装備がもう入っているという理解でいいですね。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは言わば法律上行使できるかどうかということでありまして、例えば例示として国会でよく挙げさせていただいておりますのは、米国のイージス艦が、ミサイル、弾道ミサイルの警戒のために日本海にいると、そしてその弾道ミサイルのためにイージス機能を上空に設定している場合、艦船自体の防御がおろそかになると、その際、近傍の自衛隊のイージス艦がその艦艇に向けて発射されたミサイルを、これは迎撃できる能力、実際高い能力を持っておりますが、それができるかどうか。
今の段階では、解釈では、できないという解釈でありますが、これができることになったとしても新たな装備を必要としているものではないわけでありますし、そういう意味におきまして、今、現状の中における様々な起こるかもしれない出来事に対して対応するためにどういう解釈が必要かどうか、もしその解釈の変更が必要となった場合にはどういう法律が必要かということになるわけでありまして、それにおいて、新たな装備等々について我々は全く検討はしていないということでございます。
○福山哲郎君 総理の言われたように、報告書がオープンになるのは当たり前です。そのプロセスが見えないのが問題だと私は申し上げているんです。
次、クリミア情勢に行きます。
かなり緊迫していると思いますが、クリミアの現状、住民投票、それからロシアのいわゆる編入等について、外務大臣の見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) ウクライナ情勢につきましては、三月十六日にクリミア自治共和国におきまして住民投票が行われました。これを受けまして、ロシアがクリミア自治共和国の独立を承認し、十八日、クリミアをロシアに編入する条約への署名がなされました。
こうした動きにつきましては、我が国としましては、ウクライナの主権、さらには領土の一体性、こうしたものを侵害するものであると考えており、このことにつきまして非難するというのが我が国の立場であります。我が国としましては、力を背景とした現状変更の試みは看過できないというこの考え方、再三にわたって表明をしております。
○福山哲郎君 外務大臣から強くお言葉をいただいて、ありがとうございました。
追加的な新たな措置としていろいろ検討されているやに伺っておりますが、どのようなものを考えておられますか。
○国務大臣(岸田文雄君) このウクライナ問題に対する我が国の措置につきましては、既に十八日の段階で、査証簡素化に関する協議を停止する、また、新投資協定、宇宙協定あるいは危険な軍事活動の防止に関する協定、この三件の新たな国際約束の締結交渉開始を凍結する、このことを既に公表しております。
今後につきましては、ウクライナの国内情勢、さらにはG7を始めとする関係国の議論、こうした動向をしっかり注視した上で適切に対応していきたいと考えております。
○福山哲郎君 アメリカのロシアに対する制裁措置について、外務大臣、お答えいただけますか。
○国務大臣(岸田文雄君) 済みません、今、手元に資料がありませんので今記憶で申し上げますと、既にアメリカは二段階の制裁措置を公表しております。そして、三月二十日と二十一日、この両日、こうした対応について更に議論を行う、こうした対応を予定していると承知をしております。
内容につきましては、概して、査証発給停止あるいは資産凍結、こうした内容が中心になっていると承知をしております。主要な項目としては、まずその二つを挙げるべきだと考えます。
○福山哲郎君 重要なのは、アメリカはロシアとの貿易や投資に関する二国間協議の中止というのを決めたんです。
私は、外交防衛委員会でも外務大臣に、日露投資フォーラムについては慎重にやられるべきだというふうに申し上げました。大臣も慎重にやるべきだというふうには言われたんですが、昨日の投資フォーラム、開かれました。これによる安倍総理大臣の代読原稿を読んでください。
○政府参考人(鈴木英夫君) 代読させていただきます。
第六回日露投資フォーラムが開催されますことをお喜び申し上げます。
近年の日ロ経済交流の強化に向けた機運の高まりは目をみはるものがあります。
私が昨年四月に日本の総理大臣として約十年ぶりにロシアを公式訪問した際には、経済界の皆様には約百二十名から成る経済ミッションに参加いただきました。石油や天然ガスといったエネルギー分野における協力に加えて、農業、食料、医療、省エネ、都市環境、中小企業といった新しい分野に協力の幅が広がってきていることは喜ばしい限りです。
昨年十月には日露交流促進官民連絡会議が立ち上がっています。私としては、この経済界の皆様の素早い対応に大変感謝し、高く評価しております。
今回のフォーラムでは、日露交流促進官民連絡会議のメンバーから全面的な協力を得て、中小企業や電力、省エネ、再生可能エネルギーなど八つの分野における協力について議論する分科会が実施されるほか、商談会や展示会も開催されると承知しています。
こうした取組が具体的なビジネスやプロジェクトへと実を結び、互恵的な日ロ経済交流の進展に寄与していくことを期待しております。
最後に、第六回日露投資フォーラムの成功と日ロ経済関係の更なる発展を祈念しまして、私からのメッセージとさせていただきます。
以上でございます。(発言する者あり)失礼いたしました。
私からのメッセージとさせていただきます。
二〇一四年三月十九日、日本国内閣総理大臣安倍晋三。
以上でございます。
○福山哲郎君 私は、投資フォーラムについて、やることについて私は抵抗あったんですけど、やられたと。そこで安倍総理のメッセージを出されることもまあ一概に否定しません。
しかし、このメッセージはロシア側に誤解を与える、違うメッセージを与える。ここでなぜ、ウクライナ情勢に対する遺憾の意や、ちゃんと対話をしようとか、そういったメッセージが、総理、出せなかったのか私はお伺いしたいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、この日露投資フォーラムにつきましては民間主体の会合であり、こうしたヨーロッパ諸国においても民間における経済活動は存続をしております。
そして、間違ったメッセージを送るのではないかという御指摘でありますが、ロシアに対するメッセージは、三月三日、そして三月十二日、G7の共同声明に我が国も参画をして、ロシアの行動、そしてクリミアの編入につきましては国際法違反であると、我々は認めることができない、これはもうはっきり明記をしているわけですし、日ロ外相電話会談の中においても、力による現状変更は我が国は絶対に容認できない、これは明言をしているところであります。
こういった様々なルートを通じましてロシアに対しましては我が国の立場、考え方は明確に伝えております。間違ったメッセージが伝わることはないと考えております。
○福山哲郎君 しかし、このメッセージは、そのメッセージが伝わっていません。
私は、クリミア情勢、かなり緊迫していると思います。そういう状況の中で、やはりG7、アメリカとの関係って、すごく重要だと思います。そこに誤解を与えてはいけない。先ほど何で聞いたかというと、アメリカはロシアとの貿易や投資に関する二国間協議の中止を決めています。そこのギャップを私は言っているんです。
今、北東アジアの安全保障状況が厳しいのは分かります。だからこそ、だからこそ、日米安保は大事だと僕は思いますし、逆に言うと、日中、日韓の関係も非常に重要だと思います。ヨーロッパにこれだけ安全保障に関しての危機が、危機というか緊張が高まっている中で、総理、これは早く日韓、日中との首脳会談も含めて、日米安保体制、日米の信頼関係を強化するには、逆に北東アジアの安定に日本が寄与することが私は一番重要なことだと思いますが、日韓や日中の首脳会談を……
○委員長(山崎力君) そろそろ時間ですので、おまとめください。
○福山哲郎君 アメリカに一々仲介をしてもらうというのは私はおかしいと思っていて、私は是非ハーグでの会議の日中韓の首脳会談について実現させていただきたいと思いますが、総理、いかがですか。
○委員長(山崎力君) 短く、総理、お願いいたします。時間が来ております。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほど日露フォーラムについて御議論がございましたが、ちなみに独露フォーラムを先般開催したわけでありますが、シュタインマイヤー外務大臣が、外務大臣自体が出席をしているということは申し添えておきたいと思います。その中におきまして、日韓米の首脳会談については当然私は開催されればいいと、このように思っております。