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2007
第166国会 参議院 環境委員会 2007年6月5日
食品リサイクル法案、東京大気汚染訴訟
○福山哲郎君 おはようございます。民主党・新緑風会の福山哲郎でございます。よろしくお願いいたします。
今日は食品リサイクル法の改正の質疑でございますが、幾つかいろんな動きが国の方でありましたので、環境大臣もお出ましなので、その点についていろいろお伺いしたいと思います。
まず、東京大気汚染訴訟の問題についてお伺いをしたいと思います。
ずっと、この国会でもNOx・PM法案の改正をし、九六年の第一次提訴から始まって、被害者、患者さんのぜんそくの苦しみをもってこの大気汚染訴訟が始まったわけでございますけれども、国としての御決断をいただいて一応大きく前進をしたというのが三十日ありました。石原都知事に安倍総理が面会をされて、東京都に六十億円拠出することを決められたと。この経緯について、環境大臣からまずは御披瀝をいただけませんでしょうか。
○国務大臣(若林正俊君) 東京大気汚染の公害訴訟については、委員御承知のとおり、東京高裁におきまして長い間掛かってきた本件事案について関係者間において和解で解決する道はないかといったような意向が示されまして、この和解について関係者間で協議を続けてきたわけでございます。
この和解については、三つが争点になっておりました。一つは、大気汚染対策を更に一層充実しなきゃいかぬということの原告側の要請がございまして、これにどうこたえるかということであります。二点目は、医療費の助成制度について、ぜんそくの患者に対する医療費助成をどうするかということが二番目でございます。三番目は、原告側からしますと、長い間このことに苦しめられてきたということの決着を図るにはやはり一時金の支払が求められるということでございまして、これらが争点になっていたものと承知しております。
国としては、大気汚染対策については、委員がお話ございましたように、先般、自動車NOx・PM法の改正法を今国会で成立をさせていただいたところでございまして、またこの審議の経過を通じまして、PM二・五に関して国として検討をするための検討委員会を発足させるということを私お約束をしたわけでございますが、これも立ち上げたというようなことがございまして、一応の問題について誠意を示したというふうに考えているわけでございます。
そして、医療費助成の制度に関して言えば、法律的にいろいろ難しい問題もあるわけでございますが、東京都がこの問題の解決に非常に積極的な意向を示しておられたわけでございまして、この東京都との調整が課題になっていたところであります。
そこで、先月の三十日に総理が石原都知事と面談をされまして、そこで両者間の合意がございました。既に発表されたとおり、総理は、大変長い間ぜんそくに苦しんでこられた方々のことを思い、訴訟の早期解決を図るという見地に立って、これまでの公害健康被害予防基金を活用をしまして東京都に六十億円を拠出するという決断をすると。このことを石原都知事も高く評価をされまして、そういう国の意向というものを受け止めて、東京都としてもこの問題の解決に更に一層知恵を絞っていくということでございました。
環境省としては、このような総理の御決断を受け止めまして、その具体化を進めていくということは当然のこととして考えているわけでございまして、原告側も和解に向けて大きな前進であるというふうに評価していただいていると認識をしております。
この上は、関係者間の協議が進み、一日も早い和解の成立がもたらされるように期待をしているところでございます。
○福山哲郎君 丁寧に御説明いただいてありがとうございます。
私も、和解に向けて一定の前進だと思いますし、これまで費用の拠出について頑としてかたくなな態度だった国が六十億円予防基金から取り崩してということについては、大変その政治決断には評価をしたいと思っています。
ただ、やっぱり幾つか確認をしなければいけないことは、大臣、あると思います。
一つは、あちこちで言われていると思いますが、元々大気汚染とぜんそくの因果関係について国はずっと否定をしてこられました。そして、医療費助成に対してのお金は出せないんだという主張をされてきました。今回も直接医療費助成に出されるわけではないというふうに私も理解をしていますが、しかしながら、今回のことで、この大気汚染とぜんそくの因果関係について、国としてはそこを認められたのか、また国の責任についても認めたのかと、そのことはまず明確に御答弁をいただいておきたいというふうに思います。
○国務大臣(若林正俊君) 国としては、因果関係がなお判明していないという認識でございまして、責任を認めて医療費を直接負担するということはできないという立場に変わりはございませんけれども、そのことを踏まえた上での総理の決断があったと考えております。すなわち、医療費の直接負担はできないけれども、訴訟の早期解決を図るという見地に立って、これまでの公害健康被害予防基金を活用して東京都に六十億円を拠出するということを決断をしたものでございまして、あくまで予防事業として国は拠出するものでありまして、これによりまして、医療費助成制度を含む東京都のぜんそく患者対策、これが軌道に乗ってくるものと考えているところでございます。
○福山哲郎君 国としてはそういう判断しかないんだと思います。
私は、別に今回の決断を、先ほどから何回も言っているように、あえて批判のための批判をしようとは思いません。やはり大気汚染訴訟和解に向けての政治決断だというふうに思っておりますので、そこは大変、逆に言うと有り難いなと思いますし、私も原告の弁護団の先生ともお話をしました。なかなか手放しでは喜べないけれども、やはりこの決断については了としたいし、和解に向けてより前進していきたいというふうなこともおっしゃっておられましたし、その気持ちも、また患者さん側の気持ちも僕も理解をしておるつもりなので、余り批判めいたことを言うつもりはないんですが、お金には名前が付いているわけではありません。東京都に拠出をする、六十億円と。東京都が医療費助成制度を提案をしたときの国の拠出の分担が約六十億円と。名前が違ったけれども、東京都に拠出をして、東京都はそれで医療費を助成をするということになるんだと思いますから、政治的な知恵といえば知恵かもしれませんが、そこは気分としては、素直に医療費助成として出してあげた方がよかったかなというのが一点思うのと、こういう決断ができるなら、患者さんは十年以上しんどい思いをし続けたわけですから、もっと早く決断できることがあったのではないかなというのは少し残念に思っています。
ただ、さはさりながら、決めていただいたことに関しては、何回も申し上げたように、感謝しなければいけないと思いますが、この六十億円ですけれども、具体的に申し上げます。東京都は毎年毎年国に約十三億円ずつぐらい拠出をしてくれというようなイメージがあったんですが、今回はここに直接、医療費助成に出すということではないということなので、確認をしたいんですが、どういう形で六十億円は東京都に拠出をされるのか、お答えをいただけますか。
○政府参考人(西尾哲茂君) この今お話に出ております予防事業でございますけれども、これは公害健康被害補償法に基づきまして五百億円の予防基金が積み上がっておりまして、その運用益により自治体が行う予防事業などにお金を拠出すると、こういうことで今まで運用してきました。
しかしながら、この基金ができたときには、一方で積み上げ途上にあります、片方で仕事はしなきゃいけないということでございますので、運用益だけでは十分な予防事業費を確保できないということが予想されましたので、公害健康被害補償法におきまして、環境庁長官の認可を受けて基金の一部を事業費に充当することができると、こういうふうになっておりました。
今回は早期和解に向けての解決策として拠出するということで、事情の異なる面があるわけでございます。しかし、公健法上の手続としては同様の手続を講じるということで、環境大臣の認可を受けて基金の一部を取り崩し、予防事業費として六十億円を東京都に拠出するということができると思っておりますので、そのようなことにつきまして手続を精査して実現をしたいと、こう考えております。
○福山哲郎君 西尾局長、その答えは有り難いんですが、質問しようと思ったことより多分後か前の質問なんですが、要は、六十億円一括で出すのか、分割して出すのか、お答えください。
○政府参考人(西尾哲茂君) 取り崩して拠出するということでございますので、一括して拠出するという方向で検討いたしております。
○福山哲郎君 これ、いろんな訴訟が起こっています。西淀川もありましたし、川崎もありましたし、尼崎もありましたし、名古屋もありました。東京都にだけ健康被害の予防事業として六十億円基金を取り崩して拠出をする、これの根拠は一体どこに見いだすんでしょうか。
○政府参考人(西尾哲茂君) 公害健康被害予防事業につきましては、それぞれの地域の実情に応じて、それぞれの必要に応じて今までもいろいろな事業について交付をしてまいりました。
今回の対応は、公健法の旧第一種地域における一連の大気汚染に係る訴訟で、争い事という中で唯一残っている東京大気汚染公害訴訟に対して国としてできるぎりぎりの対応を行うという趣旨で和解による解決を図ると、こういう政治決断でございます。そういうことで、予防事業として拠出するということでございます。
他の地域につきましては、既に裁判の和解が行われているというような地域もあります。それぞれ各地域における対応が行われてきたわけでございますので、これ、それぞれの実情に応じてそれぞれの予防事業が行われると、こういうことで対処してまいりたいというふうに考えております。
○福山哲郎君 今の答えは納得できそうで納得できなくて、それぞれの地域は和解に努めて、もう進んでいると。東京は進んでいなくて、今回の裁判も含めて和解が進めるような話が出たと。そこで、五百億円の基金でしたっけ、そのうちの六十億を取り崩すと、東京都に入れると。これはやっぱり相当バランス的には欠いた話だと思いますが、そこは局長、もう少し詳しくお話しいただけませんか。
○政府参考人(西尾哲茂君) 公害健康被害予防事業をどこにどのように講じていくかというのは、それぞれの実情に応じて行っていくということでございますので、あらかじめ決まった率とか決まった額ということがあるというわけではないと思っております。
全体五百億円でございますけれども、この五百億円の基金を積み上げましたときの経緯からいたしますと、大体百億円が自動車大気汚染対策というような考えで積み上がっております。その百億円のうちの六十億円が東京都ということのバランスがどうかということでございますが、これは、そういう面では、厳密な計数的なバランスということを求めると、それはなかなか、これはそういう計数があるわけではございません。そこは説明が、そういう計数的説明はないということも、今まで、総理の決断を待ってやっと動けるということの一つのポイントだと思っておりますけれども。
しかしながら、百億の中で六十億ということでございまして、東京都におきます患者さんのいる状況、あるいは未認定の方がいろいろ苦しんでおられる状況、今において訴訟というような形で紛争が残っているような状況、そういうことを勘案いたしますれば、それも一つのバランスとして御理解いただけるのではないかというふうに考えている次第でございます。
○福山哲郎君 これ、公害健康被害予防事業というのは、基本的には事業に要する費用は運用益によって賄うこととなっていると思うんですが、そのことについてはクリアされているんでしょうか。
○政府参考人(西尾哲茂君) 公害健康被害予防事業は、基本的には公害健康被害予防基金の運用益によって賄うということでございます。しかしながら、公害健康被害補償法上、環境大臣の認可を受けて一部を事業費に充当することができると、こういう規定になっております。そういうことでございますので、前後の事情を勘案して、そういうことはどうしても必要だという場合には取り崩して交付することができると、このように解しております。
○福山哲郎君 私もあえてこれ以上はもう申し上げませんが、出し方がいいか悪いかは別にして、決めていただいたことを多とするしかないなというふうに思っています。
ただ、さはさりながら、これで物事が終わったわけではありません。大臣おっしゃられましたように、今後の対策、今回のNOx・PM法案の改正の状況でどのように、要は環境基準未達成の地域がより改善をしていくのかとか、先ほど大臣言及をいただきましたが、PM二・五の新たな基準の策定に向けていかに早急に対応していくかとか、それから例の一時金の支払等も含めて、まだ患者さんも御苦労されていることもたくさんありますので、そういった課題は幾つも幾つも残っているところでございまして、そのことに対してもしっかりと対応していただきたいということはお願いをしたいと思います。
昨日、メーカーの解決金の話が出て、若干小規模だということでいろんな批判が出たり、メーカーから対応が出てきているわけでございますが、このことに対して、今大臣としてはどのように評価をしているのかということについて御答弁いただけますか。
○国務大臣(若林正俊君) 現在、和解に向けて関係者間で協議がなされている最中でございますので、個々の交渉やそのやり取りについて今申し上げるのは適当ではないというふうに考えております。
いずれにしても、関係者間の協議が進みまして、一日も早い和解の成立がもたらされることを期待をしながら見守っているという状況でございます。
○福山哲郎君 これは環境省の立場も含めて大臣にお伺いをしたいんですが、これまで環境省はずっと因果関係を否定してきた、金銭的なものは出せないと言ってきた。確かに政治決断は重要ですから安倍総理の御勇断は評価をしますが、報道によれば、環境省は石原知事をお呼びになられたときのことを全然知らなくて慌てたみたいな報道も出ているんですが、大臣はこのことに対しては、安倍総理と十分御吟味をいただいた上でこういう決断をされたというふうに思っていいわけですよね。
○国務大臣(若林正俊君) 安倍総理との間では、あらゆる可能性について、私の方から過去の経緯、そして現状、これから予想される各種の問題など御説明をし、協議をしていたということはございます。しかし、しばしば私が当委員会においても申し上げてまいりましたように、因果関係が明確にされていない又は明確にされていないものも含めた対応ということになりますと非常に困難だという私の立場というものは総理にもお話をしてまいったところでありますが、そういうことを全部のみ込んだ上で総理が、しかし、長い間の経過の中で訴訟当事者、原告の皆さんが大変苦しんでおられるという状況を政治的な判断をされ、かつまた石原都知事との話の中で、都知事がこの問題に対する積極的な意向と、そしてまた国と協力しながら問題の解決を図ろうとする御意向が示されたこともあって、総理が決断をされたものと思います。私はその場に立ち会っておりませんので、結論をいただいたということでございます。
○福山哲郎君 六十億円取り崩しました。予防基金の方は五百億が六十億なくなるわけですが、運用益で賄ってきた今後の事業への影響はどのぐらい最小限に食い止めようとされているのか、お答えいただけますか。
○国務大臣(若林正俊君) 委員が御指摘のように、基金の五百億の運用益の中で予防事業を行ってきているということからしますと、原資になっております五百億円の中から六十億円が取り崩されるわけでありますから、今までのような運用の状況でありますと、運用益自身はそれ相応に減額になるわけでございます。
しかしながら、これまでもぜんそく患者などのニーズを踏まえまして対応をしてきている、これが主たる事業の目的でございますので、基金の運用益で賄っていくという、そしてそのことによって引き続き充実をした公害健康被害予防事業が実施できますように、運用の改善、あるいはまた、その運用益を利用しての事業には幅があります、その事業の中でも特にこの予防事業に障害がないように、そこを優先的に認識をした上で事業実施をしてまいりたいと、このように考えております。
○福山哲郎君 これで正真正銘この問題は最後にします。先ほど大臣ももう言及されましたが、もう一度しつこく聞きます。
政治決断で前進をしましたが、この問題の本質的な解決はまだまだ課題がたくさんあります。先ほど申し上げたように、PM二・五の環境基準の設定や検討の更に推進や科学的な因果関係を解明することも含めて課題がありますし、患者への対応が医療費助成だけでいいのかという点もあります。このことに対して、よりこれからも停滞することなく御努力をいただけるということを是非言明をいただきたいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(若林正俊君) 一日も早いこの和解の成立というのを期待をいたしておりますけれども、東京の大気汚染訴訟の和解が成立したからといってこの大気汚染の問題が解決するわけではないのは当然でございまして、そのようなNOx・PM法の適正な運用、さらにこういう被害予防につきます諸事業について精力的に取り組んで、問題の解決に全力を挙げてまいりたいと、このように考えております。
○福山哲郎君 ありがとうございます。是非よろしくお願いいたします。
では、食品リサイクル法案の改正案について御質問をさせていただきます。
平成十三年に食品リサイクル法が施行されて以降、いわゆる食品循環資源の再生利用の実施率は、先ほど議論もありましたが、食品関連業界全体では三七%から平成十七年度五二%、非常に向上はしていると思いますが、ただ、本質的な問題でいう食品廃棄物の発生が減ってないんですよね。要は、元々の出す発生抑制が非常に根本的に重要だと思っているんですが、なぜこの施行から今まで発生抑制が進まなかったのか。ちなみに、平成十三年では千九十二万トンですが、平成十七年度は千百三十六万トンといって増えていると。この発生抑制が進まない理由は一体何だと思っているのか。それから、この発生を抑制するために一体どんな有効な方策をとっていくことが必要だと考えているのか。もちろん今回の改正一番の、何というか、目玉なんでしょうけれども、そのことについてまずは言及いただけますでしょうか。
○政府参考人(由田秀人君) 発生抑制は、現行制度におきましても再生利用等の取組の中で最優先に取り組まれるべき行為として定義されてございます。
しかしながら、農林水産省の調査によりますと、食品廃棄物等の発生量は、先ほどお話がございましたように、十三年度の一千九十二万トンであったものがその後徐々に増加いたしまして、十七年度には一千百三十六万トンとなっており、この間に四%増となっているわけであります。この傾向は業種の違いにかかわらず食品関連事業者全体にほぼ共通して見られておりまして、発生抑制が進んでいると判断できる特段の成果は見いだし難いのが現状であります。
このように発生抑制が進まない原因といたしましては、農林水産省、環境省の合同の審議会におきまして幾つかの指摘がなされております。まず、食品リサイクル法の発生抑制の把握の方法や推進の方法が食品関連事業者の業種や業態の特徴を踏まえた発生抑制の促進には不十分であることが挙げられております。また、我が国の高い所得水準を背景といたしました飽食、いわゆる食べ残しとか買い過ぎなどでありますが、こういう飽食や、あるいは食品関連業界の見込み生産などが指摘されております。
今後、発生抑制の推進に向けまして、食品関連事業者や消費者などの食の意識改革に関する啓発を行いまして、また食品関連事業者が取り組むべき発生抑制の目標を業種や業態の特性に踏まえて設定をいたしまして、取組の一層の推進を図ってまいりたいというふうに考えております。
○福山哲郎君 もうおっしゃられたとおりでございまして、食べ残し、買い過ぎ、見込み生産、飽食、おっしゃられました。大臣も、それから副大臣も政務官も政治家でいらっしゃいますから、ホテルでのパーティーって僕らよく出ていきますが、見事に残っていますよね。一応環境委員会に属する者としては、いつもあれを見ながら後ろ髪引かれる思いで、これごみになるのかなと思いながら後にするのが結構あるんですけれども、それはまあ一つの例にすぎませんが、要はどう抑制をするか。
今、由田部長おっしゃっていただきましたけれども、食意識の改革とか啓発といっても、じゃどう啓発していくのか。まさかホテルの食べ残しみんな持って帰るわけにいかないですしね。足りなければ足りないでお客さん怒りますしね。別にホテルに合わせて言うわけではない、そればっかり言うわけではないんですが、一つの分かりやすいイメージとしてはどうしていくのかとか、今、由田部長おっしゃいました業種や業態に踏まえた効果的な取組ということがあるんですが、例えば、具体的にその踏まえた取組ってどんなことをお考えになっているんでしょうかね。何かあればちょっと御示唆をいただければと。
○政府参考人(由田秀人君) 今回の改正案におきましてリサイクルループを構築することといたしまして、これはリサイクルの推進を図るということでありますが、このような取組の中、あるいはその報告を定期的に求めるところとしておりますが、こういう中で特に優良な取組に関しまして、これを消費者向けに対しましても情報を発信をいたしまして、そのような取組をしている、排出抑制を含めましてこういう取組をしているところを消費者にまずは理解をしていただくということを通じまして、この食品事業者の取組を消費者の方に啓発をしていくというふうなことによりまして消費者の行動を促していく。それによりまして、更に食品事業者の方のこの取組が促進されるような基本的な啓発の在り方を様々な大臣表彰なども使いまして有効にやっていきたいというふうに考えております。
○福山哲郎君 業種別の再生利用の実施率を見ると結構差がありまして、食品製造業では八一%ですが、食品卸売業では六一%。食品小売業では三一%とがくんと下がります。外食産業では二一%と、これも低くなっています。
先ほど正に部長がおっしゃられたみたいに、業種、業態で変化がというか差が激しい。これの特徴をやっぱりもっと環境省さんも研究をされるべきだと思います。一体何に対して一番多く出ているのかとか、それに対して発生抑制する一番いい有効な手だてはこういうものかというのは、やっぱりそれこそ業種、業態にヒアリングなりもしていただいて少し研究をされればいいのではないかなと、もうやっておられると思いますが、私はちょっと考えております。
今回、制度見直しに対してこの再生利用の実施率の目標ですけれども、恐らく上がるんだと思いますが、一体どのぐらいの目標に上げていかれるおつもりなのか、お答えいただけますか。
○政府参考人(由田秀人君) 農林水産省と環境省の合同審議会報告の食品リサイクル制度の見直しについての取りまとめにおきましては、新たな実施目標につきまして、食品関連事業者の再生利用等の取組を基に自己目標を算出させるというふうなこと、それから業種の特性等を考慮した上で業種別の実施率に関する目標を定めることとされております。
具体的な目標の在り方、数字に関しましては、今後法施行時までに審議会で、ただいまお話のございました、関係のいろいろ取り組んでいらっしゃる業界の関係者等々の御意見も聞きながら検討をしていくこととしておりますが、現時点におきましては、現行の全業種あるいは事業者の一律の実施目標ではなく、各事業者ごとに毎年度の基準となる目標値を設定しまして、これに即した取組を促していきたいということ、それから、すべての事業者が目標どおりに取組を行った場合に達成されるであろう業種別に定める業種全体の中間的な目標の設定を行いたいと、このように考えております。
○福山哲郎君 今、各事業所で目標値設定するというふうにおっしゃいました。これは、済みません、だれが設定することになるんでしょうか。
○政府参考人(由田秀人君) これに関しましては、食品事業者が自ら自己目標も立てていただきたいと、このようなことでございます。
○福山哲郎君 自らが自己目標を立てるとなると、低めに設定したところは逆に言うと到達するのがたやすくなりますし、高めに設定したところはなかなか厳しくなりますし、そこはどのように監督をしていくというか、管理をしていくつもりなんでしょう。
○政府参考人(由田秀人君) 基本方針の中では、まず業界、それぞれ業種、業態ごとの目標を設定していくこととしておりますが、それぞれの業種ごとに、事業者のそれぞれごとにも目標を算出していただこうと思っております。
これは、各報告徴収などを取りまして、それを、報告徴収などの結果、具体的に解析などいたしまして、今の取組のレベルでありますとか、当然優良な取組が分かるわけでありますけれども、そういうレベルと比較して余りにも著しく自己目標が低いというふうな場合にはもっと目標を高くするようにとか指導をしていくとか、こういうふうなことも当然視野に入れて考えているわけであります。
○福山哲郎君 現在の実施率を二〇%に向上させるということは現在の目標値でしたっけ、ちょっと確認ですが。
○政府参考人(由田秀人君) 現在は二〇%というのは一律にしておるわけでありますが、これまでも既にお話がございましたように、製造業などにおきましては相当の再生利用率を達成しているものの、川下のところではそれがなかなか達成していないということがありまして、この一律のものをまず業種、業態ごとにこれを今後設定をすることをやっていこうということであります。
それから、個別の事業者ごとの目標率といいますのは、それぞれのこれまでの再生利用等の実績を基に毎年各段階的にこの取組を進めるための事業者ごとの実施率目標ということを定めていただこうと、こういうことであります。したがいまして、この業種の特性を考慮しました業種別の実施率目標との二本立てで目標を定めていくことを考えております。
○福山哲郎君 そうすると、確認で言うと、全体でいうと二〇%を目標にするけれども、更に上げていこうと、そこの個別の事業所に関してはそれぞれ自主目標を持っていこうという二段構えというふうに考えていいんですか。
○政府参考人(由田秀人君) 現状は二〇%ということなんですが、これを全体一律というのを変えまして、業種、業態ごとにそれぞれの目標値を設定していこうということであります。
それからもう一つ、もう一点は、それぞれの事業者ごとにこれまでの再生利用などの実績を基に毎年段階的に取組を進めていただくための事業者ごとの目標も立てていただこうと、こういう二段構えということでございます。
○福山哲郎君 そうすると、その業態の最初におっしゃられた実施率というのも自主行動というか、自己目標になるわけですか。
○政府参考人(由田秀人君) 個々の目標、事業者ごとの実施率の目標というのを定めていただきますが、当然業種ごとのそれぞれは、今二〇%一律ですが、製造業は当然今の状況より高くなることになると思いますし、それから小売などは、川下のところは今の状態よりは少し高いレベルで持っていこうと、それで中間的ないわゆる業種全体の中期的な目標の設定を行っていこうと、このように考えております。
○福山哲郎君 そうすると、基本方針にはそれぞれの業種、業態別の目標率が書かれるということですね。それを確認してとにかくそれぞれの業種、業態は、簡単に言うと努力を始めると、今のような一律二〇ではないという形になるというふうに理解をしていいわけですね。
○政府参考人(由田秀人君) そのとおりでございます。
○福山哲郎君 そうすると、今よりかはかなりそれぞれにターゲットを絞った形の目標値が設定されるということだと思いますので、是非そこは期待をさせていただきたいと思います。
どのような場合に、そしたら、次ですが、勧告、公表の対象になるのか。今おっしゃられたそれぞれ業種、業態ではそれぞれに合わせて目標があると。更に言えば、事業所に対して言えばそれぞれ自己目標も含めて年々こう毎年やっていくということになりますが、その勧告、公表の対象になるのはどのような状況なのかということをお知らせください。
○政府参考人(由田秀人君) 法七条一項に定めます事業者の判断の基準となるべき事項、例えば発生抑制のために売れ残りを減少させるための仕入れ、販売の工夫を行うなどを勘案しまして、取組が不足している場合に指導、助言を行うこととなりますが、食品関連事業者が再生利用の方法等に関しまして十分な情報を持たず再生利用の実施に着手できないでいるような場合はまずこの指導を行うこととしております。
しかしながら、判断の基準となるべき事項に照らして著しく不十分であると認められた場合には勧告を行いまして、当該勧告に従わなかった場合に公表し、それでも対応がなかった場合、審議会の意見を聴いて命令を行うこととなります。
勧告の対象となり得るケースとしましては、全く再生利用等の取組を行っておらず、近い将来にこれを実施する具体的な計画もない場合、あるいは当該事業者と同じ地域、同じ業種に属する同規模の事業者の取組の程度と比べて著しくその取組の程度が劣っているような場合などが考えられるところであります。
○福山哲郎君 勧告や公表の対象の業種や事業所についてはよく分かりましたが、そうすると、何というんですか、基本方針に定められた目標値に達成していないからイコール公表や勧告になるわけではないということだと思うんですが、そのときにその実効性みたいなのはどう担保されるんでしょうか。
○政府参考人(由田秀人君) これに関しましては、まず定期報告等の制度がございますが、指導、助言等によってまず臨む、その上でどうしてもなかなか進まないというふうな場合に、先ほど申し上げましたように勧告というような手順に進んでいくということになろうかと思います。
○福山哲郎君 食品リサイクル法では、食品関連事業者に対する指導監督は、今正に部長おっしゃいましたように国が行うこととしていますが、でも、現実に地域で事業をやっておられるわけですよね。地方公共団体もやはり非常に近いところで重要な役割を担うはずだと思うんですが、地方自治体の役割については、今環境省はどのように考えておられますでしょうか。
○政府参考人(由田秀人君) 食品リサイクル法は、食品関連事業者によります食品循環資源の再生利用等の実施に関しまして、個々の事業場単位ではなくていわゆる事業者の単位で取組を求めるものであります。また、地方公共団体の区域を越えて事業を展開するケースもありまして、都道府県や市町村が事業者の取組を評価し、的確な指導、助言、勧告、命令を実施することは困難と考えられるために主務大臣が実施することとしておるわけであります。
他方、地方公共団体は、廃棄物関連法令に基づきます排出事業者などに対する指導監督のほか、家畜排せつ物の適正処理やあるいは環境保全型農業の推進など、食品廃棄物等の主要な仕入先であります肥料、飼料などと密接な農林水産関係の事務、政策を担っているわけであります。
このため、食品循環資源の再生利用等と密接に関連した役割を有している地方公共団体との連携を密にしつつ、食品循環資源の再生利用などについて的確な指導が行われるように努めてまいりたいというふうに考えております。
○福山哲郎君 今丁寧に御答弁いただいたのは非常に有り難いんですが、今回のリサイクルループなんかも正に自治体もひょっとすると絡んでくる可能性もありますが、その密接に連携しつつという具体的なイメージが、これで本当に地方公共団体が何らかの形でこの食品リサイクル行政についてしっかりと対応していただけるのかということが実は私よく見えない部分がありまして、そこは密接に連携しつつという、ある種の抽象的な話になるわけですけれども、何か具体的には環境省としてはイメージは持たれているんでしょうか。
○政府参考人(由田秀人君) 直接いわゆる排出事業者としての食品事業者を指導監督しておりますのは、現行法におきまして、廃棄物処理法に基づいて都道府県等がやっておるわけであります。その意味で、その監督関係におきまして連携を図れるものというふうに考えております。
それからもう一つは、実は実際に食品リサイクル、今回の制度のリサイクルループなどを形成しますと、それぞれいわゆるこの一般廃棄物であります食品残渣を収集運搬するような業者が広域的に対応しますので、いわゆる主務大臣の認定ということになります。これは、市町村の許可を外れまして主務大臣が認定するということでありますが、この情報に関しては市町村に提供をすることを考えております。
市町村は、一方で、その一般廃棄物処理計画におきまして全体の一般廃棄物を管理する立場にありますので、この情報を市町村の方に提供することによりまして市町村も把握しながら、国との連携をしながら市町村もこれに取り組んでいくと、このようにやれるのではないかというふうに考えております。
○福山哲郎君 食品関連事業者が冒頭申し上げました発生抑制を進めるに当たって、今度は逆に消費者側の協力も不可欠だと思うんですね。その消費者側の意識の変革とか購買行動については、今環境省がどの程度考えてできるのか分かりませんが、どのように今お考えでしょうか。
○政府参考人(由田秀人君) 消費者は、食品小売業や外食産業などの食品関連事業者からの商品等の購入を選択することを通じまして、これらの事業者の店舗における売れ残り、食べ残しなどを左右するということに加えまして、家庭生活などに伴いまして自らも食品廃棄物などを排出しておるわけであります。食品循環資源の再生利用等を推進していく上で、食品関連事業者の取組に対する消費者の理解の増進や消費者の自らの取組は極めて重要というふうに考えております。
このため、国と地方公共団体が、食育を含めまして様々な情報伝達、広報手段を通じて、再生利用等に熱心な食品関連事業者の製品、店舗の積極的な利用を促すとともに、必要量以上に食品を購入、注文しないような消費行動、消費期限、賞味期限に対する理解の醸成や、食品廃棄物をなるべく出さない調理方法、献立の工夫を求めるというふうなことで、もったいないという心を育てまして、意識啓発や意識転換を図っていくように努めてまいりたいというふうに思っております。
○福山哲郎君 もったいないという意識転換をするというのもなかなか難しいですよね。さっきのホテルの例でも、御飯が足りないと絶対怒りますしね。だけど、余るぐらいじゃないとなかなか。大臣、我々よく経験していますよね。どんなふうにお考えですか、消費者に対してとか、どうでしょうか。別に固い話じゃなくて結構ですので。
○国務大臣(若林正俊君) それぞれの人の食に対する意識の変革というのは大変難しいですね。ただ、最近の消費者は大変に賢くなってきているように思うんですね。
一つは、やはり生活防衛というそういう視点をそれぞれの方が持っておられると思います。購買行動として、スーパーなどで生鮮食料品を購入する際に、余って結局捨ててしまうというようなことがないように小口の買物をするとか、そういうような購買行動にも変化が表れているというふうに関係業界の人からも私自身は聞いているところでございます。今部長がお話ししましたが、そういうことと加えてやはり食育の意識の徹底と、もったいないというそういう気持ちを、家庭教育あるいは学校教育、いろいろな場面を通じて食生活の在り方というふうなものをやはり繰り返し訴えていくということが基本だと思うんですね。
ホテルなどで、本当にそれこそもったいないなと思うような場合があります。非常に格の高いホテルなんかではなかなかできないんですが、身内で私などいろいろな会合がありますと、もう必ず、残り物をタッパーもらいましてそこに入れさしてくれというふうに頼みますと、それは中毒なんかの心配があるものですからちゅうちょする場合があります。しかし、二次会で食べるんだというような話をしますと、分かりました、いいでしょうというようなことで、火の通ったものはそのまま持ち帰るというようなことを私はかなり率直にお話ししているんですね。
そういう言わば消費者側の積極的な働き掛けというふうなものも、ホテル側とすればやはりサービス業ですからそういうことが気になるわけで、もったいないと、ここは多いじゃないかと、そうすると値段をもっと下げてもらってもいいじゃないかといったような、そういう生活防衛的な視点というふうなものをもっともっと遠慮なく言っていかなきゃいけないんじゃないかなというふうに私は思うんですね。あとは幹事の知恵の出しどころ、工夫のしどころで、足りなくなってきたときはドライフーズみたいなものを追加的に出すようなことをホテル側とあらかじめ相談をしておくとかね、やっているんですよ。
そういうような、婚礼とかそうなると難しいんですけどね、いろんな場面場面で工夫をしていく、そういうアプローチというのはやっぱり消費者側がやるように働き掛けていきたいなというふうに思いますね。そして、最後こんなにも廃棄物になっているんだといったようなことは、行政側としてももっと積極的に情報提供していかなきゃいけないと思うんですね。
同じ食品などの生ごみの廃棄物の半分は家庭ごみですからね。事業者系のものと家庭系のものというふうに見ますと、家庭系のものが約半分あるわけですね。そういう意味では、家庭系の生ごみを、こんなにも出ているものがそのまま焼却あるいは埋立てになっているというのはもったいないですね、それは結局税金で処理することになっているんですよといったようなアピールを自治体を通じて一般御家庭にもっともっとしていかなきゃいけない、そんな思いがするわけでございます。
○福山哲郎君 私は大臣に事前通告してないにもかかわらず、大臣は私の次に言いたいことをもう早速言っていただきまして、ありがとうございます。そうなんです、消費者の購買行動や意識改革の後で、家庭の生ごみの話を実はしたいと思っていたんです。
大臣おっしゃるとおりでございまして、これまでやっぱり家庭の生ごみについては焼却処理が主流としては選択をされてきた。一部の地域では本当に堆肥化で努力をされているところもありまして、その話は後でしますが、やっぱり焼却で税金も使いエネルギーも使うと。しかし、生ごみを堆肥化することによって別の活用ができるというような話と、こう上と下違うわけですよね。
やっぱり、その意識の問題も含めてこの生ごみの焼却、なぜ焼却処理が選択されてきたのかということについて、まず御答弁いただけますでしょうか。
○政府参考人(由田秀人君) 生ごみが我が国で焼却、市町村におきまして焼却処理が基本となっております。これは、特に我が国古来、衛生的な見地を大変重要にしてきたという国民性があろうかと思うのでありますが、家庭から出てまいります生ごみ、特に腐りやすい、腐敗しやすいということがございまして、特に蚊やハエの発生源になり、それが伝染病を媒介すると、こういうことになるわけでありまして、まずは、最も衛生的な環境をつくりますためには、し尿の方の衛生的な処理あるいはそのリサイクルに加えまして、生ごみの速やかな衛生的な処理ということが必要というふうに考えられてきたという経緯がございます。
それによりまして、各市町村におきまして、特に生ごみの処理を中心としまして、焼却処理をしまして衛生的な安全な形にするということを多用してきたわけであります。加えまして、この焼却処理といいますのは、量にしまして大体一割から二割ということになるわけでありまして、我が国の土地の狭いということもございましてなかなか最終処分場の確保が困難であると、こういうふうなことも背景となりましてこの焼却処理というものが多用されてきたと、このようなことではないかというふうに考えております。
○福山哲郎君 経緯としては私分かりますが、やっぱり先ほど大臣のお話にもありましたように、消費者の意識も向上していると。やはりもったいないという気持ちもどんどん広めていかなければいけないと。税金で焼却を、生ごみ、するのはやっぱりもったいな過ぎると。大臣は農水省でいらっしゃいますからよりお詳しいと思いますが。
そんな中で、おっしゃったように、今回の食品リサイクル法は、食品関係の産業をある種ターゲットにして発生抑制をしていこうと。しかしながら、四千万を超える世帯から毎日のように生ごみが出て、量でいえばほとんど産業系と変わらないわけですから、このことについての対策もやっぱり講じなければいけないと思うんですけれども、環境省としては今どのように考えておられるのか、お答えいただけますでしょうか。
○国務大臣(若林正俊君) 委員がいみじくもおっしゃられましたように、産業系、企業系のこの生ごみ処理というものを今回の食品リサイクル法で管理をしながら指導していく手法を導入させていただこうとしているわけでございますが、結局そのことをチェックしていくのは行政だけでは難しいんですね。これはやはり消費者側がそれをウオッチングしていくというような、そういう体制というものを何としてもつくっていきたい。それには、やっぱり消費者自身がこの生ごみの処理について認識をしっかり持ってもらうということだと思います。
生ごみの処理は諸外国と比べて実は日本は遅れていると言われております。この生ごみの処理の一番のネックは分別なんですね。家庭で生ごみの部分をしっかりと分別していただくと。いろいろな分別収集というのは進んできました。瓶だとか缶だとか紙だとか、いろいろ進んできておりますが、この生ごみのところで、出すときに生ごみの分別ということをしっかりやっていただければ、自治体はその生ごみを集めてきて、それを再利用するためのいろんな施設整備も可能になってくるわけですね。
今まで包装容器の方に重点を置いてここまで進めてきましたが、これからはやはり廃棄物行政の中では生ごみに重点を置きまして、自治体と連携を密にしながらこれを、この生ごみから、それを有効に利用するための、メタン発酵して電力のもとにするとか、あるいは生ごみ自身の熱を利用するとか、あるいはエタノール化、発酵させてエタノール化していくとか、そういう施設の体制整備、施設整備についてもこれも交付金の対象たり得るわけですから、そちらの方に重点をだんだんシフトしていって、生ごみ処理体制というようなものを国、自治体一緒になって取り組んでいくと、これが次の重点の対策ではないかなというふうに考えております。
○福山哲郎君 もう大臣おっしゃるとおりでございまして、容器包装リサイクル法で施行一年目の平成九年と平成十八年、九年経て、家庭ごみのうち平均的にどのぐらい容器包装が分別収集されるようになったか、お答えいただけますか。
○政府参考人(由田秀人君) 容器包装リサイクル法によりまして家庭ごみの中の容器包装廃棄物の分別収集は着実に進展しておりまして、平成九年度に全国で百二十五万トンの容器包装が分別収集されておりましたものが、平成十七年度には二百七十三万トンと二倍以上に増加をしております。
家庭ごみの組成は、重量比で、約二二%が容器包装廃棄物、約三二%が生ごみ、残りは容器包装廃棄物以外の紙類だとか不燃ごみというふうになっております。
市町村ごとでその取組の内容が大きく異なるわけでありますが、全体としては二二%を占める容器包装のうち、分別収集されているものの割合はその三分の一程度というレベルになっております。例えば、先進的に容器包装廃棄物の分別収集を行っている名古屋市や柏市では、家庭ごみ中の容器包装廃棄物のうち七割から九割五分ぐらいの割合のものが分別収集されているという実績でございます。
○福山哲郎君 今紹介がありましたように、容器包装の分別収集が進めばそれだけ、さっき大臣言われたように、生ごみの収集しやすくなるわけですね。
地域の中でいろんな取組が行われています。例えば、今日総務省来ていただいていますが、取手市というのは、EM、いわゆる有用微生物群を使った生ごみを堆肥化するモデル事業で実は総務大臣賞を受賞されています。
ここは、取手市は十数年前からやっているんですが、二〇〇一年からは取手市のモデル事業として生ごみリサイクルをやっています。約九百五世帯、週二回、週二日回収をして、実は自宅で専用の容器に生ごみを入れて、それにEMぼかしであえます。それを回収用のプラスチックペールに入れておきます。その集められたものをその日のうちにシルバー人材センターの方々、要はお年寄りの方で元気な方が熟成をする。そして更に言えば、その使うEMぼかしは、障害者のデイサービスセンターのところで実はEMぼかしを作る作業をしている。つまり、地域でボランティアの方、お年寄り、それから障害者の方、そして家庭から出た生ごみが全部ぐるっと回って堆肥化されるというような事業ができていまして、総務大臣賞を受賞されているんですが、総務省さん、この受賞理由をお答えいただけますか。
○政府参考人(久保信保君) 地域づくり総務大臣表彰でございますけれども、この制度は、地域の個性豊かな発想を生かして魅力ある地域づくりを積極的に推進することによりまして顕著な功績のあった市区町村や地域づくり団体などを表彰するものでございます。
委員御指摘のように、平成十五年度の表彰では、取手市のNPO緑の会が生ごみ堆肥化モデル事業で受賞されておられます。当該団体によります生ごみの回収、計量、運搬でありますとか、堆肥場においての粉砕などの活動が市民レベルの環境保全活動として高く評価されたものでございます。
私ども総務省といたしましては、この事例のような身近な環境対策は住民参加による地域活性化の手段として有効な方策の一つではないかと、そのように考えております。
○福山哲郎君 ありがとうございます。
また、岐阜県の岐阜市では、地元のNPOと組んで、八年間で市内を九ブロックに分けて千百四十世帯で予算を二千二百万円付けて実はこれもごみを堆肥化をしている、これもEMを使ってやっているというような例もありますし、別に今日は小林先生がいらっしゃるから言うわけではありませんが、やはり茨城の牛久では、学校給食のゼロエミッション化ということで、やはり学校給食で出た生ごみを子供たちがEMを使って堆肥化をしていく作業をして、なおかつ学校をきれいにしていくというような作業をしていて、それぞれの地域でいろんな努力がされています。
ただ、懸念をするのは、生ごみを堆肥化するのというのは、なかなかそうはいかなくて失敗も多い。失敗をするとにおいとかも出てきちゃって嫌になるようなことがあって長続きしないようなことがあるんですが、今いろんなところでの技術援助や技術開発や、今例に挙げたEMを使ってというのはかなりいろんなところでされていることがあって、先ほど大臣が言われましたように、こういった取組を市町村が技術的とか財政的に支援をしていって、やはり生ごみのリサイクルを家庭でも行っていくというようなことを環境省としては進めていただきたいと私は思っているんですが、いかがでございますでしょうか。
○国務大臣(若林正俊君) 実は、循環型社会形成推進交付金というのがございます。これは、いわゆる廃棄物のスリーRを総合的に推進するために、市町村が自主性と創意工夫を生かしながら広域的かつ総合的に廃棄物処理・リサイクル施設の整備を推進をしていくということの目的で設けられているわけでございまして、市町村あるいはその一部事務組合を含みます自治体が循環型社会形成を進めるための幅広い施設を対象にしていまして、例えばリサイクルセンターとかストックヤードなどのマテリアルリサイクルの推進施設を整備する。あるいは、エネルギーの回収推進施設として、メタン化施設とかごみ燃料化施設など、焼却施設もそうですが、エネルギー回収推進施設とか、あるいは有機性の廃棄物をリサイクルするという意味で、汚泥の再生処理あるいは堆肥化の施設、そして、し尿に関してですが、浄化槽なんかもその中に入っておりますし、最終処分場もその対象でございます。そして、施設整備に関するいろいろの計画を作ったりする支援事業もその対象になっているわけでございます。
実は、エタノールのような形の利用というのはまだこの中に入れておりませんけれども、これらが技術的に見通しが明確になり、そういう需要が見込まれる場合にはこのメニューの中にこれらも追加をするというようなことを通じまして、やはり生ごみの有効な再利用ということが大変に自治体にとって財政的にも負担の軽減になるし、今総務省の方でお答えいただきましたが、地域づくりの言わば最も生活に密着した部分での協力体制をつくっていく意味でも非常に大事なことでもありますので、そういうようなことを自治体との連携を取りながらこれから重点を置いて普及をしていく、御理解をいただくように力を入れていくということが大事なことだと、こんなふうに認識いたしております。
○福山哲郎君 ありがとうございます。
昨年でしたか、議員立法でできました有機農業の推進に関する法律の第四条の二項にも、国及び地方公共団体は農業者その他の関係者及び消費者の協力を得つつ有機農業を推進するものとするとか、政府は有機農業の推進に関する施策を実施するために法制上又は財政上の措置その他の措置を講じなければならないとかいう条文がありまして、やはり生ごみの堆肥化をしていろんな形で活用していくことは僕重要だと思いますので、そこは、大臣は農水行政にも精通をしておられますので、是非、更に推進をいただきたいというふうに思っています。
ちょっと食品リサイクルに戻りますが、定期報告制度を導入されました。定期報告制度でもちゃんと実態として内容が上がってこないと意味がなくなるわけでございますが、この定期報告制度の中身について御答弁をいただけますでしょうか。
○政府参考人(岡島正明君) 定期報告につきましては、法施行後、平成二十年度からの実績につきまして、これは年一回報告していただくことを想定しておりますけれども、内容といたしましては、一点目として、まず事業活動に伴いまして生じた食品廃棄物などの発生量及び当該発生量を相関の高い売上高でございますとかあるいは製造数量などで除した単位当たりの発生量、いわゆる原単位を報告していただこう、それから、発生抑制の具体的な取組内容でございますとか、あるいは食品廃棄物の適切な分別など、判断基準省令に規定されている事項の遵守状況のほか、再生利用などの促進のために実施した措置の具体的な取組内容など、そういったことを報告していただこうということを想定しております。
○福山哲郎君 その定期報告された内容については、どう情報公開をし、情報発信に取り組むのか、基本的な方針をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(由田秀人君) 事業者から報告された内容には、食品廃棄物などの発生抑制や再生利用などの促進に当たって他の事業者の参考となる優良な事例や、これらの取組の全般的な評価を行っていく上で役に立つものが含まれております。このような報告の内容を公表することは、食品リサイクルに対する理解を深めることに役に立つとともに、優れた取組が積極的に評価されることにもつながるなど、食品廃棄物の発生抑制及びリサイクルの一層の推進に対しまして大変有益であるというふうに考えております。
定期報告の内容につきましては、特段の企業秘密にかかわること以外につきましては積極的に公表していくこととしてまいりたいと考えておりますが、具体的な方法につきましては今後検討してまいりたいというふうに考えております。
○福山哲郎君 想定していた質問が三分の一ぐらい残っておりまして、申し訳ありません。
リサイクルループについては、参考人からも、実際にやっておられるユニーという会社に来ていただいて、聞いて大変参考になりましたし、あれはやっぱり消費者教育には一番私はいいと思いますし、これの発展というか普及については、農水省、環境省含めて協力して、頑張って挙げてやっていただきたいと思いますし、若林大臣におかれましては、私は、政府が最近出している地球温暖化対策について、「美しい星へのいざない」でしたっけ、これについて若干幾つかこれは批判的なことを申し上げようと思っていたんですが、時間がなくなりましたので次の機会ということで、是非、この食品リサイクル法、実効性上げることを御検討いただきますことをお願いしまして、私の質問を終わらしていただきます。
ありがとうございました。