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2014
第186国会(閉中) 参議院 予算委員会 2014年7月15日
○委員長(山崎力君) 次に、福山哲郎君の質疑を行います。福山哲郎君。
○福山哲郎君 おはようございます。福山でございます。
私、午前中の時間、実はあともう十三分しかございませんので、午前中、頭出しの質疑をさせていただいて、そして午後からの審議にまた譲りたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
ちょっと一枚目、パネルを御覧ください。(資料提示)これは、七月の一日の総理の記者会見でございます。
私、実は、昨日の衆議院の審議をお伺いをいたしまして、随分この集団的自衛権の行使容認について明確になるものかと思いきや、実は全く逆でございました。
これ、総理の会見、御覧ください。真ん中です。現行の憲法解釈の基本的考え方は、今回の閣議決定において何ら変わることがありませんと言われていますが、現実には、これまで集団的自衛権の行使は認められなかったのに、限定とはいえ行使が認められることになりますから、これは変わっていますし、昨日の答弁でも、総理は明確に解釈を一部変えたとおっしゃっておりました。
海外派兵は一般に許されないという従来からの原則も全く変わりませんと言われますが、昨日から随分前のめりになっておっしゃっておられる掃海艇の派遣は、これは海外派兵です。特に遺棄機雷ではない状況で紛争中に掃海艇を派遣をすることは武力行使です。ですから、これは海外派兵だと私は思っていますから、全く変わりませんというのもよく分かりません。
それから、自衛隊がかつての湾岸戦争やイラク戦争での戦闘に参加するようなことはこれからも決してありません、集団安全保障のことを言われているんだと思いますが、昨日、法制局長官は、新三要件において、法理上、三要件を満たせば集団安全保障にも参加可能だということを明言されました。
ところが、総理は、五月の十五日の会見でいうと、国連の集団安全保障措置は、私は憲法がこうした活動の全てを許しているとは考えませんと、自衛隊が武力行使を目的として湾岸戦争やイラク戦争での戦闘に参加するようなことはこれからも決してありませんと、同じようなことを言われているんですけれども、でも、掃海艇の派遣は武力行使です。ですから、ここもちょっとよく分かりません。
それから、これから質問に移ります。外国を守るために日本が戦争に巻き込まれるという誤解があります、しかしそのようなこともあり得ないということも言われていますが、これも、実は戦争に巻き込まれる論というのはもちろん日本にこれまでずっとありました。しかし、二枚目の紙を、パネルを御覧ください。日本の専守防衛というのは、あくまで何らかの形で日本に攻撃があった場合、それに対して、必要最小限度、均衡原則によって武力行使ができるというのが日本の今までの考え方です。これが個別的自衛権の考え方です。
ところが、先ほど我が党の大塚委員との議論にもありましたけど、集団的自衛権の行使というのは、三枚目、御覧いただけますでしょうか、国民の皆さんにも御覧をいただければと思いますが、C国から日本に攻撃はありません。C国からB国に攻撃があったときに、これ総理が言われていることだけわざと私書きました。強制的な臨検や機雷掃海や米艦防護、これは武力行使です、武力行使をすると。これ全然違うわけです、さっきの図と。これは限定だとか限定でないとかは別にして、国際法上、集団的自衛権の行使をするということはまさにこういうことです。
戦争に巻き込まれるとか巻き込まれないではありません。私、前の外交防衛委員会で総理に聞いたときにははっきり御答弁いただけなかったのでお答えを求めますが、こういった状況でB国とC国は紛争しておりますので、この状況で武力行使をするということは、日本は巻き込まれるのではなくて戦争に参加することなんじゃないんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今回の閣議決定に対しては、盛んに、巻き込まれる、戦争をする国になると、こんなふうに批判をされているわけでありますが、これはまさに日米安保条約を改定した際にも反対論の中心的な議論であったと、このように思うわけであります。
そこで、今回の閣議決定の目的はただ一つでありまして、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中で、国民の命と平和な暮らしを守り抜くために万全の備えをつくること、こうした備えこそが万が一の事態の発生を防ぐ大きな力になるわけであります。
新三要件にあります、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があるとは、他国に対する武力攻撃が発生した場合において、そのままでは、すなわち、その状況の下、武力を用いた対処をしなければ、国民に対して我が国が武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害が及ぶことが明らかな状況であるときということをいうものであると、こう考えているわけであります。
そして、海外派兵については、一貫して申し上げておりますが、一般に許されないという従来の原則も全くこれは変わっていないわけでありまして、自衛隊が武力の行使を目的として……(発言する者あり)やじられると、なかなか答え……(発言する者あり)大事なところだから、ちょっと黙って聞いていただきたいと思います。
自衛隊が武力の行使を目的としてかつての湾岸戦争やイラク戦争での戦闘に参加するようなことは、新三要件にある必要最小限の範囲を超えるものであり、これからも決してないということであります。また、他国の防衛それ自体を目的とする集団的自衛権の行使を認めるものではないわけでありまして、外国を守るために日本が戦争に巻き込まれるというのは誤解でありまして、ということでありまして、今回は、様々な誤解があるわけでありますので明確に申し上げておきたいと思いますし、委員も冒頭、巻き込まれる、あるいは参加ということを言われたわけでありますが、この三要件に適する中において、我々は集団的自衛権の一部が行使をできる、つまり武力行使ができると、武力行使はそういう三要件の中においてのみできると、こういう考え方であります。
○福山哲郎君 総理、私の質問に明確にお答えください。
要は、先ほど申し上げたように、個別的自衛権の場合は、日本は攻撃をされたときだけその分に合わせて攻撃できるんです。それは国民の生命、財産、この国を守るために必要だからです。この図を見ていただければ、我が国に攻撃がないのに、B国とC国は紛争中です、そこに対して武力行使をするということは、戦争に参加をすることですねと聞いているんです。私の質問にお答えをいただきたいと思います。
それからもう一点、先ほど、イラクや湾岸戦争はされないというときに、総理は、非常に微妙に、新三要件に合致をしないから行かないとおっしゃいました。ということは、ドイツは、初めて集団安全保障に参加をしてNATOから域外に出ることを決めたアフガンのときには、実は戦闘には参加しておりません。治安部隊と復興支援部隊にドイツは出ました。ということは、新三要件に先ほど総理が言われたように合致すれば、戦闘行為ではない状況なら行かれる可能性があるということですね。
まず、戦争に参加することかどうかを明確にお答えください。そうではないと国民は誤解をします。なぜなら、総理、我が国の憲法第九条の一項は、国際紛争の解決の手段として武力の行使をそもそも禁止しています。このB国とC国は国際紛争をしています。そこに手段として我が国は武力行使をしていくことになります、限定であろうが何であろうが。そのことに対して、私は憲法上疑義もあると思っていますし、だからこそ、我が国は今まで集団的自衛権を行使できないと、これは自民党政権がずっと決めてこられたことです。
ですから、そのことと、いいですか、戦争に参加をすることだということについて、どうかお認めをいただきたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 明確にお答えをさせていただきたいと思いますが、私が申し上げてきていることは一貫しているわけでございまして、今回なぜ根幹を変えていないかといえば、自衛権の発動については、憲法の前文、国家としての平和生存権、そして十三条における国民の命、そして自由、幸福追求の権利を守るためには自衛権を発動することができるということであります。その論理の中において、しかし、それは、とはいえ、それは必要最小限度にとどまらなければならないという、これが四十七年見解の根幹であります。
しかし、その中において、いわゆる集団的自衛権が行使できないという結論になっておりますが、そこを当てはめにおいて、我々は、状況が変わる中においては集団的自衛権について一部限定的に容認することができるということでありまして……(発言する者あり)今答えて、丁寧に答えているんですからね。前提を少し説明をしないと……(発言する者あり)イエスかノーかで答えられるような単純な問題ではないんですよ。だから、少しは忍耐力を持って……(発言する者あり)つまり、この中にも書いてあるように、そこで言わば武力行使を目的としてイラク戦争や湾岸戦争のような戦闘に参加をすることはないと、こう申し上げてきたわけでありますし、一般に海外派兵はできない。
ただ、その間、私もずっと申し上げておりますように、機雷の掃海につきましては、これは国際法的には武力行使として扱われますが、しかし、機雷の掃海については、まさに国際海峡に対して違法に国際海峡を機雷で封鎖するものであって、この危険物を除去する上において、武力行使と捉えられますが、しかし、これは放っておけば日本のまさに安全に重大な影響が及ぼすという三要件の中に合致すれば、合致すれば機雷の掃海を行うということであります。しかし、これは限定的、受動的なものであるということは言わざるを得ないということでございまして、おのずから、いわゆる海外における武力行使とは、武力行使と言わば国際法的には整理されますが、これは差別されなければ、整理されなければならないと、このように思います。
○委員長(山崎力君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。
午後一時に再開することとし、休憩いたします。
午前十一時五十四分休憩
─────・─────
午後一時開会
○委員長(山崎力君) ただいまから予算委員会を再開いたします。
予算の執行状況に関する調査を議題とし、集団的自衛権及び外交安全保障をめぐる諸問題に関する集中審議を行います。
休憩前に引き続き質疑を行います。福山哲郎君。
○福山哲郎君 午前中に引き続きまして、よろしくお願い申し上げます。
午前中、集団的自衛権の行使というのは、C国からB国に攻撃があって日本には攻撃がないのに武力行使をすることですから、これは、いわゆる、BとCは紛争をしているわけですから、紛争の解決する手段としての憲法が禁じている武力行使にならないのかということもお話をしましたし、実はこれは戦争に巻き込まれるのではなくて参加をすることではないのかとお伺いをしましたが、総理は一切お答えをいただけませんでした。非常に残念だと思っております。
総理が常に武力行使で言われている、例えばこの臨検でございます。臨検は、旗国の同意がなく強制的にすることは、国際法上、武力の行使です。朝鮮半島に有事があったときに、私は一般的には米国が海上封鎖をしていると思っていますので北朝鮮に向かってどこかの船が何か物資を運ぶというのはなかなか考えにくいとは思っておりますが、しかし総理がこだわられるので仮にそういったことがあったとして、例えば武力行使として強制的に臨検をするとなれば、相手の船にどんな武装集団が乗っているかも分からない、どんな武器を持って待機しているかも分からない、待ち構えているかも分からない、そこで臨検をするわけです。これは、周辺事態法による周辺事態における船舶検査法に基づく船舶検査とは全く異なります。
昨日、我が党の岡田委員の質問に、いわゆる武力行使の一体化のときにも総理は言明をいただけませんでしたが、この強制的な臨検というのは、当然、自衛隊員にとってのリスクは高まるということは、危険が非常に高い業務だということは、総理、これはお認めをいただけますね。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) このいわゆる臨検でありますが、今委員が指摘をされたように、船舶検査法に基づく措置は安保理決議に基づく場合又は旗国の同意を得て検査を行うものであり、また乗船しての検査については船長の承諾を得ることとなっています。これらは、あくまでも強制的な措置に至らない範囲で行うものであり、武力による威嚇又は武力の行使に当たるものであってはならないとされております。
その中で、政府が、我が国にも武力攻撃が行われていないという状況下の中において、今後我が国への攻撃に使われ、国民の生命が犠牲になるかもしれない武器等を積んでいる疑いのある船舶が航行しているのに、我が国として強制的な検査ができないのでよいのかという問題意識の下で検討を行ってきたものであります。
そして、今回の閣議決定はあくまでも国民の命と平和な暮らしを守ることを目的としたものでありまして、憲法第九条の下で許容される武力の行使は、我が国の存立を全うし、国民を守るため、すなわち、我が国を防衛するためのやむを得ない自衛の措置として初めて許容されるものでありまして、このような従来の憲法解釈の基本的な考え方は何ら変わるところがないわけでありますが、その中において自衛隊員は、これは個別自衛権においてもそうでありますが、まさに、事に臨んで危険を顧みず、身をもって職務を全うすると、こうした任務を果たしていくことになるわけであります。
○福山哲郎君 先ほどの質疑の中でもそうなんですけど、質問にお答えをいただきたいと思います。そして、私が説明をしたことをもう一度総理に説明をいただく必要はありません。
それで、私は、自衛隊員は個別的自衛権のときには、それは我が国のために宣誓をしていただいているんだから、命を張って本当に御苦労いただいているのは私も分かっております。しかし、日本に攻撃がない時点で臨検をしに行くということは強制措置ですから、その船から見れば。いかにリスクの高い業務を自衛官にさせるかということで、昨日も岡田委員の質問に、自衛隊のリスクは高まるかという質問に全くお答えをいただけなかったのは、私非常に残念です。
総理が覚悟を持って言われるなら、集団的自衛権の行使は戦争に参加することです、そして、臨検は強制的ですから、自衛官の皆さんのリスクは高まるとなぜ言えないんですか。それを正直に言っていただかないと、国民は、この集団的自衛権の行使が本当に国民が納得できるのかどうか。自衛官は御家族もいらっしゃいます。そして、自衛官は、そもそも集団的自衛権の行使ができないという前提で、しないという前提で自衛隊に入っていただいています。私は、そのことを総理が言明をいただけないことが非常に残念です。
例えば、もう一個、昨日からずっと申し上げている機雷の掃海について申し上げます。
戦闘行為をしている最中に掃海艇を派遣することは、先ほども申し上げたように海外派兵です。総理は海外派兵はしないとおっしゃっていますが、武力行使、いわゆる掃海をする目的で武装した部隊を他国の領土、領海、領空に派遣することは、これは海外派兵です。
昨日、防衛大臣は、遺棄機雷のときには護衛艦を連れていかなかったとおっしゃっています。それは、ある意味、停戦状態になって穏やかになったから遺棄機雷を除去しに行って、それについて自衛隊員は非常に優秀な業務をしていただいたと私は思っています。それが国際評価も高かったことも私は存じ上げています。
しかし、戦闘行為が実際に行われるところに機雷を、掃海艇を出すということになれば、これは私、防衛省に確認をいたしました。戦闘行為が行われているところに出すとなれば、これは護衛艦も付けなければいけないし、状況によっては航空支援部隊まで付けなければやっぱり危険な状況だということは、これは当たり前だというふうに思います。これも遺棄機雷の掃海とは全く違う、これも自衛官にとってはリスクが高まるものです。
このことについても、総理、自衛官のリスクが高まるということは、危険が高まるということはお認めをいただけますでしょうか。
○国務大臣(小野寺五典君) 自衛隊員のことでありますので、私の方からちょっとお答えさせていただきます。
まず、先ほど来、福山委員から御質問がありますが、今回の新要件、これは、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険、こういう大変危険な状況にあるということが前提の中で、例えば先ほど臨検のことについてお話がありましたが、その臨検の場合、当然、船舶に積んである様々な武器その他が、これは日本に直接今後攻撃に使われる可能性が十分考えられる、恐らくそういうことを想定しての臨検ということになります。そうすると、この時点で未然にそれを防ぐ方が、後々相手側にしっかり渡って日本の攻撃に使われるよりは、むしろ私ども全体の安全保障としてこれはプラスになるんではないかと、そういう思いも考えの中では是非あるということをお考えいただければと思っております。
それからもう一つ、今、機雷の除去についてのお話がございました。今お話がありますように、当然、停戦が行われて遺棄している機雷に関しては、これはある面で能力を高く機雷の除去ができると思います。ただ、もう一つ、もし実際戦闘が本当に行われているエリアで、そこで例えば護衛艦の護衛なりを伴って機雷の掃海をするということは実は現実なかなか難しくて、例えば護衛艦というのは金属でできております。機雷には、例えば金属に反応して爆発するものもありますので、木製とかプラスチックとか、そういうものが掃海艇です。ですから、掃海艇だけで行くということが、逆に基本的にはまず機雷の除去ということになるんだと思っています。
ただ、いずれにしても、仮に、先ほど午前中に佐藤委員の御質問にもお答えさせていただきましたが、仮に停戦合意がなくても安全にその場所で機雷の掃海の任務が行えるような環境であれば、これは私ども任務を遂行できるというふうに思っております。
○福山哲郎君 いや、だから、じゃ、臨検で、その貨物で北朝鮮に行くときに、それは未然に防ぐというのは、それは分かります。しかし、それはイコール自衛隊員にとってはリスクが高まることは間違いないですよね。
そして、もう一点。先ほどの掃海の話も正直に言われたんです、戦闘行為の最中は出すのは厳しいと。おっしゃられたんですけど、出す出すとおっしゃるから私はそうじゃないかと申し上げたんです。なおかつ、もし遺棄機雷を、戦闘行為が、もう安全の状況を確保できるというんだったら、何でそこで、それは戦闘行為なんですか。何でそこで集団安全保障で行かなきゃいけないんですか。集団的自衛権を行使して行かなきゃいけないんですか。だって、遺棄機雷で安全なんだったら、それは今までだって自衛隊行っているじゃないですか。
○委員長(山崎力君) 小野寺防衛大臣。
○福山哲郎君 いや、総理、答えてください。
○国務大臣(小野寺五典君) まず、これは個別的自衛権においても集団的自衛権においても、やはり我が国に危険が及ぶということ、我が国の国民が危険に及ぶことに関しては、自衛隊員は危険を顧みず対応することに、それはしっかり守ってくれると思います。また、そのためには十分な訓練と十分な装備も含めて準備が必要だということ、これはもう委員も同じ気持ちだと思います。隊員の命も大事だということがあります。
もう一つ、機雷の問題がございました。先ほど来のお話の中で、例えば停戦合意が行われていない中で、その海峡を掃海できる、機雷を除去できるという、そういうことができる場合においても、まだ停戦合意が行われていないので、そこで安全に機雷を除去できたとしても、一応国際法上はこれは武力の行使に当たるということになるので、そういう意味合いで今この集団的自衛権の議論の中で様々な議論が行われていると思っています。
ですから、憲法の中の議論のお話と、現実に部隊を派遣してどのように現実にできるかというところ、そこを私どもしっかり検討してこれからの法整備に対応していくことが重要だと思っております。
○福山哲郎君 新しい前提をいろいろ付けないでください。十五事例を出してきて、それはいつの間にかうやむやになって、具体的にそのことに聞くと、こんな状況だから行けます、行けませんなんていったら、幾らでも後で状況認識はできるじゃないですか。
少なくとも、集団的自衛権を行使をして機雷を掃海をし臨検をするというのは、私は自衛隊員の皆さんにとっては命に関わるリスクは高まると思っています。そのことを総理が、最高指揮官である総理が認めていただけないというのは非常に私は残念でありますが、先ほど戦争に参加するということも逃げられた。今回のことも逃げられた。もう昨日の岡田委員との質問にも、私はそこを逃げられたことは非常に残念に思っています。
ただ、時間がないので次へ行きます。
総理がこだわっておられる、いわゆる朝鮮半島有事のときの米艦防護でございます。
実は、今日は小さい文字だったのでパネルにはできませんでしたが、委員の皆さんには資料をお届けをしています。総理が何度も何度もアメリカの艦船を防護しないでいいのかと、日本人やその他の民間人が助けられているときにいいのかということを、赤ちゃんやお母さんの絵を付けて国民に説明をされました。
これはアメリカの国務省の領事部のホームページです。アメリカは自国の国民ですら、国務省が、ある国へ旅行注意情報を出し、出国を勧告しているからといって、その国にいるアメリカ市民の救出をアメリカ軍が支援してくれると期待してはなりませんと、これはアメリカの国務省の領事部のホームページです。その下でございます。アメリカ軍のヘリコプターや米国政府の輸送機が護衛付きで救出してくれると期待するのは、ハリウッドのシナリオに影響され過ぎていて現実的ではありません。これ、アメリカが言っているんです。そして、最後、我々は米国市民の支援を最優先します。米国市民でない友人や親戚を米国政府のチャーター機や民間以外の輸送手段に乗せられると期待しないでくださいと、こう書いてあるわけです。
我々がこの議論を前回の外交防衛委員会でもしたときに、アメリカが民間人を輸送艦に乗せることはないと、そんなことは余り現実的ではないと申し上げたときに、総理は私に、それはアメリカにお任せということですかと反論されました。アメリカにお任せではありません。アメリカはこういったことを米国の国務省のホームページで言っています。
そして、更に申し上げれば、お名前は申し上げませんが、自民党のある議員が平成十一年三月、最終的に、ガイドラインにも米軍による邦人の救出を入れて、米国が実施する項目ということでお願いをしておったんですが、最終的にはアメリカから断られましたと、これ自民党の議員がおっしゃっています。(発言する者あり)いや、いいんです。
結果として、総理が……(発言する者あり)総理が席でやじを言わないでください。結果として……(発言する者あり)私はこういったものが出ていることも含めて、国民に対して記者会見で何度も何度も米艦を防護しないでいいのかと言うのは、国民に私は誤解を与えると思います。
そして、次に行きます。(発言する者あり)いや、結構です。もう答弁長いのでいいです。余計なこと言われると困るので。いや、いいです。次に行きます。次に……(発言する者あり)
じゃ、答えられますか。いやいや、総理、答えてください。
○委員長(山崎力君) どちら。総理。
○福山哲郎君 短くしてください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) はい、短くしますが、そもそもこれは、一般の国民が勝手にいろんなところに行って、常に米軍の資産によってこうして安全な場所に移動させられるということを期待して行かれても困るということでありますが、一方、朝鮮半島については、これはガイドラインに書いてあります。模擬的な訓練もしています。(発言する者あり)しています。いやいや、していますと私は政府を代表して言っているんであるから、間違い……(発言する者あり)いやいや、もういいとか、今、福山さんは困ることを言われたからそう言っておられるんでしょうけど、これは模擬訓練も……
○委員長(山崎力君) ちょっと速記止めてください。
〔速記中止〕
○委員長(山崎力君) それじゃ、速記を起こしてください。
じゃ、総理、答弁をお願いします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) よろしいですか。
これははっきり政府を代表して申し上げておきますが、ガイドラインの中に書いてあります。つまり、半島有事の際には、そこにいる米国人を含め民間人、これは大量の民間人になるわけでありますが、それを言わばエバキュエーション、これ、避難をさせるというのは大きな任務の一つになっているわけでありますが、そこにおいて、言わば模擬的な訓練ということも行っているのも事実であります。ということは申し上げておきたい。
これは言わば勝手にどんどん行かれても困るということでありますから、それと先ほどの自民党の、名前を出さないからこれ分かりませんけれども、そういう人がいるのかどうかもですね。しかし、それは全く事実とは違うということははっきりと申し上げておきたいと思います。
○福山哲郎君 私は日米によってコブラゴールドという在外邦人輸送に関する訓練をしているのも知っていますが、これの実情もよく知っていますけれども、そのやり取りをしても仕方がないので今日はしません。
ただ、これは我が党の辻元委員のお手伝いを随分いただきましたが、ついこの間の審議の中で、加藤内閣官房副長官はアメリカ側の方針というのはそのとおりだと思いますと言っておられます。もうこれ以上水掛け論になっても仕方ないので次に行きますが、これが、実際にこういうものがあるということだけはお伝えをしておきたいと思います。
じゃ、次、パネル出してください。これ実は約十年前の、当時、安倍総理が自民党幹事長をされていたときの国会でのやり取りでございます。
これは有名なやり取りなので国民の皆さんも御存じだと思いますが、安倍幹事長は、当時、予算委員会で次のように質問されました。我が国を防衛するに対して必要最小限度の範囲にとどまるものである、これは自衛権です、こういうふうにありますが、範囲にとどまるべきというのは、論理的にはこの範囲の中に入る集団的自衛権の行使というものが考えられるかどうか、つまり、自衛権の中に部分的に集団的自衛権を必要最小限に入れていいのかどうかという質問をされました。これは基本的に今の議論の流れと同じ議論です。
それに対して、当時の秋山内閣法制局長官は、いろいろ言われているんですけど、数量的な概念ではないので限定的な集団的自衛権行使できないということをはっきりとこのときに答弁をされています。これ、当時、安倍総理が与党の幹事長の時代です。
この質問をされた四日後、次のパネルをお願いします、四日後に総理は、ある書物というか、「この国を守る決意」という書物を出版されていまして、新たな責任というのは、この日米安保条約を堂々たる双務性にしていくということです、言うまでもなく、軍事同盟というのは血の同盟です、しかし、今の憲法解釈の下では、日本の自衛隊は少なくともアメリカが攻撃されたときに血を流すことはできないわけです、完全なイコールパートナーと言えるでしょうかという発言を著書にされています。まさにこれ十年前に総理が言われたことでございます。つまり、今の憲法解釈の変更の議論はこの文脈になっています。
法制局長官にお伺いをしたいと思います。
十年前、当時与党の幹事長で、量的な概念ではないとはっきりと否定をした内閣法制局が、なぜ、同じ安倍当時幹事長が総理になって、そして横畠長官は私に対して、この三か月ぐらいの質疑の中でも、何度も集団的自衛権は数量的概念ではないと御答弁をされました。量的概念ではないと御答弁をされました。なぜ、同じ人物が同じ文脈でやろうとしていることを、十年前の法制局はきっぱりと否定をしたのに、今回は認められるんですか。
○政府参考人(横畠裕介君) お答えいたします。
御指摘の秋山内閣法制局長官の答弁は、数量的な概念として申し上げているものではないという意味は、自衛権行使の第一要件、すなわち我が国に対する武力攻撃が発生したことを満たしていないということを指して答弁しているものでございます。
その意味で、この場合における数量的概念というものでございますけれども、この当時におきましては、いわゆる数量的、つまり任意の量で線が引ける、任意のところで線が引けると、そういうものではない、つまり性質、性格上、線が引けなければいけない、その意味で、我が国に対する武力攻撃の発生という定性的な線が引けているというところで違うのだという趣旨でお答えしているはずでございます。
今般、新たな新三要件を御覧いただければお分かりと存じますが、任意の数量的な線をこの第一要件で引いているわけではございませんで、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があるという定性的な基準を新たに設定したということでございまして、単に数量的な概念で今回膨らませたということではございません。その意味で一貫していると考えております。
○福山哲郎君 だって、第一要件って、我が国に対する武力攻撃が発生したことを満たしていないんでしょう。今回の三要件だって、我が国に対して武力は発生していないでしょう、他国に攻撃をされているだけで。それを定性的に膨らましているとか、数量的に膨らましているって、だって集団的自衛権の行使自身が非常に定性的なものじゃないですか。それを部分的に、ここまではいいんだとか、ここまではいけないんだという意味合いが数量的な意味合いだという概念だと私は考えていますが、それは、横畠さん、いかがですか。
○政府参考人(横畠裕介君) この点は、今般の閣議決定において示された見解は、昭和四十七年の政府見解の基本論理を維持したものであると説明させていただいております。
その根幹となるところは、簡単に言いますと、我が国及び国民に深刻、重大な害が及ぶ、その危険が現実にあるというときに、さすがの憲法第九条においても武力の行使を認めると、さすがの憲法も武力の行使を禁じているということまでは解されないということで一貫しているということでございます。
○福山哲郎君 横畠さん、長官、この秋山内閣法制局長官の言っている第一要件は今回あるんですか、ないんですか。満たしているのか、満たしていないのか、お答えください。ここの秋山法制局長官の言われる第一要件は満たしているのか、満たしていないのか、お答えください。
○政府参考人(横畠裕介君) 今般の閣議決定は、憲法第九条の下でも例外的に自衛のための武力の行使が許される場合があるとする昭和四十七年の政府見解の基本論理を維持し、その考え方を前提としております。これに当てはまる極限的な場合は、我が国に対する武力攻撃が発生した場合に限られるとしてきたこれまでの認識を改め、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合もこれに当たるとしたものであり、その限りにおいて結論の一部が変わるものでございますけれども、論理的整合性は保たれておると考えております。(発言する者あり)
○福山哲郎君 今やじにありましたように、私、読解力ありません。分からないんです。だって、相手国に攻撃があって我が国に攻撃がないんですから、この第一要件なんです、まさに。それで、量的に、限定的には集団的自衛権を行使できないと言っているんです。今のお話、私の質問に答えてない、全く、横畠さん。
例えば、じゃ、横畠さん、もう一個聞きます。
今回の閣議決定は、日本政府は正式に憲法の解釈を変更したというのは、文民条項のとき一回きりだということになっています。これは、今回は二回目ですか。今回の憲法解釈の変更は二回目なのかどうか、お答えください。
○政府参考人(横畠裕介君) 法令の解釈と申しますのは、いわゆる当てはめの問題でございますけれども、その意味で変更があったのかということであるならば、一部変更したということでございます。
○福山哲郎君 一部変更って分かりません。憲法解釈として、今回は戦後二度目の憲法の解釈を変更したという位置付けかどうかと聞いているんです。
○政府参考人(横畠裕介君) そのような位置付けであることは否定いたしません。
○福山哲郎君 これ非常に大きいですよ。二度目の変更なんですよ、解釈の。これは解釈の変更ですからね。これは大きい私は発言だと思います。
じゃ、横畠長官、今回の閣議決定について、内閣法制局は、一般的に言えばいわゆる意見事務が具申されるはずですが、この憲法の解釈変更の閣議決定について内閣官房から意見具申があったのはいつですか。
○政府参考人(横畠裕介君) この問題につきましては、長いというか一定の経緯がございます。
昨年二月に、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会が再開されました。それ以後、内閣法制局におきましては、内閣法制次長、まあ私でございましたが、オブザーバーとして出席するとともに、適宜内閣官房から議論の状況等について説明を受け、また部内におきましても憲法第九条に関する過去の国会答弁や質問主意書、答弁書等の政府見解を精査するなどしていたところでございます。
本年五月二十日、安全保障法制整備に関する与党協議会の議論が開始され、その後は内閣官房から政府が与党協議会に提出する資料について事前又は事後に送付を受け、必要に応じて説明を受けるとともに、担当者間で意見交換をするなどし、また部内においてもこれらの資料によって検討を行っていたところでございます。与党協議会の終盤に政府から提出した閣議決定の概要等につきましても、送付を受け、検討を加えていたところでございます。
六月三十日、内閣官房からそれまでの与党協議会の議論を踏まえた閣議決定の案文が正式に送付され、意見を求められたことから最終的な検討を行い、翌七月一日、意見はない旨の回答をしたところでございます。
○福山哲郎君 今、幾つか問題なことを言われたんです。ずっと、実は安保法制懇の議論をしているときには、国会で何を聞いても、安保法制懇の議論が決まるまでは答えられませんの一点張りでした。そして、安保法制懇の報告書が出たら、今度は与党協議をやっているから答えられませんと、これは総理も外務大臣も防衛大臣もずっと国会でそう答えておられました。
内閣府の説明では七十人以上の国会議員が質問をしていると書いてありますが、みんな決めていないので答えられませんと言っていました。今の話でいえば、法制局は中に入っている。安保法制懇の議論のときも、あくまでも政府側というのは専門家に任せているんだとずっと主張していたじゃないですか。だから自分らは答えられないと言っていたじゃないですか。
結果として、内閣法制局に官房から具申が来たのは六月の三十日、閣議決定は七月の一日、つまり一日しか審査をしていない。そして、審査に対して、法制局長官、さりげなく言われましたけど、どういう回答されたか、もう一回お答えください。
○政府参考人(横畠裕介君) 意見はない旨の回答をしたところでございます。
○福山哲郎君 いいですか。国民の命と安全に関わり、四十年以上も長い安定性を持ち、規範性を持ってきた憲法の解釈を変更しようとしている状況で、ずっと法制局は集団的自衛権の行使はできないと言ってきた。言ってきたものを変えるときに、具申にかかったのが一日、それに対する法制局の回答が意見なし。これはやっぱりどう考えてもまずいんじゃないですか、法治国家として。いや、総理、これまずいと思いますよ。
横畠長官、僕はあなたはお気の毒だと思っています。あなたはずっと法制局の次長で本当に頑張ってこられた。実はこの解釈も、ずっとあなたはこの安倍政権が無理やりやる解釈以外はちゃんとした答弁をされてきた。最後の最後、あなたは小松長官が残念ながら亡くなられて長官になられて、本当に嫌な役をやられていると思う。だって、歴代の法制局長官はみんな反対しているんだから。でも、やっぱりこういう意思決定の仕方は僕まずいと思いますよ。
横畠長官、この憲法解釈を変更する閣議決定に対して、立法事実は確認されましたか。
○政府参考人(横畠裕介君) なぜこのような解釈というか当てはめですけれども変更をするのかということにつきましては、まさに我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生した場合におきましても、それによって我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険が生ずる場合、そのような場合があり得るということの説明を受けております。
○福山哲郎君 そんな抽象的な議論は結構です。具体的な事例の立法事実はあったのかと、確認をしたのかと聞いているんです。確認したのかと聞いているんです。
つまり、我々は、憲法の下位である法律を改正するときにしても、常に法制局は、立法事実は何だ、なぜ変える必要があるんだということをぎりぎり詰めて我々はこの法治国家としての仕組みをつくってきたんですよ。イの一番に審査するのが法制局の役割です。立法事実を確認したのかと聞いているんです。今政府が言っている、閣議決定に書いてあるいわゆる三要件みたいな話を説明しろと言っているのではない。立法事実を、想定事実を確認したのかと聞いている。あるかないかでいい、確認したのかないかでいい、教えてください。
○政府参考人(横畠裕介君) 私どもは安全保障環境の変化その他軍事的な問題等々についての専門家ではございません。あくまでも法制上の所管を持っているのみでございます。その意味で、先ほどお答えしたような場合があるかないかということにつきまして自ら政策的に判断するということはございませんで、そのような事実があり得るという説明を前提として、法的な論理について検討をしたということでございます。
○福山哲郎君 あり得るというのを前提としてということは、これから出てくるということですか。総理、これから今の具体的な立法事実は出てくるんですか、国民に説明していただけるんですか。短くお答えください、時間ないので。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 手短にお答えいたしますが、従来の政府見解が示された昭和四十七年、これは政府の基本的な考え方になっておりますが、この昭和四十七年の政府の基本的な考え方は閣議決定を経ていないものでございますし、また、もちろん与党の協議も経ていないわけでありますが、その当時と、昭和四十七年当時と比べて我が国を取り巻く安全保障環境が根本的に変容しているのは事実でありまして、例えば大量破壊兵器や弾道ミサイル等の軍事技術の高度化や拡散の下で北朝鮮は日本の大部分をノドンミサイルの射程に入れているわけであります。一方、このノドンミサイルに対抗するためのミサイル防衛の技術もできていると、このような状況になっているわけでありまして、最近も弾道ミサイルの発射を繰り返しているわけでありますし、核兵器の開発も行っているわけでございます。
そして、このようなミサイル防衛を行う上においても、日本だけではこれミサイル防衛が行えないわけでありまして、まさに日米の連携の下にこのミサイル防衛を行うということになっていくわけでありますが、さらに、グローバルなパワーバランスが変化をしている、国際テロなどの脅威、海洋やサイバー空間へのアクセスを妨げるリスクも深刻化しているのは事実でありまして、このように大きな変化がある中においてはもはやどの国も一国のみで平和を守ることができないという中においては、国民の命と平和な暮らしを守り抜くため、まさに憲法の前文の平和生存権、そして十三条における国民の命や自由やそして幸福追求権という権利をしっかりと守る上においては、こうした切れ目のない対応をしていく法整備が必要であると、こう考えたところでございます。
○福山哲郎君 非常に重要なことを幾つか言われたんですね。これは戦後二回目の憲法解釈の変更だとはっきり言われた。そうしたら、基本的に解釈、最初に申し上げたように、総理の記者会見の国民への説明とは若干どころかかなり違う状況になりました。
私は、今の法制局長官の議論を聞いていて、日本を代表する保守論客である山本七平先生の、皆さんも御案内の「「空気」の研究」というものを今日紹介したいと思います。この山本七平先生は、日華事変や太平洋戦争の対処の仕方について空気での決定というのを論じている方です。
以前から私はこの空気という言葉が少々気になってきた。そして、気になり出すと、この言葉は一つの絶対の権威のごとくに至る所に顔を出して、驚くべき力を振るっているのに気付く。ああいう決定になったことに非難はあるが、当時の会議の空気では、その場の空気も知らずに偉そうなことを言うな、その場の空気は私が予想したものと全く違っていた等々、至る所で人々は、何かの最終的決定者は人でなく空気であると言っているわけです。
これは非常に、山本七平先生というのは本当に保守の論客で、私は大変尊敬を申し上げているんですけど、そして、その中で山本先生はこうおっしゃっています。水を差すことの重要性を訴えられています。人々を現実に引き戻す水が重要ですということだと思います。
法制局長官が長年ずっと保ってきた矜持をかなぐり捨てて行使容認を憲法解釈を変更してやろうとしている。自民党の中では村上誠一郎先生以外は声が上がらない。私は、実はこの審議で、山本七平先生の本を読んで水を差すつもりで立っていますが、私よりももっと大きく水を差していただいたのが滋賀の知事選だと思っています。国民の皆さんは、やはりこの集団的自衛権の解釈変更のある種の強引さについてやはり不安に思っているし、その結果、大きく水を差す思いとして滋賀の知事選に臨んでいただいたんだというふうに思っております。
重要なことをお伺いします。
必要最小限でございますが、必要最小限の武力行使というのは、我々、我が国が武力攻撃を受けた場合には均衡の原則でできます。しかしながら、C国からB国に攻撃がある状況の中で我々が武力行使するときの必要最小限はどういった形で考えるのか、また、先ほどから何回も出ている三要件でございますが、三要件に当てはまるかの基準は一体誰がどのような基準で判断をするのか、総理、お答えください。二つです。短くて結構です。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この新三要件に言う必要最小限度とは、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される原因をつくり出している、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃を排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るための必要最小限度を意味するわけであります。
なお、国際法の用語で言えば、武力の行使の態様が相手の武力攻撃の態様と均衡が取れたものでなければならないという均衡性を意味するものであります。
仮に、我が国に対する武力攻撃が発生していなくとも、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が客観的に存在している以上、我が国の存立を全うし、国民を守るための必要最小限度についての具体的な限度は武力攻撃の規模、態様に応じて判断することができると、このように考えているわけであります。
こうした三要件にのっとって政府として判断をしていくわけでありますが、今後、立法において、自衛隊が実際に活動する上においては国会の承認も必要となるわけでありまして、政府そして国会において三要件に当てはまるかどうかということがしっかりとこれは議論されるということであります。
そして、先ほど法制局との関係において議論をされておられるわけでありますが、民主党政権において仙谷当時の官房長官は法制局長官の答弁を禁止をしたわけでありますが、その際、憲法解釈は政治性を帯びざるを得ないと、その時点の内閣が責任を持った憲法解釈を国民や国会に提示するのが最も妥当であるというふうに、御参考でありますが、仙谷当時の官房長官が述べておられるわけでありまして、これを鳩山当時の総理大臣は、政府によって、憲法解釈についても内閣が責任を持って行うと、こういうことでございます。(発言する者あり)
皆さんの都合が悪いことはやめろということだと思いますので、引っ込めさせていただきます。(拍手)
○福山哲郎君 そんなことで拍手しないの。
今、安倍総理は非常に重要なことを言いました。必要最小限をということは、他国に対する攻撃があって、その武力攻撃を排除するためのとおっしゃいました。つまり、総理の会見も、公明党も、皆さんも、自国のための集団的自衛権の行使はするけど他国を守るための集団的自衛権の行使はしないとおっしゃっていたんですけど、今は、必要最小限は武力行使を排除するためのとおっしゃいました。排除はどう考えたって他国を守るためのことでして、この問題についても非常に疑問を持ちます。
それから、先ほど総理は国会承認を言われました。実は、昨日の議事録調べたら、総理は国会承認の中で、国会の承認を必要とすると最初言ったら、その次は、原則として事前に国会の承認を求めることとすると言いました。そして、その後は、政府が判断した後に国会の判断をいただいてと言って、国会の承認についても事後なのか事前なのかも含めて非常に答弁が混同しております。
総理がいろいろ言われましたので、私は予定をしていた時間が全くできませんでした。非常に遺憾に思っています。
是非お願いをしたい。
○委員長(山崎力君) そろそろおまとめください。
○福山哲郎君 まず、新要件に合致し、当てはまるかどうかの判断基準を政府統一見解として明示していただきたい。憲法解釈を変更した根拠、言わば立法事実を、これも政府統一見解として出していただきたい。
是非、そういったことも含めてまだまだこの問題は議論の余地があると思っておりますので、そのことを申し上げ、国民はこれでは全く納得できないということを申し上げ、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
○委員長(山崎力君) 以上で福山哲郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)