06/24
2019
第198国会 参議院 本会議 2019年6月24日 総理問責決議案
○福山哲郎君 立憲民主党の福山哲郎です。
私は、立憲民主党・民友会・希望の会、国民民主党・新緑風会、日本共産党、沖縄の風各派共同提出の安倍晋三内閣総理大臣問責決議案について、その趣旨を説明いたします。
まず、決議案を朗読いたします。
本院は、内閣総理大臣安倍晋三君を問責する。
右決議する。
以上であります。
安倍総理、あなたはなぜ予算委員会に出てこないんでしょうか。参議院規則第三十八条二項によって、予算委員長は予算委員会を開かなければならないことになっています。七十五日間、総理の審議拒否が続いています。なぜ逃げ続けるのか。総理が、いつものお決まりの文句、国会でお決めいただくこととうそぶくことは目に見えています。しかし、そんなことを信じる国民はもはや誰もいません。なぜ、金子予算委員長や与党理事の諸君に規則に違反することを総理が強いるのでしょうか。
私も官房副長官として官邸にいました。野党から開会要求があれば、イの一番に与党の国対から、扱いはいかがしましょうとお伺いが立てられます。総理は出たくなくても、与党の仲間が追い込まれるなら、泥をかぶってでも出席せざるを得ない。それは議院内閣制の下に選出された総理の務めであり、あなたも衆議院議員なら百も承知のはずです。私が出ていくと言えば済むのです。総理が逃げ回っているから予算委員会が開会されないの一言に尽きるのです。
あなたに憲法を議論しろなどと言われる筋合いはありません。自分の仲間である与党の議員に規則違反をさせて、自らの都合で逃げまくる。それだけで宰相の資格はありません。そんなに予算委員会に出席したくないのなら、総理をお辞めになればいい。あなたが総理であるゆえんは議院内閣制です。その議院内閣制を破壊するような総理には、即刻お辞めいただきたい。
安倍政権のこの六年半は、立憲主義を壊し、国会の行政監視機能を否定するものでした。
二年前、予算委員会で、私は、森友学園問題について初めてそんたくという言葉を使って総理に問いただしました。それは昭恵夫人に恥をかかせたのか、安倍総理に恥をかかせたのか、近畿財務局だって財務省だってそんたくするでしょう、そういう状況をつくったことが問題だと私は思う、だから、こういう不透明な手続が積み重なるんですよと申し上げた私に、あなたは随分むきになって、やじに反応しながらいつもの長答弁を続けた後、日本のですね、かつてそんなことあったんですか、そんなことあったんだったら、一つでもいいから例を出していただきたいと思います、私の妻が名誉何々になっていて、それをそんたくした事実が、事実がないのにまるで事実があるかのように言うのは、これも典型的な印象操作なんですよとあなたはたんかを切られました。
事実がないどころか、皆さん御存じのとおり、その後の安倍政権は、そんたくと改ざんと隠蔽の事実が次々と明らかになった二年間だったのではないでしょうか。
森友学園での財務省の文書改ざん、国会での虚偽答弁、やっとのことで出された文書の中に、何と、安倍昭恵総理夫人が森友学園を視察した直後に行われた森友学園と近畿財務局との交渉記録、財務省本省への相談メモだけはいまだに出てきていません。これもそんたくなのでしょうか。
また、加計学園をめぐっても、怪文書と言い捨てたものを、その存在を認める羽目になりました。面会を否定した総理秘書官が、実は加計学園関係者と三回も会っていました。
存在しないと言い張っていた自衛隊のイラク派遣日報や南スーダンPKOの日報が見付かる、毎月勤労統計の不正調査の横行など、安倍政権は、国民にも国会にも真実を語らない、不都合なものは隠すことが常態化していることを国民に知らしめることになりました。
立法府と行政府の関係は、完全に壊れています。どの問題一つ取っても、本来なら内閣総辞職に値します。安倍政権は、自らに向けられた批判に対して、ひたすら否認するだけです。否認とは、精神分析用語で、不快な事実に直面した際に、証拠があるにもかかわらず、それを真実と認めず、拒否をすることをいいます。
そして、そのことが端的に現れたのが、現在も問題になっている金融庁の審議会ワーキング・グループの報告書の受取拒否問題です。まさに否認そのものです。
老後に年金以外に二千万円が必要とされた問題で、ここまで国民の皆さんの関心が高まったのはなぜなのでしょうか。年金だけではとても老後の生活を過ごせない、高齢者は働きに出ざるを得ない、多くの国民の皆さんがアベノミクスの恩恵を全く実感できず、老後の不安を持っているからこそ、あの報告書の問題はここまで大きくなったのではないのでしょうか。
この報告書に関して言えば、安倍政権を最も体現しているお一人が麻生太郎副総理兼財務・金融担当大臣であることは、誰の目にも明らかです。
自ら諮問したワーキング・グループ報告書の受取拒否はもはや論外ですが、これに加えて、先ほども述べた森友学園文書での文書改ざん、虚偽答弁の責任者その人であり、当時の福田事務次官のセクハラ問題に関しても、セクハラ罪という罪はない、男の番記者に替えればいいなどという暴言を言われました。さらには、一度ならず二度までも、子供を産まない方が問題という発言を繰り返すなど、政治家としての資質に加え、人としていかがかと思います。その麻生大臣を任命し、かばい続けている安倍総理の責任は、余りにも重いと言わざるを得ません。
この麻生大臣のみならず、安倍内閣を構成する大臣、副大臣、政務官に至るまで、暴言、失言のオンパレードです。東北だったからよかった、最後は金目でしょう、長靴業界はもうかったんじゃないか、それで何人死んだんだ、総理と麻生大臣をそんたくした、復興以上に重要なのは何々さん、もう耳を塞ぎたくなるような許し難い暴言の数々です。自民党は大丈夫ですか。一体どうなっているんですか。そして、この任命権者は、もちろん安倍総理、あなたです。ところが、総理はそうした暴言を放った大臣たちもまずはかばおうとしてきたのですから、もはや何をか言わんやです。
さて、総理、素朴な疑問です。
あなたは国民生活の実態に直接触れたことがあるのでしょうか。総理の言葉から生活感を感じ取ることができないのは、私だけではないと思います。
足下の実質成長率は減速傾向が明らかであり、個人消費、輸出、設備投資、いずれもマイナス、実質的にはゼロ成長近くになっています。五月の景気動向指数は、六年二か月ぶりに悪化へと引き下げられました。四月以降の食料品の値上げや消費増税が消費者心理を冷やしていることは間違いありません。十月から消費税を上げようとする一方で、自民党の議席を守るために参議院の定数を六増することを国民が理解するとは到底思えません。ましてや、二千万円も貯蓄が必要だと言われた国民が物を買う気分になるのでしょうか。まさに消費が萎縮することは間違いありません。
総理は、自分に都合の良い数字を並べ立てて、民主党政権を悪夢と言い募ることには関心があっても、日々の生活のために懸命に働き、なおかつ未来に希望がなかなか見出せない人たちの実態には何も関心がないのではありませんか。六年半にもわたる安倍政権の下で、トリクルダウンは実現しませんでした。企業の収益が上がり、内部留保がどれだけ積み上がろうと、働く者の実質賃金の上昇にはつながりませんでした。非正規労働者は増加をし続けています。一般事業所の実質賃金はいまだに出てきていません。富める者が更に富んだとしても、真面目に働いている人たちには全く目が向けられなかった、そんな冷たい六年半だったのではないでしょうか。日本の社会に分断と格差という目に見えない大きな溝が広がっています。
次に、外交・安全保障です。
総理、あの安保法制は一体何だったのでしょうか。F35を百四十七機、イージス・アショア、オスプレイなどを爆買いするために、政府・与党はあの安保法制の成立に血道を上げたのでしょうか。トランプ大統領いわく、「いずも」型護衛艦を空母に改修してF35を載せ、地域を越えて両国が直面する様々な脅威を抑止するというのですから、専守防衛は一体どこに行ったのでしょうか。
何より、これらは防衛省・自衛隊の現場が本当に求めている装備なのでしょうか。F35Aの墜落事故の検証も曖昧なまま飛行が再開される。米国政府監査院ですら、昨年、F35の深刻な欠陥を指摘し、安全性に疑念を呈しています。そのF35を一兆二千億円も掛けて購入することが本当に必要なのでしょうか。自衛官の安全確保はできるのでしょうか。
そして、イージス・アショアについても、グーグルアースを用いて考えられないような縮尺の間違いをした上に、住民説明会で防衛省職員は居眠りをしました。緊張感の欠如には言葉がありません。初めに新屋演習場ありきで事が進められたと言われても仕方がないのではないでしょうか。岩屋防衛大臣は、秋田県知事らに謝罪をしましたが、現地の住民の皆さんには会おうとしませんでした。不誠実な対応でした。
その住民をないがしろにする姿勢は、沖縄県民に対して寄り添おうとしない安倍政権と軌を一にしています。
昨日は沖縄慰霊の日でした。辺野古沖への新基地建設について、玉城デニー知事の知事選、補欠選挙、県民投票で、基地建設反対の沖縄県民の意思は明確に示されています。私の質問に対して、岩屋防衛大臣が、県民投票の結果にかかわらず、あらかじめ土砂投入を継続すると決めていた、総理の了承をいただいていたと答弁したのには、本当に驚き、あきれました。県民投票の結果は関係ない、総理が工事強行をあらかじめ決めていたというのです。総理もこれを否定しませんでした。これが民主主義国家の総理の姿なのでしょうか。あなたも選挙で選ばれているのではありませんか。県民投票の結果に対して謙虚さのかけらもない。究極の御都合主義です。このような姿勢では、沖縄の理解が得られるはずがありません。
昨年秋、総理は、領土問題を解決して平和条約を締結する、私とプーチン大統領の手で必ずや終止符を打つと大見えを切られました。しかしながら、平和条約交渉は順調に進んでいるようには見えません。外交青書からは、北方四島が日本に帰属するという当たり前の記述も消されました。外務大臣は、北方四島は日本固有の領土と発言しなくなりました。ロシアに不法占拠されているとも言わなくなりました。これでは、相手国に逆のメッセージを与えてしまいます。目指していた今月の大筋合意は断念との見出しが出る始末です。先日、首脳会談の前にプーチン大統領は、北方領土を引き渡す計画はないとまで明言しました。自民党の皆さん、主権国家として本当にこんなことでいいのでしょうか。
安倍総理の外交に不思議なことがあります。首脳会談や外交交渉というのは、こちら側の主張は外に明らかにしつつ、先方が何を主張したのかはこちらからは公表しないのが一般的なルールです。そして、両国が合意したものだけはお互い発表し合うという形でやっているはずなのですが、安倍政権は、相手側から日本の主張を明らかにされ、さらには言われっ放しの状況が続いています。なぜ自らが相手国に言った主張を明らかにできないのでしょうか。
日米関係でも、八月には大きな合意ができると思うとトランプ大統領に一方的に暴露され、密約の存在を疑わざるを得ない状況です。トランプ大統領をノーベル平和賞に推薦したことまで明らかにされました。米国とイランの仲介外交も、総理のイラン訪問中にタンカー攻撃事件まで起こりました。海外の論調も厳しく、選挙対策で近年最も失敗した調停外交などと言われています。
一方で、日朝関係も、国難突破解散、対話のための対話には意味がないとまで言っていた総理が、突如、金正恩委員長と条件を付けずに向かい合うと、従来の発言とは全く逆のことを言われました。しかし、首脳会談はいまだに実現していません。北朝鮮からは、ずうずうしいとまで返されている始末です。残念でなりません。外交の成果は乏しいと言わざるを得ません。
その他、安倍政権の下で、水道法、漁業法、種子法等々、国家の根幹に関わる、日本の地域社会を壊しかねない多くの法律が強行に通されました。
日銀が国債を大量に買い支え、株価維持に一役を担い、GPIFでも株を下支えする、株式を売却したくても相場が崩れるので売るに売れない、こんなことがいつまで持続可能なのでしょうか。
ここまで、るる問責の理由を述べてきました。しかし、最も問責に値する理由は、安倍政権が続くことで、未来に希望を持ち、国民が幸せを実感できる社会にはなると思えないことです。
あなたは、二〇一二年の就任会見で、頑張った人が報われる、今日より明日の生活が良くなると実感できる日本経済を取り戻すと言われました。また、内閣官房の広報誌には、どれだけ真面目に働いても暮らしが良くならないという課題を克服するとありました。
六年半たった今、そのことが全く実現していないことは明白です。
事実を申し上げます。
民主党政権三年三か月間の実質賃金の平均賃上げ率は二・五九%でした。安倍政権下では一・一%にすぎません。また、安倍政権下で労働分配率は下がり続け、四十三年ぶりの低水準となっています。非正規雇用は、約三百万人増えて、全体の三七・九%に達しています。年収二百万円以下のワーキングプアも百万人以上増えています。そのため、二人以上世帯の貯蓄ゼロ世帯は、二〇一七年に何と三一・二%と、過去最悪になりました。これでどうやって二千万円貯蓄をしろというのでしょうか。
総理は、政治は結果だとよく言われています。結果を出せていないのなら、お辞めいただくしかありません。
良識ある参議院の皆さんが、与野党を超えて我々の問責決議案に何とぞ賛同されることをお願い申し上げ、趣旨説明とさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。
06/24
2019
野党幹事長会談を開催
野党5党派の幹事長・書記局長会談を開催しました。
終盤国会を一致して行動することを確認するとともに、安倍内閣に対する不信任決議案の提出をめぐり党首会談を開くことを確認しました。
06/23
2019
静岡・徳川家広さんと街頭演説
静岡市内で、参院選党公認候補予定者(静岡選挙区)徳川家広さんや松平浩一衆院議員、藤本祐司前参院議員、牧野聖修元衆院議員とともに街頭で立憲民主党への支援を訴えました。
06/18
2019
原発ゼロのつどい
「原発ゼロ基本法案の早期審議入りを目指す市民のつどい」に出席しました。
衆院経産委員会で与党側の抵抗によって審議に入れない状況について触れるとともに、参院選で原発をなくしていくという意思を示すことの重要性をお話ししました。
06/16
2019
「増原ひろこと語る会」で挨拶
夏の参議院選挙において、
立憲民主党からの新人候補として公認決定いたしました
増原裕子さんの「増原ひろこと語る会」に出席し、ご挨拶させていただきました。
お忙しい時間帯にも関わらず、多くの方にお集まりいただき、
議論を交わしていただきまして、ありがとうございました。