05/31

2007

第166国会 参議院 環境委員会 2007年5月31日


食品リサイクル法案 参考人質疑

○福山哲郎君 おはようございます。民主党・新緑風会の福山哲郎でございます。
 本日は、参考人の皆様におかれましては、大変お忙しいところありがとうございました。今、意見陳述を拝聴させていただきまして、大変参考になり、興味深いお話をたくさんいただきまして、心からまず冒頭感謝を申し上げたいというふうに思います。
 時間がありませんので、私の時間十五分しかありませんから、もう早速行きたいというふうに思います。
 今回の法案の改正の一つの大きな目玉としては、やはりリサイクルループの問題があるというふうに思います。
 まず冒頭、百瀬参考人にお伺いをしたいと思います。
 ユニーの取組、御社の取組に対しては大変敬意を表したいと思いますし、こういった形の取組が全国に広がることを願っているわけでございますが、実際、現場として食品循環資源の分別の際の品質管理をどのように確保しているのかということと、それに対して従業員からこんな面倒くさいことをやるのかというような話が、先ほどのお話でいうとかなりの数の百七十店舗というふうにおっしゃっておられましたので、従業員の方からどのような反応があって、それに対してどう教育をされているのかということも含めて、まず冒頭お話をいただけませんでしょうか。
○参考人(百瀬則子君) 百瀬でございます。
 まず一番目の課題でございますが、分別と品質の管理ということでございます。
 今画面にも出ておりますが、当社では十九分類に廃棄物を分けております。食品廃棄物に関しましては、ここにも出ておりますけれども、魚のあら、そして食品残渣、いわゆる生ごみ、天かす、それから食用廃油、その四種類でございます。
 今御質問にありましたのは多分生ごみという部分だと思いますが、当社では作業場の中にきちんと分別できるようなごみ箱を置きまして、そこの前で分別しておりますけれども、従業員はさほど苦に思っておりません。どうしてかと申し上げますと、私たち主婦がパートさんとして働いております。ですから、家庭での分別がかなり進んでおりますので、当社の作業場の中では分別に対して困ったというお話は聞いておりませんし、また、それを売場ごとに全部量っております。そうしますと、私の体重もそうなんですけれども、量ると抑制につながります。先月五十キロ、ちょっと多いなと思った、今月は何とか五%減らしましょうという形で。
 特に分別が厳しいのは、売れ残ったパッケージに入った商品だと思うんですね。それに関しましては、作るときの計画ですとか、それから天候や気温に合わせましてきちっとした計画の下に作っておりますが、分けるときにはそういった私たち主婦は手慣れたもので、きちんと分けております。
 また、品質の管理ですけれども、これらは廃棄物庫は冷蔵庫でございます。当社の廃棄物庫は温度が五度から十度の間に管理されておりますので腐敗するということはございませんので、そのまま肥料や飼料の原料として出すことができます。
 そういったところでよろしかったでしょうか。
○福山哲郎君 ありがとうございます。
 先ほどお話もいただきましたが、そのリサイクルループでいろんな形で商品が戻ってくると。それで、それに対して消費者の反応は、いい、良質なものだから売れたのではないかというふうに先ほど参考人おっしゃられましたけれども、情報発信というか、こういう形でリサイクルして物が戻ってきていますよということをどのような形で消費者に伝えられているのか。
 それから、例えば先ほどもコストをなるべく掛けないで継続性をということを言われましたが、ほかのチェーンストアさんとの比較でいうと、お客様の反応も含めて、どんな状況かお知らせいただけますでしょうか。
○参考人(百瀬則子君) まず、こちらの画面でもございますが、売場の方にはリサイクルして作った堆肥を使って栽培した方たちの顔写真付きで並べております。まずはお客様方は、商品がおいしそう、新鮮、また買ってみたら本当においしかったということで人気が出ております。ぱっと見ますと、リサイクルですよという看板ですとか、だれだれが作りましたというような表示がされています。そのことによってお客様方は、非常に安全で安心であって、リサイクルという無駄を省くというような、そういった観点からも有効であるということを分かっていただいております。また、これらはホームページですとか環境レポートの方で発表しております。
 ただ、このリサイクルループを作っている地域というのはたくさんではありません。ですから、これから先法律の見直しがなされて幾つかのループができてくると、たくさんのお店に広まってくると思います。
 また、コストの面でございますけれども、先ほど参考人の方もおっしゃっていましたけれども、私どもは廃棄物に関して、公共の処理場に出したとしても焼却のコストが掛かります。また、それを配送するための配送コストも掛かります。それらが、例えば名古屋市の場合は一キロ当たり焼却コストが二十円、一キロ二十円です。運搬費が十五円から十七円です。そうしますと、三十五円から三十七円ぐらいのコストが掛かっているわけです。それよりも掛からないコストで対応できれば問題はないのですけれども。現在のところ、食品残渣というのは有価物として売ることができます。堆肥の材料として買ってもらっています。また、その堆肥は、堆肥を作る方が買ってもらっています。そして、その堆肥を使って作られた作物を全部買い取るということで、経済の輪がきちっと回っています。経済の輪がきちっと回っていれば、どこも負担をすることなく、またお客様にも喜んでいただくということで、売れ残りがございませんので、コストの面では非常に良い状況で回っております。
○福山哲郎君 ありがとうございます。
 次に、もっとお伺いしたいんですが時間がないので、酒井参考人にお伺いをしたいと思います。
 今回改正されるわけですけれども、前回の食品リサイクル法が施行されたときが平成十三年度、年間発生量が千九十二万トン、平成十七年度は千百三十六万トンと、食品リサイクル法が施行されても実は微増で、減っていないんですね。
 先ほど先生がおっしゃいましたけれども、やはり発生抑制というのが非常に重要な観点だと思うんですが、先ほどの先生の御説明もいただきましたが、先生がお考えになる一番重要な発生抑制の今後のポイントというものがあれば御示唆をいただければ有り難いなと思います。
○参考人(酒井伸一君) 具体的な発生抑制の目標ということに関しては、今現状でつかめているデータがどの程度かということに関しては、これは経験的にはやはり極めて乏しい状況にあるんだろうと思います。
 そういった中で、今おっしゃいましたこの五年間の実績として結果的に増えているという方向でいけば、やり方としては、やはり報告を出していただきながら、それで一体それがどういう努力でどう減ったのかということを積み重ねていきながら今後物を考えていかなければならないんではないかというふうに認識をしております。今こういうことをやれば、こう簡単にぱっとそれぞれの食品事業者から減るんではないかというふうに打ち出の小づち的な対応は恐らくはなくて、そこは少し議論の中でも注意したポイントは、かえって、海外からもうともかく調理済みのものばっかりを買ってくるというような、そういう状況にするとこれまた本末転倒だというところもうまく合わせながら、やはりそれぞれの工夫を社会に蓄積していくような仕組み、そういったところがやはり発生抑制に対しては一番のポイントではないかなというふうには思っております。
○福山哲郎君 今回、定期報告制度が導入されて、そこがじわじわと効いてくるのではないかという今先生のお話だと思いますが、では、その中で、中小零細企業にどうそれを広げていって実効性を上げていくのか、この課題は僕はずっとまだ残っていると思うんですが、このことについては先生、どのようにお考えでしょうか。
○参考人(酒井伸一君) 極めて難しいポイントをお考えいただいているということを理解さしていただきました。
 基本的には、やはり大手で取り組めることと、それと、極めて商店的な中小で取り組めること、ここにある種の濃淡が出てくることはやむを得ないというふうに思っております。
 そういう中で、当面、中小対策としてのやはり公共の在り方ということもそういう意味では頭に入れながら、いわゆる事業系ごみをその地域でどううまく活用して、結果として地域としてどのようにうまくエネルギーを回収し、あるいは堆肥を作り、あるいは炭酸ガスを抑制していくかという、いわゆる地域のそういう意味ではそこは計画というところが非常に重要になっていくんだろうと思います。それで、それをやりながら、同時に抑制のことも忘れずにお願いをしますというような、そういうちょっとバランスのいい政策の展開を期待をしたいというふうに思っております。
○福山哲郎君 ありがとうございました。
 石井参考人にお伺いをしたいと思います。
 大変御努力をされていますし、石井参考人の会社のこの標準のごみ質から、このような形で選別し、破砕をして分別ができて、なおかつエネルギーに変わるということで、未来も感じて楽しみなんですが、先ほどのお話でいうと、三百キロワット毎時でしたっけ。
○参考人(石井邦夫君) 今現在ですね。
○福山哲郎君 今現在、三百キロワット毎時売電の方に回しているというお話があったんですが、実際、得られた電気を売電することによる収入が、リサイクル料金などを含んだ全収入のうちどの程度の割合を占めるのか。それから、それが実際にビジネスとしてこれからいろんなところへ広げていくための工夫は、どのような形ならばマーケットメカニズムに乗っていく可能性があるのかということで、何か課題とかアイデアとか、今問題意識をお持ちになられればお知らせをいただければなと思うんですけれども。
○参考人(石井邦夫君) 私どもの現在の施設で、売電収入は、施設がフル活動しても年間三千万程度と考えております。それでありますので、製造原価を引き下げることには寄与しますが、事業収支の基本はあくまでも処理料金をいただくということから成り立ってこの事業は営んでおります。
 それと、食品リサイクル法、いろんな御承知のようにバリエーションがあります。私どもも処理業者でありますので、お客さんのニーズに従いまして、要するに、えさ化を進めてください、若しくは堆肥化を当社の廃棄物は進めてほしいということで私どもは承っておりますけれども、最終的にその方法ができないようなやつについてはガス化を進めるというところであります。
 それで、私ども当然、東京二十三区内に立地しておりますので、その施設の土地代、またいろいろ経費が掛かりますので、やはり一番の競争相手は市町村の処理料金ということになろうかと思います。
○福山哲郎君 最後に鈴木参考人に、もう簡潔にお答えをいただきたいと思うんですが、今回、廃棄物処理法との関係でいうと、ある種の規制緩和が進みました。自治体と、例えばリサイクルループの関係でいうと、どのような形での連携や地域での取組、先ほど酒井参考人からも中小零細もやっぱり地域での取組が必要だということがあったわけですが、そのことについて何か言及をしていただければ。本当に時間がなくなって恐縮なんですが、短く簡潔にお答えください。
○参考人(鈴木満君) 自治体は一般市民の生活ごみが処理責任として中心になるわけです。しかし、食品リサイクル法では百トン以上という対象事業者と。そういう中で、百トン以下であってもやはり相当の食品廃棄物は出るわけですから、そこがやっぱり自治体の役割だというふうに思います。民間のノウハウをかりながら、やっぱり自治体の中に堆肥化施設等を造って、市民ごみとともに再利用への道を、方針を取った方がいいかというふうに思っています。
○福山哲郎君 ありがとうございました。

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