03/14

2014

「連日、予算委員会、外交防衛委員会で質問」


こんにちは。
先週の予算委員会、昨日の外交防衛委員会と、続けて質疑に立っています。
質問の様子は、参議院HPのインターネット審議中継で見ていただくことができます。議事録についても、確定された段階で、私のHPに掲載いたします。

さて、集団的自衛権の議論に焦点が当たっていますが、国会の議論が少々荒っぽいことに、やや懸念をしています。今日は、これまでの議論をおさらいしたいと思います。

集団的自衛権の行使について、日本政府は憲法9条との関係で「保有するが行使せず」という立場をとってきました。
もちろん、このことは歴代政権の長年の議論の積み重ねによって確定し、定着しているものであり、この解釈をしてきたのは、圧倒的に長期政権を担ってきた自民党です。
主な過去の内閣法制局長官の答弁は以下の通りです。

1983年2月22日、角田禮次郎 内閣法制局長官の答弁。
「仮に、集団的自衛権の行使を憲法上認めたいという考え方があり、それを明確にしたいということであれば、憲法改正という手段を当然とらざるを得ないと思います。したがって、そういう手段をとらない限りできないということになると思います。」

1997年2月28日、大森 政輔 内閣法制局長官の答弁。
「ただ、私が法解釈の変更は困難であると申しましたのは、特に九条に関する政府の解釈と申しますのは、憲法の基本理念の一つである平和主義という国の基本的なあり方に係るものでありまして、長年の議論の積み重ねによって確定し、定着している考え方、解釈というものを、政策上の必要性によって変更するということは困難ではないかということを申し上げたわけでございます。」

2005年11月4日、集団的自衛権についての政府見解等に関する再質問に対する答弁書。
「仮に、政府において、憲法解釈を便宜的、意図的に変更するようなことをするとすれば、政府の憲法解釈ひいては憲法規範そのものに対する国民の信頼が損なわれかねないと考えられるところである。」

これだけの立場を内外ともに表明してきました。法治国家として非常に重たいものであり、国民の生命・安全ならびに国の根幹に関わるものです。一安倍政権が解釈変更を閣議決定するだけで簡単に変えられる性質のものではありません。もちろん、内外情勢の変化、北東アジアの安全保障環境を考慮に入れることは言うまでもありません。
しかしながら、現在、「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」で議論されている具体的事例の中には、国際法上、武力行使と評価される可能性が否定できないものや、その事例の発生蓋然性がどの程度なのか疑わしいものなど、精緻な議論が求められる事例も多いと考えています。いわゆる「マイナー自衛権」や「領域警備」をはるかに超えた議論が安保法制懇ではなされています。

そんな中、小松法制局長官の院内・院外での不規則発言、不適切な発言が報道に取り上げられています。
ご本人がガンを発病されて抗ガン剤治療をされている(本人が公表)状況で、国会に出てこられるのは立派だと思いますが、投薬治療をしながらでは、我々国会議員も病状に気を使いますし、国会で議論をして病気療養中の方をいじめるような印象を与えることは本意ではありません。私が外務副大臣の時、スイス大使であった小松氏とも仕事をさせていただきました。極めて優秀な方だったとの印象が残っています。個人的にも治療に専念していただきたいと切に願います。

先週も、昨日も、小松長官の問題発言が続き、審議がストップすることが多くありました。情緒的な議論をなるべく排除し、法的な議論を緻密にしなくてはなりません。法制局長官とは法律のプロフェッショナルであり、重要な役割をこれまで担ってきました。時に政治家の暴走に抑制をかけたり、法的な整理を進言したりしてきました。それに比し、小松法制局長官が、勝手に「総理は安全保障基本法を国会に提出するお考えではないと思います」(あとで陳謝)とか「安全保障の法的基盤の見直しを内閣法制、総理大臣の御方針でおやりになるということが分かっているわけでございますから…」等々の発言をすることは、長官としての職責を超えており、言語道断です。

これには与党内からも批判的な声が上がっています。自民党内でも勉強会が次々を立ち上がりました。民主党は先般「集団的自衛権をめぐる憲法解釈の変更に関する見解」をとりまとめ、発表いたしました(民主党HP )。
多数で無理やり押し切るような問題ではありません。


03/14

2014

参議院予算委員会


参議院予算委員会に出席しました。
経済財政・行政改革・歴史認識に関する集中審議が行われました。


03/14

2014

日本画年鑑30周年記念展覧会交流パーティー


京都市内で開催された「日本画年鑑30周年記念展覧会交流パーティー」に出席し、ご挨拶しました。

1984年から30年間続いた日本画年鑑は、毎年活躍中の作家約300名を、その作品とともにご紹介し、時代を映してこられました。

京都の法然院で開催された展覧会にもお伺いさせて頂きました。


03/13

2014

第186国会 参議院 外交防衛委員会 2014年3月13日


○福山哲郎君 おはようございます。委員派遣について御報告申し上げます。

本委員会の末松信介委員長、佐藤正久理事、松山政司理事、三木亨理事、石川博崇理事、牧山ひろえ委員、中西健治委員、井上哲士委員、アントニオ猪木委員、小野次郎委員及び私、福山哲郎の十一名は、去る二月二十四日及び二十五日の二日間、在日米軍再編及び我が国の防衛等に関する実情調査のため、山口県及び広島県に派遣され、海上自衛隊、在日米海兵隊、岩国市、在日米陸軍等からの説明聴取、関連施設及び装備品の視察、意見交換等を行いました。
以下に概要を御報告いたします。
第一日目は、まず、海上自衛隊厚木基地より対潜哨戒機P3Cに搭乗し岩国基地に向かい、到着後、海上自衛隊第三十一航空群より基地の概要、任務等について、また、中国四国防衛局より在日米軍再編等について、それぞれ説明を聴取しました。その後、救難飛行艇US2に搭乗し、海上での離着水を体験し、救助活動のデモンストレーションを視察しました。
海上自衛隊岩国基地は、電子戦データ等の収集や艦艇に対する射撃支援を行う航空機のほか、世界でも珍しい水陸両用の救難飛行艇など多機種を運用する基地として、洋上救難や災害派遣で活躍しております。今回搭乗したUS2は海外からも関心を集めており、着水時の安定性など、その高い性能を実感した次第です。
次に、米海兵隊岩国基地において、第十二海兵航空群より基地の概要、任務等について説明を聴取し、基地内の各種施設を視察しました。
岩国基地は、米海兵隊が管理する日米共同利用の基地であり、米海兵隊岩国基地は、西太平洋における米海兵隊の拠点として、航空機及び人員の即応態勢をとり、自然災害及び地域の不測の事態等に対処することとしております。また、在日米軍再編の一環として、本年六月から九月の間に沖縄普天間基地の空中給油機KC130の移駐が予定されているほか、平成二十九年頃には厚木基地の米空母艦載機の移駐が見込まれております。
基地内では、在日米軍再編に伴う大規模な整備事業が進められており、その概要や工事の進捗状況のほか、市街地への騒音軽減等を目的として沖合に移設された新滑走路の運用状況等を視察しました。
派遣委員からは、同基地の港湾の機能強化の状況、オスプレイの岩国基地への飛来と訓練の見通し、KC130の訓練区域等について質問が行われました。
次に、岩国市を訪問し、基地対策の基本姿勢や在日米軍再編に対するこれまでの取組、米軍住宅等の建設予定地である愛宕山開発地区における岩国市のまちづくり計画等について説明を聴取し、意見交換を行った後、同開発地区を視察しました。
福田市長からは、平成二十九年三月末で期限切れとなる再編交付金制度の期限延長、本来の固定資産税収入額に見合った基地交付金の増額、住宅防音工事の区域の拡充等について要望がなされました。
派遣委員からは、基地騒音に係る住宅防音工事に関する市民の要望、米空母艦載機の移駐に対する地元の反応、普天間基地移設の見通しとKC130移駐受入れ表明との関係、沖縄と比較した基地問題に対する市民の反応や米軍人等の犯罪率の低さの理由等について質問が行われました。
その後、岩国より船舶で呉へ移動途中、海上において、輸送艦「おおすみ」の衝突事案現場を視認しました。
第二日目は、海上自衛隊呉地区において、呉地方総監部より呉地方隊の役割、任務等について説明を聴取し、練習艦「かしま」の艦内を視察しました。
呉地方隊は、宮崎県から和歌山県に至る担当警備区域内の防衛及び警備、艦艇・航空機等に対する後方支援業務、災害派遣等を主な任務とし、練習艦「かしま」は初級幹部の乗艦実習用艦船であり、練習艦隊の旗艦であります。
派遣委員からは、練習艦隊の海曹士を含めた乗員構成、遠洋練習航海航路の選定とその外交的効果、遠洋練習航海における寄港地等について質問が行われました。
次に、海上自衛隊江田島地区において、第一術科学校及び幹部候補生学校より、それぞれの概要、任務、教育の現状等について説明を聴取し、同地区内の各種施設及び教育参考館を視察しました。
第一術科学校は、幹部及び海曹士の学生を対象とし、砲術、水雷、通信、航海、掃海、潜水等の各術科に関する専門教育を行い、幹部候補生学校は、防衛大学校卒業者等に対し、幹部自衛官として必要な資質を養うほか、初級幹部として職務を遂行するための知識、技能を修得させるための教育を行っております。
最後に、米陸軍秋月弾薬庫において、米陸軍第十地域支援群より弾薬庫の概要、任務等について説明を聴取し、弾薬庫内部を始め各種施設を視察しました。
派遣委員からは、弾薬の移送手段、弾薬の種類、安全対策等について質問が行われました。
以上が今回の派遣の概要であります。
今回の調査により、在日米軍再編及び我が国の防衛等の実情について認識を深めるとともに、現地の皆様の御要望や御意見を聞くことができ、国会として果たすべき課題も多いことを改めて痛感いたしました。
最後に、今回の派遣に際し、御対応いただいた関係者の皆様に対し心から感謝を申し上げ、御報告とさせていただきます。
以上でございます。

○委員長(末松信介君) 福山理事、ありがとうございました。
以上で派遣委員の報告は終了いたしました。

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○福山哲郎君 おはようございます。
民主党の福山でございます。今日はよろしくお願い申し上げます。
先ほども申し上げましたけれども、視察に対しましては、外務大臣、防衛大臣、両省におかれまして大変御尽力を賜りました。このことに関して、重ねて御礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。
もう時間がありませんので、早速行かせていただきたいと思います。
今日、小松法制局長官、お越しをいただいておりますので、若干、前回、予算委員会での私の議論、それから福島みずほ先生の議論について気になることがありましたので、まず、そこから始めさせていただきたいと思います。
まず、私との予算委員会の議論で、安全保障の法的基盤の見直しを内閣法制、総理大臣の御方針でおやりになるということが分かっているわけでございますからという話があって、その後、したがって、そういうことを総合的に私どもがあらかじめ勉強、局内で勉強しておくということをやらずに、報告書が出てきたら、そこから一から検討しますということは私の職責は果たせるとは思っていませんと。もう事前から法制局でこのことに対して準備をしているやの発言がございました。さらには、福島みずほ委員の質問に対して、安倍総理は、自民党が野党時代に決定をいたしました国家安全保障基本法を国会に提出するというお考えではなくてということを明言をされて、その後、実はもう一度、総理は、安全保障基本法を国会に提出するお考えではないと思いますと答えられました。
これは、いずれにせよ、政府全体として、総理の答弁もそうですが、安保法制懇の検討を踏まえて改めて議論をすると言われている状況の中で、法制局長官は、先ほども言われましたけれども、今、内閣法制局としては、政府見解はこれまでと全く変わっていないと御本人がおっしゃっているにもかかわらず、安全保障基本法は出すつもりはないとか、それから、あらかじめ勉強していくことは当然だという発言は、いささか私は行き過ぎた発言だと思っておりますので、この私の予算委員会の発言、並びに福島みずほ議員の、この安全保障基本法を国会に提出するお考えではないと思いますと言われたことの真意について、長官、お答えいただけますか。

○政府特別補佐人(小松一郎君) まず、順番を逆にして恐縮でございますけれども、国家安全保障基本法の問題についてお答えをしたいと思います。
この問題について総理がおっしゃっておりますのは、現時点で申し上げることができるのは、政府としては、懇談会からの報告書が提出された後、内閣法制局の意見も踏まえつつ、与党とも相談の上、対応を検討した後、閣議決定を行う考えであると、その上で必要があれば関係法令の改正などについて取り組むことになると考えるということでございます。
私の、御指摘の福島議員からのお尋ねを受けた答弁でございますが、これは、平成二十六年二月二十日の安倍総理の答弁は、憲法解釈の変更を行うという結論を出している旨を述べたものではなく、ましてや、国家安全保障基本法を国会に提出するとかしないとかということについての考えを述べたものではないという理解、私として理解しているという趣旨で行ったものでございます。ただ、御指摘のとおり、この点について私の言葉が足りず、あたかも別のことを言っているように誤解を招いたとしたらここでおわび申し上げます。これが第二点の方でございます。
第一点、総理の御方針で安全保障の法的基盤の見直しをおやりになることが分かっているという私の予算委員会における福山委員の御質問に対する答えは、何を根拠にこういうことを言っているのかということでございますが、これは、総理は国会答弁の場で何度もこの趣旨のことをおっしゃっていると思いますけれども、私の頭にある一番いい例と申しますか、そのときに念頭にございましたのは、平成二十六年二月二十日、衆議院予算委員会におきまして、民主党の岡田委員と安倍総理とのやり取りがございまして、この中で安倍総理は以下のように御答弁されております。正確を期するために、恐縮でございますが読み上げさせていただきますと、どういう進め方をしていくかということについては……

○委員長(末松信介君) 長官、長官、できるだけ簡潔にお願いしたいと思います。

○政府特別補佐人(小松一郎君) 安保法制懇において結論を出していただき、ただいま岩屋議員との議論にもなっておりました武力攻撃に至らない段階における自衛隊の武器使用等に関わる課題についての議論もしておりました。シームレスにしなければいけないという観点から様々な議論もしておりますので、多少時間が掛かるかもしれませんが、この結論を得た上においてですね、先般も答弁をいたしましたとおり、法制局を中心として、政府としてどう変えていくか、あるいは変えていく必要があるのかということについて議論を行いながら、当然その間、与党とも協議をし、そして基本的にはですね、基本的には閣議決定ということになっていくんだろうと思います。そして、その上において、必要があれば自衛隊などの改正を始めていくということになるであろうと、このように思いますと。
以上のような、これは私、たまたま病床でNHKの放送を見ておりましたので、これが念頭に主にありまして御答弁申し上げた次第でございます。

○福山哲郎君 いや、申し訳ありません、総理の答弁を法制局長官になぞってほしいと我々が質問しているわけではありません。法制局長官としての今の立場をお伺いしていることでございます。
今の総理の答弁も、まだ安保法制懇でどういう議論が出るか分からないということを前提として話をされています。じゃ、防衛大臣と外務大臣にお聞きします。今の、安保法制懇でまだ結論が何も出ていない、検討している状況の中で、総理も安保法制懇の議論を踏まえて改めて検討すると言っている状況で、今、防衛大臣と外務大臣、防衛省と外務省の内部でこのことに対して準備として議論を始めていると公で言えますか。外務大臣、いかがですか。

○国務大臣(岸田文雄君) この集団的自衛権と憲法の関係につきましては、御指摘のように、安保法制懇、有識者会議で議論を今行っている最中であります。そして、今後報告書が提出されるものになると承知はしておりますが、この内容につきましては、議論が行われておりますので、この段階で政府として予断を持って申し上げることは、これはできませんし控えなければならないと思っております。是非、まず報告書の内容をしっかり確認した後に内閣法制局長官あるいは与党でもしっかり議論した上で政府としての方針を確定するという作業がその次に行われるものだと考えております。

○福山哲郎君 外務大臣の明快な答弁、まさに私はそのとおりだと思っております。
防衛大臣、いかがですか。

○国務大臣(小野寺五典君) 今、安保法制懇での議論がなされているということは承知をしております。また、議論の中でどのような内容について話が出ているかということは、それは私どもとしても情報としては承知をしておりますが、いずれにしても、その報告書が出て、そして政府として一つの方向を出す過程で、例えば与党内での協議、様々な手順があると思います。それを踏まえての私どもとして対応ということになるんだと思っております。

○福山哲郎君 防衛大臣の答弁もまさにそのとおりだと思います。
小松長官、あなたは私に、そういったことをあらかじめ勉強を、局内で勉強していくことをやらずに、報告書が出てきたらそこから、一から検討しますということで、私の職責で果たせるとは思っておりません、これは全く今の外務大臣と防衛大臣と見解を異にします。そして、あなたは、表の答弁では今の法制局の立場はこれまでと一切変わらないと言いながら、別のところでの答弁では事前に勉強していると言い、更に申し上げれば、総理は安全保障基本法を国会に提出するお考えではないと思いますと、総理のお考えを、まあどういう根拠であなたが言われたのかよく分かりませんが、こういった話をされています。
あなたは先ほど、私の質問に対して根拠の話をして長々と総理の答弁を言われましたが、総理は安全保障基本法を国会に提出するお考えではないと思いますと言われたこの根拠は、何を根拠に言われたんですか。

○政府特別補佐人(小松一郎君) それは、先ほどの御答弁で私がお答えいたしましたとおり、大変舌足らずの、言葉足らずの答弁でございました。で、おわびを申したわけでございます。
それから、外務大臣と防衛大臣の御答弁、全くそのとおりでございまして、そのことと法制局において、私、この言葉余り好きじゃございませんけれども、部内的に頭の体操ということを行っておくということについて矛盾があるとは思っておりません。
というのは、先ほど私が引用いたしました衆議院予算委員会における安倍総理の答弁でございますが、安保法制懇の報告書が出た後、法制局を中心として政府としてどう変えていくか、あるいは変えていく必要があるのかということについて議論を行いながら、当然その間与党とも協議をしと、こうおっしゃっているわけでございまして、私ども、法律に基づいて仕事をするわけでございます。
内閣法制局設置法第三条に基づきまして、内閣法制局の重要な仕事の一つとして、法律問題について意見を申し上げるという立場にあるわけでございますので、そのときに、もちろん過去の答弁等、見解等との整合性、そういったことも十分に勘案をいたしまして適切な意見を申し上げるのが私の使命であると心得ておりますので、どういう意見を申し上げるべきかということについて局内で、私の一存で何か勝手にやっているような報道が行われておりますけれども、そうではなくて、局内の優秀な……

○委員長(末松信介君) 長官、答弁簡潔に。

○政府特別補佐人(小松一郎君) 優秀な法律のプロと議論を……

○委員長(末松信介君) 長官、答弁は簡潔にしてください。

○政府特別補佐人(小松一郎君) はい。
頭の体操をしているということでございます。

○福山哲郎君 防衛大臣と外務大臣が、検討会の結果を踏まえてその後という発言をされました。
法制局長官は、頭の体操という表現がいいかどうかは別にして、これ完全に政府内で意見が異なっています。これ調整してもらわないことには私質問できませんし、私も、変な話ですけれども、頭の体操をしているという話になったら、それを公で認められたからには、どうやって何を内閣法制局は頭の体操をしているのかと聞かざるを得なくなりますよ。国会の場で、公の場で言われたからには。
じゃ、どういうことを頭の体操をしているんですか。これ大問題ですよ。だって、安保法制懇の問題でまだ議論はしていない、結論も出ていない。総理も外務大臣も防衛大臣も、安保法制懇で議論はしていることは承知しているけれども、そのことを踏まえて検討するんだと言っているのに、頭の体操をしていると表で言われたら、何を頭の体操をしているんだと、それによっては大問題になりますよ。
僕は、外務大臣は先ほどの答弁で十分だと思っていますから結構です。外務大臣や防衛大臣の答弁と法制局長官、政府内の答弁が完全に違うと、このことに対してははっきりさせてもらわなきゃいけないと思いますので、まず小松長官、どう思われますか。

○国務大臣(岸田文雄君) まず、外務大臣としての考え方は先ほど申し上げたとおりであります。
そして、今委員と小松長官のやり取りを聞かせていただきました。この頭の体操という言葉の意味は十分定かではありませんが、いずれにしましても、これ今、有識者会議で議論が行われています。どんな結論が出るかは今の段階では全く予断はしてはならないというふうに思っています。
ですから、結果が出てからでないと政府としての方針を決定する作業に入ることができない、これはもう先ほど申し上げたとおりですが、ただ、小松長官のこの頭の体操というのは、別に法制局の中で何か結論を出すということではなくして、実際、情報としましては、安保法制懇、有識者会議の中での議論はこんな議論をしていますという情報は伝わっておりますので、それについていろいろな議論をされていると、その段階のことをおっしゃっているのではないか。
政府の方針としては、決して、先ほど申し上げたとおりであり、政府内で矛盾が生じているというふうには理解してはおりません。

○福山哲郎君 何で外務大臣が小松法制局長官の答弁をそんたくしてかばうんですか。僕は外務大臣のお人柄分かっているから、それはそう言わざるを得ないのは分かるけれども、それはいい人だと思うけど、それは政府としてまずいですよ。
だって、法制局長官の、これまでの法制局の見解は、この間、小松法制局長官が言われたんですよ、私に。長年の議論の積み重ねによって確定し、定着している考え方、解釈というものを、政策上の必要性によって変更するということは困難ではないかということを申し上げたわけです。これ、過去の法制局長官の答弁です。全く仮に、集団的自衛権の行使を憲法上認めたという考え方があり、認めたいという考え方があり、それを明確にしたいということであれば、憲法改正という手段を当然とらざるを得ないと思います。したがって、そういう手段をとらない限りできないということになると思います。これが今の、現時点の法制局の見解なんです。
ところが、小松長官は頭の体操だといって議論を始めました。そうかといったら、国会の場で、総理は国家安全保障基本法については出されるお考えはないと思いますと。言葉足らないどころじゃないですよ。言葉が過ぎるんですよ。
だから、どういう根拠で総理の、出すつもりがないという総理の意思をそんたくして言ったのか。どういう、何の根拠で言ったんですか。

○政府特別補佐人(小松一郎君) 国家安全保障基本法案を国会に提出するか否かの問題についての、私の舌足らずか言葉が多過ぎるのか、そこは別にいたしまして、不正確な答弁については先ほど御説明を申し上げたとおりでございまして、そのときおわびも申し上げているわけでございますけれども、そのとおりでございます。

○福山哲郎君 特に、あなたは先ほど、病床で総理の言葉を聞いて、そのことを根拠にと言われた。それも実は私は問題だと思いますよ。
私は、この間の予算委員会で申し上げました。来週の月曜日も投薬をされると聞いております。投薬をしてください。療養してください。人道的に、そういう病症を押してまで国会へ出てきていただいて、僕はこの議論を美談にしてはいけないと思っています。逆に言うと、きちっと法制局長官というのは、法律の職人として、プロフェッショナルとしてきちっと今までの答弁を整理をしていただくのが法制局長官であり、総理の言葉をそんたくしたり、総理の意向を勝手に国会でぺらぺらとしゃべり、そして、防衛大臣、外務大臣が安保法制懇の検討結果を踏まえてだと言われているのに、もうあらかじめ頭の体操をしているというふうに言われるというのは、それは頑張って国会へ出てこられていることは立派だと思うけど、僕は、人道的にも、この法制局長官を国会に出させている政府・与党に対しては、できるだけ早く療養していただいて、別の方でちゃんと議論が、真っ当な議論ができるようにお願いをしたいと思います。
私は、病床に伏していた小松長官とこうやって議論をして、さも私がいじめているみたいとか、これで病状がもし悪化とかされたら、私は寝覚めが悪過ぎます。だけど、国民の命、安全、まさに総理がよく言われている安全に関わる問題だからこそ、きちっと情緒的な議論じゃない議論をしなければいけないと私は思っているので、そのことを再び申し上げたいと思います。
余計なことを申し上げますが、何回も小松長官が言われている内閣法制局設置法三条、あらかじめ政府のやっていることに準備を先回りをして、それに対して意見を述べるなんてどこにも書いていないですよ。一番重要な一号は、「閣議に附される法律案、政令案及び条約案を審査し、これに意見を附し、」です。もちろん、その他法制一般について政府、内閣に意見を言うことはもちろん所掌事務だと思います。
じゃ、それぞれの省庁が審議会で議論しているそれぞれの閣法について、内閣法制局が全部先回りして準備しているんですか。
とにかく、先回りしているとおっしゃって、頭の体操とおっしゃるんだったら、何を頭の体操としているのかのリストをこの委員会に提出をしてください。後々私は予算委員会でも要望しますが、そのことをお願いしたいと思います。

○政府特別補佐人(小松一郎君) まず、私が悲壮がって、これを美談仕立てにしようとしているということはございませんので、それは申し上げておきます。
それから、内閣法制局設置法の所掌事務についての御質問がございました。
そこで今委員は、所掌事務の第三条の一項、これは、「閣議に附される法律案、政令案及び条約案を審査し、これに意見を附し、及び所要の修正を加えて、内閣に上申すること。」でございます。これは、私どものジャーゴンで審査事務と呼んでおりまして、この内閣法制局の重要な一つの仕事でございます。これは当然のことながら、まず原省庁におかれまして、こういう政令を作りたい、こういう法律案を作りたいという原案がございまして、これを審査するわけでございますから、あらかじめそれに対して私どもが頭の体操をするということはございません。
次に、私が申し上げておりますのは、第三条の三、「法律問題に関し内閣並びに内閣総理大臣及び各省大臣に対し意見を述べること。」と、これは私どもの言葉で意見事務と呼んでおりまして、これは別の事務でございます。
仮に、いつか安保法制懇の報告書が出まして、それを受けて内閣総理大臣の御方針に基づいて……

○委員長(末松信介君) 長官、ちょっとお待ちください。

○政府特別補佐人(小松一郎君) この考え方を新たにしようということで……

○委員長(末松信介君) 長官、ちょっと御答弁をお待ちください、長官。長官、ちょっとお待ちください。

○政府特別補佐人(小松一郎君) それでは、答弁が終わりませんでしたけれども……

○委員長(末松信介君) ちょっと休憩します。
午前十一時四十一分休憩
─────・─────
午前十一時五十一分開会
○委員長(末松信介君) ただいまから外交防衛委員会を再開いたします。
この際、委員長より内閣法制局長官に申し上げます。
委員長の議事整理にはしっかりと従っていただきたい、委員の質問に対しては、質問の趣旨を的確に捉えて答弁すること、聞かれていないことについて答弁を控えること、あわせて、他の議事録を読み上げるのではなく、内容を簡潔に説明すること、いささか難しいですけれども、このことに従っていただきます。以上、厳守に努めていただきますよう求めます。
─────────────
○委員長(末松信介君) 休憩前に引き続き、外交、防衛等に関する調査を議題とし、外交の基本方針及び国の防衛の基本方針について質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。

○福山哲郎君 委員長の大変果断な御配慮に心から敬意を表したいと思います。
もう簡潔にお答えください、長官。
先ほどから話がありました、総理は安全保障基本法を国会に提出するお考えではないと思いますと言われた発言については撤回をされる、若しくは自分の間違いであったということをお認めになるかどうかということが一点。それから、先ほどお認めになられました、いわゆる事前に頭の体操をしている、法制局はどのような頭の体操をしているかについてしっかりと開示をいただけますか。この二点について明確にお答えください。

○政府特別補佐人(小松一郎君) 国家安全保障基本法については、先ほど御答弁申し上げたとおり、私の言葉が足りず誤解を招いたとしたらおわび申し上げる、以上でございます。
それから、頭の体操でございますけれども、これは、法律問題を扱っておりますので、あらゆる事態を想定して日々行っております。それで、今現在、結論が出ているわけでは毛頭ございませんので、その内容について申し上げる段階にはございません。

○福山哲郎君 私の二つの質問、両方とも答えておりません。私はおわびを求めていません。撤回若しくはこのことについては間違っていたと認められるかということと、それから、頭の体操は、申し訳ありません、我々が申したわけではありません、あなたが頭の体操をしていると言われたので、そのことについて。だって、防衛大臣も外務大臣もそのことは安保法制懇から出てからだとおっしゃっているわけだから、あなたが頭の体操をしていると言っていたので、そのことは国民に対して非常に重要なことですから、そのことについて開示をしてくださいと申し上げた。
もう一度お答えください。

○政府特別補佐人(小松一郎君) 安全保障基本法については、累次御答弁申し上げているとおりでございます。
それから、頭の体操につきましては、もちろん今結論が出ているわけではございませんので、極めて広範な事項について一般的な形で議論をしているということでございますが、何を議論しているのかということについて資料ということであれば、その範囲内でお出しする用意がございます。

○委員長(末松信介君) 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○委員長(末松信介君) 速記を起こしてください。

○福山哲郎君 ということは、総理は安全保障基本法を出すお考えではない旨の、提出するお考えではない旨の発言については、長官は撤回をされないということですね。

○政府特別補佐人(小松一郎君) 先ほどお答えしたとおり、福島委員からお尋ねを受けた平成二十六年二月二十日の安倍総理の答弁は、憲法解釈の変更を行うという結論を出している旨を述べたものではなく、ましてや国家安全保障基本法を国会に提出するとかしないとかいうことについてのお考えを述べたものではないと理解しているという趣旨で私はお答えしたつもりでございましたけれども、私の答弁が未熟でございまして、言葉が足りなかったのか余ったのか、誤解を招いたとしたらおわびを申し上げるということでございます。

○福山哲郎君 私も了解はしませんが、時間がもったいないですし、こんなことをやっていても仕方がないんですけれども。
しかし、国会での発言というのは、長官、気を付けていただきたい。ましてや、法制局長官というのは歴代、本当に皆さんが言葉を選んで、そして国民に納得していただくことを積み重ねて、そして圧倒的に与党であった自民党の議員が、議院内閣制ですから、国会の中でもそこを承認した中で積み重なってきた話であって、あなたの個人的な見解とか、あなたがこう思うということを言われるのがあなたの職責ではないということをもう一度だけ申し上げておきたいと思います。
法制局長官が基本法は出さないと言っていると思ったら、先般は礒崎総理補佐官が、いろんな法律の改正が必要だ、十本以上になるということを報道で言われています。よく余計なことを言われる補佐官や長官だと思いますが。
これ十本以上の法律になるというのは、これは仮定だから、防衛大臣、答えようないと思います。年末に向けてガイドラインの作業がもう始まっていると思います。これは事務方として事前から始めるのは当然だと私は思っております。そのときに、集団的自衛権の解釈について日本国内で議論になっている、法律も出るかもしれないなどということが補佐官から出る。
これ、ガイドラインの見直しについて、何を前提にガイドラインの見直しをすることになるのか。まさか防衛省の事務方はこの中で集団的自衛権の解釈変わるかもしれませんからそのことを前提に議論しようとは言えないと思いますが、しかし一方で、年末までに法律が間に合うのかどうかも知らないし、法律が出てくるかどうかも分からないと。
これ防衛大臣としては、今ガイドライン作成の事務方について、準備をしている事務方についてはどういう指示を出されているのかということと、今後どういうおつもりでいるのかということについてお答えいただけますか。

○国務大臣(小野寺五典君) 委員御指摘の日米の防衛協力のガイドラインでありますが、これは、昨年十月の日米2プラス2において、現行のガイドラインの見直し作業を開始し、本年末までにこの作業を完了させることが合意をされ、現在、日米間で検討を進めております。
私どもとしましては、安保法制懇の議論というのは、それはどのような議論をされているかというのは情報としては承知をしておりますが、私どもとして現在対応しているのは、あくまでも現在の政府の解釈においての、対応においてのガイドラインの協議ということになります。

○福山哲郎君 まず、明快にしていただいたことについては感謝を申し上げますし、今後、対応をどうしていくか、我々としても注視をしていきたいと思います。
先ほど小松長官が言われました、頭の体操について要請があれば出しますとおっしゃられたことについては、これは実行していただけるわけですね。

○政府特別補佐人(小松一郎君) 委員長の御指示がございましたら、そのとおりにしたいと思います。

○福山哲郎君 これ、今、出しますとおっしゃった、委員長の指示があればやりますとおっしゃったことも実は大問題なんです。政府は安保法制懇の議論を待ってと言っているのに、政府の一部局が事前の準備について表に出しますと。これ、実は本当、こういう発言が許されるのかどうかすら私は分からなくて、これはもう政府内不一致で、本当なら委員会止めて、ちゃんと持ってこい、統一見解を持ってこいと言いたいところでございますが、まあ次へ行きます、重要なことがありますので。
ちょっと、もう短くなりましたから、外務大臣、簡潔にお答えください。それから、聞きたかったことをちょっとはしょります。
ウクライナ情勢です。日本政府は、現状、制裁を検討していますか、具体的に。

○国務大臣(岸田文雄君) ウクライナ情勢につきましては、深刻な憂慮、懸念を持って状況の推移を見守っております。そして、G7でこの対応につきましてはすり合わせを行い、共同声明を発出する、こういった対応で臨んでおります。
そして、御質問の制裁につきましては、ウクライナの現地の情勢、そしてG7を始めとする関係各国の動き、これを注視しながら今後適切に対応していきたいと考えております。

○福山哲郎君 ありがとうございます。
これは、時期の問題重要ですし、タイミングの問題が重要だと思いますし、今のところ日本は制裁については公式なコメントはないですが、このことについて適切に対応いただきたいと思います。検討については、是非、やるやらないは別にして、効果的な制裁が可能なような、いろんなことをやっていただきたいと思います。私はこのことに対して、事前の準備について全く否定はしません。
防衛大臣にお伺いします。
今月に予定されたロシア軍のゲラシモフ参謀総長の訪日について報道されていますが、私伺っておりませんので、その結果についてお答えいただけますか。

○国務大臣(小野寺五典君) 日ロの防衛当局間において交流を行うという中で、昨年六月、日本の岩崎統合幕僚長がロシアを訪問しております。それを受けまして、かねてよりロシア参謀総長、ゲラシモフ参謀総長の訪日について調整しているところでありますが、現時点で具体的な時期がいつになるかということはまだ調整中ということであります。

○福山哲郎君 ということは、延期が決まっているわけではないんですか。

○国務大臣(小野寺五典君) 従前から日程については調整中ということでありますので、決まったわけではありませんので、現在も調整中ということであります。

○福山哲郎君 元々、内々決まっていた話は調整中だったということにしているわけですね。
そうしたら、外務大臣、G8プロセスは今どういう状況になっていますか。

○国務大臣(岸田文雄君) G8プロセスにつきましては、三月三日の日にG7で共同声明を発出しておりまして、その中において、G8の準備会合につきましては当分の間見合わせるという内容を明記しております。我が国もその方針で臨んでおります。

○福山哲郎君 三月の十九日から東京で開催される予定だった日露投資フォーラムはどういった状況でございますか、外務大臣。

○国務大臣(岸田文雄君) 我が国は、今御紹介させていただいたG7の共同声明等を通じまして、関係各国と連携を続けております。三月三日のG7共同声明の中においても、このロシアの行動については国連憲章に反する、こうした文言を明記しておりますし、三月十二日のG7共同声明におきましても、クリミア半島の住民投票につきましては、これはウクライナの憲法に反する、法的効力を持たない、こういった考え方を明記しております。
こういった連携はしっかりと確認をしているところですが、関係各国の動きを見ておりますと、経済交流等につきましては、各国とも従来の予定を変更するという動きは見せていないようであります。
御指摘のこのフォーラムにつきましても、経済交流というものでありますので、現在のところ、三月十九日からのフォーラムについては予定の変更はありませんが、ただ、ウクライナにおきましては三月十六日に住民投票等が行われます。その後の事態も流動的だと考えております。この辺の事態もしっかり見ながら、今後の対応を考えていきたいと思っております。

○福山哲郎君 まだEUは具体的な制裁措置を執行していないというふうに私も承っておりますが、EUの制裁措置の第一段階の中には、貿易・投資関係強化に向けた交渉の停止というのがあるというふうに承っております。
今の大臣の答弁は、昨日まで外務省に確認をした投資フォーラムは予定どおりやるのに比べれば随分トーンが変化をしたというふうに私は受け止めさせていただいて、いわゆるこの三月十九日の投資フォーラムについては、住民投票の結果もあり得るので、このことについては多少流動的に考えている、適切に対応したいということで少し大臣の答弁が変化したというふうに受け止めてよろしいですか。

○国務大臣(岸田文雄君) まず、三月十九日のこのフォーラム開催については、予定は全く変化はありません。しかしながら、このウクライナ情勢自体が流動的でありますので、こうした流動的な事態については引き続き注視をしていかなければならない、こんなふうに考えております。

○福山哲郎君 これ事実関係の確認です。これロシアから、経済関係ですけれども、閣僚も出席の予定でしたっけ。

○国務大臣(岸田文雄君) 閣僚の訪日も予定されていると承知をしております。

○福山哲郎君 先ほど大臣が言われましたように、G7の声明においては、クリミアの住民投票については違法性があるというふうに表明をされていますし、十二日、オバマ大統領とウクライナの首相の会談の中では、やはりこのことについては、オバマ大統領から完全にこの住民投票については拒否という発言が出ています。EUもこの住民投票については受け入れられないというような発言が相次いでいます。十六日以降、住民投票の結果を受けて、逆に言うと国際社会はかなり変化をしてくる可能性もありますので、その最中に十九日からロシアに経済的な問題について交流促進をしようというのは、逆に言うと誤ったメッセージをアメリカやヨーロッパ等に与える可能性があります。
私は、北方領土の問題がありますから、それから安倍総理とプーチン大統領の関係も含めて、これまで御努力いただいてきたことも含めて難しい状況だというのは理解をしておりますが、事主権と領土の問題でございます。特に尖閣を、今、中国の公船のいろんな領海侵犯も含めて向き合っている状況の中で、この問題について日本が特にアメリカときちっと対応を足並みそろえないと、私は付け込まれる可能性もあると考えておりまして、逆にそのことについては外務大臣、御英断をもってタイミングを逸しないように御検討いただきたいというふうに、私自身は、実はこれは問題意識と外務大臣に御期待をしているんですが、いかがでしょうか。

○国務大臣(岸田文雄君) まず、今回のウクライナの事態につきましては、我が国としましては、事態が平和裏に収拾されるべく、あらゆる当事者に自制と責任ある行動を求めていかなければならないと思っています。そして、その際に、国際法を始めとする法が遵守され、そしてウクライナの主権あるいは領土の一体性、これがしっかり尊重されなければいけない、こういった考え方、既に外務大臣談話等で発出しておりますが、こういった考え方に基づいて、先ほど御紹介させていただいた二つのG7共同声明にも参画をし、そして、この問題に対する考え方をG7各国とともに明らかにさせていただいているところであります。
この問題、このウクライナの情勢については、深刻な憂慮、懸念を持ってしっかり対応していかなければいけない、これは当然のことだと思っています。
ただ、この問題についての各国の対応、現実問題、ヨーロッパ各国においては閣僚の交流あるいは経済交流等は現実にその後も行われていますし、今後も予定があると承知をしております。こうした経済における動き等も我が国はしっかりと見ながら、国際社会としっかり連携をしていきたいと考えております。
いずれにしましても、ウクライナ情勢、今後とも流動的だと考えております。事態の推移につきましてはしっかりと注目していかなければならないと考えます。

○福山哲郎君 小松長官に時間を大分取られたので、本当は聞きたいことたくさんあったんですけど、一個だけ確認しておきます。
自民党の石破幹事長が記者会見で、ウクライナにおける自国民保護ということなのであって、それは日本流に言えば邦人救出という話ですから、仮に動乱、騒乱状態によって自国の国民が危難に遭遇するようなことであれば、それを救出するためというのは武力の行使とか武力介入という言葉とは少しニュアンスを異にするのではないだろうかなと言って、クリミアにいるロシアの、ある種今の状況を正当化したような発言をされています。
ただし、私は、クリミアにいる人はロシア系住民かもしれませんが、外務省に私が確認したところによると、これはれっきとしたウクライナ国籍を持っているという発言を外務省からいただきました。ウクライナ国籍を持っている住民ということは、ロシア系かもしれませんが、主権と領土の観点からいえば、これは自国民保護という石破幹事長の解釈、石破幹事長の認識は私は間違っていると思いますが、外務大臣、どのようにお考えですか。

○国務大臣(岸田文雄君) この石破幹事長の発言そのものについては、私も今確認をしておりませんので具体的に申し上げることは控えますが、ただ、政府の考え方を改めて申し上げますならば、ウクライナ、このクリミアにおける住民投票がこれから行われようとしていますが、これはウクライナの憲法に沿うものではありませんし法的拘束力はないという考え方、これはG7そろって明らかにしているところであります。三月十一日に、私もロシア・ラブロフ外相と一時間にわたりまして電話会談を行いましたが、その際にも、クリミアにおけるこの住民投票につきましては懸念を表明しましたし、力による現状変更は我々は認めることができない、これは明言させていただきました。
そして、今御指摘のように、このクリミア自治共和国に居住するロシア系の住民の多くは、これまでウクライナ国籍を有していたというふうに私も認識をしております。よって、このロシアの主張する自国民保護という理由については十分な根拠はないと考えております。是非、国際法につきましては厳格に解釈すべきであると考えております。

○福山哲郎君 これ今明確に、自国民保護というのは政府の解釈と違うということを大臣言っていただいたので、それはもう勇気ある御発言だと思います。
ただ、政府・与党の幹事長がこのような発言をするということも、これ米欧に対して誤解を与える可能性がある、間違ったメッセージを与える可能性があると私は思っておりまして、この内容について承知をしていないわけはないと思いますが、それは別としても、そこについては何らかの形で政府・与党内でしっかり調整していただいて、幹事長のこの発言は取り消してもらわないと、どんどん自民党と政府の認識のそごが明らかになるというふうに思っております。
私も、この問題、非常にセンシティブな問題だと思っておりますから、いたずらに批判をしようという気もありませんし、難しいということは承知の上で、外務大臣の今後の本当に御健闘をお祈りして、残念ながらできる質問がほとんどできませんでしたが、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。


03/13

2014

参議院外交防衛委員会で質問


参議院外交防衛委員会が開かれ、前回聴取した所信に対する質疑を行いました。
福山も質問に立ち、集団的自衛権、ウクライナ情勢について、関係大臣や内閣法制局長官を質しました。


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