05/19
2015
第189国会 参議院 外交防衛委員会 2015年5月19日
○福山哲郎君 おはようございます。民主党・新緑風会の福山でございます。よろしくお願い申し上げます。
今日は一般質疑ですので、いろんな問題についてお伺いをしたいと思います。
先ほど北村委員からお話がありましたように、安全保障法制が閣議決定されましたが、与党の委員がおっしゃったように、分かりにくいということでございまして、ある世論調査では、安全保障法制を閣議決定した後、安倍内閣の支持率は少し減っているというか、下降しているということもあって、これはもうよりしっかりと国民に説明をしていただきたいと思いますし、与党の先生が分かりにくい分かりにくいとおっしゃっているわけですから、国民はもっと分かりにくいに決まっているわけで、何倍もしっかり説明をしていただきたいと。まだ参議院では審議が始まっているわけではありませんが、是非よろしくお願いしたいと思います。
いろんなことが起こっています。イラクやシリアではISILとイラク軍との間での非常に厳しい激突というかが起こっているし、それぞれの拠点での主導権の握り合い、主導権の取り合いも行われているみたいで、いろんなことをお伺いをしたいと思いますが、残念ながら、まずこのことをお伺いしたいと思います。
オスプレイの着陸失敗が十七日、ハワイ・オアフ島で事故が起こりました。一人が死亡、二十一人が負傷したということです。十二日に横田基地への配備を発表したばかりでございますから、防衛大臣としても非常に困惑をされているというふうに思います。周辺自治体もかなり動揺が広がっているようですし、沖縄も翁長知事は早速コメントを発表されました。
現状について米側とどの程度の情報共有をし、どの程度の説明の御用意があるのか、まず防衛大臣、お答えをいただけますでしょうか。
○国務大臣(中谷元君) 政府といたしましては、私も昨日、アンジェレラ在日米軍司令官に対して、着陸失敗の原因等の関連情報を速やかに提供するとともに、普天間飛行場所属のMV22のオスプレイについて引き続き安全面への最大の配慮を申し入れたところであります。これに対して米側から、本件については迅速かつ透明性を持って対応したいという返答がございました。
そして、引き続き米側におきましての情報提供を求めておりますけれども、現時点におきまして、米国政府から、現在、本事案の調査を行っているところでありますが、MV22オスプレイの設計に根本的欠陥があると疑う理由はなく、また、これまでにMV22オスプレイの通常運用を停止させるべき理由は発見されていないとの説明を受けております。同時に、米政府は、MV22の運用の安全性を確認しており、引き続き最大限の考慮を払って運用するといたしております。
このMV22オスプレイを含む米軍機の運用に当たりましては、安全面に最大限の考慮を払って活動すべきものであるということは言うまでもなく、引き続き米側に対して適切な対応をしっかり求めるとともに、今回の事案につきましても、得られた情報を基に地元に説明をしてまいりますと同時に、情報提供を求めていきたいと思っております。
○福山哲郎君 今防衛大臣が言われた、米政府が言っている構造的には問題はないということは、今回の事故の原因究明とはまた別の話ですよね。つまり、原因究明とか情報提供は新たにこれからあるという判断でよろしいんですよね、防衛大臣。
○政府参考人(黒江哲郎君) 今の先生の御質問でございますけれども、先ほど大臣から御紹介しました米側の、何といいますか、答えといいますのは、あくまで現時点での向こうが把握しておる内容ということでございます。
したがいまして、今後、米側におきまして事故原因の究明といったものが進んでいけば、また新たな情報提供というのは我々に対してあるのであろうということを我々としても期待をしておるというところでございます。
○福山哲郎君 いつまでとかという話は、米側と今されているんでしょうか。
○政府参考人(黒江哲郎君) 現時点におきましては、明確な期限でありますとか、そういったものというのが米側から示されておるわけではございません。
当然のことながら、日本側からは、分かり次第速やかに我が方に情報提供してほしいということを申し入れておると、そういうことでございます。
○福山哲郎君 一般的に考えれば、ハワイの事故について、米側としても何らかの原因究明を国内としてやるはずです。そのことに対してはしっかりと同様に日本にも伝えていただいて、そのことを速やかに周辺自治体の住民ないし首長に説明しないとそこはいけないので、それは、米側がそれぞれの国内でやっていることに対して、ちゃんと並行して日本側にも情報提供していただけるようにということを強く求めたいというふうに思います。
私は不公平な議論をしたくないのであえて申し上げますが、我々の政権のときに岩国にオスプレイが陸揚げをされるような場面がありましたので、我々も実はこのことについては責任の一端を担っております。だからこそ、周辺自治体の皆さんの不安を払拭するべくアメリカ側にきちっと伝えていただきたいと思いますし、今申し上げたように、いつかは分からないけどといったって、アメリカだって国内に対してちゃんと説明するに決まっているわけですから、そこの時期に対してきちっと遅滞なくやれるようにお伝えをいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(中谷元君) 昨日も、在日米軍司令部にもまた在京の大使館にも、これに関する情報提供を求めておりますので、しっかりと日本政府としても情報の収集に努めまして対応してまいりたいと思っております。
○福山哲郎君 よろしくお願いしたいと思います。
続いて、安倍総理の安全保障法制の記者会見の件についてお伺いをします。中身ではないんですけど、安全保障法制の。
記者の方が自衛隊の皆さんのリスクが高まるのではないかという趣旨の質問に対して、今までも自衛隊の皆さんは危険な任務を担ってきているのです、まるで自衛隊員の方々が、今まで殉職した方がおられないかのような思いを持っておられる方がいらっしゃるかもしれませんが、自衛隊発足以来、今までにも千八百名の自衛隊員の方々が様々な任務等で殉職されておられます、私も総理として慰霊祭に出席をし、御遺族の皆様ともお目にかかっておりますと。
千八百人殉職をされているというか、亡くなられていることが、何か、さも当たり前のような状況で、自衛隊の皆さんは危険な任務を担っているからそれでいいんだというふうに取られかねない発言をされています。私は、若干これは耳を疑いました。
確かに、不幸にして公務に起因をして死亡した自衛隊員の方は千八百七十四名おられます。この原因についてお答えいただいてもいいですか。
○国務大臣(中谷元君) 公務に起因した災害のうち、その他の原因としたものには、職務に起因した血管疾患を発症した者、また演習や体育訓練中に疾病を発症した者、艦船航行中に行方不明となった者及び職場のアスベストによる肺がん等を発症した者等があります。
その他、トータルで申し上げますと、平成二十六年度末までに不幸にして公務に起因した災害により死亡した自衛隊員は千八百七十四人でありまして、その原因は、車両事故三百五十三人、航空機事故五百八十六人、演習中の事故三百九十四人、艦船事故四十一人、その他五百人ということでございます。
○福山哲郎君 大臣には御丁寧にお答えいただいて、ありがとうございます。
私も、実は、殉職自衛官の慰霊祭にはできる限り出席を毎年地元でさせていただいております。ただ、戦地に赴いて戦闘行為で亡くなっておられるわけではありません。今回、この安全保障法制はいわゆる戦争に参加をすることです。また、後方支援も現に戦闘地域ではない現場ということで、これまでの非戦闘地域の概念よりかはずっと危険、リスクは高まります。このことを総理に幾ら国会で質問しても、お認めをいただけません。
リスクが高まることは、私は自明だと思っておりますが、そのことをお認めにならない上に、千八百名亡くなっているんだから、さも自衛隊員の皆さんはより危険な任務でもいいんだというように取られかねない発言をされたことは、自衛隊員の皆さんが、御家族もいらっしゃる、そして日々我が国の安全と平和のために御精励をいただいていることからも含めて、私は少し看過できない発言だと思っております。
防衛大臣は、まさに防衛省を束ねておられるわけですから、このことについてどういう感じを持たれたか、お答えいただけますでしょうか。
○国務大臣(中谷元君) 私も、佐藤委員も宇都委員もそうですが、自衛隊に勤務しまして自衛隊員と接しているわけでございますが、やはり自衛隊というのは、有事はもとより、災害派遣にしてもPKOにしても、自衛隊の任務はこれまでも命懸けで、これ以上ないリスクを負って勤務をしているということでございます。訓練とか事故などで殉職をされても、それは有事の備えも含めて国民の命と平和な暮らしを守るという任務の遂行の一環で尊い命を落とされたわけでございまして、非常に厳しい任務を負っているんだと。そして、自衛隊は、自ら志願をし、そして危険を顧みず職務を完遂することを宣言をしたプロフェッショナルとして高度の専門知識を養い、日々厳しい訓練を行うなど危険な任務遂行のリスクを可能な限り軽減をしてまいりました。
この隊員の安全確保等につきましては、今回、平和安全法制を制定をしたいと考えておりますが、これによって与えられる任務においては変わりがないということでございます。
○福山哲郎君 防衛大臣とここで水掛け論をするつもりはありませんが、リスクについて変わりがないと言われた根拠は何ですか。
○国務大臣(中谷元君) 現在においても、我が国の有事を含めて自衛隊の使命を完遂するためにリスクを負って訓練をしてきているということでございます。
○福山哲郎君 それは分かっております。私は、自衛隊員の皆さんがこれまでもリスクを背負っていただいているというのは、先ほど冒頭私自身も申し上げたとおりでございます。
しかし、今回の安全保障法制で、例えばで言えば、その話は、特別委員会がどうなるかは別にして、衆議院でも動いてくると思いますから議論があると思いますけれども、例えばPKOで今回治安維持ができるようになりました。恒常的な治安維持は間違いなくリスクが高まります。
そういった状況を何かリスクは変わらないと口だけで言って、自衛隊員の皆さんを本当にそういった場所に派遣をするということについても含めて、こういう表現は私は非常に誤解を与えると思いますし、それから、千八百名もの自衛官の方々が亡くなっておられるんだから、何か殉職を一人もいなかったみたいに言うけど、千八百人もう亡くなっているんだから危険は多少増えてもいいんだみたいに聞こえる表現の仕方というのも、私、大変な問題だと思いますよ。こういう不遜極まりない言葉の使い方は、本当に私は聞いていてもう残念を通り越します。
大臣は自衛隊員の皆さんの指揮官ですから、総理は最高指揮官ですけれども、やっぱりそこのところについての配慮を私はお願いしたいと思いますし、そこについて素直に政治がリスクを認めて、自衛隊員の皆さんに厳しい状況だけれども任務を頼むと言わなければ、そこをリスクはありませんとか言いながら任務をしてくださいというのは、僕はある意味で政治家の怠慢だと思いますよ。国民に対する説明責任も欠けていると思いますよ。そこのところについては、非常に私はちょっと嫌な感じがします、こういう不誠実な言い方は。特に、総理がこういった言い方をすることについては、本当に私は嫌な感じがします。
防衛大臣はそこのことを分かった上で今おっしゃられたような答弁をされたのは職責上、立場上仕方がないかもしれませんが、しかし、大臣には是非政治家としてのお言葉をいただきたいと思いますので、もう一回御答弁をいただけませんか。
○国務大臣(中谷元君) 自衛隊の任務というのは命懸けでありまして、これまでもそうですけれども、非常に高いリスクを負っていろんな任務をしてきたと。歴代の防衛大臣もその職にあられましたけれども、災害派遣にしてもPKOにしても、与えられた任務についてリスクを覚悟で遂行してきたということでございます。
訓練とか事故で殉職をされた方もありますが、これはやはり有事の備えも含めた国民の命や幸せな暮らしを守るというこの任務遂行の一環で尊い命を落とされたわけでございまして、非常に隊員の安全に対する配慮も全力でやってこられましたので、PKO、戦闘行為で自衛隊員が死亡したというのはなかったわけでございますが、今回の法律におきましても、リスクを軽減させるという措置につきましては、安全配慮規定を設けるとか、また任務の拡大に際しては併せて任務に応じた武器使用等の権限も付与いたしておりますし、やはり隊員に活動させる以上はこういった安全配慮規定、こういったことも当然必要な中で、与えられた任務が遂行できるようにいたしておりまして、やはり、国としての事業をしていただくという面におきましてはしっかりとした体制に基づいた運用に努めてまいりますけれども、リスクの面におきましては今までも十分リスクを覚悟に任務を遂行してきたということは申し上げておきたいと思います。
○福山哲郎君 防衛大臣は非常にうまく言葉を使われました。リスクを負う覚悟は私たちも理解をしております。訓練、事故で有事の備え、それもそのとおりです。有事の備えなんです。リスクを負う覚悟はされているんです。今回は違うんです。リスクが高まるんです。有事の備えではありません。
状況によっては、これまでの非戦闘地域とは違って、法制局長官がいつも言われています、近接性だけで武力行使の一体化の議論をしているということは、近いか近くないかということに関して言うと、相当今までよりも戦闘地域に近いところで実は後方支援活動も行われる可能性もある。先ほど申し上げたPKOにしたって、常時治安維持ができるというのは、これは本当にリスクが高まるに決まっているわけです。
それは、リスクは覚悟されているかもしれませんが、リスクは高まるということについて、千八百人もう亡くなっているんだから、そんなのは、何か危険な状況で勤務をするのは、任務をするのはさも当たり前だみたいな議論は、少しそこは控えていただきたいと申し上げているんです。そこの覚悟を示していただかないと、私は本当にこの議論、国民に誤解を与えると思いますし、こういった発言があるからこそ、記者会見をした直後でも私は支持率が下がるんだと思います。
中谷大臣、中谷大臣は現場も分かっておられるので、逆に言うと非常に厳しい立場だと思いますが、もう一回御答弁いただければ有り難いと思いますし、少し自らの言葉で語っていただければ有り難いと思います。それをつかまえて安倍総理に向かって、中谷防衛大臣がこんなことを言っていたみたいな、そんなくだらない議論をする気はありませんので、防衛大臣、よろしくお願いします。
○国務大臣(中谷元君) 現在もPKOや災害派遣に自衛隊を派遣をいたしておりますが、私は、命令を発する場合には、隊員の安全、そして任務遂行をお願いをする立場から、今でもこういった隊員の安全については、全員無事で帰ってこいということも併せて言っております。
そして、今現在も、災害派遣とかまたPKOについては相当高い危険、リスクを前提にいろんな訓練や準備をし、また送り出す側としても対応を検討して派遣をいたしておりますので、こういったリスク等の意識につきましては、私は、今も相当高い覚悟を持って隊員も準備をしているし、また、実際派遣する場合には希望を募って本人の意思も確認した上で派遣をいたしております。
このように、今でもこの任務遂行のために相当高い意識を持って自衛隊というのは運営をされておりまして、今後、法律、これから御審議をいただきますけれども、この法の整備の結果、新たに任務についてもリスクの可能な限りの軽減を図りつつ、安全かつ効果的に遂行できるように努めてまいりたいと思いますので、是非法案の審議の際もこの点を踏まえてお願いをいたしたいと思います。
申し上げたいのは、今でも自衛隊員というのは命懸けでこの与えられた任務を遂行できるように、そのための意識を持って訓練をしている、そういう気概を持っているということでございます。
○福山哲郎君 中谷大臣、私は、自衛隊員が高い意識を持っていないと、さっきからの私の質疑の中で一言も申し上げたことはありません。逆に、自衛隊員は命令が下されればやりますという姿勢で常にいるからこそ、政治の側がそのことをもって、リスクがあるのかどうか、そのリスクに対してどう向き合うのか、それに対してどう国民に説明するのかが大切ではないですかと申し上げているわけです。自衛隊が高い意識を持っているというのは、私もそこは理解をしています。
防衛大臣が言われたように、災害のときだって覚悟は要ります。隣に北澤防衛大臣いらっしゃいますが、あの原発事故のときに、一Fの上からヘリで注水するのは、私も、官邸で防衛大臣が最終決断をされた場面に私はおりました、それは本当に、どれだけ放射能がその当時まだ出ているかも分からない状況で、上空から放水をしていただくことがどれほどのリスクか、本当に厳しい決断だったと思います。また、隊員の皆さんも御家族も相当の覚悟だったと思います。
そこを、私も少なからずそういう現場にいさせていただいたからこそ、逆に、今回の安全保障法制で間違いなくリスクが高まるのに、千八百人も亡くなっているんだと、何か危険な業務をしても当たり前だみたいな議論は、逆に、大臣、私が申し上げているのは、自衛隊員が高い意識を持ってやっていただけるからこそ、政治の側が謙虚に、更にしっかりと説明をしなければいけないんじゃないかと申し上げているんです。
私は、自衛隊員が高い意識を持っていないなどとは一言も先ほどから申し上げておりません。だからこそだと申し上げているんですけど、なかなか大臣には私の思いが伝わらなかったようなので残念に思いますが、こういった発言は是非総理に大臣から注意を促していただきたいというふうに思います。
次に行きます。
これも報道しか分かりませんが、今月行われる予定だった北方領土のビザなし交流が、いや、自由訪問がロシア側の都合で中止になりました。今年の九月には、北方領土を含む千島列島で大規模な対日戦勝記念式典が予定をされています。
総理のアメリカ訪問は成果があった、上下院での合同の演説も良かった、アメリカ側の評価も高かった、総理の本会議の御報告もありましたけれども、一般的にはそういう評価だと思います。私もこの間申し上げましたが、総理の訪米で、日本の総理大臣がアメリカの議会で演説をされてアメリカから高い評価を受けたことについては多とします、そうこの間も申し上げたとおりです。
しかしながら、報道を見ると、その場の日米首脳会談で、総理はロシアのプーチン大統領の年内訪日に向けた調整を進める考えをオバマ大統領に伝えていたと、それに対して、アメリカ側も若干のウクライナ問題に対して懸念の表明があったというようなやり取りがあったと報道に出ています。それも、今になって報道が出だしました。
しかしながら、外務省の日米首脳会談の概要ペーパーにはそのことは一切記載がありません。なぜ記載をされないのか。外務大臣は首脳会談に同席されていると思われますが、そういったやり取りがあったのかどうか。外交関係のやり取りですから、一定相手があるので答えられないということを言われるのは私は想定内ですが、しかし報道出ていますので、なぜこのことを記載しなかったのかも含めてお答えください。
○国務大臣(岸田文雄君) 先月の日米首脳会談におきましては、安倍総理から、ウクライナあるいはロシアに関わるやり取りとしまして、G7の連帯を重視しつつ、ウクライナ問題の平和的そして外交的解決に向けてロシアに対する働きかけ等、適切に対応していく、こうした発言をした次第であります。そして、両首脳としましては引き続きウクライナ自身の改革努力についても支援していく、こういったことで一致した、こういったやり取りが行われました。
そして、この御指摘の点について、詳細について、なぜ載せなかったか等も含めて申し上げることが先方とのやり取りを明らかにすることにつながってしまいますので、これは御理解いただきたいと存じます。
これは、詳細は控えなければならないと思いますが、いずれにしましても、プーチン大統領の訪日、さらには日本の外務大臣の訪ロの日程につきましては、今後、この準備状況を勘案し、そして様々な要素を総合的に考慮して検討していく、これが我が国の方針であります。
○福山哲郎君 プーチン大統領の年内の訪日について、日本側としては進める進めない、アメリカ側からの懸念表明等については、じゃ、あったのかなかったのか。今そこは余りはっきりと外務大臣お答えなかったんですが、お答えできない場合はできないで結構ですが、やり取りがあったのかどうかについてお答えいただけますか。
○国務大臣(岸田文雄君) ウクライナあるいはロシアに関してやり取りがあったことについては今申し上げたとおりであります。しかし、それ以上の詳細については控えなければならないと考えます。
○福山哲郎君 それでは、なぜ首脳会談のこういったやり取りが報道に漏れたんでしょうか。これはアメリカ側からですか、日本側から出たリークですか、どちらですか。
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘の報道につきましては、私も報道を見ましたし、承知をしております。ただ、その報道に、記事に至った経緯につきましては、私自身、十二分に承知はしておりません。
○福山哲郎君 まあそういうお答えで仕方がないと思いますけれども、しかし、これ報道が漏れたのは僕は問題だと思いますよ、やっぱり。どちらから漏れたのかよく分かりませんが。
それから、昨日、日ロの外務次官級協議が行われたと聞いていますが、これ、この日ロ外務次官級協議について事前に米国側から懸念が伝えられた事実はありますか。これは日米首脳会談とは全く別です。この日ロ外務次官級協議について事前に米国側から懸念が伝えられたという事実はあるのかという質問です。
○国務大臣(岸田文雄君) 五月十八日に、モスクワにおきまして長嶺外務審議官とリハチョフ・ロシア経済発展第一次官との間で日ロ政府間委員会貿易投資分科会議長間会合、これが行われました。その中で、最近の日ロ間の貿易、経済関係に関する評価の共有ですとか協力の意義、あるいは既存の協力案件の状況や見通し等について意見交換を行った次第であります。
日米間におきましては、絶えず様々な課題につき情報交換を行い、意見交換を行っております。こうした会議を開催することにつきましては、当然米国側にしっかり伝えております。
○福山哲郎君 あえて御質問をお答えいただいていないんですけど、米国側からこの会議について懸念を伝えられたという事実はあるのかどうか、答えられない場合は答えられないとおっしゃっていただいて結構です。どうぞ。
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のこの会合につきましても日米間で情報を共有し、そして意見交換を行った、これは当然のことであり、事実ございました。しかし、その意見交換の中身について、詳細について申し上げるのは控えます。
○福山哲郎君 外交ですから、いろんな相対的に各国の状況があります。一直線にあれがいい、これが悪いとなかなか言いにくいことだと思いますが、ウクライナの問題については、アメリカを中心としてG7のそれぞれ、ロシア以外が非常に懸念をしておりますし、ヨーロッパも非常にまだ動いている事象としてやっています。日本はもちろん北方領土問題がありますから、ロシアとの一定の対話を続けなければならないというのもよくよく分かりますが、ここのバランスの中で、アメリカ側から報道によればかなり懸念が伝えられているのに、そこは一切、日米首脳会談の報告にもないし、そういったことのやり取りがあったことについて政府側から説明がないというのは、私は、まあ理解はしますが、なかなかそれは、いいことしか発表していないなというふうに思います。
岸田大臣のロシアの訪問の予定というのは今どのような感じで準備が進んでいるのか、大臣、お答えいただけますか。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、外務大臣の訪ロについての御質問ではありますが、そもそも昨年、北京での日ロ首脳会談が行われ、その際にプーチン大統領の訪日について本年の適切な時期に実現するため準備を開始する、こういったことについて一致をしております。そして、その前段階として日本の外務大臣の訪ロについて検討をしていくことになっているわけですが、外務大臣の訪ロの日程につきましては、プーチン大統領の訪日を本年の適切な時期に実現することを目指す中で、準備状況を勘案し、そして種々の要素を総合的に考慮して検討していかなければなりません。
現時点におきましては、具体的な日程等、何も決まってはおりません。
○福山哲郎君 ウクライナの問題について、プーチン大統領の訪日若しくは岸田外務大臣の訪ロが実現をするということは、ウクライナ問題に対して一定日本は理解を示したということを国際社会にメッセージとして与えることになります。恐らくそこの兼ね合いをどうするかが多分非常に大きな外交的な判断だと思います。ですから、アメリカ側からも懸念が伝えられているし、そのときの日本の対応次第によってはやはりウクライナの問題に対して誤解を与える可能性があると。
ウクライナの動きというのは、南沙や東シナ海で今中国が現状変更をしているという動きと、私は軌を一にしているとは申し上げません、そこまで何でもかんでも一緒にするような雑駁な議論はしたくありませんが、非常にセンシティブな問題が絡んできます。そういったことも含めて、北方領土問題を抱えている日本として厳しい状況ですが、全体の国際政治、国際社会の中、若しくは尖閣、南シナの問題が今大変な課題になっている中で、この岸田大臣の訪ロ、それからプーチン大統領の訪日というのは非常に神経質な問題であり、一つ判断を間違えるとこれは将来的にもいろんな禍根を残す可能性があるということは事前に指摘をしておきたいというふうに思います。
そういったことも含めて慎重な対応をお願いしたいと思いますし、今の安倍政権は何でもかんでもどちらかというと行け行けどんどんでございますので、そのことについて私としてはこの場で指摘をしておきたいと思いますが、外務大臣、何かあればお答えいただいて、質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、ウクライナ情勢につきましては、法の支配を重視する日本として、ウクライナの主権あるいは領土の一体性を侵害するようなことについては看過できないという原則的な立場に立って対応してきております。
この問題につきましては、外交的な努力によって平和的に解決するべきであるということで関係者に対して働きかけを行っておりますし、引き続きG7の連携は重視するということは再三強調しておりますし、そしてウクライナ自身の改革につきましても関係国と協力をしていく、これが我が国の立場であります。
そして一方、ロシアとの政治的な対話につきましては、欧米諸国も含めて重要性の認識が共有されていると思っています。我が国は、日ロ関係については我が国の国益に資するよう進めていかなければならないと思いますし、いずれにしましても、政治的な対話は引き続き大事にしていかなければならないと考えます。
○福山哲郎君 終わります。