03/20
2007
第166国会 参議院 環境委員会 2007年3月20日
豊洲土壌汚染問題、志賀原発事故隠し、温暖化問題
○福山哲郎君 民主党・新緑風会の福山哲郎でございます。
大臣におかれましては、G8環境大臣会合、お疲れさまでございました。大臣と今年、ゴア副大統領の「不都合な真実」についていろんな議論をさせていただ きましたけれども、今年は正に温暖化イヤーで、あちこちで温暖化の問題が起きていると思ったら、暖冬だと言ったら最近は寒くなったり、よく分からない気候 ですが、そんな中で本当に御苦労さまでございました。
私、今日、最初は豊洲の土壌汚染の問題聞こうと思ったんですが、午前中の大臣の各委員との御答弁もお伺いをして、ちょっと今日質問が多いので、冒頭幾つ かだけ、事前通告ない件なんですけれども、大臣お答えいただけると思うので、ちょっとお伺いをさせていただきたいと思います。
一つつまらないことを言いますと、例の「不都合な真実」でございますが、当初、二十劇場で封切られたんですが、一時期四十三劇場まで増えまして、一月ほ ど前、十万人の方がごらんになったというふうに私は連絡を受けたんですけれども、今日、問い合わせますと、四月以降五十六劇場にまた拡大をして、現状、恐 らく二十五万人以上の方がごらんをいただいているということになっていまして、ドキュメンタリー映画としては大ヒットだということで、それだけ温暖化に対 する関心が高まっていると思います。
その中で、先ほど加藤委員や岡崎委員や荒井委員、それぞれ温暖化の議論が出ました。少し気になったのは、大臣が排出権取引市場についての有効性について 若干御答弁の中で疑問を呈されました。
実は大臣、私との昨年の十月の二十六日の委員会の質疑の中で、排出権取引については政府委員が、義務型を含めた排出量取引全般について準備をしてまいり たいと考えますと、これ南川委員がお答えをいただいて、それを受けて、実は大臣が、大変大事な課題だと、そして、そういう世界の中でみんなで排出を抑制す るという経済環境をつくんなきゃいけないと、それにイニシアチブが取れるよう、もっと積極的な取組を学界あるいは経済界にも更に求めていきたいと思ってお りますという御答弁をいただいて、私は実はこの御答弁に非常に評価をすると、いい大臣に御就任をいただいたと申し上げたこと、大臣も御記憶があるかもしれ ませんが、今日は若干有効性に疑問だという話になりまして、ちょっと後退されているかなという気がいたしておりまして、いや、後退じゃないんだと、いろん なことをかんがみて、重大性は分かっているし、やりたいと思っているけれども、有効性を検証しなきゃいけないぐらいならまだ私も納得はしますが、ちょっと 後退されているかなと懸念をしましたので、御答弁いただければと思います。
○国務大臣(若林正俊君) 福山委員には、この地球環境問題について大変積極的な御関心をお持ちいただき、御検討をいただいて、種々御指導をいただいてお りますことを、まず敬意を表しながら御礼を申し上げたいと思います。
今、委員が御指摘になりましたこの排出権取引について、その有効性に今疑義があるかのような私の答弁、受け止め方をされておられますが、この排出権取引 自身が地球温暖化を抑止していくために有効な手段であるということにつきましては、私もいささかもその考え方を変えているものではございません。
しかし、実際に排出権取引をいたしますには、それぞれ、国別で言えば国別のキャップを掛けなきゃいけませんし、そして国別に掛けられたその国は、それぞ れの排出事業所ごとに、分野ごとにそのキャップを掛けていかなきゃいけないわけでございます。その事業所で見ますと、鉄鋼や電力、あるいはセメント事業か ら始まって各種のセクターがそれぞれCO2排出についての構造上の問題を抱えておりますから、これが果たして均衡あるキャップを掛けられるのか、どのよう な形でそれを掛けていくのか、掛けた後の取引市場というのが言わば炭素価格として本当に妥当な水準を決めることができるものなのかということについては大 変に、初めてのケースでございますから、いろいろ問題が一杯あると思っております。
我が国では、そういうことを、知見を得るためにキャップをまだ掛けておりませんけれども、それぞれの企業が自主的にこれに取り組んでいただくということ で、自主参加型の排出権取引の制度を発足させてスタートさせてきているわけでございます。企業の側も各種のいろんな業種にわたっておりまして、それらの業 種の方々がこの自主参加型の取引制度に参加をしてきていただいております。まだ実績は出ておりませんけれども、それらの皆さん方の努力、あるいはその実 績、効果といったようなものはまだまだはっきりしない状況にあるわけでございまして、更にこういう知見を積み重ねていかなければならないなと、こういうふ うに考えているところでございます。
一方、EUは先行的にこの排出権取引、各国別にキャップを掛け、国がその事業に対して、それぞれの排出事業者に対して、すべてではありませんけれども、 主要な排出事業者にキャップを掛けて、その取引を始めているわけでございます。イギリスが最も進んでおりまして、イギリスもそのような取引制度を充実させ るべく大変な努力をしておられます。しかし、実際これを実施している状況を承知する限り、なかなか、公平にキャップが掛けられるのか、その排出権の価格形 成がうまくいっているのかといいますと、いろいろ問題を持っているということが分かってまいります。
その意味で、私は、やはりこれは強制的に公権的にキャップを掛けて取引を進めるとなりますと、形を変えた言わば税制のような負担をかぶせることになるわ けですから、あくまでこれは公平でなければならない、公正でなければならない。同時に、その効果も国民の皆さん方にも納得できるような効果が説明できな きゃいけない。その辺のところをきちっと詰めていかないといけないなと、こういう意味でございまして、先ほどのG8プラス5の大臣会合においても、非公式 な会合を通じてEUの委員長ともお話をいたしました。
イギリスの大臣ともその点の意見交換をしたわけでございますが、私の方から少し調査をさせてもらいたいという申出をいたしましたら、快く、是非来てくれ と、EUの委員会としても、あるいはイギリスとしても、日本の側からその専門的な立場で担当者が来ていろいろと意見交換をし調査をするということについて は大歓迎だと、こういうお話をいただいておりますので、なるべく早い機会に日本から関係者が伺いまして調査をしてくる、調査をして意見交換をしながら、ど のような形の排出権の設定及び取引を行ったら有効かということについて更に詰めたい、こんな思いでお話を申し上げたところでございます。
○福山哲郎君 今のお話を伺うと、非常によく理解をいたしますし、是非、日本の調査というのは積極的に、また早く実現をしていただきたいと思います。
私も排出権取引市場の中で、各それぞれのセクターにどうキャップを掛けるかという、仕組みの問題として難しいことは承知をしております。しかしながら、 日本の自主的な取組が今参加社が八十九社、EUETSは現実にもう一万社がコミットしています。もう大臣は御案内だと思いますが、アメリカでは、GEやア ルミのアルコア、それから化学のデュポン、それから金融のリーマン・ブラザーズなどの企業十社の大手の経営者は、削減の義務を負う仕組みをアメリカに導入 するべきだという議論をアメリカで始めています。更に言えば、御案内のように、大統領選挙がアメリカございますが、民主党側の大統領候補であるクリント ン、それからオバマ氏、そして共和党側の大統領候補の一人であるマケイン氏が、みんなある排出権取引というかキャップ・アンド・トレードの法律について、 実は大統領法案と言われているような法案にみんな収れんをしていって、今議論をしています。
そうすると、アメリカの大手の企業もこういう声が上がった、議会では法案が通る可能性がある、EUはもうできていると。実はアメリカの言っていることと EUの言っていることはだんだん共有化してくるのではないかと。先ほど加藤委員もおっしゃっておられましたが、やはりそこの中で日本が乗り遅れないでおく ことが私は非常に重要だと思っておりまして、前のこの委員会でも申し上げましたが、生態系を守る、人類の生存を守る、地球の生存を守るということのもちろ ん温暖化対策は重要でございますけれども、グローバリゼーションの中でだれが勝者になるかというと、グローバルルールをつくった者です。
今僕は、排出権取引も含めて温暖化というものをテーマにして、アジェンダにして、私はグローバルルールをどこの、EUなのかアメリカなのか、もちろん途 上国も含めてですが、どういうふうにグローバルルールをつくっていくかという競争が間違いなく始まっているというふうに思っておりまして、是非そこは日本 は積極的にコミットしていただきたいと思いますし、先ほどの有効性の議論も、実は環境税も有効性かどうか分からないと言っている間に原油が値上がりして、 環境税の掛ける以上にガソリンの値段が上がりました。それはいろんなこと言っていると現実には前に進みません。
もっと申し上げれば、じゃ、六%削減の目標に対してまだ八・数%日本は排出をしている中で、目標達成計画自身の有効性自身が問われるわけです。それは排 出権取引市場の有効性ももちろん重要ですが、目達計画の有効性は一体どうなんだという議論がもちろん出てくるわけで、そういう点も含めて、大臣は実は分 かった上で、いろんな日本のポジション難しいところでお答えをいただいていると思いますけれども、もし何か御意見があれば御答弁をいただければと思いま す。
○国務大臣(若林正俊君) 排出権取引という手法が有効性を持っているというふうに考えていることにつきましては、委員の認識とそう大きく違わないと思っ ております。しかし、これをキャップを強制し、取引を言わば規制の中で行わせるというシステムをつくるとすれば、これは本当にまかり間違って失敗しますと 全部崩れてしまうんですよね。その意味で、関係者がこの公平公正について信頼を持てるような説明を政府としては、私どもとしてはしないと、これを押し切っ てそのまま実施に踏み切っていくというわけにはいきませんので、今実施過程に入っておりますEUについて更に知見を深めるためにまた意見交換をして、これ ならいけるんだというような判断をする基礎を、材料を欲しいと思っております。
アメリカでいろいろな動きのあることも承知いたしておりますが、しかし、アメリカの仕組みというのはもちろん州によっても違うわけですけれども、大企業 がそのようにおっしゃっておられましても、大企業と中小企業との間の経営構造の差、あるいはその技術の差によってその排出の程度も違っておりますし、それ らを本当に中小企業も含めすべての主要な企業にこれを適用するためには、かなりの準備期間がないとそのようなことができないと思うんですね。
そういう意味で、日本の場合は自主的な計画を立てて今日まで進めてきておりますから、その自主計画でどこまでできるか、それを一生懸命取り組んでいる皆 さん方にそれを更に加速させてしっかりやってもらうということを求めつつ、排出権取引を導入した場合にどんなような姿になるのかということをお示ししなけ ればならないと、こう思っておりまして、国際ルールについてどちらが先にやってどういうルールをつくるかということで競争的な関係に必ずしも日本は入って いかなきゃならないというふうには考えていないわけでありまして、ヨーロッパあるいはアメリカの検討の状況も常に注意をして、情報収集をし、協議をして、 それでスタートを切って、国際社会の中で排出権取引が支配的な仕組みとして動いていくときには、そのときには日本も日本なりのシステムで対応できるように していかなきゃいけないと、このように考えております。
○福山哲郎君 日本が自動車の排出ガス規制で、実は各産業、自動車セクターも厳しい思いをした中で、実は排出ガスの規制で、実は省エネの車も含めて、公害 対策も含めて、技術的に大分、技術的にかなり私は進歩したという歴史的な経緯もあると。
実は、安倍総理は片仮名のお言葉がお好きなようで、イノベーションイノベーションとおっしゃっておられますけれども、現実問題として、ハーバード大学の ポーター教授というのは、いわゆるポーター仮説というのを今唱えておられまして、環境規制が強いとそれだけ国際競争力の強い企業、国際競争力が高まるとい うような仮説を今唱えておられます。要は、脱炭素技術をどう世界のマーケットの中で我が国が優位に立てるかというところも私は重要な観点だというふうに 思っておりまして、環境を守ること、温暖化に対して対策をすることはイコール経済にはマイナスではないんだという仕組みをいち早く仕組みとしてつくってい く国がこれから先やはり国際競争力上も優位に立つ。
現実にはトヨタという自動車会社もそういった観点で世界で非常に今売上げを伸ばしているということもあるわけでございますから、規制をすることに対して 確かに慎重にならなければいけませんし、ある一部分のセクターだけを集中的に弱まらせるようなことをすることも私はやってはいけないと思いますから、それ ぞれのセクター、産業の合意形成は大臣がおっしゃるように必要だと思いますけれども、そこは規制に対して余り消極的になり過ぎないように、EUもアメリカ もそのような動きがあるということを是非政府としても御認識をいただいて、温暖化対策については積極的に、来年のG8もあることでございますから、よろし くお願いしたいと思っています。
これ言い出すと私ほとんど終わってしまいますので、ちょっとこれで次のテーマに一応移ります。
豊洲の土壌汚染問題でございます。
東京がいわゆる市場を新しいところに移すということで、最近話題になっております。そこが移転計画をめぐって水産の仲卸業者の方々から反対運動が起きて いまして、現実問題として、この間の予算委員会でも議論になりましたように、環境基準を大幅に上回る有害物質、鉛、砒素、六価クロム、シアン、ベンゼン、 水銀で土壌が汚染されていることも公表されています。
問題は、この土壌汚染が食べ物を扱うところだということが大変な、非常に重要なポイントになっているわけでございますが、環境省がこの土壌汚染を確認し たのはいつですか。
○政府参考人(寺田達志君) 御説明申し上げます。
まず、豊洲の土壌汚染問題でございますけれども、これは私どもの所管しております土壌汚染対策法の対象ではございません。そういう意味では、これまで法 律に基づくいわゆる公文等での届出というものはないということでございます。また、土壌汚染対策法施行以前に明らかとなった事例でございますので、なかな か過去の記録というものも見いだし難いところはございます。
実際は、平成十三年一月に東京ガスが豊洲地区の土壌汚染状況を自主的に公表しておりますので、この時点で何らかの形で情報を得ていたという可能性はあり ますけれども、そこまでは確認はできておりません。私どもが確認できる範囲では、平成十四年三月には本件についての情報は得ていたということを確認してお ります。
○福山哲郎君 情報を得た後、何か環境省、対応されましたか。
○政府参考人(寺田達志君) 先ほど御答弁申し上げました話と若干重複はいたしますけれども、平成十四年三月の前の時点で、既に十三年一月に東京ガスが調 査結果を公表いたしまして、対策を実施するということを表明しております。また、十四年の六月には東京ガスから東京都の条例に基づく届出書が東京都に提出 されている、すなわち対策の実行段階に入ったということだと思っております。それ以降、環境省といたしましては東京都から適宜情報の提供をいただいている ところでございます。
○福山哲郎君 土壌汚染対策法の施行前だという議論が、もちろん僕は理屈としては分かるんですが、土壌汚染対策法の公布はいつでしたっけ。
○政府参考人(寺田達志君) 公布は平成十四年の五月でございます。
○福山哲郎君 二〇〇二年三月、つまり平成十四年の三月には承知をしておったと。その二〇〇二年の五月に公布をされている中でこの土壌汚染対策法をまたこ れ審議しているわけですよ、国会の中で。これ知っているわけでしょう。
確かに施行は翌年の二月ですよ。それは対象外なのかもしれませんが、それは全く、これ今、審議をして公布している年に、これだけ巨大な土地の汚染を、更 に言えば食べ物に関するものに対して知っていて何もしていないというのは、それはなかなかやっぱり通りにくいんじゃないですかね、環境省さん。
○政府参考人(寺田達志君) 実際に、先ほど申しましたように平成十四年の三月というのは正にこの土壌汚染対策法の審議をしている時点でございまして、そ こでの、国会で御質問をちょうだいしたということから我々がその時点で承知していたということが確認できたというものでございます。
ただ、実際に法律そのものは、先ほど先生からもお話ございましたように、十四年の五月に公布され、さらに十五年に入ってから施行されているということで ございまして、その時点以降の対応ということにはならないというふうに考えております。
○福山哲郎君 いや、それこそ正に役人答弁でございまして、土壌汚染対策法の審議をしている最中にこのことを知って、これは公布後だからこれに対して何も 対応していませんなんというのは、大臣、これやっぱりなかなか通りにくいですよね。どうですか、なかなか答弁しにくいと思いますけど。
○国務大臣(若林正俊君) まず、当該豊洲の地区、所有は東京ガス所有でございました。この東京ガス所有の土地をどう利用するかというようなことは、これ を卸売市場に利用するというようなことは、卸売市場を所管しております農林水産省が卸売市場整備計画の中で位置付けて、そして卸売市場整備計画に従ってこ れが適正に供用されるかどうかというようなことを十分にチェックをする立場にあるわけでございまして、卸売市場の開設の認可権者は農林水産大臣でございま す。そして、それを、卸売市場整備計画の変更をいたしまして計画に基づいて卸売市場として認めるというのはこれからの段階になっておりまして、当時の十四 年の段階では、これを生鮮食料品の取引を含む卸売市場に供用するというようなことは公には何も明らかになっていたわけではございません。
ですから、その意味で、そういう情報が入りました段階で、言わば公権力的に環境省がこの東京ガスを相手に、その調査の実施に当たって行政指導するという 特別の立場を持っていたわけでは実はないわけでありまして、法律に基づいて、そういう権限に基づいてやるということはできなかったということだと思いま す。
○福山哲郎君 じゃ、今大臣が言われた、卸売市場になるのは表になっていないと。なってから法律に基づいて、表になってから、法律に基づいてやれないとし ても、環境省としては何らかの取組なり何らかの対応はされたことはあるんですか。
○政府参考人(寺田達志君) 先ほど申し上げましたとおり、本件につきましては、所有者である東京ガス、さらには東京都において様々な調査検討が進められ ておるところでございまして、環境省といたしましては、そうした状況につきまして逐一情報の御提供をいただいたというところでございます。
○福山哲郎君 今回問題になっているこの事業は、今御答弁ありましたように、土壌汚染対策法の施行前に廃止されているんですね、元々の東京ガスの事業所自 身が。だから、環境省が法律上の権限を持って直接これを指揮、検査することはできないと。だから、東京都から情報を得て、報告を受けているしかできないと いう話なんですが、環境大臣自身も、生鮮魚類の取引という点から、万全の上にも万全を期するという意味で、これで安全だというふうに私どもとしても言い切 れる状況ではないというふうに考えておりますと、この間、衆議院の予算委員会で答弁をされています。
これ元々、土壌汚染対策法、私も実は相当審議にかかわりました、当時。このときにどんな話になったかというと、土壌汚染になっているところに基本的に は、これそのときの議論でもあったんですが、要は公園とか住宅で何らかの健康被害が及ぼしてはいけないという議論が前提であったわけです。現実に、実際に は大阪の方でマンションができて問題になったりしているわけですが、しかしながら、公園とか住宅でも問題だと言っていたんですが、これやっぱり食品、生鮮 品を扱う市場なわけですから、そもそも土壌汚染対策法の中にすらこの市場までは想定していないんじゃないかと思うんですが、それはどうなんでしょうか。
○政府参考人(寺田達志君) 土壌汚染対策法でございますけれども、この法律につきましては、委員御存じのとおり、水質汚濁防止法の特定施設が廃止された 段階で対象足り得るということでございます。ただし、同法の第四条によれば、先ほど申しました水質汚濁防止法の対象施設が廃止されるということ以外にも、 多数の方々が居住をするとか不特定多数の方が出入りをする、あるいは近傍で地下水飲用の事実がある等々の事例がある場合には、そこで人の健康に危害が及ぶ ということがある程度予想される場合には、都道府県知事はこの法対象にすべく調査を命ずることができるということになっておりまして、そこは用途を特別に 特定しているわけではなくて、あくまで健康被害の蓋然性というところで判断をするということでございます。
○福山哲郎君 今、東京ガスがやっている調査その他、東京都がやっているものに対しては、この土壌汚染対策法に想定されている調査に匹敵するものをやって いるという認識ですか、環境省は。
○政府参考人(寺田達志君) 東京ガス等が行っております調査あるいは対策については、必ずしも土壌汚染対策法で規定されているものと同一というわけでは ございません。また、私ども自身が土壌汚染対策法に基づいて本件事案につきまして個別具体に審査をしているということでもございませんので、確定的なこと はなかなか申し訳ないことながら申し上げにくい状況にございます。
ただ、対策レベルからいいますと、一般論としては、土壌汚染対策法で要請されているレベルに匹敵ないしそれ以上のものだというふうに認識はしておりま す。
○福山哲郎君 例えば土壌汚染対策法の中では、この調査は指定調査機関、環境大臣が指定したところが調査をすることになっていますが、東京ガスの土壌汚染 状況調査をした業者、調査機関はどこか、環境省は把握していますか。
○政府参考人(寺田達志君) そこまでは把握しておりません。
○福山哲郎君 つまり、土壌汚染対策法は国の指定調査機関が調査報告をすることになっているわけです。これ東京ガスが調査をしているという前提で東京都も 今いろんな報告を出したりして安全だと言っているんですが、その調査機関がどういう調査機関かも実は環境省は把握をしてないわけですね。じゃ、安全かどう か言い切れるかというと、そこも、先ほど環境大臣の予算委員会での答弁でも安全と言い切れるかどうか分からないという議論になっておりまして、これ農水省 は今どういう御認識なんでしょうか、お答えいただけますでしょうか。
○政府参考人(佐藤和彦君) お答えいたします。
豊洲を含めまして卸売市場につきましては、食品の流通の拠点となるということから、食の安全、安心が確保されることが大前提であると、そういう認識をま ず基本的に持っております。その上で、私どもも東京都の方から情報を取ったりしておるわけでございまして、東京都からは豊洲につきまして環境規制を十分に クリアした対策を実施するなどの説明聞いておるわけでございますが、さらに、今スタートしております、東京都が行っております環境影響評価、こういったこ ともしっかり確認していきたいと思っておる次第でございます。
○福山哲郎君 今の答弁は予算委員会の農水大臣の答弁とほとんど一緒で、松岡農水大臣も、東京都とはしっかりと連携を取りながら、環境影響評価が行われて おりますので、これもまたしっかり確認してまいりたいと思いますというふうに大臣答えられております。今もそのように答えました。
じゃ、ちょっとお伺いします。都による環境影響評価には食品安全に関する事項は含まれていますか。政務官、答えていただけますよね。寺田さんですか、審 議官ですか、政務官ではなくて。じゃ審議官。
○政府参考人(寺田達志君) ただいま御指摘のございました環境影響評価、これは東京都の環境影響評価条例に基づいて行われているものと承知しておりま す。その中での項目でございますけれども、十一の項目について評価が行われております。十一の項目と申しますのは、典型七公害から地盤沈下を除いた六項 目、さらに生物・生態系、日影、風環境、景観、廃棄物及び温室効果ガスでございます。
○福山哲郎君 農水省、食品の安全含まれてないじゃない、環境影響評価に。食品の安全含まれてないのに、どうやって食品の安全を、環境評価をしっかりと踏 まえて東京都と連携して安全を守っていけるのよ。農水省、ちょっとお答えください。
○政府参考人(佐藤和彦君) 卸売市場を造るという前提での環境影響評価であるというふうに認識しておりますが、したがいまして、これ農林水産省の方から ということがいいのかどうかよく分かりませんけれども、直接に出てないにいたしましても、当然その食の安全ということが前提として環境影響評価がなされて いる。これは都民、何といいますか、住民の意見も聞くプロセスも入ってございます。
私どもといたしましては、何せ食生活に大変に影響を持つ問題であるということから、しっかりとした食の安全性、信頼確保をされるような市場建設がなされ ると、そういうことが、そのための対策を講じるということと併せて、その辺りで、その関係者、消費者含めて、関係者からの理解を得るということが非常に重 要であると思っておりまして、先ほど申し上げましたのもそういった趣旨でございますけれども、私どもとしては、東京都に対してはその点対策を講ずるという ことと、関係者、消費者の理解を得るということを強く求めていきたいと考えておる次第でございます。
○福山哲郎君 今の説明で理解なんか得られるわけないじゃないですか。条例には含まれてないんでしょう。そして、あなた、直接表現をされてないかもしれま せんけどと言っていたけど、今、環境省はさっき何て言っていたんですか。土壌汚染対策法では施行前だから無理でしたと、だけど東京都は条例に沿ってやって ますからと言っているわけですよ。全部東京都の条例に今ゆだねているわけでしょう、国は。
それで、農水省は、大臣も含めて今あなたが、環境影響評価が行われておりますので、東京都と連携をしてやって、確認してまいりたいとあなたさっき答弁し たじゃないですか。その環境影響評価に食品の安全含まれてないんですよ。条例に書かれてないんじゃないですか。どうやって、表現されてないけれども、じゃ その食品の安全担保できるんですか。農水省、お答えください。
○政府参考人(佐藤和彦君) 東京都の中央卸売市場の整備につきましては、まず第一義的には東京都が責任を持ってやるというのが前提であろうかと思いま す。そして、卸売市場を整備するという観点からの手続が取られている、その中には食の安全ということも当然に含まれ、東京都において適切に対応されるもの と考えております。
○福山哲郎君 寺田審議官、何かあるんだったらどうぞ。
○政府参考人(寺田達志君) 若干先ほどの答弁を補足させていただきますけれども、冒頭、私の方で東京都が条例に基づく対策を実行していると申し上げまし たけれども、この条例は環境確保条例でございまして、環境影響評価条例ではございません。
さらに、先ほどの答弁若干補足させていただきますけれども、当然、環境影響評価では環境への影響というものを評価するわけでございますけれども、その中 では環境起因の人に対する健康影響、その中には食品にかかわる部分というのも概念的には含まれるものと考えております。
○福山哲郎君 概念的に含まれるなんて当たり前の話じゃないですか、そんなものは。でも、現実問題としては、国会の答弁で農水大臣が環境影響評価をしてい るからそれに基づいて東京と連携しているって、そこに食の安全が入ってないんじゃないですか、項目として。概念的に含まれるなんて当たり前の話ですよ、そ んなのは。市場で、なおかつ生鮮品で、人の健康にだって影響あるに決まっているじゃないですか。
これ、どうやって新市場の安全性を、農水省さん、担保するんですか。これどうやって、逆に言うと市場の安全性を国民に理解する。だって、築地の市場っ て、全国に出ていきますよ。農水省さんは一体どういう認識なんでしょうかね。
○政府参考人(佐藤和彦君) 先ほど委員も先月の予算委員会での松岡大臣の答弁を引用されました。そこでも私どもの大臣は、直接の開設者である東京都、そ れから環境省とも連携を取りながら対処してまいりたいというふうに答弁申し上げたところでございます。
○福山哲郎君 じゃ、環境省と農水省と東京都、連携を取りながら確認してまいりたいと言われた農水省の答弁ですが、じゃ、まず環境省と農水省の間でどのよ うな協議を実際行っているのか、環境省さん、お答えをいただけますか。
○政府参考人(寺田達志君) お答えいたします。
これまで両省の間では、現在行われております土壌汚染対策と土壌汚染対策法に基づく対策との比較について情報提供をし、また豊洲新市場の構想や今後の整 備スケジュール等について情報提供を受けるなど、情報交換を行ってきたところでございます。
今後とも、必要に応じ農林水産省と情報交換を行ってまいりたいと考えております。
○福山哲郎君 情報交換を行うだけでは全然安全は担保できないんですよ。その後をどうするのかというのが重要なんですよ。
現実には、潮位変動や汚染地下水の上昇で、処理をした後にも土壌再汚染の可能性だってあります。それから、ベンゼンやシアン等は、ガス化によっていろん な塗装の割れ目とかの、漏れてくる可能性だって指摘をされています。土壌の入替えやアスファルトでは不十分だという指摘もあります。更に言えば、直接の被 害も可能性としては否定できないかもしれませんが、風評被害という問題も出てくるというふうに思います。
これ、やっぱり土壌汚染対策法で東京都にカバーできないとなると、何らかの形で考えないと、検討していかないと、食の安全という点でいうと大変問題だと 私は思っているんですが、大臣、どうですかね。
○国務大臣(若林正俊君) 豊洲地区で東京都の中央卸売市場を開設をするということは、慎重の上にも慎重な判断をしなければならないというのを基本に考え ております。
その上で申し上げるわけですが、土壌汚染法上の法体系上の、東京都知事、これが第一義的には土壌汚染の責任を負っているわけでございます。と同時に、実 はここを卸売市場として利用するということになりますと、開設者は東京都知事でございます。東京都知事が東京都の施設として卸売市場をここで開設をすると いうことでございまして、その開設をすることについての適否は農林水産大臣の認可を必要とすると、こういう仕掛けになっているわけでありますから、土壌汚 染法上の法的な措置あるいは指導に加えて、食品を取り扱う卸売市場の在り方として東京都が開設者たる責任をまず一義的に負わなきゃいけませんし、同時に、 そのことが安全であるという、卸売市場として安全であるというそういう状況判断を、農林水産大臣に認可を得るに当たって、そのことを明らかにした上で農林 水産大臣の認可を受けなければならないというのは、これは卸売市場制度の枠組みの中で当然のことだと考えているわけでございます。
その意味で、農林水産大臣が開設者たる東京都に対して厳格な開設上の指導を行うと同時に、その開設が間違いなく安全であるという認識がなければ卸売市場 の開設の認可はできないものと、すべきでないものというふうに私は思うわけでございまして、その過程で、農林水産省の方からこういうような土壌の状況で専 門的な立場でどうだというような協議が資料を添えて出てくれば、当然、一般法の土壌汚染対策を所管する環境省としてこれにアドバイスをし、あるいは意見を しっかり申し述べると、こういう手順になっていくと思うんですね。
開設者たる東京都知事が、そこで市場を開設することについて安全であるということの資料を添えての申請といいますか、協議を農林水産大臣にまだしていな い状況にあるというふうに私は理解をしておりまして、そこのところをしっかりと、安全を基本にして卸売市場としての当否をしっかりと判断をするということ がなければならないというふうに思うのでございます。
実は私は、農林水産省時代に卸売市場課長を三年ほどやっておりまして、そのときに、築地市場の移転をどうするかというのは当時からの重大な課題でござい ました。衛生管理の問題あるいは物流の問題、いろいろな問題を考えながら、築地市場をどうするのかというのは当時から取り組んできた課題でありますし、こ れを大田市場の方に移転をするか、あるいはその他の地域に移転するかという場合も、当然移転先における食品安全の視点というのは整備計画上も欠かせない最 重要課題だというふうに認識しておりましたし、そのような認識は今農林水産省も変わっていないというふうに思うのでございます。
○福山哲郎君 さすが農水省出身の大臣でいらっしゃいまして、皮肉ではなくて、農水大臣のような御答弁をいただきまして、ありがとうございます。農水省の 方、松岡大臣にちゃんと今の答弁をお伝えをいただきたいと思います。
ただ、これは冗談は抜きでやっぱり非常に重要な問題でございまして、そこは慎重にも慎重を期していただきたいと思いますし、ある時点で法改正が必要なら 法改正が必要なことも含めて御検討いただきたいと思いますし、実はこの問題、もう一つ裏の問題として、この土地を一部はもう既に東京都が先行取得をしてい るようですが、今後取得をするときに、一体どういう取得価格で取得をするんだという議論が出てきます。その汚染状況の評価によってその土地の価格の評価が 変わるわけですよね。つまり、最終的には卸売市場が買うのかもしれませんが、東京都が取得するときに、それは税金で取得するわけですから、その価格を一体 どういうふうに評価するんだと。これはもちろんちゃんと適切な審議会をもってやるんでしょうけれども、そういったことも含めてこの問題は二重にも三重にも 課題を抱えておりまして、もう本当に安全の問題ですから余り軽々な議論で進めないように是非農水省さんにも、そして土壌汚染対策にかかわっておられます環 境省さんにもお願いをしたいというふうに思います。
次の質問に移ります。余り楽しいことではありません。
三月の十五日に北陸電力は、志賀原発で、一号機で一九九九年六月十八日に起こった臨界事故を国に報告せず、隠ぺいがあったと発表した。このことについて 政府は今、実態どのような把握をして、評価をどのようにされているのか、お答えいただけますか。
○政府参考人(青山伸君) この北陸電力での臨界の事故でございますけれども、昨年十一月三十日に、全電力会社に対しましてデータ改ざんなどがないかとい う点検を指示していた中で明らかになった事柄でございまして、今御紹介ございましたように、平成十一年六月十八日に北陸電力の志賀原子力発電所一号機で、 原子炉の停止機能の強化工事において機能の確認試験の準備として制御棒関連の弁を操作していたところ、三本の制御棒が部分的に引き抜き状態になったという ことで臨界状態になったことでございます。
この事故につきまして、原子力安全・保安院といたしましては、まず臨界事故という重大な事故を発生させたということ、それからその事故の報告を怠ったと いうこと、それから重大な臨界事故にもかかわらずその後の原因究明や再発防止に取り組まなかったことなどを重大な問題と受け止めており、厳正に対処しなけ ればならないと考えております。このため、北陸電力には原子炉を停止して安全対策の総点検を求めるとともに、改めて臨界事故の徹底的な原因究明と再発防止 に取り組むように指示したところでございます。
今後、北陸電力からの報告を受けてこの臨界事故について徹底的な調査を行い、原因究明と再発防止策を含め、国民に説明責任を果たしてまいるところでござ います。
○福山哲郎君 説明責任をそもそも果たしていなかったわけですけれどもね。今ごろ、もうはっきり言って七年も八年も前のことを今さら説明されてもという感 じなんですけれども。
これ、今回発覚した臨界事故の数日前に、定期点検中に、この志賀原発ですが、非常用発電機の部品にひびが入っていて、実はこのことがあったので、その直 後にこの臨界事故ですから、隠そうという、組織的なそういう何とも言えない思いが働いたんじゃないかということもある種推測できるんですが、この辺につい ては今国としてはどのように評価していますか。
○政府参考人(青山伸君) 御指摘のように、志賀の原子力発電所一号機におきましては、定期検査中の平成十一年の六月十四日、非常用ディーゼル発電機にひ びが発見されたということを当時の通商産業省に報告しております。この事象がその後発生いたしました今回の報告のあった臨界事故の隠ぺいに影響を与えたか 否かにつきましては、現在、三月三十日までに事業者から提出される原因究明に係る報告、これを踏まえて検討していくことといたします。
○福山哲郎君 実はこの志賀原発では、二〇〇六年ですが、タービン損傷の際に、安全であるとして運転を続けて、国からの指示があって初めて運転を停止をし て損傷が見付かったという事案もあるわけですね。
これ、組織として問題なんじゃないですか。国は今どう考えていますか、これ。
○政府参考人(青山伸君) 志賀の二号機についてでございますけれども、同じ形の蒸気タービンを有しております浜岡の五号機におきまして蒸気タービンの損 傷が複数確認されたということを踏まえまして、原子力安全・保安院では点検を指示したものでございます。
事業者である北陸電力におきましては、この指示を受けて直ちに点検計画を策定し、速やかに原子炉を停止したものと考えております。
○福山哲郎君 いや、だから組織として問題があったんじゃないかと聞いているんですが、どうですか。
○政府参考人(青山伸君) この蒸気タービンでございますけれども、当然ながら、経験を踏まえながらも新しい技術も導入すると、こういう形で進められてき ているものでございます。これについて、他の発電所で損傷が複数確認されたことを踏まえて停止して確認をしたということでございます。ということでござい ますので、対応を取られたというふうに理解をしております。
○福山哲郎君 それはさっき聞きましたよ。組織として問題があったんじゃないかと聞いているんです。
○政府参考人(青山伸君) このタービンの損傷でございますけれども、設計時に考慮が十分になされるような取組のない技術的な部分に基づくものとしての事 柄でございましたので、これを基に、現在、タービンの事故のあった部分の複数を取り外して運転に至るような作業が進められているということでございますの で、そのような対応ということでなされているということでございますので、対策において適切にその理解を進めて対応されてきているというふうに考えており ます。
○福山哲郎君 何が適切に対応しているのかよく分からぬですね。まあいいですわ。
例えば、じゃ、元に戻ります。この一九九九年の臨界事故ですが、今、年四回、通常は保安検査が行われています。八年間、なぜ今までこのことが明らかにな らなかったんでしょうか。
○政府参考人(青山伸君) 一つは、この事故が発生しました平成十一年でございますけれども、六月十七日から十八日にかけての深夜に発生した事柄でござい ました。事業者は運転日誌あるいは引継ぎ日誌に正しい事実を記録しなかった、さらには、平成十一年当時の通商産業省の運転管理専門官という者がおりました けれども、現在の私どもの保安検査官に与えられているような権限がなく、詳細な記録の確認を行える状態ではありませんでした。当時の体制ではこのような事 故を把握することは難しかったとまず考えております。
その後、平成十一年のJCOの事故の後、平成十二年に保安規定の遵守状況を検査するという保安検査の制度を導入する、それから保安検査官を現地に配置す るということで強化を行ってございます。それから、さらには、平成十四年の東京電力の不正問題の後、平成十五年に事業者の自主点検を定期事業者検査として 法定化し、記録の保存を義務付け、また罰則を大幅に強化するなど段階的な規制制度の強化によりまして、検査の強化、それから不正を抑制する仕組みの導入を 図ってきているところでございます。
なお、保安検査、現在私どもが行っているものでございますけれども、保安規定の遵守状況を確認するための検査でございまして、過去の処理の適、不適正の 確認を目的としているものではございません。
○福山哲郎君 それは分かりますよ。だから、いろんな検査やいろんな報告の導入をいろいろされてきたわけでしょう、いろんな不祥事のたんびに。でも、八年 間出てこなくて、何でじゃここで出てきたんですか。若しくは、八年間なぜ、今出てこなかった理由は、そうやっていたけど分かりませんでしたというんでしょ う。じゃ、今回なぜ出てきたんですか。
○政府参考人(青山伸君) 電力会社におきまして、そのデータの改ざん等がないかという総点検を行うという指示を昨年の十一月三十日にしているわけでござ いますけれども、そういう中で、各電力会社がそれぞれ、資料のみの確認ではできないような事柄について、例えばインタビューとかアンケートを取るなどの措 置により、これまで明らかになっていなかったことが報告されるようになってきたと理解しております。
○福山哲郎君 そうすると、いろんな不祥事が出てきて、ずっと検査だとか報告とか改善をしてきたけれども、そこは余り機能してこなかったということは認め るわけですね。
○政府参考人(青山伸君) お答えをいたします。
この原子力の安全の推進でございますけれども、やはり個々の事故あるいはトラブルについての適切に原因究明を行うということ、それから再発防止対策を講 ずるということ、さらにはその情報を共有するということが大切でございまして、そういうことについてこれまでの規制の改善の取組は役割を果たしてきている ということで、だんだん良くなってきているというふうに理解をしております。
○福山哲郎君 あなたの言っていること何言っているか分かんないんですよ。だって、出てこなかったんでしょう。それは至らなかったってさっき答弁したじゃ ないですか、そこは、見付けられませんでしたと。ということは、それはこの九九年の臨界事故を発見するなり、ちゃんと表に出すのには、それまでの仕組みは 機能しなかったということですねって聞いているんですよ。それはそうなんでしょう。
○政府参考人(青山伸君) 三月十五日にこういう報告を受けたという点で、そのとおりでございます。
○福山哲郎君 じゃ、今回はなぜ分かったんですか。正直に答えてください。
○政府参考人(青山伸君) 先ほども申し上げましたけれども、データの改ざん等の不正がないかという調査の中で、インタビューあるいはアンケートというふ うな形で、従来資料に残っていなかったことも、記憶に残っているかいないかというようなことも含めて調査を進めてきた結果だというふうに理解をしておりま す。
○福山哲郎君 ということは、内部でこんな問題が起こっていたんだよということを新たに表面化した方がいたということですね。
○政府参考人(青山伸君) さように理解をいたしております。
○福山哲郎君 つまり、そういう内部告発者がいなければ表に出てこないような仕組みというのは、やっぱり機能していないんですよ、今まで。これ問題なんで すよ、やっぱりそこは。
私は実は技術的には全く素人でございますが、今日、手元に、委員の方に保安院から御説明をいただいた資料をお持ちをいたしました。
これ、下のところでございますが、誤った手順によりF101弁を閉めたために矢印に圧力が掛かって制御棒が想定外に引き抜かれたと。この真ん中にある F101というのが閉まっていたので水が移動して制御棒が抜かれたということなんですね。
その下なんですけど、原子炉が臨界状態となり原子炉自動停止信号が発生したが、F101弁が閉まっていたこと、及びなんですよ、及び水圧制御アキュム レーターに圧力が充てんされていなかったため、直ちに制御棒が挿入されなかったってこれ説明を受けたんですね。
これ、実は二重に起こってはいけないことが起こっているんですよ。本来ならばちゃんと安全弁としてあるはずのこの水圧制御アキュムレーターも機能してい ないということになります。
それから、制御棒というのは、普通、一本抜かれる分には安全にできていると思いますが、それはいかがですか。
○政府参考人(青山伸君) 御指摘のとおり、制御棒は最大の価値を持つ、最大の制御能力を持つものが一本抜けても臨界には至らないというふうにできており ます。
○福山哲郎君 これ何で三本も一遍に抜けたんですかね。
○政府参考人(青山伸君) 委員御配付の資料のその下の方に、原子炉戻りラインへというところで、下の方に抜ける弁とそれから配管の図がございます。こち らが閉まっていた中で、F101という先ほどの弁が閉じられているという中で、八十九本の制御棒があるうち八十七本目の制御棒に作業をしたところ、 F102の方の、上の方に流れている矢印の方ですが、これの圧力がこの制御棒を引き下げるだけの力を有するに至って三本引き抜きの方向に動いたというふう に今は理解をいたしております。
○福山哲郎君 仮定の話は言いたくありませんが、これ三本でじゃとどまった理由は何ですか。
○政府参考人(青山伸君) これは三月三十日に提出される報告も踏まえて十分に技術的に検討しなくてはいけないところでございますけれども、この下の方 に、実はこれには記載をしてございませんけれども、こういう制御棒の駆動のための水を流す装置は大本は一本、一つのシステムでございまして、それが制御棒 の数だけ分岐をするという中での操作になりましたので、最後の方に至ってこの制御棒が下の方の、抜けるような力が加わるようなものに足し上げられていった というふうに考えております。
○福山哲郎君 それは偶然なんですか。つまり、三本のことも偶然であり、今の話もある種の偶然なのか、人為的にちゃんと制御するための、人為的な操作は働 いていたのか、そこはどうなんですか。
○政府参考人(青山伸君) 当然ながら、制御棒の操作に関する事柄でございますので、慎重に手順を踏んで進めると。その際の手順のルールというものを確立 して進めているというふうに理解をいたしておりますけれども、そのどこが間違っていたのか、手順書が間違っていたのか作業員が間違えているのかということ も含めて、詳細を正確に把握をしてまいります。
○福山哲郎君 私が申し上げたいのは、要は人為的な操作の中で起こっているわけです。すべてが機械化されている場合にはそれは設計の問題だとかいろいろ出 てくるでしょうけど、これ人が介しているわけですよね。人が介している中で、本当は一本までなら大丈夫なのに三本抜けたと。それに対してどう制御したかと いうことに対しても、どうそれを止めに掛かったということについても、実は僕はある種の人為的な操作をされたんだと思いますが、それが三本でとどまらない でもっと抜けていたときのその臨界のスピードだとかそういうことも含めて、先ほど僕が委員に説明をした二点のことも含めて、逆に人為的なことによる事故だ から僕は実は余計怖いと思うんですね。
つまり、どこでもあり得べしことなんじゃないかと。それがもし、その手順書が間違っているなんと言ったら、最初から問題じゃないですか。それを実は隠ぺ いをしていて、八年間も放置をしていたということは、それから先の事故に対する、何というかな、蓋然性みたいなのは非常に高いわけですよ。
私は、これを隠していたことというのは非常に大きな問題だと思いますし、この作業自身も問題で、実は私、技術的なことは先ほどから申し上げているように 専門ではないんですが、保安院に聞くと、もし臨界に達しても硼酸を入れることによってそこは最悪の状況は回避できるんだというふうに私は説明をいただきま したが、それは間違いないですか。
○政府参考人(青山伸君) 間違いございません。
○福山哲郎君 実はそこでも気になったんですよね。つまり、作業にかかわっている方々は、そういうもし臨界が起こっているような状況で自分の想定外のこと が起こって、手順書どおりにやっているのに違うようなことが起こったときに、本当に最後の硼酸をということの作業まで冷静にできるかどうかということに対 して、僕は、最後硼酸をやれば大丈夫だと言っていただいたからこそ余計、そこに居合わせている、作業されている方々のその精神的な動揺やパニックも含めて 大丈夫なのかなというのが僕にとってはやっぱり非常に不安だったんですね。
私は、事故があったことはもちろん責めなきゃいけないし、隠ぺいがあったことも責めなければいけないし、これは大変重要な問題だというふうに思います が、原子力政策自身に対するやっぱり不信感が本当に広がると。温暖化の問題があって、原子力はやはり温暖化に対してはきれいなエネルギーだという議論もも ちろんある中で、こういう状況があることは非常に私は遺憾ですし、厳正に対処してもらわなければいけないし、やっぱり処分するところは処分ちゃんとしなけ ればいけないと。もう徹底的に原因を究明してもらわないと、これやっぱり良くないと思うんですよね。
どうですか、実際にそのときの作業をされている方々のもちろん安全ももちろんあるわけですけれども、その方たちが冷静な判断で次の作業へ行けるかどうか ということも含めて、どうお考えですか。
○政府参考人(青山伸君) 先生御指摘のとおり、その発電所の運転に当たって、当然ながら安全の確保が譲ることのない大前提なわけでございまして、そうい う点で今回の事故につきましては原因究明、それから再発防止対策ということが取られていなかったということも含めて、安全対策の総点検を原子炉を止めて確 認をするようにということで進めてきているわけでございますけれども、私ども原子力安全・保安院では、常に国民の安全を第一に考える任務を行うという使命 感、それから科学的知見に基づいて合理的な判断、それから日々の業務執行状況の透明性、あるいは産業の利益追求をおもんぱかって判断しない中立性・公正性 という四つの行動規範に基づいて行動を行ってきているところでございます。
今回の事故につきまして、それから各電力会社に求めております点検の結果は三月末までに報告されるわけでございますけれども、データ改ざんということは 国民の信頼を失うことに、損なうことでございます。誠に遺憾でございます。特に、この事故については極めて遺憾であり、厳正に対処してまいります。
○福山哲郎君 もう時間もありませんし、またその報告書が出てから細かいことも含めてどういうふうに今後の対応をされるのか、国民の信頼を回復していくの か、従業員の皆さんの安全を確保していくのか等について、やっぱり地域の皆さんも不安で一杯だと思いますから、そこについては今後も議論をしていきたいと いうふうに思っています。
もうあと二分なので言いっ放しでやめようと思います。
予算の委嘱審査でございますが、京都議定書の目達計画関係予算案というのがあって、全項目のリストを見ると、いろんなリストが上がっています。これが本 当に温暖化に資するのかどうかという訳の分からぬ予算項目があるんですが、済みません、法務省、嫌らしいようで恐縮でございますが、法務省の国籍及び戸籍 事務等処理に必要な経費、渉外戸籍・国籍事務処理対策経費が何で京都議定書六%削減約束に直接の効果のあるものに含まれているのか、ちょっと説明していた だけますか。
○政府参考人(後藤博君) 渉外戸籍・国籍事務処理対策経費には、法務局において帰化事件等の調査を行うための乗用車の購入経費が含まれております。これ は、外国人から日本国籍の取得を希望するための帰化の許可申請がされた場合に、法務局において、その申請者が国籍法の定める帰化条件を満たしているかどう かを調査する必要がございます。その中には申請者の自宅、近隣、勤務先等に法務局の職員が赴いて行う調査も含まれております。これを機動的、効率的に行う ために乗用車が必要でございますけれども、乗用車を購入するに当たっては、CO2削減に寄与するため低公害車の予算措置を求めているものでございます。
○福山哲郎君 別に僕これ、この中ね、実は温暖化に資する予算項目案って一杯項目があるんですよ、各省庁。ちょっと怪しいの一杯あるんですけれども、今一 番分かりやすいのを私は申し上げたんですが。
そのもう一つに、登記の審査等事務に必要な経費で、これ温暖化に非常に効果のあるもののリストになっていまして、これ両方合わせてさっきので一億五千万 ぐらい計上されているんですね。確かに省エネの自動車を買うのなのかもしれませんが、やっぱりこれを京都議定書六%削減約束に直接の効果があるものの予算 の中に含まれるのは私はいかがなものかなと思っておりまして。
こういう項目はたくさんありまして、二年か三年前の予算書では法務省は実は刑務所の整備費が温暖化に資する経費に入ってたりしてるんですが、それ言い出 すともうほかのもあるんで切りがないんですが、やっぱりこういうことは私は予算の策定上はやめていただきたいなと思っておりまして、これはもう環境省の問 題ではありませんが、温暖化の対策だといえば予算が付くみたいな話はやっぱり余り良くないので、そこは本当に温室効果ガス削減のために純粋に効果のあるも のをちゃんと吟味してやっぱり予算の項目に入れるように各省庁御努力をいただきたいと思います。
それだけ申し上げまして、今日の質問を終わります。どうもありがとうございました。