05/10
2005
第162国会 参議院 環境委員会 2005年5月10日
廃棄物処理法改正案質疑
○福山哲郎君 おはようございます。民主党・新緑風会の福山でございます。
阿部委員から大変厳しい本質的な質問が出まして、与党の先生方の意気込みを拝聴いたしまして、力強く感じているところでございます。我々も厳しくやりたいと思いますが、根が優しいもので、ゆっくりやりたいと思います。
ちょっと事前の質問していないんですけれども、廃掃法の質疑は私も毎年のようにやっています。十五年、十六年、十七年と三回連続でやらせていただいておりまして、いつまでたっても余り本質的に変わらないなと思って残念に思っているところでございますが、小池大臣、不法投棄ってなぜ行われると思われますか。
○国務大臣(小池百合子君) 不法投棄は残念ながら増加しているというような指摘もございます。
今お配りいただいたのはその表なんでしょうか。
○福山哲郎君 いや、関係ありません。
○国務大臣(小池百合子君) これは違う、はい。
例えば、小さな規模の不法投棄であったとしても、それがそのまま見過ごされることによって、あ、ここには不法投棄してもいいんだなというような感覚から、そこがいつの間にか大きなごみの山になっていくというようなことがよくあるわけでございます。かつて、ジュリアーニ・ニューヨーク市長が破れ窓の理論というのをおっしゃいました。それによってドラスチックにニューヨークの安全が守られるようになった。これは正に不法投棄にも同じことが言えるわけで、ですからできるだけ初期の段階でその不法投棄を見付けて、そしてそこで取り除いていくということをしていくと人間の心理として捨てにくくなると。ある部分ではモラルというものに訴え掛けるということもありますけれども、しかしながら、やはり一度見逃していくと、そこはいつの間にかごみの山になって、それが不法投棄の大きな事例につながっていくというのが、これが繰り返されてきたというふうに思っております。
そのためにも、不法投棄撲滅アクションプランということで、撲滅という言葉を使わせていただきました。昨年の六月に策定したものですけれども、まずはその柱の一つに、身近な散乱ごみの対策を強化しようというのは、正にその破れ窓理論から発想を得ているわけでございます。
そのほか、この不法投棄に結び付くのは、よくリサイクル法で言う、いわゆる先ほどの御質問ではありませんけれども、有料化をしたことによって逆に不法投棄につながっているという残念な例もないことはないわけですけれども、そういった不法投棄をできるだけ小さいところからそれを正していくということによってそういったことも防いでいくことができると、このように思っております。
ちりも積もればごみとなると、いえ、ごみとなるではなくて山となるという、正にその例ではないかと思っております。
○福山哲郎君 確かに、どこかに不法投棄があって、ここに捨てていいんだなといってそこに集まってくると。大臣がそこの本質を分かっていただいているんで少しほっとしたんですが、じゃ、なぜそうなるか。ちりも積もって少し不法投棄をされているものがなぜ撤去されないのかということが問題だと思っているんですね。
私の地元に、実は京田辺市という市があります。ここは、何と市が把握しているだけで不法投棄されている箇所数が百十三か所、これ平成十六年で百十三か所です。そのうち頻繁に不法投棄される、先ほど大臣が言われた、あそこごみ捨ててあるからいいやといってどんどんどんどんみんなが頻繁に不法投棄をするようになっている場所が、百十三か所のうちの九か所あります。そして、更に大きくなると、産廃も含めて、いわゆる環境省が把握をされるであろう十トン以上の産廃の不法投棄箇所が実は三か所ございます。これ、わずか一つの市でこれだけのものがあるわけですね。それで、大住内山地内とか三山木芝山地内とか天王大尾地内とか本当に三か所大きな場所があって、産廃、建築廃材、それからいわゆる硫酸ピッチ等も捨てられていて、京都府が対応したわけですけれども。
なぜこうなるかというと、まず最初にごみを捨てられているところの土地の所有者は、被害者意識があるんですよ。だって、自分の土地に物が捨てられるわけだから。撤去費用自己負担なんですよ。被害者意識があるのに、何でおれがこのごみ、だれかに捨てられたか分からないのにおれが金出してこれを撤去しなきゃいけないんだと、やっぱり思うわけですよね。これでまず遅れるわけです。それから、さくをじゃ設けて防止をしましょうという、これも私有地ですから自分の負担になるわけです。これ、何で人のごみを捨てられるのを自分の金でさくを、防止して自分で守らなければいけないんだという議論になると、これもやっぱり遅れるわけですよね。
それから、正に次が大臣の言われたことで、その不法投棄された箇所に、早く撤去しなきゃいけないんだけど、それを土地の所有者は何で何で何でと言っているうちに、大臣の言われたように、あそこ捨てられるんだといっていろいろなところから集まってきてどんどんたまってくるわけです。その不法投棄の現場が大きくなればなるほど、土地の所有者はもうそんなお金自分が出す必要ないと思うわけです。ところが、行政も実際そこにお金が出せるかというと出せない。そういう状況の中で不法投棄がどんどん繰り返されます。行政の持っている土地とか市の管理地の不法投棄ならば速やかに撤去することができるけど、民有地だとなかなかそこは時間が掛かるんですよ。
つまり、大臣言われたちりも積もればというのは、具体的に制度的に限界があるんです。だって、持っている者にしたらたまらぬでしょう、それは。何でおれが金払わなきゃいけないんだと。じゃ、この不法投棄した人間を早くとにかく取っ捕まえてくれと、取っ捕まえて損害賠償請求なりなんなりしたいといったって、なかなかそこは警察も把握できない。こういう本質的な問題があって、一つの市でも百十三か所というような、大中小合わせてですが、こういう現場が起きてくるわけです。
これが全国にあちこちで広がっていって、先ほど大臣も言われたように不法投棄なかなか減らないと、こういった本質的な問題があって、そして実は環境省が国として把握している十トン以上のもの、不法投棄というのが毎年毎年千件ずつ見付かるんです。これは千件ずつ顕在化をするんです。いいですか、新たにできたとかじゃないんです。毎年、これおかしいんですよ、実は環境省の数字。平成十二年千二十七件、平成十三年千百五十件、平成十四年九百三十四件、平成十五年八百九十四件、ちょっと減っていますという議論されるわけです。違うんですよ、これ。新たに見付かったところが毎年安定的に千件ずつぐらいあるということは、千件ずつくらいが顕在化をするということなんです。分かります。つまり、これで減ったとか増えたとかいう議論はそもそもできないんですね。こういう状況があるということについて、大臣はどう思われますか。
○国務大臣(小池百合子君) 私も省内でそういった数字、年々の推移を見せてもらって、今の傾向とかいろいろ議論をいたしております。ただ、これは我々がある意味で一生懸命やればどかっと増えるんですね。だから、撲滅プランというのは、やりようによっては何も探さなければむしろないことになるんだけれども、それはただダチョウが頭隠して自分だけが見ないふりをしているというのと同じこっけいな状況になってくるというふうに思っております。
また、今御指摘ありました正に顕在化しているか否かの数字でありまして、毎年度発表しておりますこの実態調査の結果というのは、過去に不法投棄されていた事実が、その年度になって新たに把握したものを取りまとめている数字でございます。しかしながら、じゃそれはまず顕在化を明確にしていく、そしてその次にそれをどのように対応していくかというのはそこから決めていくわけでございますけれども、その意味で早期発見というのは重要なことでございまして、その意味で許可業者とか許可施設への立入検査のノウハウを提供していく。
先ほどありましたのは、全然知らない人が自分の土地に捨てていってしまうという例を挙げられましたけれども、一方で、不法投棄が、その業者が持っている土地にまだこれは作業中ですとかいろんな理由を付けてやっている例が実は極めて多いことも事実でございます。
そういったことで、その許可業者、許可施設に立入検査をするというのは重要な話でございますし、またそのノウハウを環境省として提供する。それから、産廃アカデミーなどで担当職員の資質の向上をしていくということ。それから、先ほど申し上げましたけれども、不法投棄ホットラインなどによって住民の方から通報してもらうという、それによって迅速な対応が取れるようにしていく。さらには、せんだって、この法律改正をしていただきましたけれども、このたび環境省として地方環境事務所を置くことになりました。より機動的な対応ができるというふうに考えておりまして、また警察を始めとした関係機関との連携も強化していく。
今御指摘ありました、この顕在化したにすぎない数字を云々することよりも物の本質を見るべしというような御質問だったと思いますけれども、その本質から考えまして、まず早期発見ということのために今申し上げたような方策を考えているところでございます。
○福山哲郎君 最初御発言をされた、一生懸命やればやるほど顕在化する数が多くなって、何もしなければ何も出てこないという話は聞き捨てならなくて、もし本当に環境省が一生懸命やって顕在化する数がどんどん増えて摘発が出れば、それだけ不法投棄の、現実にやろうという者に対する抑止力は働くわけです。大臣がそんなことを言っちゃ駄目ですよ。そんな言い方しちゃ駄目だよ。それは、こういう安定的に千件ずつ出てくるような形じゃなくて、本気でやるんだったら、どこかで顕在化すれば、それは逆に言うと国民は認めるんですよ。それを、何もやらなければ出てこないじゃないかみたいな話は僕はけしからぬと思いますよ。それで、だから、こういうふうな、何か安定的に千件ずつぐらい出てくるようなこういう調査の状況でいいのかというふうに私は聞いたわけですよ。それに対して、まあ私は失礼な答え方だと思いましたけれども。
じゃ、もう一回聞きます。それで、頑張らなきゃいけないという話は長々とお話をいただいたんでよく分かりましたけれども、こういうふうな調査の仕方で、じゃ適当だと、これでいいんだというふうに大臣はお考えなんですね。
○国務大臣(小池百合子君) 今申し上げたのは、正に顕在化しているかどうかの数量であって、そしてその本質論を見なければならないということを申し上げたんであって、ですから、そこの、今どれぐらいの分量があるかということの過多だけで、それで問題の本質を語ってはいけないということで申し上げたんであって、むしろ探さなければいいということを言っているわけでは全くないわけです。
そのために、今回、より地域に近いところに環境事務所を置き、そしてその通報システムを整えようとしているわけでございますから、むしろその早期発見のために、これまであった不法投棄について全国でできるだけ多くまず発見していく。もちろん、その前にはどうやって不法投棄を止めるかという議論があるわけでございますので、今私が申し上げたのは、そういった御質問の、この数値の問題についての御疑問があったのは正にそのとおりだということを申し上げたわけでございます。
○福山哲郎君 大臣の言われた立入検査も、実は十一万件とか十二万件のレベルで立入検査されているわけですよ。でも、顕在化しているのはその百分の一なわけです。そういった点が私は問題だと思っているんですが。
二点目、各委員の方にお配りをしたペーパーがありますが、ちょっと見ていただきたいと思います。これは中央環境審議会や環境省の資料によって作成をしたものですが、これ実は、今大臣が言われた正確に把握をしなければいけないという話とはちょっとずれた話になります。
一番下の、ちょっとややこしいんですが、十四年度を見てください。十四年度の四月の一日、年度初めの残余容量、いわゆる産廃、最終処分がどのぐらい受け入れられるのかという残余容量が一億約七千九百万トンになっています。年度の新規の埋立て容量、要は新規に新たに最終処分ができる量が増えたのが一千百万トンになっています。そうすると、普通に考えれば、この平成十四年度で、一番下ですが、足し算をした年度の総埋立て量というのは一億九千万トンに約なるわけです。最終処分量がここに実は四千万トンあるということは、一億九千万トンから四千万トン最終処分したということは、一億五千万トンが実は残余容量のはずなんですね。分かります。ところが、年度末の残余容量は一億八千万トンになっているんです。この数字、ちょっと見にくい数字なんですけれども、よくお分かりいただけますでしょうか。
つまり、環境省が出している数字でいうと残余容量が一億八千万トン実はないはずなんですよ。だって、最終処分は四千万トンしているんだから。ところが、残余容量が一億八千万トンあって、実は、このデータでいうと約三千百万トン誤差が生じているんです。三千百万トンというと、ほぼ年間の七割方の産廃の処分量のデータに誤差が生じるわけです。
つまり、こういう状況をつくっていて、さっき大臣が言われた、正確に把握するとか早くするとかというものよりももっとでかい話でこれだけ誤差が生じていることについて大臣はどうお考えなのかと。なぜこんな誤差が生じるのか、お答えをいただけますか。
○政府参考人(南川秀樹君) 事務的な部分ございますので、御説明させていただきます。
今の福山委員のお話ですと、残余容量が一億八千百万立米ですか、これが本来ならば一億五千万であるべきだと、比重が一とした場合ということだと思います。それについては御指摘のとおりでございまして、私ども、こういう問題意識、非常に何年か前から持っております。私ども、この職に就任しましてからおかしいという問題意識持っておりまして、これについて手は打ちつつございます。
ただ、計算上の問題でございますけれども、こういったその数字の違いが出てくるということについては、一つは集計方法が最終処分量が推計だということと、残余容量は処分業者からの報告ということで、若干の誤差が出るということはある程度はやむを得ないと思います。
ただし、大きな要因としましては、例えば昭和五十二年以前に設置された処分場、これについては実態がはっきりしません。それから、ミニ処分場、これは安定型処分場であれば三千立米未満、管理型であれば千立米未満で平成十年の前に設置されたものがございますが、これについても、許可制度等ございませんので実は実態が分かりません。ですから、大変多くがむしろそこに流れ込んだんじゃないかというふうに認識をしておったところでございます。しかも、それは、そういうことでございますから、十分な環境保全上の管理もされてないだろうと、本当に不法に投棄され、なおかつそれが非常に不適正な処理だろうということだと思います。そういったこともございましたので、私ども、一つは、今年の四月からでございますけれども、処分場を持つ者には必ず残余容量の定期的な把握とそして報告を義務付けたところでございます。
それからもう一点は、さっき申しました古い処分場あるいは小さな処分場でどれだけあるか分からない、どう捨てられたか分からないということでございますが、これについてはなかなか把握が難しいんですけれども、規制を強化しまして、新しい処分場と同じような形の水処理とかできるようなことでなければ、それを発見した場合にはそれを取り締まれるというふうにいたしました。したがって、これは離島などを除けばすべてこの規制を強化、四月からしておりますので、私ども、これについてかなり取り締まれると思っています。
福山委員の御指摘は、私ども、以前から承知をしておりまして、私どもとして打てる手は四月から打たせていただいておるというつもりでございます。
○福山哲郎君 私は、事務方、環境省の皆さんが努力をしてないとは申し上げません。一生懸命やられていると思いますし、産廃行政はこれまでの歴史的な経緯がいろいろありますから、それは本当に御努力はいただきながら厳しいんだというふうに思っておりますが、是非こういう大きな誤差を徐々にでも縮めていっていただいて、先ほど大臣が言われた、実態把握をより詳細につかめるような形、そうすれば、より適切な僕は行政措置ができるというふうに思いますので、そこは御努力をいただきたいというふうに思います。
もう一つなんですが、じゃ、その実態把握の手段として大変重要だと言われている、いわゆるマニフェストなんですけれども、これもよく前から前から議論されているんですが、平成十二年八月の厚生省令の附則の経過措置によって、排出者の報告が実は適用除外になっているんですね、経過措置の中で。この排出者の報告が適用除外となっている理由は何か、お答えをいただけますでしょうか。
○政府参考人(南川秀樹君) これにつきましては、残念なんですけれども、平成九年に制度化をして、そのマニフェストが排出者から都道府県あるいは市に来るようにという措置をしたところでございますけれども、全体で、オールジャパンで四千五百万件程度あるということで、一つの県に割れば四千五百万ですから約百万ですか、そういうことになるわけでございます。それで、一件につき六枚とか七枚入るわけでございますので、そういった枚数について都道府県に送ってこられても、都道府県もどうしようもないということで、何とかもう少し処理がしやすくなるまでは待ってほしいということがございました。
そういうことで、かつて十二年に、しばらく延ばすという措置をしたと伺っております。
○福山哲郎君 その理由は一義的には私も理解をしますが、それからもう実は七年もたっているわけですね。
更に言えば、廃棄物処理業者の業務実績報告も実は廃止をされていると。その理由もちょっとお聞かせをいただけますでしょうか。
○政府参考人(南川秀樹君) まず、廃棄物処理業者の業務実績の廃止につきましては、これは省令という形で、余り法律に根拠を置かない形で置かれておりました。本質的に好ましくないと私は思います。ですから、やるんであれば法律にちゃんと盛り込むべきだとむしろ思っております。ただし、これにつきましては、経緯だけ調べたところでございますけれども、これについては結局、自治体にとっても、もらっても負担になるし、事業者も負担が大きいというようなことがあったようでございます。
ただし、これについていいますと、なかなか独立省令自身が現在、これ私、法律的に好ましくないと思っておりまして、むしろ、私どもとしては立入検査あるいは報告徴収で、できるだけ県あるいは市がもらってもらうようにと、情報を集めるようにということで督励をしたいと考えております。
○福山哲郎君 そこはこれ、事情は、県がそれもらってもどうしようもないと。私もこれ、諸先生方も見られたことあると思いますが、電子マニフェスト、こんなのが百万枚も都道府県に来たって一々全部チェックできるわけではないという事情は私も理解をしないわけではありません。でも、だからといって、それが理解をされない部分、いろんな業者間での不正の温床になっていることも私は事実だと思うんですね。
ですから、そこは是非法律上もう少し工夫をしていただくことと、だからこそ電子マニフェストという議論が出てきているんじゃないかなと思うんですけれども、そこについては南川さん、どうお考えですか。
○政府参考人(南川秀樹君) 最初に、福山委員から御指摘ございました排出者のマニフェストの報告でございます。
これは、やはりできるだけ早く、都道府県なりに報告が行くようにというふうにすべきだと私は思います。
ただし、紙で百万枚掛ける六でもらってもなかなか確かに大変なことは事実でございますので、これについては、電子マニフェスト化が普及すれば電子情報で送れますから、非常に整理もしやすいということもございますし、また、それがすぐにできなくても、読み取りのような形で、例えば処理業者が紙ベース、紙マニフェスト情報を電子化して情報処理センターに出せば、それも含めてそこから都道府県に送るというようなことも可能でございますので、何とかそういう方向を早く出して、これについては省令を改めてできるだけ早い時期に都道府県に報告が行くようにしたいと思います。
○福山哲郎君 是非その都道府県へ報告行くことの、何というか、早急に整備をしていただきたいんですけど、今部長がそこまで思い切って答えていただきました。大臣ちょっと、今の話にちょっと決意をいただきたいんですけど、大臣にもう一回、済みません、確認をしておきたいんですね、早くこれをやりたいということをですね。是非大臣お答えください。
○国務大臣(小池百合子君) 以前もこの廃掃法の改正の際に電子マニフェストの普及ということについてお尋ねがあったかと思います。やはり、これは一気通貫をすることで意味が出てまいりますので、より多くの方が、いろんな段階の方々が参加をしていただくことによってその効果がより的確に出てくるということでございます。
電子マニフェストをできるだけ早く業者の方々にお使いいただけるように、例えばソフトを工夫をするとか、それから私も、今大臣室の机の、デスクのコンピューターにその電子マニフェストの入力のアドレスも入れて、自分でやってみたりもしております。何が使い勝手が良くて悪いのかとか、そういったこともよく考慮しながら、使う人の身にもなって、そういったソフトの開発ということも一つ考え方かなというふうに思って指示をしているところでございます。
是非ともこの電子マニフェストを、できるだけ早い時期にこれを皆さんがお使いいただけるような、そういう普及ができるようなそういう努力を重ねてまいりたいということをお伝えしたいと思います。
○福山哲郎君 ごめんなさい、大臣、電子マニフェストの御決意をいただいたのは有り難いんですが、私が申し上げたのは、まずそのマニフェストにしても電子マニフェストにしても、まず都道府県に報告をするということに対してどうなのかと。今、都道府県への報告がないんですね。つまり、その分だけ紙で来たら都道府県は大変だけれども、それで電子なりいろんな情報処理センターなりを利用しようという話なんですが、今大臣が言われたのは電子マニフェストの普及なんですが、そのマニフェスト自身、排出者の報告義務みたいなものをちゃんと都道府県に介在をさせる、都道府県にちゃんと経由をするようにするということに対して南川部長も大分思い切って御答弁をいただいたので、そこについての御決意をいただきたかったのですが。
○国務大臣(小池百合子君) 今年の三月三十日、都道府県などにこの電子マニフェストの普及促進方策ということも送付をさせていただいております。それぞれ……(発言する者あり)えっ、違う。
都道府県との連携を持ってこの電子マニフェストをしっかりと行っていくということが重要だと、このことを認識をしているということをお伝えしたいと思います。
○福山哲郎君 少なくとも排出者が知事に、自分の都道府県に排出者がちゃんと報告をするようなことに対して積極的にされる意思があるかどうか、これから法律の整備、義務化も含めて整備する御意思があるかどうか、お答えをいただけますか。イエスかノーかで結構です。
○国務大臣(小池百合子君) 先ほど南川の方からお答えさせていただいたとおりでございまして、それをしっかりと進めさせていただくように後押しをしてまいりたいと考えております。
○福山哲郎君 もういいです、それで。今日の委員の皆さんが聞かれていたと思いますから結構です。
で、電子マニフェストについてはもう大臣が今お話をいただいたので、多分私が聞いたらまた同じ答えだと思うんですが、よく話が出ました。まだ二%という普及状況です。これ、義務化はなぜできないのか、お答えをいただけますでしょうか。
○政府参考人(南川秀樹君) 二%ということでございますが、件数でいいますと現在百十四万件ということで、スタートの八千件から比べるとかなり増やしてはきております。
ただ、義務化そのものにつきましては、やはり中小零細企業にとって、ノウハウの問題あるいはコストの問題、人手の問題ありまして、制度論としては非常に難しいと思います。ただし、業者さんも、電子マニフェストを持っている方が受注しやすいという問題意識は、私ども広めてまいりまして、相当持っております。
それで、コスト的にも、例えば収運業者、収運で処理まで考えれば、瓦れき辺りで、例えばトン当たり四千円とかすれば、十トン積めば四万とかそういうことですし、もっと高いものであれば、十トン車で載せればそれこそ二十万、三十万になるわけですから、そういう意味では、是非その電子マニフェストを入れて信用を高めたいという業者さん多いことは事実です。必ず、かなりそういう意味で勉強される方が多いものですから、何とか易しいノウハウを早くつくって、そういう業者でなければ実際やっていけないというふうにしていきたいと思っております。
○福山哲郎君 もうそれはおっしゃるとおりでございまして、電子マニフェストを使っている業者が優良業者で、そこに渡せばある程度信頼が置けるんだという実績がどんどん積み重ねれば自然にそういうインセンティブは働くと思いますから、それは是非そのようにやっていただきたいんですが、ただ、これ、僕悪いことだとは全然思わないんですけど、これ全国の産廃の協会でこの紙マニフェスト、これ、大臣、一枚幾らか御存じですか。これ、二十五円するんですよ。これ、業者に売って、これでやっているんですね。
そうすると、四千万枚と先ほどから出ていますが、これ十億円のやっぱり協会にとっては収入源になっているんですね。片方ではそういう協会がこれを十億円で収入源にしていて、それで片方で電子マニフェストを普及しようといっても、それはなかなか、各都道府県の産廃協会にしたらこれ売った方が収入源になるわけですから。それ自身は、私は産廃の業者の方に対するいろんな知識の普及とか、いろんな国の制度の普及でこの協会の皆さんが頑張っているのもよく分かっているんですが、もう少し電子マニフェストに対して、先ほど南川部長が言われた優良だからそっちへ仕事がより増えてくるんだということにプラスアルファの何かインセンティブを渡さないと、やっぱりスピードが、普及のスピードが上がらないと思うんですが、どうでしょうかね。
○政府参考人(南川秀樹君) まず、全産連のその問題でございますが、全産連、大体全部で六万五千程度業者はおります。その中で全産連加盟が約一万五千程度でございまして、どれだけその全産連が作っているマニフェストを使われているかは分かりません。ただ、私ども承知している限りでは、全産連の方はほとんどが、その金で食っている方はほとんどいなくて、むしろ広報誌を作ったりしているということでございますので、後ろめたいことではないと思います。
それで、もちろんその上ででございますけれども、私ども電子マニフェストを是非普及したいと思っていまして、単にその方がもうかるからということだけではなくて、やはり幾つか普及策を出したいと思っております。具体的には、例えば少量排出事業者向けの料金設定とか団体加入割引など、そういった料金の体系の見直し、それから加入時の事務手続の合理化、迅速化、それから情報処理センターにおいて行政報告の簡素化の支援をするといったことで、具体的な目に見える支援というものも強めていきたいというふうに考えております。
○福山哲郎君 もうそのとおりだと思います。私、別にこれが後ろめたいお金に回っているというふうに申し上げる気はありません。
ただ、今、南川部長が言われているように、別の観点のインセンティブを与えていただきたいので是非工夫をしていただきたいし、もう先ほどから答弁として言われました都道府県の処理実績報告、今の情報処理センターを活用するという話を二度ほど今御答弁でいただいたんですが、もう一度確認をしたいと思います。情報処理センターをまず活用して、この電子マニフェストの普及について補完体制を整備するという点について、もう一度だけ御答弁いただけますでしょうか。
○政府参考人(南川秀樹君) 処理業者さんたちが紙マニフェスト情報を電子化して提出するという場合には、情報処理センターにおいてこれと電子マニフェスト情報を統合して都道府県、市などへの電子報告を行う仕組みということの準備をしておりまして、可能な分野から是非平成十八年度中にも導入できるようにということで検討を急ぎたいと思います。
○福山哲郎君 是非頑張っていただきたいと思います。
それから、私は、この電子マニフェストがなかなか普及しないのに、参考人の皆さんが実はこの間の審議でよく言われた、GPSやICタグの活用の廃棄物追跡システムの導入という議論がよく参考人から出たんですが、実際としてはどの程度の現実性があるのか、よく僕には分かりません。参考人の先生方からは是非というようなお話が、多分四人のうちほとんど全員の方が言われたと思いますが、今、環境省は、そのGPSやICタグを活用したシステムについてはどのように認識をされているのか、お答えをいただけますでしょうか。
○政府参考人(南川秀樹君) このグローバル・ポジショニング・システムとかICタグでございます。これは画面とセットになります。そういう意味で、どこに、例えば物を頼んだ事業者から、排出者から見れば、今自分が頼んだごみがどこにいるか、それが自分のパソコンでセンターにつなげば分かるということで、非常に、一々跡を時々抜き打ち的につけなくても分かるという意味で、大変意味があると思います。
ただし、まだこれ自身がモデル実験中でございますし、いろいろ試験をやっているところでございます。一部、ナショナルとかそういった企業ではモデル的な施設を造っていつでも使えますということをやっておりますけれども、ちょっとまだこれを普及すると、普及してやることについて決断は至っていないというような状況でございます。
取りあえず私どもとしては電子マニフェスト化を急いで、それがかなり普及すれば、その上にこういったものをプラスアルファするような形の普及を考えていきたいと、そういう段階だと思います。
○福山哲郎君 システムとして有効なのは私も分かりますが、余り屋上屋を重ねるということがどうかとも思いますし、お金も掛かりますので、そこは実態に応じて、モデルケースとしていろんなところでやっていただくのは結構だと思うんですが、そこは優先順位をしっかり、ちょっと環境省の中でもいろんな有識者の方の意見も聞きながら進めていただければなというふうに思っているところでございます。
それで、私は実は青森と岩手の不法投棄の現場も行ってまいりました。この間の岐阜の例もそうなんですが、青森、岩手の場合には、千葉や茨城や栃木や東京近郊の産廃が岩手や青森に行っていると。やっぱり、先ほどの話に戻りますけれども、実態把握をして、その後にはやっぱりある種、各都道府県の中で自己完結できればそれはそれで一番いいのかもしれませんが、それができない場合に、やはり東京のものを青森、岩手に持っていくというよりかは、やはり広域的に何らかの形で産廃は産廃、一廃も含めて総合的に処理できるような仕組みがやっぱり要るんじゃないかなというふうに思っているんですが、そういう広域的な廃棄物処理についての今のお考えをお聞かせをいただけますでしょうか。
○政府参考人(南川秀樹君) 委員御指摘のとおり、東京のごみを例えば青森で処理するとかあるいは九州で処理するということについては、余りにも遠いと。その間にいろんな問題が生じないとも限らないと思いますし、非常に監視もしにくいと思います。そういう意味で、やはりできれば各都道府県において受皿を処理して、自県のものは自県でということが望ましいと思います。
そのために、私ども、一部でございますけれども、県が産廃処理センターを造って、廃棄物処理センターを造ってそこで産廃処理施設の整備を行うことについての支援というものを行っておりまして、これまで最終処分場については九施設、焼却施設については七施設の支援を行ってきたところでございます。
ただ、なかなか県だけではうまくいかないところもございます。例えば関東近辺を見ても、栃木県とか山梨県については管理型の埋立て処分場は官民含めて一件もございません。いろいろ難しい事情はあると思います。ただ、そういうことでもう少し広げて、大都市圏においてどうやって処理するかということが大事だと思います。
近畿圏におきましては、フェニックスという形であのような神戸沖とか今大阪沖、埋立てもしていますけれども、大規模な施設を造ることについて合意ができて、埋立ても行われております。ただし、たまたま実は例外的なことでございまして、特にその問題が大きい首都圏についてはそういう体制がないということで、非常に大きな課題があると思います。
そのため、私ども、大都市圏における産廃処理の体制をきちんと確保したいと思っておりまして、実際に最終処分場がどれだけあるか、あるいは中間処理施設がどれだけ整備されているか、それから産廃の種類ごとの排出状況、広域度状況、それから今後の処理施設の整備の動向ということの分析を今進めております。そして、その処理が遅れて処理施設がやっぱり必要というところについては、私どもも支援をしながら、余り広域にならないでやれるような体制をつくっていくように努力をしていきたいと考えております。
○福山哲郎君 いや、これ、さっきからの話の続きになるんですけど、実態把握をすればするほど現状が厳しくなると。現状が厳しくなって、なおかつ処理施設を含めて、今の南川部長の話ではないですが、いろんな体制整備を含めて環境省もやっていかなければいけないと。これ、時間も人も含めてこれは相当やっぱり腹くくってやらないと、先ほど阿部委員から未来に向けてという話がありましたけれども、今までの延長線上でこの不法投棄なり廃棄物の問題というのはなかなか議論、解決に向かわないんじゃないかなと私は思っておりまして、努力は多としますが、やはりこれ大臣、やっぱり大臣の政治的な意思が重要なんですよ。大臣が、例えばいつ内閣改造になるか分からないからまあみたいな話じゃ駄目なんですよ、これはやっぱり。本当に長期的にわたって、どこかの時点で大臣が替わろうがずっとこの問題については積極的にやっていくんだという意思が要るんですけれども、大臣、いかがですかね。
○国務大臣(小池百合子君) 先ほどの阿部先生のお話にもございました。先生は有料化のお話ございましたけれども、目の前のテクニックの話も重要でありますけれども、やっぱりこの国が何を向けて、そして何をすべきで、そこのフィロソフィーは何かというような、そこを先ほどもずっと問うていらしたのではないかなというふうに思います。今の御質問も同じことだろうと思っております。
やはり、せんだってのスリーRの会議も、やはりホストをするからにはなんと言うとまたしかられるかもしれませんけれども、その気概を持ってやらなければならない。気概というのも単にモラルの話だけかもしれませんけれども、やはり大きな目標、それは循環型社会を形成するんだという大きな目標に向かって、そのためには何をすべきかというような、そういう方法論で詰めていきたいと思います。
ただ、一方で、現実に職員数が少ないとか、あるいは予算がなかなか小さいというお話も現実にはございます。ただ、それを、先ほど申し上げたそういった目標のために最も効率的にどうすべきかということも財政当局に対してもしっかりと訴えていくことが必要かと思っております。そうすることによって私の後に続く方がまたしっかりと仕事をしていただけるものだと思っております。
○福山哲郎君 まあいいです。
また、この法案で実は重要な問題がありまして、例の、余り目立ちませんが、無確認の廃棄物の輸出に関してですが、未遂罪と予備罪の創設が規定をされているんですが、今までは無確認でいろんな輸出の申告を手続をしても、実際船に積んでも、その時点で、見付かった時点でその手続を全部やめにしたら罪に問えなかったということで未遂罪ができたと思うんですが、未遂罪はどういった状況でどういった要件で成立するのか、お答えをいただけますでしょうか。
○政府参考人(南川秀樹君) 無確認輸出の問題でございます。
従来から無確認で廃棄物を輸出した者についての罰則というのはあったわけでございまして、委員御指摘のとおり、輸出のための船舶に廃棄物を積み込んだ段階で環境大臣の確認を受けていなければ、これらについては罰則が掛けられていたわけでございます。ただ、これですと船に載っけてからしか摘発できないということがございまして、役所で言うと要するに海上保安庁の世界だったわけでございます。したがって、通関の場合は、税関にしても、通関の手続も基本的には財務省の税関で管理をしておりまして、やはりそこの段階でその取締りができないとなかなかその効果が出ないというふうに思います。
したがって、私ども今回は、今回の法改正でございますけれども、未遂罪とそれから予備罪というものを二つ設けたいというふうに考えておるところでございます。
それで、未遂罪といいますのは、具体的には通関手続のために輸出申告あるいは船積み開始の段階で、本来ならば環境大臣の確認を受けなければ輸出してはいけないものが、そういう手続が取られればそれで未遂罪が成立をするというふうに考えております。それから、予備罪でございますけれども、これは、違法と知りながら保管倉庫に持ち込んだという段階で、その段階で予備罪が成立するというふうに考えておりまして、これを言います。
もう少し具体的に申しますと、税関に例えば硫酸ピッチなどを持ち込んだという段階で予備罪は成立すると思っておりますし、また環境大臣の確認が必要と知りながら申告手続を行った段階で未遂罪が成立するというふうに考えております。
○福山哲郎君 今のは難しいんですけれども、保税倉庫に持ち込んだ時点で予備罪で、それを、じゃ輸出をしようとして輸出申告を税関にした時点で未遂だということですね。
これ、その差が、法的な要件として差がどこか分からなくて、実は、じゃその保管倉庫に持ち込む前に、あるところから保税倉庫のところまで移動している最中は予備罪成立するんですか。
○政府参考人(南川秀樹君) 保税倉庫に入らなければ、つまり税関の敷地に入らなければ輸出をしようという意思があるとは思えませんので、その段階では成立しないと思います。保税倉庫に一歩でも入れば成立すると思います。
○福山哲郎君 そうすると、そこは未遂罪と予備罪を分ける必要性はどこにあるんですか。
○政府参考人(南川秀樹君) 例えば、硫酸ピッチのようなものを輸出しようと思って持ち込んだ、倉庫に持ち込んだだけではこれは刑法の解釈の問題の延長として未遂罪は成立しないということでございまして、これはあくまで予備罪だということでございます。
○福山哲郎君 いや、実は刑法の問題は、実は共謀罪の問題でも予備罪は非常に難しくて、内心の自由の問題でどこまでを構成要件にするかというのは非常に重要なんですね。
ここで、この廃掃法の中にぽんと未遂と予備を入れて、保税倉庫に入ったら予備罪で、手続したら未遂罪で、その保税倉庫への、何というんですか、どこかの場所から保税倉庫まで移動している最中はそこは予備罪にならないみたいな話は、刑法上、こんなところでこんなの決めていいのかというのは、僕は結構危なっかしい議論のような気がするんですが、そこは環境省、法務省とどのような調整をされたんでしょうか。
○政府参考人(南川秀樹君) これは、実は去年の改正の中で不法投棄の準備罪というものを入れたところ、予備罪を入れたところでございます。これは、そのときの議論としましては、未遂罪であれば何らかの具体的な手段を取った段階、つまり荷台から捨てるんであれば荷台のレバーを手を掛けた段階で初めて未遂罪が成立するということで、非常にとらまえる時間が短いということで、例えば明らかに不法投棄が横行している現場に車がずっと連なって何か待っているという段階で捕まえようとすれば予備罪しかないということで、そういったことで法務省等と検討して導入したわけでございます。
それで、今回でございますけれども、今回についても未遂罪、予備罪、併せて検討いたしました。それで、去年までのそういう経験も合わせまして、やはり実際に手続が取られれば未遂罪に当たるけれども、単に税関の倉庫に持ち込まれただけでは未遂罪というのは成立しないだろうということでありますが、ただ、明らかに廃棄物であって、違法なものについて持ち込まれればこれは予備罪ということで成立するということで御理解をいただいて今回御提示しているところでございます。
○福山哲郎君 ごめんなさい。細かいこと聞くようですが、保税倉庫に入れたら予備罪だと。ある、例えば廃プラがここにあって、ここで保税倉庫に入れるために積荷をしている最中は予備罪にならないんですね。
○政府参考人(南川秀樹君) 倉庫でございますから、倉庫に持ち込めば予備罪が成立すると思いますし、あとは敷地の問題だと思います。
○福山哲郎君 僕は刑法専門ではないのでよく分からないんですけれども、これやっぱり予備罪の構成要件って非常に難しいと思うんですよね。そこは慎重に運用していただきたいというふうに思いますし、是非、ここから先どう環境省さんと詰めたらいいのかも僕もよく分からないんですが、ただ、やっぱり今共謀罪の議論が刑法の問題で出てきていますから、予備罪をこういう形で導入することについてはちょっといろいろ問題があると私自身は認識をしていますので、是非環境省さん、これは法務省さんとやっぱりきちっと議論をして、運用については慎重に対応いただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
○政府参考人(南川秀樹君) 御指摘のとおり、予備罪というのは、例えば偽金造りとか、かなり限定された案件に一般的に考えられまして、それ以外の場合についてはかなり要件を厳しく縛る形になっております。したがって、私ども運用についても法務省等とよく相談をしております。
ただ、現実に、去年その法改正をさせていただいて不法投棄についての予備罪を入れた段階から、例えば、三件程度だと思いますけれども、実際に不法投棄の現場で明らかに常習犯が不法投棄待ちをしているというところを捕らえた例もございまして、そういう意味では一定の効果は上げていると思います。
ですから、要件を厳しく限定した上で、本当に必要なことについては是非運用したいと思っております。
○福山哲郎君 是非よろしくお願いいたします。
ほか、ちょっとこの法案についての議論もまだ残っていたんですが、ちょっと残り十分、災害廃棄物のことについて質問させていただきたいと思います。
昨年から今年にかけて、本当に例年にないほど、もう信じられないぐらい災害が発生をしています。昨年は私の地元の京都でも台風二十三号の被害がありました。私は京都の北部に災害の処理の問題で視察に行ってまいりましたし、先月、四月の終わりには新潟の地震の被災地に災害の廃棄物の処理で視察に行ってまいりました。もう委員の先生方よく御案内で、もうこの委員会でもよくありましたけれども、例えば新潟の小千谷市でいうと約十三年分の廃棄物が一遍に地震で出ています。私の地元でも、大江町というところでは六年分だったかな、一遍に出ています。つまり、廃棄物が一挙に出てくるわけですね。
確かに、私、拝見しますと、水害と地震の廃棄物の出方というのはちょっと違いまして、水害の場合には水につかりますから、とにかくすぐ表に出さなきゃいけないということで道路が全部埋まっちゃうような状況になっています。それでさらには、災害廃棄物、地震の場合には、新潟へ行ってきたんですけれども、実は新潟の場合に、瓦れきの、家が崩れたところは雪に覆われていてなかなかまだ撤去作業が進んでいなくて、実はこれから出てくると。つまり、もう四か月ぐらいたって、五か月か、五か月たって、これから要は出てきて処理をしなければいけないと。
それぞれ多少中身が違っていたんですが、環境省は、災害廃棄物体制として震災廃棄物対策指針というのを、例の阪神大震災の後、平成十年、一九九八年に示しているんですが、これによると、各自治体に震災、地震があったときの廃棄物処理計画の策定を、何というか、求めているんですけれども、この策定状況についてどうなっているか、お答えをいただけますでしょうか。
○政府参考人(南川秀樹君) 災害対策基本法などを受けまして、私どもその計画作りを急がせているところでございますが、残念ながら、昨年四月に調査をした東海地震の対象地域二百四十九市町村を調べましたところ、二十九市町村、つまり一二%しか作っていただいていないという現状でございます。
○福山哲郎君 そうなんですよね。平成十年ということは、これもう七年前に指針を作って、各自治体に震災廃棄物処理計画を作れと言っているのに、それも東海地域だけです、東海地域だけしか環境省はまだ調べていただいていないんですが、策定済みがたった二百四十九市町村のうちの二十九、一二%なんですね。
これやっぱり、全国的に今災害が広がっています。それでなおかつ、私行ってきたところでいいますと、ばあっと一遍に廃棄物が出ますから、それを一時集積としてどこに置くかというのは大問題なんです。これは南川部長も御理解をいただいていると思いますが、私の地元の舞鶴というところでは、一時集積の場所がなくて、学校のグラウンドに実は一時集積を市長の英断でされました。後々市民から実は苦情が来なかったからよかったんですが、その後のグラウンド、子供たちが運動するわけですから、いかに覆土をして、もう一回土を埋めるか、化学物質がないかみたいなことはやっぱりここ慎重にやらなければいけないとか、新潟も行ってきましたけれども、競馬場を一時集積場にしているとか、いろんな例があるんですが、たまたまそういう場所があるところはいいです。これ、もし関東圏、東京とか都市部で地震とか水害とかが起こって一遍に、さっき言った十三年分みたいなごみが出てきたときに、どこに置くんだといったときに、全く実は想定をしていないとこれパニックになると思うんですね、もちろんにおいも出てきますし衛生上の問題も出てきますし。
これ是非、この震災廃棄物の各自治体の策定状況、震災廃棄物処理計画の策定状況を早急に自治体に求めてというか、早く作れと、とにかく一時的な集積場所はここなんだという想定ぐらいは各自治体しておきなさいというようなことの指導をやっていただきたいんですが、どうでしょうか。
○政府参考人(南川秀樹君) まず、現在行っておりますのは、その東海地震の関係する地域以外についても状況の把握を行っております。これは急ぎまとめたいと思っております。
その上ででございますけれども、私ども、もう去年来、実は去年は二百を超える市町村が災害廃棄物が出ましてその支援の対象になっております。大変な数でございます。そういう意味では、元々が震災対策で、神戸の地震をきっかけにこういった計画を作るようになりましたけれども、やはりこれからは水害廃棄物対策ということも当然ながら中身に入れなくちゃいけないというふうに思っておりますので、水害と地震というものを対象にした計画というものを是非作ってもらうように働き掛けたいと思いますし、特に水害の場合はごみの集積場の問題が出ます、これについてもその中で検討するようにこれからはしていきたいと思います。
○福山哲郎君 僕は、環境省さん頑張っていると思うから余り言うのは嫌なんですけれども、大臣、平成十年に策定をしろという指針を出して、東海だけでも二百四十九のうち二十九、一二%しか実は策定していないと。これだけ災害が起こった、やっと今年調査をしたら一二%しか策定をしていなかったと。これも東海だけですよ、日本全国ではないんですよ。こういう状態で、大臣、どう思われますか、この現状認識を。
○国務大臣(小池百合子君) 今まで部長の方からも御答弁させていただきました。できるだけ早く最悪のことを想定をした、そういう対応を市町村、都道府県にはしていただきたい。これ、危機管理の一環だと私どもは考えているわけでございます。
今年の一月―二月にかけて全国の七ブロックで、全国都市清掃会議ブロック会議というところでおきまして直接私どもも市町村に対して計画の策定を指導させていただいているところでございます。それから、これは先月ですね、四月十八日、それぞれ各都道府県でこの状況を、今どうなっているのか、どうしているのかということで、五月の中旬、まあ来週辺りまでに回答してくださいということで、そういった書面も出させていただいております。
避難場所を決めるのは意外と早いかもしれませんけれども、ここに廃棄物の山をつくりますというのはなかなか決めていただけないと。ただ、危機管理の、全体的な危機管理とすればそれも大変重要なことだと思っておりますので、早急に計画を策定していただけるように私どもとしても促してまいりたいと考えております。
○福山哲郎君 いいですか、大臣、僕は今日はちょっと冷静にやったつもりですけれども、危機管理の一環だと私どもは考えている、考えていないから平成十年から何にもやっていないんじゃないか。それを、避難場所を決めるのは結構早く決めていただけるかもしれないと。そんな無責任なことがあるんですか。大臣なら、この策定状況はどうだと考えたら、今まではなかなかできませんでした、申し訳ありませんなり、今までできなかったことに対して反省しているなりという言葉があってもいいじゃないか。各市町村の自治体は本当にこれで苦労しているんですよ。それをしゃあしゃあと、危機管理の一環だと私どもは考えている、考えていないからやっていないんじゃないか。それに、避難場所については早急に決めていただけると思っています、今まで決めてないんだよ。
大臣、もっと、人ごとみたいな答弁しちゃ駄目ですよ、あなた責任者なんだから。今日ずうっとそうだ、あなたは。人ごとみたいな答弁していたら、与党の理事、これおかしいよ、この大臣の答弁は。
どう思いますか、大臣。
○国務大臣(小池百合子君) これまでのそういった策定が遅れているということにかんがみて、このように促進をするようにお願いをしている文書を出しているところでございます。
やはりそういった災害というのは、そのときになってみて慌ててやるということが残念ながらこれまで多かった。私自身、阪神大震災のど真ん中におりましたので、それを痛感しているところでございます。
そういった意味で、残念ながら、これを策定をしていただいているところが東海地方でこの数字でございます。更にそれを一層促進していただけるように、これからも促してまいりたいと考えているところでございます。
○福山哲郎君 東海地方でこの数字って、ほかの地方は調査していないんだ。何言っているんだ、全くもう。
あなた責任者なんですからね、何か人ごとで役所が、私たちはこう今は気が付いてやらしていただきましたって、役人の皆さんがやるのは、一生懸命やるのは当たり前だけれども、大臣としてあなたは責任があるんだから。
じゃ、例えばこの集積地についてとか、この指針について法的拘束力を持たすとか、早く自治体にこういう策定をするというようなことを具体的に義務化するとか、条例作れと言うとか、そういう一歩踏み込んだことをやる意思は大臣、おありですか。
○委員長(郡司彰君) 小池環境大臣、時間でございます。簡潔にお願いします。
○国務大臣(小池百合子君) はい。
こういった災害廃棄物の仮置場などの配置を含めて、策定については強く指導をしていく方針でございます。それと同時に、今おっしゃいました条例などについても、それぞれの自治体、実情を踏まえて、適切に判断されていかれるように促してまいりたいと、このように考えております。
○福山哲郎君 終わります。