05/19
2005
第162国会 参議院 環境委員会 2005年5月19日
地球温暖化対策推進法改正案質疑
○福山哲郎君 おはようございます。民主党・新緑風会の福山でございます。
島田委員に引き続きまして質問をさせていただきたいと思います。今日はあんまり時間がありませんので、ちょっと大きな話を幾つか大臣に御見解をお伺いできればなと思います。
京都議定書に関しては私も大変思い入れがありまして、九七年のCOP3が京都だったこともありまして、その次の年に参議院に当選をさせていただいて、ずっと環境委員会でこの問題を追っ掛けてまいりました。
京都議定書の中身は、とうとうCOP10まで行きましてかなり詳細に国際的な議論が積み上がってきておりまして、専門的な用語が多くなってきてだんだん私も付いてこれなくなっておりまして、難しいなと思いながらですが、さはさりながら、これからもウオッチングをしていきたいと思っておりますし、二月の十六日に京都議定書が発効したことは本当に喜びでございまして、歴代の環境大臣始め環境省のそれぞれの皆さんの努力に対しては心から敬意を表したいと思いますが、勝負はこれからだということで、ようやくスタートラインに立ったなというふうに思っておりますので、是非これからもお力添えを、御尽力をいただきたいとまずは申し上げたいというふうに思います。
実は今年は、随分、京都議定書の発効に伴って国際的な動きが多く動きました。もう委員の方は御案内だと思いますが、一月に毎年行われておりますいわゆる世界経済フォーラム、ダボス会議でございますが、今年も一月の末に行われまして、ダボス会議で約七百人の出席者の中で、世界の指導者が選ぶ、優先順位トップ六を選ぶというアンケートが行われました。
項目は、世界経済とか貿易とか中国とか大量破壊兵器とか中東、貧困、気候変動、十四の課題から六つの項目を選ぶというアンケートだったんですが、何と一位が貧困、二位が公平なグローバル化、三位に気候変動が入っておりまして、非常に会場にいた方々も驚いたというふうに私承っておりまして、世界経済は何と九番目、中国脅威論等は十三位ということで、ダボス会議に出たリーダーがみんな実は貧困と気候変動の議論が重要だと言われたと。
その翌月に京都議定書が発効したことも時代の流れかなと思っておりますし、三月にはEUが、温暖化ガスについては二〇二〇年までに一五%から三〇%の目標をしなければいけないと。今、京都議定書の第一約束期間における目標なんというのは実際の温暖化の流れからいうと貢献が少ないと、もっと具体的に大幅に目標を上げなければいけないんだということを、EUが一五%から三〇%というふうに決めました。
また、去年のCOP10で決まりましたいわゆる国際セミナー、二月に発効して、今年の年末にCOPMOP1が初めて開催されるわけですが、それに先立つ国際会議のセミナーを五月の十七日、つい最近までやられてこられて、環境省も審議官等がボンに行かれて議論をされてきたというふうに思っております。つまり、国際的な動きは非常に気候変動に向けて動いていると。
そして、更に申し上げれば、いわゆるサミットでも、イギリスがホスト国でございますが、ブレア首相が昨年の九月に気候変動についての演説をし、そしてサミットでも貧困といわゆる温暖化、気候変動がテーマになると。EUはアメリカが京都議定書から離脱したことを含めて非常にこの気候変動について主導権を取ろうという動きが私は顕著だと思っておりまして、それは国益も関係しますから、すべてがすべてEUの言っていることが地球の温暖化について寄与するだけではなく、いろんな外交的な問題があるというふうに思っておりますが、オーストラリアとアメリカが京都議定書から離脱をしています。日本は批准をして一応中に入っているわけですが、アメリカ、オーストラリアの関係の中で非常に微妙なやじろべえの状況にあります。
更に申し上げれば、日本は、先ほどからお話がありましたように、六%の約束ができるかどうか非常に微妙な状況で、御案内のように、八%現状は増加をしておりますから、プラス一四%を削減をしなければいけないという状況になると。
これから国際会議で、サミットの場とかでアメリカを巻き込もうというのがEUの戦略だとしたときに、我が国がどういうスタンスを取っていくのか。サミットはもうすぐ目の前でございますし、十二月にはCOPMOP1があるという状況で、今大臣はどのような認識なのかと。
六%の削減の約束をすることは、これはもう当たり前の話でございますが、EUのように次の第二約束期間、更に言えば、二〇三〇年、二〇五〇年に向けて、日本はもう少し大きな目標を掲げてある種の国際会議に出ていくような気構えが必要なのではないか。若しくは、アメリカとの関係も後でお伺いしますが、そういった点について、EUの動きも含めて大臣がどのような御認識なのか、お伺いをしたいと思います。
○国務大臣(小池百合子君) 今この時点でボンでセミナーが開かれて、そしてその後、SBSTAが開かれているという、こういう現状でございます。今回も日本から、今環境省の方から竹本審議官が行っておりますけれども、議長役が外務省の方の小西前大使、そして日本政府代表として西村大使が日本の考え方をこのセミナー、今回のボンのセミナー、やはり注目されるセミナーでございますけれども、そこで日本のこれからの対応の指針といいましょうか、それを示させていただきました。
それは何かというと、すべての国が参加するそういった枠組みが必要であるということ、これを訴えさせていただいているわけでございます。かといって、すべてが参加できても、それが結局、地球温暖化に対してどういう効果が出てくるのかがなければ意味がないわけでございますので、ここからが、ボンのこの今回のセミナーを経まして、これからまた七月にはG8、そしてまた十一月ではモントリオールでCOP11、それが初めてのMOP1ということにつながってくるわけでございます。
そういった中で、国際会議において我が国といたしましては、今申し上げた今回のボンのセミナーで基本的な考えについて申し上げた、それにいろいろと肉付けも、今後外交的な場において、そういった基本方針を基に、今後の気候変動、そしてまた地球温暖化対策の中で我が国としての役割をしっかり果たしてまいりたいと考えております。
ちなみに、言うまでもなく、我が国の六%削減という第一約束期間における我が国の義務ということをしっかり果たすということは、これはもう言うまでもないわけでございますし、またそのために今回この計画を出させていただいているわけでございます。
また、EUの流れについては、今御質問の中にもございました。ちなみに、三月二十三日にEU首脳会議が開かれた際の文言ですけれども、いわゆる工業化前と比べて二度Cを超えるべきではないと。そのために、先進国は二〇二〇年までに温室効果ガスを一九九〇年比一五から三〇%削減することが検討されるべきという文言が盛り込まれているわけでございます。どこの国でも、どういう会議でも、結構このワーディングというのはもめるところでございまして、その意味では検討されるべきという言葉が付いているということでございます。
まだこの長期目標については国際合意はないわけでございますけれども、私どもは、これは地球温暖化対策でこの長期目標ということは重要な検討課題の一つだと考えております。そのために、中環審の下に国際戦略専門委員会がございますが、ここで今長期的な観点からの気候変動対策についての御議論をしていただいておりまして、現在取りまとめ中ですけれども、第二次中間報告案をおまとめいただくという流れとなっております。ここで、温暖化による悪影響の顕在化の未然防止という観点から、将来にわたる温度上昇を工業化前を基準に二度C以内に抑えるとの考え方は長期目標検討の出発点となり得るとの見解が盛り込まれたところでございます。
このように、国内においての温暖化防止対策の着実な実行、そしてまた、こういった長期目標もにらみながら日本として何をすべきかということを更に細かく砕いて、そして、それをまた実効あらしめるような方策についての肉付けを今後とも重ねてまいりたいと考えている次第でございます。
○福山哲郎君 御丁寧にお答えいただいてありがとうございます。
じゃ、ちょっとだけ簡潔にお伺いします。
日本は、じゃ今のスタンスと余り変わらないんだろうなというふうに思いますし、それでサミット行き、COPMOP1にも出ていくのかなというふうに今推察をしましたが、EUが、去年ロシアが批准をするに当たって、WTOの会議でも相当譲歩をしてロシアを京都議定書の枠組みに取り込んだと。今回、先ほどのダボス会議の話も申し上げましたし、EUの流れ、それからサミット。アメリカをどう国際的に、極端な話で言うと孤立をさせた形にするか、もっと言えば、別の枠組みでEU主導でアメリカを引き込むかというような動きだと思っているんですが、このEUの会議について大臣はどのような御認識なのか、お答えをいただけますでしょうか。
僕は、決してEUの動きがいいとか悪いとかというふうに思っているんではありませんが、日本政府としてはどういう認識でEUの動きを受け止めているのかというのは外交上非常に重要なことですから、お聞かせをいただきたいと思っております。
○国務大臣(小池百合子君) EUの動きにつきましては、先ほどの合意文書にあるように、非常に長期的に考えている、また、当然のことながら戦略的でもあるわけでございます。
方法は幾つかあろうかと思っております。目的は、地球温暖化をすべての国が参加する形でどうやって実行していくかということでございまして、アメリカを孤立させるということがプラスなのか、若しくはそれをどうやって今後の枠組みの中で取り込んでいくのかということの考え方ではないかと思っております。
EUでも、例えばイギリスの態度は、今回のG8のサミットにおいて気候変動をあえてテーマの中の一つに入れているといったことは、その外交上もアメリカの取り込みということも当然念頭に入れているわけでございます。ただ、アメリカの方のそれに対しての対応というのは逆に、これは私の私見でございますが、EUが突っ走るとかえってアメリカは乗ってこないというような外交的な綱引きも、これは現実として行われているわけでございます。
この辺はいろんな、例えばロシアを今回の批准に持っていくためのWTOという一つの目標ですね、ロシアにとっての目標との駆け引き、そういったことを考えてみますと、今後、アメリカをただ除外をするという作戦が本当の意味で効果的なのかどうかというのは大いに考えなければならない点かと思っております。
我が国はやじろべえではございませんで、私は十分懸け橋になり得るのではないかということから、日米間のワークショップなども頻繁に開催もし、そしてまたメタン、今回も温室効果ガスの中での比率の分野の考え方を明確にしたわけでございますけれども、例えばアメリカが大変注目しているメタンの部分など、そういったところで合同的にこの技術革新ということに協力もともにしていくというようなこともあろうかと思います。
外交というのは、本当に一本の筋だけではございませんで、幾つかの方法で実行をしていくということで、結果的にゴールに到達できるというものであると、このように考えているところでございます。
○福山哲郎君 私は、EUがアメリカを除外をしようと思っているとは申し上げていません。そういう可能性もあるし、逆に言うと、サミットという別の枠組みでアメリカを取り込もうとしていたときに、例えばサミットの場で日本がどういう形で対応するのかについてお伺いをしたかったわけです。
それは外交上ですから、言えることと言えないことあると思いますが、先ほど大臣が言われたような、今までの既定の路線で六%は何とか守りたいと思いますよと、京都議定書の枠組みに日本は入っていますよと、COPMOP1以降はいろんな各国が入ってきてもらいたいですねというような、ある種の今までの延長線上の話でいいのですかと、国際社会は今年の冒頭から京都議定書発効を受けていろいろ動いているのではないですかということについてお答えをいただきたかったんで、なかなかお答えいただけないので、それは残念なんですが、副大臣、何か御意見あれば。
副大臣、済みません。突然の御指名ですから、なければ結構です。何か御意見があれば副大臣、お答えいただければと。
○副大臣(高野博師君) 今大臣がおっしゃったように、私は、EUというのは非常に長期的に物を見て対応していくという、そういう考えを持っているので、今回の京都議定書を受けて、やっぱり日本はもう少し対EUに対して、あとアメリカもそうですが、もっと戦略をもう一回練り直す必要があるのではないかなという考えを個人的には持っております。
○福山哲郎君 副大臣、思い切ってお答えをいただきまして、ありがとうございました。
小島局長、何か御意見があればいただけますか。
○政府参考人(小島敏郎君) 大臣、副大臣の指示を受けてやっていきたいと思っております。
○福山哲郎君 すばらしいお答えでございました。
もう実は二分しか時間がなくなりました。また来週、いろいろ御質問をしたいと思いますが、多くの課題残っていますし、実際アメリカと、大臣がよく言われる、アメリカに積極的に働き掛けると言われておられますが、通常から、それについて一体日本はどのように働き掛けをこの半年例えばしてこられたかとか、中国との政策対話の問題で、中国は今鉄鉱石も含めて鉄鋼の生産量が多いわけですけれども、中国との対話を、政策対話を日本はどのようにやってきたかとか、少し長期的で、そして大きい面で、外務省も交えて、やっぱりこの問題は国内の達成ももちろん重要ですし、やらなければいけないんですが、少し大きな目で議論していかなきゃいけないなというふうに思っているので、是非、委員長にもお願いなんですが、法案の審議も重要でございますが、その法案にかかわる京都議定書でございますので、長時間の審議を是非理事の皆さんにもお願いをしまして、今日の私の質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○委員長(郡司彰君) 今の提案については理事会でよく協議をいたします。