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2007

第168国会 参議院 決算委員会 2007年12月10日


肝炎問題、防衛省水増し問題、地球温暖化問題

○委員長(小川敏夫君) 関連質疑を許します。福山哲郎君。
○福山哲郎君 おはようございます。民主党・新緑風会・日本の福山哲郎でございます。
 本日は、各大臣におかれましては御苦労さまでございます。また、地元のことで恐縮ですが、若林農水大臣におかれましては、先日京都で卸売市場の八十周年の式典がありまして、京都までお越しいただきましてありがとうございます。市場関係者、大変喜んでおりました。
 時間が今日はありませんから、突然本題に入らせていただきます。
 十月の十六日、本院、参議院の予算委員会におきまして、四百十八名の肝炎の患者のリストを国が持ってそのときはいなかったという答弁だったんですが、持っていたことから端を発しまして、舛添厚労大臣も積極的にこの問題の解決に乗り出していただきました。また、福田総理も国の責任に言及をいただいて、実は和解も含めて大分前に進んでいます。このことに関しては心から敬意を表したいと思いますが、まだまだ詰めの段階が残っておりまして、そのことについて今日は質問をさせていただきたいと思います。
 まず一つ、済みません、どうしても決着をしていただかないと納得ができない問題があります。ちょっとパネルを出していただけますか。(資料提示)
 十月の十六日、私が、個々の四百十名のリストが国にあったはずだと、これは薬品会社、メーカーは名前も住所も持っていたはずだと言ったら、舛添大臣は、国としては、そのリストを特定、だれだれだという個人名を特定できる情報を持っていないのでと答弁されました。それから、個々の四百十八名というのがどなたであるかというのは確定できませんからと、実はこれは三度同じことを言われました。
 そして、実はこれ笑い話みたいな話でございますが、それから三日後、十月の十九日でございますが、厚労省の地下倉庫から実はマスキングなしの資料、マスキングというのは黒塗りです、つまり個人が特定できる情報を、実は倉庫にあったということが判明をいたしました。三日後です。何なんだ、これはと。薬害エイズのときも郡司ファイルというのが出てきたとか出てこないという話がありましたけれども、この体質たるや私はもうけしからぬと思っていまして、実はその後、調査を、これは舛添大臣頑張っていただいてやっていただいていますが、残念ながら四百十八名、国が何も告知をせずにほったらかした方々のうちのもう五十一名の方が亡くなられていました。
 これ、国会での答弁も含めて、大臣、お答えいただけますか。
○国務大臣(舛添要一君) 今御指摘のとおりで、この十月十六日の参議院の予算委員会の答弁の準備過程で担当官からそういう情報はないという報告を受けましたので、私はそれをこの国会の場でお答えいたしました。しかし、これは今委員御指摘のように、きちんと後から出てきたわけですから、本当にこれは大変申し訳ない。重ねてここで陳謝を申し上げたいと思います。
 そこで、二度とこういうことが起こらないように、その情報管理、私はその後申し上げましたけれども、文書管理についてそういうことが行われる、組織としての体を成していないと、これは徹底的に、これは問題であるということを申し上げました。そして、その文書管理をきちんとやらなかった責任者を処分すると、そういうことでございます。
 重ねて、十月十六日の参議院の予算委員会のこの私の答弁について深く陳謝を申し上げます。
○福山哲郎君 これ、国会の答弁だけの問題じゃないんですよ。過去五年間、裁判の間ずうっと国は、特定できる情報は持ってないんだ、持ってないんだと、確たる証拠はないからこの患者は救済の必要はないと主張し続けたんです。文書管理の問題じゃないんです。いいですか。
 これ、じゃ何で出てきたんですか。ああ、マスキングなしの資料があったかもしれないと思って、ある方が倉庫に行ったら出てきた。何ですか、これ。おかしいじゃない。これ意図的に隠ぺいしたと言われても仕方ないでしょう、大臣。違いますか。
○国務大臣(舛添要一君) 私が調査した限り、例えば五年前にこの件を調査したチームがだれであるか、どういうメンバーから成っているかということすら記録が残っていない。これは組織として論外でありますから、こういうことをきちんと立て直す。
 そういう中で、今の具体的な状況について申し上げますと、この議論をしているときにたまたま末席にいた職員が若干かかわってきたことがあって、その記憶をたどると、たしかどこかにあったはずだということで探してみたら出てきたという誠にお粗末なことでございますから、二度とこういうことが起こらないようにきちんと体制を整えたいと思っております。
○福山哲郎君 この話も実は隠ぺいなんですよ。だって、末席にいた人間がたまたまあったかもしれないと思って出てきたと。だって、その後の我々のヒアリングのときに厚労省は何と言いました。複数の人間がそのことの存在について知っていたと言っていますよ。
 更に言えば、情報公開請求があって裁判が始まったときには、そのマスキングなしの資料を知っていた人間がいたというのが正に厚労省のこの間出た報告書に書いてあるじゃないですか。裁判が始まるときにマスキングなしの資料が含まれているということを知っていた人間がいると書いてあるのに、裁判の最中ずうっとその情報を持っていないと強弁をし続けたんです。そして、国会の答弁でも確定できないと言い続けた。これ大変な問題じゃないですか。
○国務大臣(舛添要一君) そういうような体質そのものをきちんと改める。そして、その調査の結果、ヒアリングをやる。そういう人間がいて、先ほど申し上げましたように、五年前の調査したメンバーすら分からないというのは組織の体を成していない。しかし、これをきちんと五年前の状況を再現して、じゃ、なぜ例えば知っている人間がそこできちんと告知をしなかったのか。
 私が常に申し上げているのは、五年前の状況を再現したいと、その過程において、きちんとこれは今後二度とそういうことが起こらないような体制を整えたいということで今努力をしている最中でございます。
○福山哲郎君 病気は進行しています。裁判も起こっていたんです。それなのに、厚労省の職員はだれもこの資料の存在を進言もせずに、裁判ではないと言い続けた。やっとこれ、その後報告書が出てきました。次のパネルを見てください。(資料提示)
 厚労大臣は、当時の状況を再現する、一九八七年以降の対応も早急に洗い出す、刑事告発も含めてきちんと対応する、当初の威勢は大変良かった。しかしながら、結果、何だったか。国の責任は認めず、追加調査はもう要らない、告知義務はなかった、文書管理を怠った責任だけで全く、二人だけ処分されましたけれども、下から二番目の注意でしたが、これが結果ですよ、大臣。
 あなた、刑事告発も含めてきちんと対応すると言ったんですよ。そうしたら、いきなり、出てきたら、国は責任ありませんでした、あるのは文書管理のみでしたと。どういうことですか。
○国務大臣(舛添要一君) きちんと状況を再現する、それからその背景についても調べる、そして、法的責任があるとすれば、それは刑事告発も含めてきちんとやると、これは今も全く変わっておりません。そして、例えば、そのときのヒアリングをやり、しかもこれは外部の弁護士も入れる、それから西川副大臣をヘッドとし、政務官にも入ってもらう、つまり我々の同僚である政治家がそこに加わる、外部の弁護士も加わる、そういう形で議論をしてもらったところであります。
 そして、その上で、例えば副作用報告書というのが医療機関、お医者さんからメーカーに上がってくる。これはきちんと上げてもらわないと、ある薬にどれだけ副作用があるか、これを調べないといけない。そのときに、そこはマスキングというかイニシアルで、実名で書かないことになっている。それで、そのときの、五年前の厚生労働省の認識としては、当然医療機関が、ないしお医者さんが副作用報告を上げる以上は患者さんにお知らせしているはずだという、そういう認識で行われていたということでありまして、それで、外部の弁護士の先生方にも、これは法的責任はどうだと、いろんな法律を検討していただきましたけれども、法的責任を問うことはできないということでありました。
 しかし、私は、やはり命にかかわること、それでこの今のような状況があるにしても、患者さんの立場に立って何とかできないかと、こういうことをきちんとやらなかったことは厳に反省すべきであり、そこが問題であるという指摘を私は今もしております。
○福山哲郎君 医者が告知をしたはずだという認識だったから告知はしなかったと、薬事法上もそこまでは国に求めていないと、それが国の今の立場ですよね。この報告書にもそう書いてあります。薬事法は、いいですか、第一条の目的規定からしても患者の救済を図ろうとするものではないことは明らかであるから、よくこんなの報告書に書きましたね、これ、大臣。薬事法が患者の救済を目的としないんだったら何を目的とするんですか。よくこんな報告書認めましたね。これは書いてあるんです、明らかに。患者の救済を図ろうとするものではないことは明らかであると。本当に明らかですか、大臣。いいですか。──いいです、いいです。
 大臣、実は薬害エイズの問題があって、九七年、反省から、厚労省は厚生労働省健康危機管理基本指針というのを作っている。医薬品等健康危機管理実施要綱というのを作っている。これ、役人から聞きましたか、報告。多分聞いていないでしょう。こういうものを多分厚労省は伝えていないんだ、大臣に。
 お手元に抜粋をお配りしました。定義、大臣に読んでもらいましょうか。厚労大臣、読んでください。第一節の一項、大臣、読んでみてください。
○国務大臣(舛添要一君) 第一節定義、一項、この指針において健康危機管理とは、医薬品、食中毒、感染症、飲料水その他何らかの原因により生じる国民の生命、健康の安全を脅かす事態に対して行われる健康被害の発生予防、拡大防止、治療等に関する業務であって、厚生労働省の所管に属するものをいう。以上でございます。
○福山哲郎君 第五節も。
○国務大臣(舛添要一君) 第五節の二でいいですね。
○福山哲郎君 はい。
○国務大臣(舛添要一君) 健康危機管理担当部局は、健康危機管理に係る国内外の情報について、適宜、報道機関、政府広報、高度情報通信等を通じて広く国民に提供するとともに、医療関係団体等を通じて関係者への提供を図るものとする。以上です。
○福山哲郎君 どこに患者の救済を目的としないと薬事法に書いてあるんですか。
 これ、厚労省が作ったんですよ。健康の安全を脅かす事態に対しては、健康被害の発生予防、拡大防止、治療等に関する業務だと書いてあるんです。健康危険情報の提供は、いいですか、広く国民に提供するとともに、医療関係団体等を通じて関係者への提供を図るものとすると書いてあります。先ほどの大臣の答弁は、医師がやっていたはずだから何にもしないでいいとおっしゃったんですよ。百歩譲って、医師が告知をするものだとしたら、医療機関に対して提供を図らなきゃいけないんじゃないですか、厚労省は。
 更に言えば、この基本指針の下に実施要領があります。この実施要領の目的は、健康被害の発生を未然に防止し、及び発生した健康被害の拡大を防止することを目的としてと書いてあります。その下、医薬品等における危機管理の基本的心得のところでございます。二行目、健康被害の発生、拡大を防止するため、常に総合的な安全対策の立案、実施に努めるものとする。二、因果関係が不明である場合又は入手した安全性情報が不確実なため健康被害の発生のおそれの有無が直ちに判断できない場合には、常に、次です、最悪の事態を想定して、安全対策の立案、実施に努めるものとする。
 そして、一番問題なのは、この実施要領の目的でございます。この実施要領は、厚生労働省健康危機管理基本指針に基づき、いいですか、薬事法に規定する厚生労働大臣の権限及びこれに関連する必要な行政措置に関する事務を的確、かつ迅速に行うことによりと書いてあるんです。どこに薬事法に患者を救済する必要がないと書いてあるんですか。これ全部薬事法を基に作っているんじゃないですか、大臣。
○国務大臣(舛添要一君) この薬事法に限らず、厚生労働省の仕事は国民の生命を守る、それが大基本であります。そういう中で、いろんな薬害の問題が起こってきたにもかかわらず、さらに今回また、フィブリノゲンというこの薬剤についてまた薬害を起こした、そういうことは広くこれは反省をしなければいけない。
 そして、こういう指針がきちんとある。そのときに、ただ先ほど申し上げましたように、例えば副作用報告書、こういうものをどういうふうに活用するのか、この件について少し早急に私は議論をまとめたいと思っていますのは、せっかく副作用報告書が上がってきた、しかし先ほどの五年前の認識のときに、それは当然お医者さんが患者さんにお伝えしているはずだというふうな認識であったにもかかわらず、あったんですけれども、現実に知らないと、一度も聞いていない、ただあなたは肝炎だと言われただけである、したがって原因が分からないで、もう非常に周りの人から白い目で見られたと、いろんなことを原告の皆様方からもお伺いをしております。
 したがって、例えば、これをせっかくお医者さんが副作用報告書を、これはメーカーに出すわけですけれども、これを何とか今のような形で告知できないか。それは正に今委員が御指摘したこのラインに沿うわけでございますが、他方、なぜそこに実名を書くなということを書いてあるかというと、この副作用報告書ですけれども、それは、そのことによってお医者さんが副作用報告を上げることをためらうと、そういうような状況があることも確かであって、それは今後の薬害対策の基本ですから、そういうことがあってはいけない。
 したがって、この副作用報告書というもの、これは一例でございますけれども、これを何とか患者さんの命を守っていくためにどう活用するか、こういうことに具体的に手を打ちたいというふうに私は今考えていろいろ検討を進めているところでございます。
○福山哲郎君 舛添大臣は頭のいい大臣ですから、今副作用報告書の将来の課題について述べられました。私が言っているのは、二〇〇二年のときにこの実施要領に基づいて何もしなかったことの責任はないのかと問うている。今はその話を問うているのに、何で今、副作用報告書の将来の活用について、そうやって逃げの答弁をされるのか。おかしいじゃないですか。
 それじゃ、この報告書の、今書いてあった、薬事法は救済を図ろうとするものではないということが明らかだということは、これ大臣、否定されるんですね。それでいいんですね。
○国務大臣(舛添要一君) 一般的な肝炎対策については、これはきちんと今のこの指針の観点から話しております。しかし、例えばクリスマシンについて個々にやりながら、今委員の御指摘にあるようなフィブリノゲンについてそこまできちんとやらなかった。
 そうすると、これはなぜかと。それはもう数が多いからだと、そういう答えしか返ってきませんので、そういうことではなくて、やはり国民の生命ということをきちんと考えてやるべきであったというように、したがって患者さんの視線で物を考える点が欠けていたと、こういうことを先ほど来申し上げているわけでございます。
○福山哲郎君 それは責任があるということですよね、大臣。告知はしなければいけなかったと今おっしゃったんですよね。
 もっと言います。クリスマシンの方は告知されているんです。四百十八名、手元に来たものに対してほったらかしたことに対しては不作為責任があるということを認められているのに、ここには認めないと書いてある。どういうことなんです、これは。全く矛盾しているんですね、総理。
 これ、この報告書と今の大臣の答弁はずれているんです。私は、この報告書で役人の責任を問うことが実は委員会の趣旨ではありません。要は患者をどう救うかが趣旨ですから、余りこのことに時間を取られるのは嫌なんですが、こういう実施要綱が実態あるにもかかわらず、この報告書では薬事法上責任がないと言い切って逃れようとしているという事実だけは、総理、御存じいただきたい。これがまず第一段階です。
 二つ目。実は今和解の協議が大詰めを迎えています。七日に和解勧告があるはずが十三日に延期になりました。実は今国が言っている和解の条件は、東京地裁の救済範囲で救済をするという議論を国は和解の場でしています。(資料提示)これはお手元、数字が小さいから見にくいと思いますが、青に色が塗られているのが実はその東京地裁の中で救済の範囲の方です。黒に塗られている方が、残念ながら今の国の和解案では救済をされません。なぜこの薬害について救済される方と救済されない方と二つに分かれなければいけないのか。これが今大変な問題になっています。
 実は、四百十八名のリストがこの間出てきました。十一月の六日ですよ。十月の十六日に私が質問して十一月の六日、この四百十八名のリストが特定できるような状況になって、十一月の六日に病院から、あなたは、肝炎は実はこの原因ですよと言われた加地さんという方がいらっしゃいます。この方がやっと自分は、ああ、こういう原因で肝炎になったんだと、今実は肝硬変の手前で本当に厳しい症状ですが、この方が実名を出して今回提訴をされました。この方は残念ながらこの黒塗りの部分に当たります。四百十八名ちゃんと告知をされていれば、ひょっとしたらもっと早く治療が受けられたのかもしれないのに、つい一月前にしか彼女は知られなかったと。
 この方は、次の表を見てください。(資料提示)これ、総理、すごく重要な問題なので見てください。フィブリノゲン製剤をめぐる時系列という表をお手元にお配りをいたしました。実は加地さんがフィブリノゲン投与されたのは、ごらんいただいているように一九九一年の三月、下でございます。実は、加地さんが投与されたフィブリノゲン製剤のF023HTというのは、八八年の十月に製造されています。これがいわゆる三年後に加地さんに投与された。これは実は肝炎発生の報告のあるロット番号の付いている製剤でした。これは製薬会社も国も、回収する必要があったにもかかわらず回収をしないで三年後加地さんに投与されました。そして、更に言えば、スクリーニングが始まって、もう安全性情報が流れてスクリーニングが始まった後、九一年一月、まだメーカーはスクリーニングをしないで製造を続けたF024HTというのを製造してこれも投与をし続けました。
 次のこのペーパーを見てください。前回もお見せした四百十八名のリストの一部でございますが、星マークの付いている389Aというのが今申し上げた加地さんです。見ていただいたらお分かりのように、ロット番号023HTと書いてあります。見ていただきますと、023HTって何人もいらっしゃいます。そして、さっき言った製薬会社がスクリーニングをしないで製造を続けた024HTという方も四角に囲んでいらっしゃいます。この方々が東京地裁の範囲だと全部外れるんです。なぜかというと、東京地裁の範囲は、もう一回表出していただけますか。(資料提示)最初に出た判決のときの東京地裁の範囲は、東京地裁のこのこちら側の黒よりも向こう側の方しか原告団がいなかったからです。原告団がいないので、当然地裁の判決の範囲はそこまでに区切られました。
 しかし、新たに四百十八名のリストが出てきて、現実問題として、今申し上げたようにスクリーニングをしなければいけないのに回収命令もしない、回収もしなかった、スクリーニングもしなかった製剤が世の中に出て投与をされました。そして、発症した人が今やっと告知をされて提訴を、十一月の六日に病院に言われて提訴をしています。今、このままの国のスタンスの和解の状況ならば、この人たちが救われません。四百十八名のうち今何人いるかというと、二十九名いらっしゃいます。これ、総理、こんなふうに救済を区別をすることが合理的な判断でしょうか。先ほど大臣が言われた不作為責任、告知をしなかったことも含めて。
 もう一個だけ余計なことを言わしてください。実は二年後、厚労省は医療機関を広報して告知しているかどうかの調査を全部しました。これは二分冊あります。これを全部見たらほとんど告知してないんです、医者が。二年後、百歩譲って二年後、あっ、お医者さんは何にも告知していないんだと厚労省は分かっていたんです。さっき厚労大臣はおっしゃられましたけど、告知をしているものだと思っていたと。冗談じゃない、二年後のこの調査報告書を見たらみんな告知してないと出ているんだ。それでもほったらかした。
 総理、ここは、舛添大臣は頑張っていただきました。勢いは良かった。しかし、だんだんだんだん厚生労働省に押されてしりすぼみになっていった。この報告書もさっき言ったとおりです。これは十三日に和解の勧告が地裁から出ると言われています。これはもう政治決断しかないんです。本当にこれを、この患者さんを区別をして国は救済をしないという立場を取られるのか。福田総理が内閣の責任者として、国の責任者として、この状況の中で一律救済をするべきだと。
 一律救済すると被害者が際限なく広がると恐らく厚労省は説明していると思います。残念ながら、実はカルテが一九九〇年代のことですから残ってないんです。これ、原告になるにはやっぱり立証責任が要るんです。残念ながら、今これ多分テレビを見ながらでも、私もあのときそうだったかもしれないといいながら病院へ行ってもカルテが残ってない方がほとんどなんです。だからこそ幅広い医療費の救済が必要だということで我々は法案を出したし、そして自民党さんもそれに乗ってくれて今日から協議が始まります。それは必要です。しかし、これだけ明らかに立証責任ができた、そして四百十八名の中でも、国が告知をしてもらわなかったリストの中にも出てきた患者さんに関しては、そんなに際限なく広がるわけではありません。
 一律救済をするというのが国としての、総理、責任ではないでしょうか。是非、総理の政治決断をこの場でお願いをしたいと思います。
○内閣総理大臣(福田康夫君) 今までの委員とそれから厚生労働大臣のやり取り伺っておりまして、確かにいろいろ問題あったと思います。特に厚生労働省というのは命を預かる役所であるということでありますから、その自覚を持って事に当たっていなければいけないというのは当然のことでございまして、そういうことについて問題があったんじゃないかなというような感じがいたします。
 しかし、今御指摘のことにつきまして大阪高裁でもって裁判を行っておるわけでございます。これまでに和解の協議が進められてきておりまして、厚生労働大臣もこの間随分丁寧に応対してこられたと思いますよ。そして、苦労して今この問題処理に当たっているというように理解しておりますけれども、もうじき、今週和解案が提示されるというように伺っておりますので、私としては、この和解案が出て、そしてその段階において、これはもう厚生労働省だけの問題では済みませんので、関係省庁と協議して迅速に対応策を出したいと、このように考えておるところでございます。
○福山哲郎君 総理、申し訳ないけど、失望しました。そんな役人答弁は要りません。もう事ここに及んでいます。
 法務大臣、これは一律救済ですよね。私は、法務大臣はいろいろ今世間をにぎわしておられますが、非常に優しい方だと思っています。チョウチョウの収集もされ、環境問題も一生懸命やられ、私は法務大臣とは長いお付き合いですので優しい方だということも分かっておりますが、この問題は際限なく広がらないのは法務大臣もよくお分かりいただいている、一律救済も排除しない、選択肢として、法務大臣、お答えください。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 私は、優しい気持ちを持っている人間だと自分で思っておりますけれども、しかしながら、これ個別具体の案件、事件でございまして、いろいろ感想を持つことはありますが、法務大臣というものは国が裁判するときには、この肝炎訴訟も一応私が国の代表格という形で扱われるわけでございまして、大阪高裁が和解案を今用意しているんだろうと思いますが、そうした事柄について私の立場で論評することは、実は今は差し控えなければならないんです。申し訳ありません。
○福山哲郎君 これが福田内閣ですわ。いいですか、だれも判断しないんだ。
 いいですか、僕は、申し上げたように、法務大臣のおっしゃることも福田総理のおっしゃることも分かる。しかしながら、今排除されようとしている人たちは東京地裁の判決のときには原告団にいなかった。なぜいないか。国が告知していないからなんです。いないんだから、判決の中ではそこから先の判決は出ないんですよ、原告にいないんだから。それを東京地裁の判決の基準だと言ったら、この人たちは排除されるわけじゃないですか。それは理屈としておかしいでしょうと。そうなったら政治判断しかないじゃないですか。そして、際限なく広がると言っているんじゃない、私が言ったように。カルテはもうほとんど残っていない、残念ながら。
 だから、総理、舛添大臣はこう言っています。国の責任を述べた福田首相の命に従えない役人は直ちに辞表を出してほしい。つまり、舛添大臣の権限ではもう限界があるんだ、舛添大臣がそれを一番よく分かっている。だから、こんな報告書しか出てこない。だから、舛添大臣はメッセージとして福田総理の政治決断しかないとおっしゃっている。そして、総理に来たら、総理が今みたいな答弁だったら、患者の方救われないじゃないですか。
 総理、一律救済も排除しないと、それは選択肢の一つだで結構です。別にやると言われなくても結構。一律救済は排除しないと、選択肢の一つだとは思うとお述べいただけませんか。
○内閣総理大臣(福田康夫君) 私もこの訴訟について詳細承知しているわけじゃないんです。ですから、政治判断を今しろというのは、これはちょっと無理なんですね。もしそういうことであるならば、であるならば、私も政治判断ができるような状況をよく調査した上で、そして私の考えとしてやらせていただきたいというふうに思います。
○福山哲郎君 ごめんなさい、大変総理には失礼ですが、これだけの問題になっているものを委細、詳細を総理が知らない、そして判断できない、これから調査をするとおっしゃるんだったら、私、この委員会これ以上質疑続けられません。そんなばかな話ないでしょう。
○国務大臣(舛添要一君) ちょっと事実関係御説明をさせていただきます。
○福山哲郎君 そんなのもう要らない。そんなこと聞いていない。聞いていない。
○国務大臣(舛添要一君) いや、五つの判決が今出ております。東京地裁だけの判決が判決ではありません。例えば、名古屋地裁はもっと幅広く国の責任やメーカーの責任を認めています。仙台地裁に至っては国の責任ないと言っている。しかし、この五つの司法のこの御決定というものは念頭に置いて行動しないといけない。そういう中で今大阪高裁が何とかいい和解案をまとめようとしてくださっているところであります。
 我々はもとより、私は既に申し上げましたように、これは薬害である、きちんと責任を認め償うべきは償わないといけない、二度とこういうことを起こしてはいけない。それで、今委員もおっしゃったように、総合的な肝炎対策含めてきちんとやります、訴訟についてもこれは全面解決を目指します、そしてできるだけ広くこの患者の方々を御支援申し上げる、そういう立場で私は今精力的に大阪高裁に対して国の考え方を述べ、そしてまた原告の皆さん方もそれぞれのお考えを述べておるところでございまして、何とか今週この和解案がいい形で出ることを、そのために努力は続けておりますが、大阪高裁の裁判長から、そのプロセスについて一切公表するな、言明してはいけないという厳しい命を受けておりますので、どうかそこのところは御承知いただきたいというふうに思います。
 そして、私も基本的なところは総理に御説明申し上げておりますし、その大阪高裁の判決が……
○福山哲郎君 委細知らないとおっしゃっているんですよ。
○国務大臣(舛添要一君) いやいや、基本的な……
○福山哲郎君 知らないとおっしゃっているんですよ。
○国務大臣(舛添要一君) いやいや、そうではなく、基本的なところはちゃんと御説明申し上げておりますし、私がそのために厚生労働大臣でいて、詳細なところは私がやることが仕事ですから、全力を挙げてやっております。そして、その大阪高裁の判決が十三日に出るということでございますので、それまでも努力を続ける。そして、それが出た上で、これは私だけではなく総理と御相談して、国としてどういう立場を取るのか、それをきちんとやりたい。しかし、そこは広く御支援申し上げて助けるべきである。
 そして、私がもう一つ付け加えるならば、私どもが総理の御指示の下に決断することについて、国民の皆様から広く支持を受けられないようなそういう決断は私は下すべきではないと、そういうふうに考えております。
○福山哲郎君 今のは排除しないとお答えいただいたということでいいですね、大臣、いいですね。一律救済は排除しないと、そのことも選択肢の一つだと厚労大臣がおっしゃられたということでいいですね。
○国務大臣(舛添要一君) まずは、十三日に出されるであろう大阪高裁の和解案、これを待ちたいと思います。そして、その上であらゆる可能性について総理と御相談を申し上げながら、つまり原告がいて、原告の方々が主張される、被告側も主張される。どういう形でいいかはこれは大阪高裁のリーダーシップですから、その上であらゆる可能性について総理の御指示を仰ぎながら決断を下したい、そういうことでございます。
○福山哲郎君 あらゆる可能性ともう御表明いただいたので、私はそう受け止めたいと思います。
 総理はハンセン病のときに小泉内閣の官房長官をやられて決断をされた官房長官です。私らみたいな野党の議員の質問のときにその答えをしにくいのもよく分かります。政治決断をしていただきたいと私は思っています。別に十三日の前、どこの時点でも結構です。やはり一律救済をしたいんだと、今大きくうなずいていただければもうそれで十分でございますが、要はこの場で表明、まあ野党の議員につつかれて表明するのもなかなかあれでしょうから、それは結構でございますが、ただ、一つだけお願いをしたいと思います。
 和解協議、今の状況ですと原告団の方は拒否だとおっしゃっています。それはなぜか。余り大きな声で言っちゃいけないのかもしれませんが、一人一人の例えば補償が少なくなっても、みんなで闘ってきて、みんなで薬害で苦しんできたから、部分だけで助けられるようなのはのめないと皆さんおっしゃっています。そのことの思いを、どうぞ舛添大臣も福田総理もしっかりと受け止めていただいて決断をいただきたい。これ、和解が決裂すると判決まで行きます。そうすると、新しい提訴者が出てきていますから、もう一回裁判が長引くんです。いつも申し上げているように、肝硬変、肝がん手前の方がたくさんいらっしゃる、その状況で一日、一刻を争う、そのことも含めて、国は一律救済を排除しないという立場でこの問題については対処いただきたい。
 総理、先ほどの、委細、詳細は知らない、それはちょっと勘弁していただいて、ちょっと撤回していただいて、前向きな答弁をいただきたいと思います。
○内閣総理大臣(福田康夫君) 私も、今この場で政治判断をすぐしなさいと、こういうふうに言われるから、それは、であるならば、改めてそういう判断ができるようなことは承知していなきゃいかぬでしょう。そんないい加減なことを私はしたいと思っておりません、無責任なことはできないということでありまして、そのように答弁しましたけれども。
 これは十三日に和解勧告出るわけですね。ですから、先ほど舛添大臣も答弁したとおり、それを見て直ちに舛添大臣、関係大臣と相談をし、協議をして、そして、何しろ早く処理をするということが大事なんでしょう、この措置をするということが大事なんですから、そのことに専心したいと思っております。
○福山哲郎君 総理は十分御理解をいただいていると私は判断をして、次の質問に移りたいと思います。どうかよろしくお願い申し上げます。
 防衛省の水増し請求の問題がいろいろ出てきています。石破大臣、今日、額賀大臣もいらっしゃいますが、額賀大臣が平成十年に水増し請求の問題でお辞めになられました。大変な事件になって、参議院で問責が可決をされて大臣がお辞めになったという事件でございますが、それ以降ですけれども、防衛省の中で水増し請求の事案が何件あって、総額が幾らかお答えください。
○国務大臣(石破茂君) 額賀財務大臣が防衛庁長官をお辞めになりました平成十年十一月以降これまでの間に過大請求事案は十二件発覚をいたしております。これらの事案のうちで今回の山田洋行の件を含みます二件は調査中で過払い額は確定をしておりませんが、それ以外の十件に関しましては、違約金三十七億円を除きました損害賠償金額五百九十七億円となっております。これら十二件のうち半数は防衛庁の調査により判明をしたものでございます。
○福山哲郎君 これ、国民の皆さん、見てください。(資料提示)今、山田洋行と実は富士インダストリーズというところが問題になっているんですが、額賀大臣がお辞めになられた平成十年から以降も総額五百九十七億円の水増し請求が行われて、延々とこれ続いているんです。これ、笑い話みたいな話なんですけれども、額賀大臣がお辞めになっている最中もやっているんですよ。額賀大臣がお辞めになったのが平成十年十一月。それを反省して調達改革の具体的措置というのが平成十一年四月。これを見ていただきますと、過払い額返還対象期間と、正に大臣がお辞めになっている瞬間、そして調達の具体的措置が行われている瞬間にもずっと水増しやっているんです。
 石破大臣、恐縮ですが、石破大臣の前任のとき、前にやられたとき、平成十四年九月から平成十五年十一月、実は平成十四年から十五年の十一月まで大臣がやられている最中も、この表における四つ、下から四つです、富士と、以外のこの四つ、これ実は大臣の就任中に水増し請求をやられているんです。
 実は、これ山田洋行が問題になっているんですけど、防衛省における水増し請求は全然普通のこと、ましてや額賀大臣がお辞めになられた時期を挟んでまでやっている。これは防衛省として、横行している、当たり前になっている、反省していない、こんなばかな話はないと思いますが、大臣、どうお考えですか。
○国務大臣(石破茂君) どうすれば抑止効果が出るかということで、委員も倍返しという制度を入れたということは御案内のとおりです。そしてまた、停止期間についても違約金がきちんと払われるまでということですから、通常の公共事業よりもはるかに長い期間停止をしております。
 しかしながら、ばれなきゃいいんだというのがまだある。だとするならば、一体どうしてこれをきちんと見るかということで、これは累次私も答弁をしておりますが、例えば今度のチャフ・フレア・ディスペンサーにしても、この金額はおかしくないかということがきちんと見抜けると、当たり前の話ですが、そうでなければならぬだろう。それから、先ほどの御質問の、先ほどの前の質問者のお話で、私がお恥ずかしいことながらこの見積書は本当ですかというふうに確認せざるを得ないというふうに申し上げました。本来の商売でこの見積書本当ですかといって聞かなきゃいけないこと自体信じられないような話なんだけれども、そこまでやらなきゃ駄目なんだということになってしまったんだというふうに思っております。
 ですから、これは本当に適正な金額であるのか、水増しじゃないのかということが見抜けるだけの能力と見抜けるだけの人員をそういうところに投入していかないと、ある種、一種性悪説的に物事を考えていかなければ仕方がないということだと思います。
○福山哲郎君 これ今、石破大臣が違約金は倍返しにするという話をされました。私も実はそう防衛省から聞いていたんです。ところが、これ見てください。下から四つ、違約金制度ができてからですが、百二十三億円水増し請求していたところが違約金十七億、二十七・五億のところが八・一億、二百三十一億円のところは十一億、二十四億円水増ししていたところが〇・七億です。全然倍返しじゃないんですよ、大臣。
 それで、もう一個言います。これ取引停止期間があっても、特殊な企業群ですからまあしようがないとはいいながら、取引停止が終わったらすぐに戻るんです。で、違約金と返還は何を返還するかというと、水増しした分だけですよ。分かります。つまり、最初の収益のもうかった分は全然返さないでいいんです。水増ししておかしいことをやった分だけ返して、なおかつ違約金はこの程度。大体平均すると多分二、三%から五%。この程度の違約金なら、取引停止期間じっとしていて、新たに防衛省ともう一回商売し出したらすぐにこんなの回収できますよ。痛くもかゆくもない、こんなのは。もっと言えば、違約金を取ったのは最近で、その前までは、ずっと水増しした分をごめんなさいと返したらそれで許されたんです。これはやり得、ばれなければオーケー。
 そして、さっき大臣おっしゃったように、これ、何でばれたか、何で分かったか。半分が防衛省の調査、半分は全部マスコミや内部告発なんです。本当に自浄作用がない。自浄作用がない。要は、この状況で額賀大臣、額賀大臣、自らの出処進退に懸かった水増しの後、ずっとこれが行われていたということを大臣、どう思われます。
○国務大臣(額賀福志郎君) 九八年でしたね。当時、調達本部の事件が起こりまして過大請求案件があったんだけれども、私もこれはしっかりと調査をさせたんです。しかし、そのときやっぱり証拠隠滅といって書類を燃やしたり隠したりとかそういうことがあって、防衛省としては調達実施の機構を全部解体をして、それから、発注する側とそれから装備の積算根拠をするものを分離させてチェック体制をきちっとした上で機構を改革したりしたんですけれども、昨年の施設庁事件と併せてこういう体質が改善されていないということについては大きなショックを受けておりますし、国民の皆さん方にどう説明していいのか、本当に分からないぐらい。
 これは、今政府でそういう機構とかチェック体制だとか透明性をめぐって新しい体制を考えておられるということでありますから、しっかりと新しい省にふさわしい、政策官庁としてふさわしい、そういう体制をつくり直していってもらいたいというふうに思います。
○福山哲郎君 いや、もう証拠隠滅の話が大臣から出てびっくりしたんですが。要は、さっきの厚労大臣、倉庫に隠れていた資料と同じじゃないですか、体質は、防衛省も。
 石破大臣、これ、どうしたらいいんですか、これ。どうぞ。短めに。大臣、短めにしてください。
○国務大臣(石破茂君) 自浄作用というお話がありました。
 で、いいですか。結局のところ商社が水増しをした、それが見抜けなかったということで、つまり何が一番悪いのかといえば、それは、過大請求をし水増しをし、ちゃんとしたまともな商売をしなかったところが一番悪いに決まっているんです、それは。
 だとするならば、当省として、それがきちんと見抜けるだけの能力、人員、本当はそれも国民の税金でやることなんですよね。それは委員も御案内かもしれませんが、このチャフ・フレア・ディスペンサーの事案を見ていて、本当にアメリカの契約制度がどうなっているか、法制度がどうなっているか。向こうも向こうで弁護士を出してきて、損害賠償請求するぞと脅かしてくるわけですね。だとするならば、こっちが同じだけの装備品に対する知識、契約に対する知識、交渉術、装備に対する認識、それも全部国民の税金を使ってやっていかねばならぬ。つまり、商社に今までそれをお願いしてきた。商社がきちんとした商売をする、民間企業でもそうでしょう。そう思ってきたのは全部やめ、当省として、全部その能力も人も国民の税金を使ってやる。
 ですから、性悪説に立たなきゃ駄目なんだというお話がありました。しかし、日本の行政はすべて性悪説にのっとってやるべきものかといえば、必ずしもそうでもないかもしれない。しかし、このようなことになってくれば、そういうことも検討せざるを得ないということだと私は思います。
○福山哲郎君 今話題になっている、じゃ富士インダストリーズ、行きます。
 富士インダストリーズが水増し請求していたのは、平成十四年以降五年間の間で、件数は何件で、一体どのぐらいの総額があったか、大臣お答えいただけますか。短めにお願いします。
○国務大臣(石破茂君) 御指摘の平成十四年から十八年度におけます防衛省と富士インダストリーズの間の契約は三百三十七件、契約総額八億円でございます。
○福山哲郎君 五年間で三百三十八件、五年間で三百三十八件水増しが行われているというのは、これもう常にやられているということですからね。これが富士インダストリーズの実態です。
 では、もう一件行きます。
 問題の山田洋行でございますが、山田洋行の契約が何件あって、そのうち今判明しているだけで水増し請求は何件ありましたか。
○国務大臣(石破茂君) 平成十四年度から十八年度の間、防衛省と山田洋行の契約件数は、中央調達で百十七件、地方調達で五百五十件でございます。今遡及できます限りすべての契約を対象に全件徹底的な調査を行っているところでございますが、中央調達分につきましては、十九年度に、本年度ですね、契約したものも含め、契約時に山田洋行から防衛省に対し外国メーカーの見積書の写しが提出されていた全件、つまり百二十三件中百十六件ですが、につきまして、十一月二十七日までに外国メーカー二十九社に対しまして当該見積りの写しを送付し、その真正性を確認をいたしているところでございます。
 現在、八社三十九件について回答がございました。既に過大請求事案として公表した二件のほかに五件についてそのような疑いがあるというふうに考えております。そのほかの件も含めまして、現在真正性を確認をいたしておるところでございます。現在、そういう進捗状況であります。
○福山哲郎君 今話が出た中で、この間ドイツのメーカーが、三十一件、取引について山田洋行からの見積りが怪しいということになりましたが、この三十一件はまだ含まれていませんね、今の数に、大臣。短めにね、短めに。
○政府参考人(小川秀樹君) お答え申し上げます。
 御指摘のドイツメーカーの件でございますけれども、これも全数調査の中で調査をしておるところでございます。契約件数は、十三年度から十九年度までで三十五件関連の契約があるわけでございますけれども、そのうちで、現在のところ十三年度分の契約四件について過大請求が行われた可能性が高いと考えておりまして、最終的な確認を急いでおるところでございます。
○福山哲郎君 今の数を聞いていただいてもお分かりのように、要は、山田洋行はそれぞれ部分的にいろんなところで水増し請求をしていたということは明らかだと思いますので、そのことの詳細は追って防衛省は報告をしていただきたいと思いますが、問題はチャフ・フレアの問題でございます。
 次、ちょっと見てください。(資料提示)チャフ・フレアのヘリの問題でございますが、これ見ていただきますと分かりますが、実は相手の会社が山田洋行が危ないと、見積りをおかしくしているというのを実は防衛省の職員がメーカーに問い合わせをしました。メーカーから山田洋行はおかしいという書簡が届いたのが二〇〇二年の二月の五日でございます。山田洋行を通じて、メーカーから山田洋行の作為的水増しは違うんだということの書簡が届いたのが三月二十日でございます。この書簡が、実は今防衛省は偽造だという議論をされています。
 そして、その後、旧防衛庁のロサンゼルス駐在員から、メーカーが謝罪したとの報告書が本省に提出されます。そして、二〇〇二年五月、本庁から調査のための職員が派遣をされて、二〇〇二年五月二十二日、調査結果が報告をされて、水増し請求は山田洋行はなかったということで減額をして契約をされています。
 問題は、幾つかあるんですが、この五月の調査報告書、大臣、皆さんのお手元にもお配りをしました、ごらんください。これが防衛省が山田洋行は問題はないといった、見積りに水増しはないですよといった調査報告書なんです。二つ問題があります。
 一つ、これ見ていただけますか。二ページ目の(2)、調査の概要ですが、あえて防衛省の職員の個人的な名前は申し上げません。調査概要のところに、BAE社が二種類のコーテーションを発出したことに関して、五月十四日から十五日の間、防衛省の職員が製造メーカーの所在地である現地に出張し調査を行ったと書いてあるんです。これ、だれに会ったかも、どういう経緯で何をしゃべったかも実は全然書いていない。分かります、だれに会ったか全然書いていないんです。こんな報告書ないんですよ、実は。
 それともう一つ。山田洋行の説明によればといって、山田洋行はこのときに、三ページから四ページにずっと書いてあるんですが、技術支援費というものを見積りに載せたんだというふうに防衛省は書いているんです。技術支援費は役務の提供です。製品費と役務の提供は普通見積りでは別です。
 これ、大臣、山田洋行の過去も今も含めて、技術支援費と製品費を一緒に見積りを出した例は一件としてもありますか。何件ありますか。大臣、短く答えてください、時間ないので。もう結論だけで結構です。
○国務大臣(石破茂君) 普通、そのようなことはございません。
○福山哲郎君 そうなんです。このときに山田洋行をかばうためにだと思いますが、契約を続行するためにだと思いますが、あえて技術支援費というものを入れて見積りを間違えましたという言い訳をつくって、このまま契約を続行します。調査をした相手方の名前も書いていない。これ、ここに守屋被告が、被告でいいのかな、守屋さんが介在をしたという話も出ていますが、私が言っているのは、これは守屋さんの、簡単に言うと一人の責任に全部なすり付けてはいけないと思いますよ。これは防衛省全体としてもこういうことを恒常的にやっていたのではないか。
 石破大臣、この報告書に書いてあります、この報告書、行った出張ですが、五月の出張と三月の二十日の出張があるんですけれども、この出張、防衛省の職員と山田洋行の職員が一緒に随行しているという事実はありますか、お答えください。
○国務大臣(石破茂君) 山田洋行の職員が同行しておったというふうに承知をいたしております。
○福山哲郎君 これ、山田洋行の見積りがおかしいとメーカーから来て調査を入っているのに、山田洋行の人間が随行して、防衛省の人間がこういう報告書を出して、初めて技術支援費という言葉を使って、その見積りは正常でしたといって山田洋行と契約を続行しているんです。こんな調査はないでしょう、大臣。
○国務大臣(石破茂君) 結局、先ほど私がアメリカの契約と申し上げましたのはそういうことを含んで申し上げました。
 つまり、防衛省があって、商社たる山田洋行があって、BAEという会社がある。これを甲乙丙というふうに申し上げましょう。我々が、防衛省を甲とします、そして、丙との間に接触する場合に、乙たる山田洋行あるいはヤマダインターナショナル、これの同意というものが必要であるというようなことが契約条項にあるとするならば、そういうことが結局起こるわけでございます。つまり、そういう者が同行しなくても我々とBAEの間でそういうことができる、そういう関係をきちんとつくっていかねばならないだろうということだと思っております。つまり、そういうような我々とBAEの間で直接そういう話ができるという形にしておかなければ、商社がある意味、アメリカの契約はこうなっていますよみたいな言を左右にする、そういうことでこういうことがあるとすれば、それはもみ消し以前の問題であって、そういうことがあってはならないことだと。
 そういうような契約が可能かどうかということは、これから先アメリカの契約体系も含めてきちんと我々として確立していかねばならないことだと思っております。
○福山哲郎君 この一連の作業はまだまだ疑惑がありますので、防衛省も今調査をされていると聞いていますので、詳細に調査を早く出していただきたいと思いますが、まあ山田洋行が随行していること自身おかしいと思っています。
 もう時間がなくなったので、総理、今バリで京都議定書に関するCOP13が行われています。大変、二〇〇九年にポスト京都の枠組みを作る重要な会議で、今日の午後から鴨下環境大臣がバリに行かれると承っています。実は、議長提案で、二〇二〇年までに先進国は二五から四〇%削減をしろという議長提案が出てまいりました。
 総理は、十月の十六日の私の質問で、国内の排出目標を作るべきかと言ったら、当然そのとおりだと思いますと、大変御勇断をいただきました。あのときは私は政治決断をいただいたと思って大変意を強くしたんですが、あのときの総理のお気持ちは変わらず、国内の排出削減目標を作るということで変わらずということでよろしいですね、確認をさせてください。
○内閣総理大臣(福田康夫君) ただいまバリで会議しておりますけれども、すべての主要国が参加して実効ある二三年以降の枠組み構築のため行う、その交渉を行う場を立ち上げると、それは我が国としてはとても大事なことであると、最重要課題というように考えておりますので、そういう観点から……(発言する者あり)ええ、そういう観点から今会議で交渉しているところでございますけれども、我が国の交渉目標、目標と申しますか削減目標と申しますか、これはいろいろな状況ありますので、私がさきに申しましたように、これは削減目標を作るんですよ、作らなきゃ動きません、動くように作っていかなければいけない。じゃ、いつ作るかとかいったような具体的なことについて、これからだんだんと徐々に明らかにしてまいりたいと思っております。
○福山哲郎君 もう終わりますが、作ると御明言いただいたのと、環境大臣は実はこの間の委員会の質問で年内とおっしゃったんですが、年内全然動いていません。早急に国内の排出削減目標を作っていただきますことをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。

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