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2013

第183国会 衆議院 内閣委員会 2013年6月25日


DV防止法改正案、ストーカー規制法改正案 答弁

○平井委員長 これより会議を開きます。
参議院提出、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律の一部を改正する法律案及びストーカー行為等の規制等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
―――――――――――――
○平井委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中丸啓君。
○中丸委員 日本維新の会、中丸啓でございます。
恐らく今国会の最後の委員会質問になると思います。時間は十分と短いのでなるべく簡潔にお伝えさせていただこう、このように思います。
まず、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律の一部を改正する法律案について御質問をさせていただきます。
まず、本改正案の最大の目的は被害者の保護だと考えるんですけれども、過度のDVの加害者の多くは、単純に考えて、自分の欲求が満たされないことに対して、通常と違う、正常な判断ができなくなっている、できにくいというふうに考えることができると思うんですけれども、今回のこの保護命令で、どの程度、被害者の保護、一番本来の目的である被害者の保護に対する加害者への抑止効果が行われるとお考えでしょうか。お聞かせください。
○福山参議院議員 中丸委員にお答えを申し上げます。
委員の御指摘はまさにそのとおりでございまして、今回の法改正は、被害者の救済が第一の目的と言ってもいいというふうに思います。
御案内のように、これまでのDV防止法の保護命令の対象は、従来、配偶者に限定されていました。それが今回、いわゆる生活の本拠をともにしている場合の被害者についても対象を拡大できるということでございますので、長崎のストーカー殺人事件の経緯もございましたし、そういった点も考えれば、被害者救済の観点からは大きな一歩であり、被害者の保護に対しては前進をさせていただけるものと考えております。
○中丸委員 当然、配偶者だけに限らず、同居、もしくは、俗に言う一緒に暮らしている状態が常態化している中での、必要なことであると私も思います。
その中で、保護命令に、はいそうですかと素直に聞かない場合というのも当然想定されると思います。そうしたときの保護命令違反という罰則が今回科されていくと思うんですけれども、一年以下の懲役、百万円以下の罰金ということなんですけれども、さっきの抑止力の観点から、どういう過程で最終的にここに落ちついたのかというところを教えていただければと思います。
○福山参議院議員 少し丁寧に御説明をさせていただきます。
御案内のように、DV防止法案は、平成十三年に、参議院の共生社会に関する調査会から提出をされたものでございます。この立案に当たっては、与野党を超えて、調査会の中に女性に対する暴力に関するプロジェクトチームが設置をされまして、検討がなされたと承知をしております。
先生の御指摘のように、保護命令違反に対する制裁のあり方については、そもそも過料にとどめておくべきなのかとか、罰則とすべきなのかとか、多くの議論がこのときになされました。
保護命令は、御案内のように、被害者がその生命や身体に重大な危害を受けるおそれがある場合に発せられるものですので、裁判所の発した保護命令の実効性を担保しておこうという観点の中で、保護命令に違反した者に対して刑罰をもって臨むことが適当であるという形で、先ほど委員の御指摘の一年以下の懲役、百万円以下の罰金という設定になりました。
この設定においては、その前年に成立をしていましたストーカー規制法における禁止命令違反の制裁の程度などを全体として考慮した結果、この罰則規定になったというふうに承知をしております。
○中丸委員 罰則、それからその他所要の規定の整備を行われたりということをされていくと、保護という前提で行かれていると思うんですけれども、保護を的確に行って被害者を守るというのが一番の目的であって、規制をつくること自体が目的ではないと思うんです。
そういう中で、今後の運用面も含めて、こういった場合の被害者保護に対して何か具体案というのがもしあれば、お聞かせいただければと思います。
○福山参議院議員 お答え申し上げます。
今回、いわゆる生活本拠をともにする交際相手からの暴力の被害者に今回の対象を拡大することによりまして、現行の法令や運用によって行われております配偶者暴力相談センターによる相談、援助業務、それから婦人相談所による一時保護、教育啓発などの施策について、もともとはDV防止法を根拠に行われていたわけですが、そこの対象が広がったことにより、逆に被害者の保護がより一層具体的に推進されるものというふうに考えております。
○中丸委員 ありがとうございます。
それでは、もう一つの方のストーカー行為等の規制等に関する法律の一部を改正する法律案について御質問させていただきます。
この中に、今回、電子メールを対象にするという、従来のファクスとか電話だけではなくて、電子メールというところが出てくるんですけれども、この中で、「拒まれたにもかかわらず、」とか、「連続して、」という文言が入っていると思うんですが、これは当然、それを実施しようと思えば立証していかないといけないと思うんですけれども、連続して、拒まれたという、具体的にその立証基準があれば教えていただきたいと思います。
○岩瀬政府参考人 お答え申し上げます。
規制の要件についてのお尋ねでございますけれども、現行のストーカー規制法第二条一項五号においても、つきまとい等の類型の一つといたしまして、拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ、またはファクスを送信するということが規定されているところでございます。
ここで言います「拒まれたにもかかわらず、」につきましては、行為者が電話またはファクスをすることを相手方から拒否されているということを認識していることが必要というふうにされております。また、「連続して、」につきましては、一般的には、行為者が短時間の間に何度も電話をかける、またはファクシミリを送信するということをいうものでありますが、一日に一度電話をする行為等を何日も繰り返すということも含まれる、このようにされているところでございます。
今回の法改正によりまして新たに盛り込まれる電子メールを送信する行為、これも「拒まれたにもかかわらず、連続して、」という要件がついておりますけれども、これにつきましても電話やファクシミリの場合と同様に解するということが相当であるというふうに考えております。
○中丸委員 今の質問に関しまして追加でちょっとお伺いします。
その「拒まれた」というのを電子メールの場合はどういった形で、要は、拒否しているということを認識しないといけないわけですよね。拒否していることを認識させるために、被害者側の人が何かアクションを起こさないと拒まれたということを立証できないということになるんですか。
○岩瀬政府参考人 お答えいたします。
拒まれたということを立証する場合でありますけれども、具体的な方法として、現実に多く行われております、それは電話なりファクシミリという現状でございますけれども、事実上の警告を行うときに、警察官から行為者に対しまして被害者が拒んでいる旨を伝えるということで認識をさせるというようなことがよく行われているところでございます。
それから、そのほか、まさに先生御指摘ございましたように、被害者の方の方で、着信拒否にしておくとか、あるいは留守番電話の設定にするということで、拒まれているという意思が伝わるような措置をとっていただいていれば、それで立証できるということもございますし、さらには、上司あるいは親等、第三者に入ってもらって拒否の意思を伝えてもらう、こういうような方法があり得るというふうに考えております。
○中丸委員 わかりました。
そういったところも、今後、法案が成立していけば周知活動というのも必要となりますので、ぜひとも御配慮いただきたいというふうに思います。
時間がなくなってきましたので、もう一つ、先ほど福山参議院議員の方もお答えいただきました、婦人相談所その他の適切な施設とあるんですけれども、婦人相談所はわかるんですが、その他というと非常に幅が広いと思うんです。もう少し具体的に何かわかるものがあれば教えてください。
○福山参議院議員 お答え申し上げます。
いわゆる都道府県等が設置している男女共同参画センターとか、それから、各都道府県が実情に応じていろいろな形で相談の窓口をつくるようなことも想定をされておりますので、先ほど申し上げました、男女共同参画センターその他適切な場所がいろいろこれから工夫がなされるというふうに思っております。
―――――――――――――
○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
この間、ストーカーやDVをめぐっては、重大な事件が相次いで発生をし、対策が急務となっておりました。とりわけ、被害の実態と法的な規制の乖離が指摘をされ、法的な手当ても急がれておりましたが、今回の改正案は、ストーカーメールの規制、申し立て本人のイニシアチブの強化、DV法の保護命令の対策拡大など、そうした手当てを行ったものであります。
DV法、ストーカー規制法、両法の改正案をまとめられた提案者の皆さん、また勇気を持って発言をされてきた被害者や関係者の皆さんに、改めて我が党として敬意を表したいと思います。
現場では、ストーカーやDVなどの被害から被害者を守るために、民間シェルターなどを運営されてきた多くの皆さんが地道な努力を続けられております。被害の実態と法規制との乖離を把握し、手直しする上で、こうした方々の運動や発言は大きな役割を果たしたと思いますが、提案者に、まずその評価をお伺いしたいと思います。
○福山参議院議員 赤嶺委員にお答えをさせていただきます。
先生の御指摘はまさにそのとおりでございまして、ストーカーやDVについては、被害に遭われた方がなかなか表に出てこないという側面がございます。他方で、被害者を初めとした当事者の声をしっかりこちらも受けとめなければいけない。この間をつなぐものとして現場において被害者を支えてこられた支援組織や民間シェルターの方々の活動は、本当に役割として大きかったものと認識をしております。
いろいろな団体の方の国会での活動等については、超党派の議員の皆さんも参加をされて、その実態が把握されることになりました。実際に、今回の改正案の検討過程においても、支援団体の方々から、現場における切実な実態を踏まえた、さまざまな問題提起をいただいてまいりました。これらの現場の方々の御活動や問題提起があって初めて被害の実態を把握し、現行の法規制との乖離を認識することができたということもあったと思っております。
今後とも、こういった関係者や支援団体の方々の声を真摯に受けとめさせていただきながら、立法府としても継続的にこの課題については注視をしていきたいというふうに考えておりますし、関係者や被害者、そして支援団体の皆様のこれまでの御尽力に、心から私も感謝を申し上げたいと思っております。
―――――――――――――
○平井委員長 これより両案について討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
まず、参議院提出、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○平井委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に、参議院提出、ストーカー行為等の規制等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○平井委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

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