04/17
2014
第186国会 参議院 外交防衛委員会 2014年4月17日
○福山哲郎君 おはようございます。福山でございます。よろしくお願いいたします。
もう時間がありませんので、今日はもう早速行かせていただきます。
まず外務大臣、先週のNPDI、お疲れさまでございました。各国の外相が直接広島を訪れていただいて、そして被爆者の体験も聞かれたと。さらには、慰霊碑にも献花をされ、原爆資料館も御覧になられたということで、私は大変、大臣お疲れさまだったと思いますし、外務省を始めそれぞれの皆さんに心から敬意を表したいというふうに思います。
NPDIは、御案内のように、我々の政権の岡田外務大臣が形として付けられて、今、岸田外務大臣の下できっちり動かしていただいていることに関して本当に感謝を申し上げる次第でございます。報道等では、成果が乏しいと皮肉交じりの報道がありますが、私は、軍縮・不拡散の問題というのはそんなに目に見えた成果が出るようなものではないと。いかにそのことについて各国の首脳が共有していくかが重要だと思いますし、特に今回、広島という、外務大臣は地元でもいらっしゃいますが、非常にインパクトのあるというか、被爆国として日本がその場所でNPDIをされたことについて本当に敬意を表したいというふうに思います。
一方で、実はゲストスピーカーとしてアメリカの国務次官、ガテマラー国務次官も訪日されたり、さらにはNPTの準備会合の議長が来日されたりということで、この点についても非常に良かったのではないかなと思っております。特に、国務次官のガテマラー次官が、個人的な意見とはいいながら、人間として深い同情という言葉を発せられたということは、これは歴史的に私は意義があると思います。私が副長官のときに、実はルース大使が初めて広島の慰霊祭に御出席をいただきました。こうやって歴史を一つ一つ重ねることによって不拡散の流れが積み上がっていくことを私は希望しております。
岸田大臣、是非、NPDI、終わった後の評価というか、自らの感想も含めて御答弁をいただければと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) 四月の十一日と十二日にかけまして、NPDI外相会合を広島で開催させていただきました。その際には、民主党の先生方、また与野党の多くの国会議員の皆様方にも、貴重な御提言ですとかアドバイス、御協力をいただきました。改めて心から感謝を申し上げたいと存じます。
今回のNPDI外相会合、二〇一〇年にこの枠組みができましてから八回目の会合ですが、初めて日本で、そして被爆地で開催することとなりました。
まずもって、今回の八回目の会合は、来年二〇一五年に予定されております五年に一度のNPT運用検討会議に向けてしっかりとした政治メッセージを発する、こういった意味で重要であると位置付けられてきたわけですが、あわせて、被爆地で初めて開催されるということから、御指摘のように、各国の外相、参加者には、原爆慰霊碑の参拝、あるいは平和記念資料館の視察、そして被爆者の方々からも直接話を聞いていただく、こういったプログラムを用意いたしました。この点につきましては、各国の参加者から大変大きな反応が、反響がありました。大変心に重く残った、忘れられない経験であると、ほとんど全ての参加者が口々にこういった感想を述べておられました。こうした被爆の実相に触れていただいた上で、この議論に参画をしていただきました。
結果として、広島宣言、そして六つの作業文書をまとめることができました。NPDIとしましても、今日まで十の作業文書を来年のNPT運用検討会議にまとめてきましたが、合わせて十六の作業文書を来年のNPT運用検討会議に発出することとなりました。
そして、これも御指摘がありましたように、今回、米国のゴッテメラー国務次官、核保有国から初めてNPDI外相会合にゲストスピーカーとして出席をしていただきました。あわせて、CTBTの促進会議の議長でありますインドネシアからもマルティ外務大臣に出席をいただき、そしてNPT運用検討会議の準備委員会の議長でありますロマン・モレイ大使にも出席をいただいたということであります。このように、NPDI自身は核兵器を持たない国十二か国の枠組みですが、CTBTですとか、あるいは核保有国ですとか、他の立場に立つ国々とも連携を確認できたという意味で、今回の会議は大変大きな意義があったのではないかと考えております。
原爆投下から七十年になります二〇一五年に開催されますNPT運用検討会議に向けて、是非我が国としましてもしっかりと国際世論をリードしていきたいと考えております。
改めて御礼を申し上げ、御報告とさせていただきます。
○福山哲郎君 ありがとうございました。
五年前のNPT運用検討会議は、まさに被爆者の方が展示を国連会場でやられたりアメリカの高校生に話をされたりということで、私も出席させていただいたんですが、それからもう五年でございます。来年に向けて、是非日本として、NPDIだけではなくNPT運用検討会議においても多大な貢献をいただきますように、まずは祈念を申し上げたいと思います。
そして、その核不拡散の議論に関わる原子力協定の質疑に入らせていただきたいと思います。
珍しく、私はこの協定の賛否について悩みました。福島第一原子力発電所の事故の災禍はまだ続いています。避難されている方々は十四万人を超えています。汚染水の処理は、日々新たな課題が出現し、混迷を極めています。
トルコからの強い希望があったことは私も理解をしておりますが、日本国内の輸出時の安全確認体制がまだ不備であることは国会でも明らかになっております。トルコ国内の規制機関や放射性廃棄物の処理体制が万全でないことを考えても、私は、輸出には極力慎重であるべきだと思います。いや、輸出しない方がいいとも考えております。
しかしながら、我々民主党政権時に、ヨルダンやベトナム等との原子力協定を皆様にお願いをした経緯がございます。私は、外交というのは継続性が大切だと思っておりますし、別に批判をするわけではないんですが、例えば、当時、もう勇退された議員なので名前は申し上げませんが、ある公明党の議員は我が政権の総理に向かって、まさに放射能汚染の死の商人の片棒を担ぐ、そういう格好にしか見えないと言われました。そして、結果として反対をされました。まさに、原子力を低減すると言いながら輸出をするというのは、国内と海外でダブルスタンダードではないかという批判をあちこちの政党からいただきました。私は、批判をしたいから今申し上げているわけではありません。そのぐらい多分難しい問題なんだと思います。
自民党も、原子力ではありませんが、民主党の交渉するTPPだから反対だというような議論がありました。例えば、今日は小野寺防衛大臣いらっしゃいませんが、小野寺防衛大臣は当時TPP反対で、私とテレビ討論の相手側でした。与野党の対処の仕方というのは本当に難しい問題だと思います。それぞれの政党の事情もある、政局もある。私も、野党として反対だと言えれば非常に楽だなと、この協定は思いました。
私は、脱原発論者です。福島の事故を目の当たりにし、官邸で東電や保安院の対応と向き合った者として脱原発をしたいと願っておりますが、一方で、先ほど申し上げましたように、我が政権が原子力協定をお願いしたときの、今、岸田外務大臣のところに座っておられたのが玄葉外務大臣でございました。私はそのとき、末松委員長のところに座っておりました。
今回、我が党は、党内本当に大激論があったんですが、やはり継続性、もう一つ申し上げれば、今回のトルコとの協定の交渉に入ったのは民主党政権時です。その責任はあると考えて、非常に厳しい選択でしたが、賛成をすることを党として決めました。
私は、核不拡散の問題は、先ほどのNPDIの問題も含めて重要だと思いますし、私自身も一生懸命これからも取り組んでいきたいと思いますので、この協定というのは、不拡散、平和利用の問題も含んでいる、そして我々にも責任がある、野党になったからといって安易には反対はできないと、そういう自問自答を繰り返した中で今質問に立っています。
輸出についてはできるだけ抑制的にしたいという思いは今も変わりません。党としては国内ゼロを三〇年代に決めましたので、我々としては、海外に輸出することの批判を受け止めて、将来の在り方についてこれからもしっかり再検討が必要だという認識に立っております。
そういった思いをまず述べさせていただいた上で、岸田大臣にお伺いをします。この原子力協定というのは原発輸出を自動的に決めるものとは限らないと、例えばあるプロジェクトを確実に、そこに自動的に決めるものではないというふうに私自身は理解をしていますが、そのことについて大臣から御答弁いただけますでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、今委員のお話を聞いておりまして、民主党におかれましても、こうした原子力政策あるいは原子力輸出に関しまして、真剣に、そして深い議論をされておられることに敬意を表し申し上げたいと存じます。
そして、その上で、我が国としましては、あの福島第一原発事故という悲惨な事故を経験した立場から、その経験あるいは知見、これを国際社会と共有することによって原子力の平和利用の安全についてしっかりと貢献をしていく責務があるということ、これを再三申し上げているところであります。
まずもって、相手の国の原子力政策ですとか様々な事情をしっかり勘案した上で、相手の国が原子力を導入しようとしている、そうした政策を持ち、そして何よりも、この原子力の安全を大事にしたいとし、そしてそのために日本の世界最高水準の技術をしっかり共有したいという思い、こういった要請をしっかり確認した上で、我が国としてそれに応じていくというのは、先ほど申し上げました我が国の国際社会に貢献する責務の在り方としてあり得る姿ではないかと考えております。
しかしながら、今審議をお願いしておりますこの原子力協定というものは、あくまでもそうした協力、貢献の前提として、相手の国に原子力の平和利用、さらには不拡散、そして様々な国際的な原子力安全関連条約の遵守、こういったものをしっかりと求めていく、こうした法的な枠組みをしっかりとはめる、こうした枠組みであるということであります。これを今国会に御審議いただいているということでございます。
この後、協定が結ばれた後、具体的な協力あるいは原子力安全への貢献につきましてはまた別途丁寧に議論を進めていかなければならないと思いますが、その大前提としてこの協定はしっかり結んでおかなければならない、こういった考えで国会の審議をお願いしている次第でございます。
○福山哲郎君 御丁寧に答弁いただいて、ありがとうございました。
協定そのものについては、原発を輸出するための十分条件ではない、あくまで必要条件の一つだという認識でよろしいですね、大臣。
○国務大臣(岸田文雄君) 我が国が原子力の平和利用の安全に貢献するための大前提としてこの協定は結ばれていなければならないと考えております。
○福山哲郎君 なかなかはっきり答えていただけなかったんですが、私はそのように認識をしております。
その中で、先ほど宇都委員との話の中で大臣はっきり言われましたので、再処理、濃縮を認めない方針は明らかにしていると、そこは私も信頼をしておりますし、先ほどのNPDIの広島宣言の会合にはトルコの外務大臣も出席をいただいていることは私は非常に評価をしています。つまり、NPDIに参加をし、核不拡散の問題についてコミットしているトルコの国の外務大臣が出られていると、まさかそこで再処理、濃縮という議論は出てこないと、それは一つの私は現れている形としては評価をしたいというふうに思います。
ただ一方で、トルコが一体他の国とはどういう協定を結んでいるのか。カナダ、アルゼンチン、韓国、フランス、米国、実はトルコは各国と原子力協定を結んでおります。日本だけがこうやってポジティブの協定を結ばされたのではないのかという懸念が若干あります。
このことについて、他国との協定はどういう状況になっているのか、政府委員でも結構でございますので、お答えいただけますでしょうか。
○政府参考人(北野充君) お答え申し上げます。
トルコと各国との原子力協定、これまで締結、発効したものとして六件ございます。そのような各国との原子力協定につきましては、トルコとそれぞれの国との事情、原子力政策、想定される原子力協力の態様というものを踏まえてそれぞれ定められているというふうに理解をしております。
今お尋ねの濃縮、再処理ということにつきましては、トルコと各国との協定におきまして、協定の適用を受ける核物質の濃縮、再処理というのは一切認められていないというケースはございませんで、また規制がない例というのも幾つかあるところでございます。
具体的に申し上げますと、カナダ、韓国、ロシアとの協定におきましては、トルコと相手国の双方を規制する形で、協定の適用を受ける核物質を二〇%以上に濃縮する場合及び再処理を行う場合には両締約国政府の合意又は核物質を供給した締約国政府による合意が必要という、そのような規定ぶりになっております。アルゼンチン、フランスとの協定におきましては、濃縮、再処理に関する規制に関する規定は特に置かれていないという状況と理解をしております。
また、アメリカとの協定におきましては、アメリカ、トルコ双方を規制する形で、再処理については、両締約国政府が合意する場合を除くほか再処理されない、また濃縮については、両締約国政府が合意する場合を除くほか移転後に濃縮されないという、そのような規定ぶりとなっております。
以上でございます。
○福山哲郎君 今のお答えのように、日本だけがポジティブな表現をのまされたわけではないということは、それで私は確認をさせていただきましたし、二〇%の濃縮の具体的な数字が入っているということも、これは軍事転用にならないぎりぎりのラインだということについて、こういう表現を韓国側と、それからカナダとはしていると。日本では二〇%の濃縮も含めて認めていないということですから、より包含的なというか厳しい状況になっているということだというふうに認識をしております。
ただ一方で、これだけ具体的に濃縮の数字や何かが出ているということは、トルコの国内でやっぱり濃縮、再処理をしたいという国内世論等があるのではないかというふうに若干懸念をせざるを得ないんですが、そのことについては、大臣、いかがですか。
○国務大臣(岸田文雄君) トルコの国としての政策を考えますときに、先ほど委員からも、NPDIにトルコのダーブトオール外相が出席したという点、御指摘をいただきましたが、トルコはNPDIのプロセスには第一回目から参加しておりますし、第四回目のNPDI外相会合も議長国としてリードするなど、不拡散の分野におきましてそもそも積極的に取り組んでいる国であると認識をしております。
こうしたトルコとの関係において、濃縮、再処理の規定を始めとする協定の交渉を行ったわけでありますが、トルコ、今日まで様々な国と協定は積み重ねておりますが、現時点で、我が国と協定の交渉をする時点において、濃縮、再処理につきましては、我が国の考え方について我が国としましてもしっかり伝えた上で理解を深め、そして今回の規定ぶりに至ったと理解をしております。
こうしたトルコの政府としての方針、そして今回の規定ぶりをめぐる交渉、これはやはりトルコ国内の様々な国民世論を反映した上での動きであると認識をしております。
○福山哲郎君 今大臣がかなりはっきり御答弁いただいたのでもうこれ以上は申し上げませんが、そのことについては、万が一トルコ政府の対応が変わったりした場合には、日本はそれを断固として拒否し、できるだけ早く国会に報告をしてほしいと思いますので、そのことについては強く申し上げておきたいと思います。
一方で、日本は、原子力協定、他国との今交渉中のものも幾つかあります。私が懸念をしているのは、これは各委員会でも大臣も御答弁いただいているかもしれませんが、NPT未加盟で核保有国であり核実験もしたことのあるインド、さらにはIAEAの追加議定書未締結国であるサウジアラビアとも今協定の締結に向けた交渉を進めていると聞いています。
私は、被爆国であり、さらには福島の事故を経験した日本として、無原則に原子力協定を進めていくことについては非常に心配をしていますし、私はある意味良くないと思っております。特にNPT未加盟のインドというのは、二国間関係が中国との関係も含めてあるのは僕は重々承知をしていますが、その交渉については慎重にするべきだと実は政権のときにも申し上げておりました。サウジアラビアも同様でございます。
そういった問題について、私は無原則に行うべきではないと思いますが、大臣の見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) おっしゃるように、我が国が原子力において協力をする、原子力の安全に貢献する、こうしたことのためにこの原子力協定の締結を行うわけですが、その際に、やはり核不拡散の観点ですとか、あるいは相手国の原子力政策ですとか、さらには日本と相手国との信頼関係ですとか、様々な二国間関係の現状等も総合的に勘案した上でこの対応を考えていかなければならない、無原則で行うものではないと考えます。
○福山哲郎君 無原則で行うものではないとはっきりお答えをいただいたので、今後どういった原則が必要なのか。そのうちの例えば一つとしては、この間の参考人でもありましたように、相手国側の例えば立地環境の問題、そこの自治体の関係、住民避難の問題、それから使用済核燃料、核廃棄物の処理の体制の問題、規制機関の問題、そういった問題が非常に私は今後横たわってくると思っております。
そんな中で議論になっています、公的信用を付与する際における安全確認の機関が今は空白になっているということでございますが、経産省にお伺いします。この安全確認についての規制官庁としての機能を持っているところは今あるんでしょうか。
○大臣政務官(田中良生君) お答えいたします。
この原発の安全確保という点でありますが、原子力規制委員会設置後でありますが、安全確認の手続の在り方でありますが、政府において今検討を進めているところであります。
今までも、この原発の安全確認に関しては様々な事実関係の確認をしてきたものであります。今政府内にそうしたものがないという御指摘でありますが、今、早急にこの件に関しては検討を進めているところでございます。
○福山哲郎君 あるのかないのかだけお答えください。もうそれだけで結構です。
○大臣政務官(田中良生君) 現在、この……
○福山哲郎君 いや、あるのかないのか。時間がないから。
○大臣政務官(田中良生君) 現在は検討中であるということでございます。
○福山哲郎君 だから、あるのかないのかを答えてください。
○大臣政務官(田中良生君) ないということでございます。
○福山哲郎君 今、ないんですね。ないんですよ。規制官庁は、保安院を規制委員会にしたわけですから、規制委員会しかないんです。
規制委員会は、田中委員長も含めてこの安全確認はするつもりがないと言われていますが、事実関係、規制委員会、短く答えてください。
○政府参考人(片山啓君) お答えいたします。
今委員御指摘のとおり、原子力規制委員会というものは原子力施設に係る国内規制を担っているということでございまして、原子力資機材の輸出における安全確認については原子力規制委員会の所掌外であるというふうに考えてございます。
○福山哲郎君 そうすると、安全確認する場所はないんです。検討している中で経産省が安全確認するのは、推進機関が安全確認するので、これは理屈として合いません。規制委員会は所掌ではない、それから規制委員会は推進機関ではないということで、今、拒否をされています。
私は、規制委員会設置法を改正してでもこの安全確認の作業を規制委員会にやってもらうべきだと思いますし、そうでないと、この協定を始めとした原発輸出に対する国民の懸念は払拭できないと思っておりますが、外務大臣、いかがですか。
○国務大臣(岸田文雄君) ただいま国会で原子力協定について御議論いただいているわけですが、今後、協定が締結されて、そして仮に具体的な原子力協定の事案が進むとしたならば、こうした案件が進む中にあっては、御指摘のように、この原子力安全確認の我が国の体制、これはしっかりと整えなければならないものだと私は考えております。
○福山哲郎君 当然で、それを経済産業省内でちょこちょこと安全確認しましたなんという事務手続上に変えたら、曲がりなりにも前は保安院がやっていたわけです。曲がりなりにも保安院がやっていたものをあえて推進官庁内でやるということは恐らく許されないと思いますので、そこについてはしっかりと規制委員会に安全確認をするように私は制度を変えていただきたいと思っております。
一方で、公的ファイナンスを付けるに当たって、JBICや貿易保険が基本的にはOECDの環境コモンアプローチに基づいてやられています。
お手元にお配りした三枚、実は、まずはOECDの環境コモンアプローチというものの一枚目が内容でございます。これは、真ん中ぐらいに実は国際基準としての原子力安全条約の例示というのがあるのと、下の方に実はメンバー国の社会的人権政策というのがOECDの環境コモンアプローチには入っております。これは非常に重要です。
二枚目を見ていただきますと、二枚目が実は安全確認の用紙です。今申し上げた、保安院がなくなって今安全確認をする場所がない状況でのこれが安全確認の用紙ですが、右側を見ていただきますと、放射性廃棄物の処理の問題、それから事故時対策の補償制度の問題等、かなり専門的な中身になっております。ところが、この安全確認の書面は実は二〇〇三年二月に作られておりまして、先ほどのOECDのガイドラインは二〇一二年でございます。
私は、この書面も、改めて福島原発事故を踏まえ、今の規制基準を踏まえ、この書面も見直さなければいけないというふうに思いますし、これだけの書面について確認をするに際しては、私は規制委員会がやるべきだというふうに思っておりますが、外務大臣、規制委員会、いかがですか。
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘の点、大変重要なポイントではあると存じますが、具体的にどういった対応をしていくのかにつきましては経産省等を中心に今検討が進んでいるものと外務省としては認識をしております。
○政府参考人(片山啓君) お答えいたします。
繰り返しになり誠に恐縮ではございますが、先ほど申し上げましたとおり、原子力規制委員会は原子力の資機材の輸出について御意見を申し上げる立場になく、また、各国の原子力施設の安全の責任は同施設を管轄する国が負うということが原子力の安全に関する条約でも示されているかというふうに承知をいたしております。
○福山哲郎君 だからこそ、逆に言うと、推進官庁だけの内部でやれば余計輸出する側として責任が問われることになります。万が一事故のときも含めてです。
三枚目を見てください。JBICのこれ実は環境チェックリストです。原子力発電とありますが、ここには明確に、ほかのリストもあるんですけど、明確に住民移転、生活、生計のことが書いてあります。
実は、参考人質疑において、トルコ内のシノップの市長が反対をしているとか今反対運動が起こっているとかいう議論が参考人の中でありました。JBICが公的信用を付与するというのは、JBICは一応公的資金が入っておりますので非常に重要なポイントになります。JBICにおかれましては、是非このJBICのガイドラインに応じて、更に言えば、日本の今の原発事故の状況も含めて厳しくこのことについては調査をしていただきたいと思いますが、総裁、いかがでしょうか。
○参考人(渡辺博史君) お答え申し上げます。
JBICにおきましては、投融資等の対象プロジェクトに関して私どもの環境社会配慮ガイドラインというものでチェックをしておりますが、この環境社会配慮ガイドラインそのものは、今委員御指摘のOECDの環境コモンアプローチ等に適合するような形で作られているというところでございます。
この中では、それぞれの国において、地域社会あるいは自然環境に与える影響ということについてどういう形できちんと分析あるいは評価をしているかということを確認すると、そういうことを踏まえまして、最終的に私どもが判断をさせていただく、そういう手続を踏ませていただいております。
○福山哲郎君 ODAもよくあることですが、それで融資ができないということもあり得るということですね。
○参考人(渡辺博史君) お答え申し上げます。
今おっしゃいましたような、審査を満足させない結果が出るということは、余り期待してはおりませんけれども、そういうことはあるという前提で考えております。
○福山哲郎君 財務省、せっかくお越しいただいたので聞きます。
世銀、アジア開発銀行、ADBは原発への融資の枠組みはありますか。
○政府参考人(梶川幹夫君) お答え申し上げます。
世界銀行、アジア開発銀行共に、現在、原発支援は行っておりません。
○福山哲郎君 理由は分かりますか。
○政府参考人(梶川幹夫君) 理由でございますけれども、まず、世界銀行の方は、明示的に機関決定はしておりませんけれども、再生可能なエネルギーというところを中心にやっておるのが理由だというふうに承知しております。
○福山哲郎君 もうこれで終わりますが、原発施設の安全性や核不拡散に対する専門性を有していないというのが昨日の財務省の答えでした。つまり、原発の安全性とか不拡散に関する専門性とか評価というのは、他国がしたり金融機関がするのは難しいという判断が世銀やADBでございます。
ですから、そういった状況の中で、今回、まず、安全確認をする機関がありません。それから、トルコの国内の問題があります。ということも鑑みて、私は、まず、この安全確認をする機関をきちっと国民にも理解できるような形で整備をしていただくこと、それから、このガイドラインに沿って、ガイドラインの中では、OECDの中では原子力安全条約が一つのメルクマールだと書いてありますが、安全条約はもっと厳しい状況になっています。
そういった状況の中で、協定通ったから輸出が全てできるということではなく、まだ環境が全く整備をされていないと、輸出には慎重に慎重を期していただくと。それが、逆に言うと、トルコとの関係も含めて、トルコの安全性を確保することも含めて重要だということを御指摘申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
04/17
2014
参議院 外交防衛委員会
参議院外交防衛委員会に出席しました。
トルコ及びUAEとの原子力協定について、質疑・採決をおこないました。
福山も質問に立ちましたが、その冒頭で、以下のような意見表明をいたしました。(速記録はこちら)
「珍しく、私はこの協定の賛否について悩みました。
福島第一原子力発電所の事故の災禍はまだ続いています。避難されている方々は十四万人を超えています。汚染水の処理は、日々新たな課題が出現し、混迷を極めています。トルコからの強い希望があったことは私も理解をしておりますが、日本国内の輸出時の安全確認体制がまだ不備であることは国会でも明らかになっております。トルコ国内の規制機関や放射性廃棄物の処理体制が万全でないことを考えても、私は、輸出には極力慎重であるべきだと思います。いや、輸出しない方がいいとも考えております。
しかしながら、我々民主党政権時に、ヨルダンやベトナム等との原子力協定を皆様にお願いをした経緯がございます。私は、外交というのは継続性が大切だと思っておりますし、別に批判をするわけではないんですが、例えば、当時、もう勇退された議員なので名前は申し上げませんが、ある公明党の議員は我が政権の総理に向かって、まさに放射能汚染の死の商人の片棒を担ぐ、そういう格好にしか見えないと言われました。そして、結果として反対をされました。まさに、原子力を低減すると言いながら輸出をするというのは、国内と海外でダブルスタンダードではないかという批判をあちこちの政党からいただきました。私は、批判をしたいから今申し上げているわけではありません。そのぐらい多分難しい問題なんだと思います。
自民党も、原子力ではありませんが、民主党の交渉するTPPだから反対だというような議論がありました。例えば、今日は小野寺防衛大臣いらっしゃいませんが、小野寺防衛大臣は当時TPP反対で、私とテレビ討論の相手側でした。与野党の対処の仕方というのは本当に難しい問題だと思います。それぞれの政党の事情もある、政局もある。私も野党として反対だと言えれば非常に楽だなと、この協定は思いました。
私は、脱原発論者です。
福島の事故を目の当たりにし、官邸で東電や保安院の対応と向き合った者として脱原発をしたいと願っておりますが、一方で、先ほど申し上げましたように、我が政権が原子力協定をお願いしたときの、今、岸田外務大臣のところに座っておられたのが玄葉外務大臣でございました。私はそのとき、末松委員長のところに座っておりました。
今回、我が党は、党内本当に大激論があったんですが、やはり継続性、もう一つ申し上げれば、今回のトルコとの協定の交渉に入ったのは民主党政権時です。その責任はあると考えて、非常に厳しい選択でしたが、賛成をすることを党として決めました。
私は、核不拡散の問題は、先ほどのNPDIの問題も含めて重要だと思いますし、私自身も一生懸命これからも取り組んでいきたいと思いますので、この協定というのは、不拡散、平和利用の問題も含んでいる、そして我々にも責任がある、野党になったからといって安易には反対はできないと、そういう自問自答を繰り返した中で今質問に立っています。
輸出についてはできるだけ抑制的にしたいという思いは今も変わりません。党としては国内ゼロを三〇年代に決めましたので、我々としては、海外に輸出することの批判を受け止めて、将来の在り方についてこれからもしっかり再検討が必要だという認識に立っております。」