03/07
2014
第186国会 参議院 予算委員会 2014年3月7日
○福山哲郎君 民主党・新緑風会の福山哲郎でございます。
各大臣におかれましては、連日の審議御苦労さまでございます。少しの時間お付き合いをいただきたいと思います。
また、北川理事始め、我が党の大塚理事を始め、今日の私の審議に対していろいろ格段の御配慮をいただきましたことを感謝申し上げます。ありがとうございます。
まず、特定秘密保護法案についてお伺いをしたいと思います。
特定秘密保護法案は、強行採決でいろいろやられたことはもう去年の話でございますが、今年に情報保全諮問会議というのが設置をされています。
森大臣、この情報保全諮問会議というのは何に基づいて設置されているのでしょうか。
○国務大臣(森まさこ君) お答えいたします。
特定秘密保護法第十八条二項では、特定秘密の指定等に関し統一的な運用を図るための基準について、内閣総理大臣が有識者の意見を聴いた上でその案を作成するとされておりますが、この有識者の意見を内閣総理大臣が聴く場として内閣総理大臣決裁により情報保全諮問会議を開催することとしております。
○福山哲郎君 御案内のように、特定秘密保護法案の十八条二項では、合議体というものは何も規定がございません。御案内のように、「者」というふうに書いてあります。
法制局長官、この「者」というのは、法律の解釈上はどういうふうに考えればよろしいでしょうか。
○政府特別補佐人(小松一郎君) 法令に「者」という言葉が使われている場合、それがどういうものを含むのかということにつきましては、個人であるか、法人も含むのかといったことも含めまして、個別の法令により解釈されるものだと思います。
○福山哲郎君 個別の法令だということでございますが、なぜ会議体となったのか、お答えいただけますか。
○国務大臣(森まさこ君) 先ほども御答弁申し上げましたとおり、有識者の意見を内閣総理大臣が聴く場として内閣総理大臣決裁により情報保全諮問会議を開催することといたしました。
合議体とした根拠でございますけど、今御説明したとおり、内閣総理大臣決裁により定められました。その理由は、各委員への説明の便宜が図られることや、有識者間で意見交換を行い個々人の認識を深める上で有益というふうに考えたところからでございます。
○福山哲郎君 なぜ閣議決定にされなかったんですか。
○国務大臣(森まさこ君) これは、条文上は有識者の意見を諮るというふうに記載しておりまして、内閣総理大臣がその有識者の意見を聴いた上で様々なことの参考にするというふうになっておりますので、その有識者の意見を聴く場として定めるということで、閣議決定ではなく内閣総理大臣決裁により定めたものでございます。(発言する者あり)
○委員長(山崎力君) それじゃ、もう一度、質問してください。
○福山哲郎君 だから、理由を聞いているんですが、なぜ決裁にしたんですか。
○国務大臣(森まさこ君) 有識者の意見を聴く場としてふさわしいものとして決裁で定めたものでありまして、法令上、閣議決定で定めるというふうにはしておりません。また、他にも前例があるということで、そのようにしております。
○福山哲郎君 お答えいただいていないんですけど、今日は僕は、あの強行決裁による法案ですから、その後の動きについて全然私は分かっておりません。なぜなら、国会での審議がなかったからです。それで諮問会議がスタートしたので、一個一個確認をさせていただいておりますので、そういう位置付けということでお答えをいただきたいんですけど、じゃ、情報保全諮問会議の意思決定はどうやって、何に定められているんでしょうかね。
○国務大臣(森まさこ君) 御質問の趣旨が、情報保全会議の意思決定が何に定められているかということですか。
情報保全会議は、その場で合議体としての意思を決定する場ではございませんで、先ほど御説明申し上げましたとおり、内閣総理大臣が有識者の意見を聴く場として設けてあるものでございます。
○福山哲郎君 ということは、意思決定の方は何も定められていないということでよろしいんですね。
○国務大臣(森まさこ君) お答えいたします。
情報保全諮問会議として、合議体として最終的に何か意思を決定するということは定められておりません。
○福山哲郎君 そうすると、ある情報保全諮問会議の委員は、個人として意見を出すことを確認したというふうに御自身のブログで書かれているんですけど、この会議は、みんなが好き勝手総理に言って、言いっ放しの会議ということですか。
○国務大臣(森まさこ君) 好き勝手に意見を言って言いっ放しの会議ですかというような御質問でございますけれど、先ほど御説明したとおり、法律では、有識者の意見を内閣総理大臣が聴いて、内閣総理大臣の方で様々な決定をしてまいります。そのための参考となる意見を聴く場であります。
ただ、その中で、皆さんの意見を聴いている上で他者の意見を聴いて参考にするということもございましょうし、他の委員が求めた資料をほかの委員も参考にすることができるということで、有意義な意見交換ができるというふうに思っております。
○福山哲郎君 意見交換と参考にする場なんですね。なるほど。
この情報保全諮問会議の個々の委員は法律上の守秘義務が掛かっていますか。
○国務大臣(森まさこ君) 情報保全諮問会議の委員には、国家公務員法上の守秘義務は掛かっておりません。
○委員長(山崎力君) ちょっと聞き取れなかった、最後のところだけ。
○国務大臣(森まさこ君) 守秘義務は掛かっておりません。よろしいですか。
○福山哲郎君 承諾書を取っておられるはずですが、承諾書、要は会議で知り得た秘密について漏らさないという承諾書を取っておられるはずですが、これには法的拘束力やペナルティーは掛かっていますか。
○国務大臣(森まさこ君) 承諾書というものをいただいておりますが、これは、有識者会議、情報保全諮問会議に参加するということと併せて、この本会議の中の知り得た秘密については漏らさないということで承諾書をいただいております。これについては罰則等は掛かっておりません。
○福山哲郎君 特定秘密を漏らした公務員に厳罰に処す法律の基準を作る会の割には何も守秘義務は掛かっていないと、参考にするだけという状況です。
じゃ、この情報保全諮問会議の委員に対して、特定秘密にすべきものの例、特定秘密にしないものの例というのは具体的に提示されるんですね。
○国務大臣(森まさこ君) 御質問の趣旨が特定秘密の内容そのものということでありましたら、そのような要請はまだございません。この情報保全諮問会議において運用基準等を定めていくわけでございますが、その中で必要な資料を提出することになっていこうかというふうに思います。
○福山哲郎君 いや、だから、その資料の中には個別の、特定秘密にすべきもの若しくは特定秘密には適合しないものの例示はあるんですかとお伺いしています。
○国務大臣(森まさこ君) 例示はあります。御要望があればそれは例示はしていこうと思いますが、今答弁したとおり、例示をするときに特定秘密の中まで全てお見せをして例示をするかといった、そのような今御要望はございませんし、もしそのような御要望があったら、そこはまた必要な範囲ということで検討をさせていただくということになると思います。
○福山哲郎君 率直な疑問なんですが、今、要望があれば例を出すと言われたので、これ、委員の方は多分要望出ると思いますが、そうなると、これ、基準作るんですよね。基準作る委員が具体的に例示だけ、要望したものだけ出してきて中身は出さないと。例示したものをたまたま一個、たまたま誰かが出したものを出してきて、どうやってそれに対して特定秘密保護法案に対する運用基準が作れるんですか。
○国務大臣(森まさこ君) 今、福山委員が委員からそのような要望が出ると思いますというふうにおっしゃいましたけれども、今の時点では出ていません。また、その特定秘密の内容そのものまで全部見るか、見ないと運用基準が作れないかとなると、またそこは別の話であろうかというふうに思います。
例えば、潜水艦のプロペラの内容が特定秘密になっていたというときに、そのプロペラの図面まで全て見ないと運用基準が作れないのかというとそうではないというふうに思いますので、特定秘密の中身を全て見るという話と運用基準の細目を作っていくのに必要な範囲というところは、おのずとやっぱり違ってくるんだろうというふうに思っております。
○福山哲郎君 いや、だから、僕は今の話が一番危ないと思っているんですよ。あなたは今、プロペラのものは一応言うけれども設計図は要らないと、都合のいい例だけ提示したわけですよ。
いいですか。審査をされる方、運用基準を作られる方は、何が特定秘密に当たるのか、何が当たらないのかをちゃんとやらなければ、きちっと、そうじゃなきゃ基準なんか作れないじゃないですか。そうやって森大臣の都合のいい例示だけぽっと出して、これでいいですねと言って運用基準作るんだったら、これは本当に運用基準分からなくなると僕は思っているんですよ。
それで、じゃ、例示をするんですかといえば、要望があれば例示をすると。じゃ、その要望で、それぞれの省庁の特定秘密と特定秘密でない事例を挙げてくださいという要望が出たら、それぞれの省庁できちっと出すんですね。
○国務大臣(森まさこ君) 福山委員が先ほどおっしゃいました、要望があれば出すんですかということに対して私御答弁申し上げたのは、要望がありましたら必要な範囲を検討をさせていただきますというふうに言いましたので、それは全てお見せするということにはつながらないと、イコールではないというふうに私は考えております。
それと、二つ目に福山委員がおっしゃった、都合のいい例示だけを出すのかといったら、決してそうではございません。細目基準を作るのに御要望があったものの必要なものを、その例示を見せていきます。その一つ一つをお見せをするときに、じゃ、その内容まで全て見せる必要があるのかどうかというのは、それは違うであろうというふうに思っているわけでございます。
○福山哲郎君 今、細目基準を作る際にとおっしゃいましたが、先ほどは総理が意見を聴く会だと言われました。今、細目基準を作る、先ほどは運用基準を作る会と発言をされました。どっちなんですか。
○国務大臣(森まさこ君) 運用基準、細目基準とも同じ意味でございます。つまり、今定めている別表の詳しい運用基準を定めるということで前回の国会答弁でも申し上げておりますので、そういった細目、運用基準というものを検討していく、その御意見を伺う会議ということで、先ほど申し上げたとおり、決定はもちろん政府の方で、内閣総理大臣がいたしますので、そこは誤解のないように今申し上げておきますけれども、それを作っていく上で意見を伺うのがこの諮問会議でございます。(発言する者あり)
○委員長(山崎力君) ちょっと速記止めてください。
〔速記中止〕
○委員長(山崎力君) 速記を起こしてください。
○福山哲郎君 大臣、はっきり定義をしてください。細目基準や運用基準を作る会なのか、そうではないのか。
○国務大臣(森まさこ君) お答えします。
細目や運用基準を作成するに当たって意見を聴く会でございます。
○福山哲郎君 さっきの答弁撤回してください。
○国務大臣(森まさこ君) 情報保全諮問会議は、細目や運用基準について内閣総理大臣が定めていくために有識者の意見を聴く会でございます。
○福山哲郎君 意見を聴くに当たって、何が特定秘密にするべきかしないべきかという例示もないのに意見を言うんですか、一般論として。
○国務大臣(森まさこ君) 何が特定秘密とするのか、しないのかというような例示はしてまいります。そのときに、特定秘密の内容そのものを全てお見せするかどうかは別の話ですというふうに申し上げております。
○福山哲郎君 だから都合よく恣意的に出されるんじゃないかと申し上げているんですけど、どうですか。
○国務大臣(森まさこ君) 都合よく恣意的に出すということはありません。委員の御要望に応じて、しっかりとそれは提供してまいります。現在、委員の方から特定秘密の内容そのものを諮問会議に出してくれというような御要望はございません。
○福山哲郎君 今まで情報諮問会議、何回開催されましたか。
○国務大臣(森まさこ君) 情報保全諮問会議は一回開催されました。
○福山哲郎君 要望があるもないも、一回しかやっていないじゃないですか。一回しかやっていないじゃないですか。一回は検討事項の説明なんですよ。検討事項の説明なんです。僕、議事録全部読んでいますから。どうやって一回で要望聞けるんですか。どうぞ。
○国務大臣(森まさこ君) 情報保全諮問会議は、先ほど申し上げましたように、有識者の御意見を伺う場としておりまして、第一回が開催された後、個別にそれぞれの委員から御意見又は質問事項を伺っているところでございます。
○福山哲郎君 そうなんですよ。現段階は個別に聞いているんですよ。個別に聞いているんですが、ある委員は非常に大部にわたった本質的な詳細な質問を出されています。
こういったことに関して、全てのものに対して回答されるんですね。
○国務大臣(森まさこ君) たくさんの御質問が寄せられておりますが、国会答弁等で御説明したものと重複するものも多くございます。今、福山委員の御質問にお答えをいたしますと、寄せられた御質問に対しては回答を行ったということになっております。
○福山哲郎君 全て回答するんですかと聞いています。昨日私が聞いたときには回答していませんと答えたんです。だから、今日の半日で回答したんでしょうけれども、全て回答したんですか。
○国務大臣(森まさこ君) 委員の方がどのようにおっしゃったかは私把握しておりませんけれども、いただいた質問には丁寧に回答をしております。(発言する者あり)
○委員長(山崎力君) 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○委員長(山崎力君) 速記を起こしてください。
内閣官房北村博文内閣審議官。
○政府参考人(北村博文君) 事務的作業に関わりますことですからお答えいたしますが、情報保全諮問会議の委員のそれぞれの方々から、質問があれば出していただきたいということで受付をしているところでございます。
この質問につきましては、何回かに締切りを分けて受付をいたしておりまして、このうち第一回目の回答につきましては、先般回答をしたところでございます。
なお、委員お尋ねのブログにおいて大量の質問をしたという方の質問については、今の時点ではまだ御回答を申し上げておりません。(発言する者あり)
○委員長(山崎力君) じゃ、速記をちょっと止めてください。
〔速記中止〕
○委員長(山崎力君) じゃ、速記を起こしてください。
それでは、森大臣、再答弁ではっきりさせてください。
○国務大臣(森まさこ君) 質問については締切りをつくらせていただいておりまして、第一次締切りは二月二十四日、第二次締切りは三月十日でございます。二月二十四日までにお寄せいただいた質問については御回答を送付をいたしました。
○福山哲郎君 さっきと答え違うじゃないですか。さっき丁寧にお答えしましたって言ったじゃないですか。(発言する者あり)いや、最初に大部って言ったでしょう。
いや、じゃ、大部に質問をされてブログで公開されている方の質問については今後答えられるんですね、全てに、全ての質問に対して。
○国務大臣(森まさこ君) ブログで言われている委員というのがどなたのことか承知をいたしておりませんが、いただいた質問については丁寧にお答えをしております。
第一次締切り二月二十四日までにお寄せいただいた質問については回答を送付いたしました。第二次締切りは三月十日でございます。今後の質問についても丁寧にお答えをしてまいります。
○福山哲郎君 この質問、それぞれの委員から出た質問、回答については国民に開示をいただけるんですよね。
○政府参考人(北村博文君) 個別の委員からお尋ねいただきました事柄につきましては、委員の皆様方に知っていただく必要がございますので、まとめた形で全ての委員の方々に回答を差し上げているところでございます。
他方、その個別の委員とのやり取りにつきまして国民の皆様方に公表、公開するかという点につきましては、今のところ予定はいたしておりません。
○福山哲郎君 その質問が、どういう質問が出たかとかどういう回答が出たかは国民には知らせられるんですか。
○政府参考人(北村博文君) お答えいたします。
委員の個別のやり取りにつきましては公開することは予定しておりませんけれども、国民の皆様方に私どもと委員との間でどのような意見のやり取りがあったか、あるいは意見がどのような形で出されたかということについて、何らかの形で国民の皆様方にお分かりいただけるための方策については今後検討してまいりたいというふうに考えております。
○福山哲郎君 なぜ出せないんですか。
○委員長(山崎力君) もう一度ちょっと言ってみてください。
○福山哲郎君 何で委員の質問と回答については出せないんですか。
○国務大臣(森まさこ君) 個別の委員とのやり取りを公開することは考えておりません。それは、委員との率直な意見交換を確保する必要があるからというふうに考えておりますが、会議のプロセスの透明性を確保することは重要であると考えておりますので、私は、委員からどのような意見が出されたかというものをお示しする方法については今後検討してまいりたいと思います。
○福山哲郎君 いいですか。今、個別の委員と事務局で質問とやり取りをやっているんですよ、一人一人。そこで意見闘わされて恐らくいろいろやっているんでしょう。こっちではこっち側でやっているんですよ。それに関してはどの程度開示されるか全く分からないし、どんな質問出て、それに対してどう回答されたかも分からないんですよ。その状況で、ここでは意思決定しないと言われているんですよ。なおかつ具体的な特定秘密の例示もないんですよ。一体これがどう透明化しているプロセスなんですか。全部ブラックボックスじゃないですか。この中でどうやって運用基準が議論として積み重なっていくんですか。
○国務大臣(森まさこ君) 個別の質問について公開はしておりませんが、各委員の質問とその回答については共有できるよう、各委員に全ての質問と回答をまとめて送っております。
○福山哲郎君 じゃ、それぞれの委員から出た質問と回答は各委員が全部共有しているんですね。それも実は、私、昨日聞いたら、共有できるのかと聞いたら、いや分かりませんと言っていたんですけれども、今日は共有できると言っていただいているのでそれはいいんですが、共有できるんですね。確認しますよ、共有できますね。
○政府参考人(北村博文君) お答えをいたします。
先ほども御答弁申し上げましたが、各委員から出されました質問につきましては、全ての委員に質問とその回答をお示ししているところでございますし、今後意見が出されれば、それにつきましても同様に対応してまいりたいと考えてございます。
○福山哲郎君 そうすると、その全ての委員のやり取りについて委員同士は開示されていると。さっき守秘義務違反はないと言われた。そしたら、そのことをある方が、ある委員が国民にこれは知らせるべきだと開示しても、それは守秘義務違反にならないということですね。
○政府参考人(北村博文君) 罰則はございませんので守秘義務違反という形にはなりませんが、先ほど大臣からも御説明申し上げましたように、各委員の方々には承諾書もお出しいただいておりますので、適切な対応がなされるものというふうに理解いたしております。
○福山哲郎君 恐らくそれは各委員の、国民がこの情報について知った方がいいかどうかということの比較考量の中で判断される場合には罰則規定掛からないということですね。そこは確認いたしました。
それからもう一点、実はこの間、一昨日、我が党の大野議員の質問に森大臣は、重要な例の第三者機関ですけれども、第三者機関が政令なのか立法なのかについて、四党合意に記載されてありますように、「政令(または立法措置が必要な場合には立法)により設置する。」とお答えになりましたが、それで間違いございませんね。
○国務大臣(森まさこ君) はい、そのとおりです。
○福山哲郎君 今日、委員の方にお示しをしたペーパー、見てください。これは諮問会議の第一回の会議で示されたペーパーですが、三項目めにある第三者機関、これが実は第三者機関の設置の問題です。左側、見てください。仮称独立公文書管理監、審議官級、「○政令により、施行までに内閣府に設置。」って、もう設置、施行に、政令になっているじゃないですか。これ、どういうことですか。
もう一点。今後の検討事項ということに関して言うと、第三者機関はその他になっています。これ、立法措置の、立法の検討項目なんか一個も書かれていません。あなたは国会では、政令若しくは必要な場合には立法だとおととい明示されました。しかし、一回目の一月に配付されたもうこれに政令って書いてあるじゃないですか。誰がこれ政令って決めたんですか。
○国務大臣(森まさこ君) 四党合意には、政令又は立法措置が必要な場合には立法によるというふうに書かれております。政府としては、特定秘密保護法附則第九条に規定する新たな機関として、総理が御答弁申し上げましたとおり、本法の施行までに、内閣府に審議官級の独立公文書管理監(仮称)と、その下に二十人規模の情報保全監察室(仮称)を設置し、業務を開始することになっております。さらに、その上で、政令又は立法措置が必要な場合には立法により、できる限り早期に情報保全監察室(仮称)を局へ格上げすることをさきの臨時国会においてもお約束をしたところでございます。
この場合において、まず最初の、審議官級のポストである独立公文書管理監(仮称)を最初に設置する場合には内閣府本府組織令の改正によることが見込まれますので、公表資料に「(審議官級)」とお書きして、その下に「政令により、」というふうにお書きしたということになります。(発言する者あり)
○委員長(山崎力君) ちょっと速記止めてください。
〔速記中止〕
○委員長(山崎力君) じゃ、速記を起こしてください。
森国務大臣。
○国務大臣(森まさこ君) 第一回情報保全諮問会議で配付された資料の今後の検討事項についての御質問でございますけれども、二番に政令関係と書いてありまして、三番にその他というふうに書いてあります。
二番の政令関係というのは、今の審議官についての内閣府本府組織令の改正又はその他の本法の施行令等を意味しております。審議官級のポストがその後局に格上げをされる、又はこの組織についての内容が検討された結果、立法措置が必要な場合には立法になるわけでございますので、そういったことについて三番のその他で議論することになっております。
○福山哲郎君 いやいや、それね、じゃこれ全部政令でこの独立公文書管理監が設置されて、次のこの右側の情報保全監察室は、いつ立法化されるのか政令化されるのか決まるんですか。どこが検討するんですか。いつどこが検討するか教えてください。森大臣、答えてください。
○国務大臣(森まさこ君) いつというお尋ねでございますが、四党合意に、これは局に格上げをするかどうかをその後検討をしていくというふうになっておりますので、まだ確実な時期は定まっておりませんけれども、施行のときにはとにかくこの審議官級のポストをつくると、そこまで決まっておりまして、その後検討を重ねていくというふうに四党合意によっても決められております。
○政府参考人(北村博文君) お尋ねの情報保全監察室、こちら仮称でございますけれども、その設置につきましては、法律の施行までに内閣において手当てするということになってまいります。
○福山哲郎君 内閣においてというのは、どこですか。
○政府参考人(北村博文君) 政令により組織を設置する場合には、政令の閣議決定という形になると存じております。
○福山哲郎君 違うって。立法化するか政令にするかの検討するんでしょう。誰が政令にするときに閣議で決めるなんて、そんな当たり前のこと聞いているんだよ。
○政府参考人(北村博文君) 個別の検討の作業につきましては、内閣官房において検討してまいるところでございます。
○福山哲郎君 ちょっと待ってくださいよ。これ、だって、今後の検討事項の中に第三者機関の設置・運営ってあるんですよ。これ、諮問会議に諮問したんじゃないんですか、これ、配ったの。大臣。
○国務大臣(森まさこ君) 諮問会議は、先ほど御説明しましたとおり意思決定機関ではございませんで、御意見を伺う場となっておりまして、その三番についても御意見を伺っていくというふうになっております。
○福山哲郎君 じゃ、どこで決めるんですか、大臣。
○国務大臣(森まさこ君) 内閣総理大臣が決定いたします。
○福山哲郎君 これ、去年の審議に戻っちゃうので嫌なんですけど、内閣総理大臣を始めとした各大臣が秘密を指定するのが、それは恣意的になるかもしれないから第三者機関が要るって必要になって、じゃ、第三者機関をどうつくるか、立法措置が要るんじゃないかと言ったら、立法か政令だと言って、それを誰が検討するんだと言ったら、今全然答えが出てこなくて、結果として誰が決めるかというと内閣総理大臣って、何言っているんですか。元に戻るじゃないですか。(発言する者あり)いやいや、経産大臣には聞いていない。森大臣、答えてください。
○国務大臣(森まさこ君) 今の御質問の趣旨は、特定秘密の指定を各省庁が指定をしていく、そこのチェックをする、恣意的なことが行われないようにチェックをする第三者機関を決める手続等を、またその最終的な姿を誰が決めるのかという御質問であると思いますけれども、答弁申し上げたとおり、内閣総理大臣です。
ちなみに、こういったものをチェックする機関って、諸外国ではアメリカの例がございますけれども、こちらも大統領が大統領令によって決めております。
○福山哲郎君 それなら、総理大臣が第三者機関を設置するんだったら設置するで、そう考えるんだったらそれでいいですけれども、それに対する法律を作ってください、中身も含めて。どういう権限でどういう形でチェックするのかの法律を作っていただければ、それは閣法として出てきて責任を持って議論するんだったら国会でもう一回やりましょう。
それが今、政令か立法かどっちが決めるんだと言って、内閣総理大臣が決めると言われちゃったら、で、誰が検討するんだと言ったら、この第三者機関もふにゃふにゃ、意思決定機関でもない、意見を聴くだけ、事務局は個別に聴いている、情報は開示するのかどうかも分からない。
どうやってチェックするんですか、これ国会で。大臣、お答えください。
○国務大臣(森まさこ君) 第三者機関の委員につきましては、個別に今御意見を伺っておりまして、その出た質問それから回答の内容については、先ほど私から御答弁しましたとおり、透明性を図れるような方法を検討してまいります。
大統領が決めているアメリカの例によりますと、法律ではなく大統領令で定めているわけでございまして、ここは有識者の御意見を伺った上で内閣総理大臣が適切に判断していくものというふうに思います。
○福山哲郎君 これ、時間がないのでもうあれですけど、これからも続きやりますけど、最初の話でいえば、諮問会議は意見を言うだけ、誰に言っているかといえば事務局、誰が基準を作るのかと言ったら分からない。これ、事務局、結局作ることになるんですよ。
そして、さっきの左側にあった公文書管理監も審議官級、これも結局官僚ですよ。上にある保全監視委員会も、今準備委員会ができていて、これ事務次官でできていますよ。全部官僚組織ですよ。
官僚が指定することに対して、恣意的になるかもしれないという話が問題意識としてあって、去年あれだけ問題になったのに何にも反省していないじゃないですか。何も改善していないじゃないですか。これでどうやって国民に、不安を払拭する努力をすると総理が何度も言われていますけど、不安を払拭できるんですか。
もう一個聞きます。特定秘密保護法関連で予算幾ら付いていますか、大臣。
○国務大臣(森まさこ君) 国民の疑問を払拭するのにどうやってやるのかという御質問でございます。(発言する者あり)二つ、もう一個質問しますとおっしゃって、今二つ質問したんではないんですか。最初の質問……(発言する者あり)いいんですか、予算の方だけで。
では、予算についてお答えをいたしますけれども、特定秘密保護法の運用に密接に関わることが想定される省庁において、特定秘密保護法の施行に要する経費は、平成二十五年度補正予算、平成二十六年度本予算に特に計上されていないものと承知しております。
○福山哲郎君 国民に理解を求めるといっても、予算ゼロです。それは、役人の中で政令でやっていれば、それで省庁内の中身で収まるからです。まさに、役人のお手盛りになるんじゃないかという、もう既にその兆候が現れるどころか、結果として出てきているじゃないですか。予算ゼロですよ。
ここでこれ以上やると切りがないのでやめますが、国民の不安はこれでは払拭できないということを申し上げて、次に行かせていただきます。
ごめんなさい、小松長官、今日お越しいただきましてありがとうございました。
小松長官は、私、外務副大臣のときに御一緒に仕事もさせていただいて、私、大変尊敬をしております。そして、本当に能吏だと思います。今回、病を押して職務に当たられていることについても心から敬意を表したいと思います。
大変な投薬ということをしながらの国会審議で、本当に頭が下がる思いでいっぱいでございますが、若干嫌なことを申し上げれば、その思いは受け止めますが、私、昨日、長官が今日投薬だと聞いたときに、やっぱり質問するのをためらいました。本当にそうやって質問していいのかどうかと考えました。確かに病魔と闘いながら国会の審議に出てこられるのは立派だと思う。でも、今回の集団的自衛権の議論は、国民の命、生命にも関わってきます。小松長官のもちろん健康は重要ですが、それを国会の委員に気を遣わせながらとか、投薬だから審議に出てこられないということで審議に影響を与えるなら、私は、小松長官、よく存じ上げていることも含めて、是非しっかり療養していただきたい、そうお願いしたいと思います。
個人的な事情でこの国会の審議の中で、特に集団的自衛権のような重要なもので小松長官が無理に出てこられることについて私は非常に心配をしていますし、それが委員会の審議に影響することに対しても危惧をしています。こうやって質問をしていても、病魔と闘いながら出てこられている長官に本当にどの程度審議を求めていいのかというのも僕はちょっと今日は抵抗がありました。そのことについて少し、これは官房長官にもお願いですが、僕はどんな健康状態かは詳しくは存じ上げません。しかし、そのことについては、是非官邸も含めて、別に衆議院の審議は代理の方を立てられたわけですから、そのことについてはまず一言お願いを申し上げたいと思います。
それで、そうはいっても、来ていただいたので、質問をいたします。
小松長官は三月五日の予算委員会での答弁で、憲法九条に関する安倍内閣の憲法解釈は、現時点では従来からの政府見解のとおりであるということでございますと発言されました。このことについては間違いございませんね。
○政府特別補佐人(小松一郎君) お答えをいたします前に、大変有り難いお心遣いをいただきまして、心から感謝を申し上げます。
官房長官が記者会見で御発表になりましたとおり、私は、医師の判断で外来に切り替えて、一週間に一回これは化学療法が必要でございますけれども、それ以外は通常の勤務をして差し支えないという御判断をいただいてこの職務に復帰させていただいているわけでございます。もちろん、本日、委員の本来御予定されていた質疑時間に私の投薬の時間が掛かったものですから、あらかじめそういうことを例えば理事会の理事の方に申し上げていなかったというようなことは大変申し訳なく思っておりまして、心からおわび申し上げますが、それでこの質疑の時間帯が変わったということについても大変申し訳なく思っておりますが、委員のおっしゃったとおり、大変重要な問題でございますので、そこは御質問をいただきましたら最大限誠意を持ってお答えをさせていただきます。
それで、御質問でございますが、まず平成二十五年八月十三日、昨年の八月でございますけれども、辻元清美衆議院議員からの提出の質問主意書、これに対する答弁書、これは御案内のとおり閣議決定されたものでございますが、次のとおり答えております。
現時点で、集団的自衛権に関する政府の憲法解釈は従来どおりである。
他方、現在、「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(以下「懇談会」という。)において、我が国周辺の安全保障環境が一層厳しさを増す中、それにふさわしい対応を可能とするよう安全保障の法的基盤を再構築する必要があるとの認識の下、集団的自衛権の問題を含めた、憲法との関係の整理について検討が行われているところであり、政府としては、懇談会における議論を踏まえて対応を改めて検討していく。
以上でございます。
この御趣旨は、今閣議決定されているわけでございますが、これが安倍内閣の見解でございまして、この御趣旨は、その後、口頭の国会答弁においても総理も繰り返し答弁をしておられるところでございます。
○福山哲郎君 いや、だから、法制局長官が、憲法九条に関する安倍内閣の憲法解釈は、現時点では従来からの政府見解のとおりであるということでございますということは間違いないかと聞いているんです。余りお話しになり過ぎないでください。法制局長官としての立場でお答えください。
○政府特別補佐人(小松一郎君) 現時点ではそのとおりでございます。ただ、安保法制懇の検討の結果を待って検討をするということを政府の、内閣の見解として申し上げているわけでございます。
○福山哲郎君 平成九年二月二十八日衆議院予算委員会における大森法制局長官の答弁について、もう何も結構ですから、そのままお読み上げいただけますか。「ただ、」以降で結構です。
○政府特別補佐人(小松一郎君) そのまま読み上げさせていただきます。
私が法解釈の変更は困難であると申しましたのは、特に九条に関する政府の解釈と申しますのは、憲法の基本理念の一つである平和主義という国の基本的なあり方に係るものでありまして、長年の議論の積み重ねによって確定し、定着している考え方、解釈というものを、政策上の必要性によって変更するということは困難ではないかということを申し上げたわけでございます。
以上でございます。
○福山哲郎君 ありがとうございます。
続きまして、恐縮でございますが、昭和五十八年二月二十二日の角田禮次郎内閣法制局長官の答弁を、「仮に、」以降、もしよければお答えください。
○政府特別補佐人(小松一郎君) そのまま読み上げさせていただきます。
仮に、全く仮に、集団的自衛権の行使を憲法上認めたという考え方があり、認めたいという考え方があり、それを明確にしたいということであれば、憲法改正という手段を当然とらざるを得ないと思います。したがって、そういう手段をとらない限りできないということになると思います。
以上でございます。
○福山哲郎君 今の答弁が、現時点での政府の解釈のあれです、中身です。安倍政権は、今の現時点ではここは変わっておりません。
ところが、安倍総理は、集団的自衛権の行使が認められるという判断も政府が適切な形で新しい解釈を明らかにすることによって可能であり、憲法改正が必要だという指摘はこれは必ずしも当たらないと総理は言われていますが、法制局長官の立場では、今の段階ではこの安倍総理の答弁は、あれですよね、行き過ぎな答弁だとお認めいただけますよね。
○政府特別補佐人(小松一郎君) 内閣総理大臣の御答弁、これは口頭でなされたものでございますので、この真意と申しますか、その総理のお考えを私が勝手に解釈をするということはできないと思います。
その上で、御指摘の安倍総理の発言は、懇談会におきまして、そもそも憲法には個別的自衛権や集団的自衛権についての明文の規定はなく、集団的自衛権の行使が認められるという判断も政府が適切な形で新しい解釈を明らかにすることによって可能であり、憲法改正が必要だという指摘は当たらないという意見も表明されているということを御紹介されたものではないかと認識しております。
○福山哲郎君 総理の答弁を推察して内閣法制局長官には求めていません。法制局長官の立場としてお答えください。
ついでに、先ほどの角田長官のもう一度例示をしてお答えください。
○政府特別補佐人(小松一郎君) これは、内閣法制局長官としては、現在の内閣の憲法九条に関する解釈、これは従来の解釈どおりであると。しかし、その懇談会の報告書を見て検討をするとおっしゃっているわけでございまして、この総理の御方針として、懇談会の報告を受けて、受けて、その結論は出ておりませんけれどもそれを検討をするということをおっしゃっているわけでございますから、そのときに法制局としては法制局設置法に基づきまして適切な意見を申し上げる立場にあるということだと考えております。(発言する者あり)
○委員長(山崎力君) ちょっと速記を止めてください。
〔速記中止〕
○委員長(山崎力君) じゃ、速記を起こしてください。
○福山哲郎君 先ほどの答弁の前段の部分は長官の答弁として私も理解をしますが、後半の答弁は、法制局長官の答弁としては私は甚だ不適切だと思いますので、そこは撤回をいただけますでしょうか。
○政府特別補佐人(小松一郎君) 大変恐縮でございますが、後半の答弁で、委員が法制局長官の職責を逸脱しているのでこの部分は撤回をすべきではないかという部分をお示しいただければ大変幸いでございます。(発言する者あり)
○委員長(山崎力君) ちょっと速記止めて。
〔速記中止〕
○委員長(山崎力君) じゃ、速記を起こしてください。
○福山哲郎君 しようがないですから、もう一度質問します。
安倍総理が、集団的自衛権の行使が認められるという判断も政府が適切な形で新しい解釈を明らかにすることによって可能であり、憲法改正が必要だという指摘は、これは必ずしも当たらないと我々は考えているところでございますというのは、現時点の法制局長官の立場としては、その考え方とは異なるということでよろしいですね。
○政府特別補佐人(小松一郎君) 私の理解が不十分で大変失礼いたしました。
ただいまの質問に対しまして、総理のこの口頭の国会答弁でございますので、その真意ですね、どういうお考えに基づいて答弁をされたのかということについて私がそんたくをすることはまさに僣越だと思いますので、ここで差し控えます。
その上で……(発言する者あり)その上で、憲法九条の解釈についての安倍内閣の立場はどうかということにつきましては、昨年八月の政府答弁書でお答えしているとおりでございます。これは、内閣法制局長官として当然、閣議決定の内容を私が尊重しないというと、これは職務に反しますので、そのとおりお答えをさせていただきたいと思います。
○福山哲郎君 先ほど御答弁をいただいた角田長官の、全く仮に、集団的自衛権の行使を憲法上認めたいという考え方があり、ということであれば、憲法改正という手段を当然取らざるを得ないと思いますと、したがって、そういう手段を取らない限りできないということになりますというのが法制局長官の御答弁です。それは、現在の政府の解釈です。
小松長官が参議院の三月五日の予算委員会で、解釈を変更するとすると、その解釈を変更したのはどういうふうに変更したんだということが、まさに、きちっと議論のベースになるようなものにならなければ等々の議論をしています。
解釈を変更するとするとと仮定をした場合には、今の法制局の見解は憲法改正が必要だという見解なんです。あなたが変更するとするとと仮定をして、次が、例えば法律を出せばとか、国会に議論をしていただくというのは、あなたの個人的な意見であり、それは法制局長官としてはふさわしくないので、この答弁については、これも撤回していただけますか。
○政府特別補佐人(小松一郎君) 憲法九条の解釈につきまして、安倍内閣の立場はどういうことかということにつきまして、昨年、繰り返しませんけれども、八月の辻元清美衆議院議員に対する政府答弁書があるわけでございます。現時点では、従来の憲法解釈のとおりである、その上で、安保法制懇の報告書を待って改めて検討をすると、こういうのが内閣の決定なわけでございます。それを踏まえまして、内閣法制局は所掌事務に基づいて仕事をしなければなりません。その所掌事務の第三条に、この法律問題について内閣総理大臣、関係大臣等に対して意見を申し上げるというのが私の使命であるわけでございます。
したがいまして、内閣総理大臣がこの報告書をお受けになって、安全保障の法的基盤の再構築について見直しをする必要があるという御指示があれば、私どもは政策的な観点からではなく、純粋に法的な観点から、従来のもちろん重要な答弁の積み重ねもございます、角田答弁もございます、こういうものも十分踏まえた上で、その解釈を、従来の解釈を変更する余地があるのかないのか、そういうことも含めて適切に意見を申し上げるということが当然の使命であると考えておりまして、その使命が果たせないようであれば、私はこの職にとどまる資格がないと思っております。
○福山哲郎君 違うんですよ。私、今の話は理解しているんですよ。
じゃ、何で安保法制懇の報告書が出る前にあなたが、変更するとするとと言って仮定の答えをするんだ。総理も閣議決定も安保法制懇の検討の上にと言っているんでしょう、あなたもそう言っているじゃないか。なぜ、あなたが変更を前提の議論をするんですか。あなたは、今の段階では変わらないと言っている政府の答弁をするのが法制局長官の役割じゃないんですか。
○政府特別補佐人(小松一郎君) 私は、現在の憲法解釈の変更ができるということもできないということも、この段階では全く予断をしておりません。そんなことはできません、できません。ただ、ただ、ただ……(発言する者あり)いえいえ、ただ、安倍総理が、安倍総理が他の院の予算委員会の質疑において、まさに民主党の委員とのやり取りの中で、この安保法制懇を踏まえてどうするのかということについて、安全保障の法的基盤の見直しを行って、その見解を閣議決定の形でお示しをしたいと、こういう御答弁をなさったわけでございます、内閣総理大臣がですね。そのことが、そのことが立憲主義に反するという御批判がございますので、私は法制的な観点から総理の答弁が立憲主義に反することはないということを申し上げるために御指摘の答弁をしているわけでございまして、これは、大変僣越でございますが、内閣法制局長官としての私の職務の範囲内であると考えております。
○福山哲郎君 いやいや、そんな、そんなこと言っていないですよ、そんな議論をしていないですよ。
あなたが解釈を変更するとするとと自分で言って、その解釈を変更したのはどういうふうに変更したんだと。あなたは今長官の立場ではそのことは、安保法制懇の報告書も出ていないし、あなたがまさに言ったように、解釈は変更するかしないかも決めていない状況で、あなたがこれを言っちゃ、それは法制局長官としてののりを越えているのではないですかと申し上げているんです。
○政府特別補佐人(小松一郎君) 安保法制懇の議論に私は出席をしておりませんが、法制次長がオブザーバーとして参加しておりまして、どういう議論をおやりになっているかということは、もちろん私どもはあらかじめ情報を収集しているわけでございます。
それで、この報告書を踏まえて、安全保障の法的基盤の見直しを内閣法制、総理大臣の御方針でおやりになるということが分かっているわけでございますから、そのときに……(発言する者あり)分かって、ちょっとお聞き……(発言する者あり)安保法制懇の、安保法制懇の……(発言する者あり)いえ、いえ、いえ、この安全保障の法的基盤の再構築というのは、集団的自衛権のことが重要な一部でございますけれども、それだけでございません。憲法上、今まで憲法、今までの従来の憲法解釈でもその憲法の範囲内のことであっても、その法律のレベルでこの十分なこの措置がとられているのか、シームレスな対応ができるのか、いろんなあらゆる事態に、そういうことの検討も必要だということも内閣総理大臣は述べておられます。
したがって、そういうことを総合的に私どもがあらかじめ勉強を、局内で勉強をしておくということをやらずに、報告書が出てきたら、そこから一から検討をしますということで私の職責が果たせるとは思っておりません。(発言する者あり)
○委員長(山崎力君) ちょっと速記止めておいてください。
〔午後五時三十一分速記中止〕
〔午後五時四十二分速記開始〕
○委員長(山崎力君) それでは、速記を起こしてください。
改めて、福山哲郎君、御発言願います。
○福山哲郎君 委員長の御指示ですから質問しますが、なぜ私が何回も同じ質問をしなければいけないのか。
あの総理の二月五日の発言は、法制局の現在の見解とは異なるということでよろしいですねと聞いています。
○政府特別補佐人(小松一郎君) 理解力が不足しておりまして、度々同じ答弁で申し訳ございませんが、総理のその御答弁ですね、どういうお考えに基づいて言われたものかということを私がそんたくする立場にございません。(発言する者あり)
○委員長(山崎力君) ちょっとよろしいですか。今、ちょっと場内からも声がありましたけれども、今の発言のほかに内閣法制局長官の発言中に不適当と認められる言辞があったという指摘がございました。
委員長としては、後刻理事会において、小松内閣法制局長官の速記録を調査の上、適当な措置をとることとさせていただきます。
続けさせていただきます。福山哲郎君。
○福山哲郎君 委員長の公平な運営に心から敬意を表する次第でございます。
長官、平成十七年十一月四日、我が党の藤末健三君の集団的自衛権に関する政府見解をもう一度読み上げいただけますか。
○政府特別補佐人(小松一郎君) 失礼いたしました。
憲法を始めとする法令の解釈は、当該法令の文言、趣旨等に即しつつ、立案者の意図や立案の背景となる社会情勢等を考慮し、また、憲法第九条のように議論の積み重ねのあるものについては、全体の整合性を保つことにも留意して、論理的に確定されるべきものであり、政府による憲法の解釈は、このような考え方に基づき、それぞれ論理的な追求の結果として示されてきたものであって、諸情勢の変化とそれから生ずる新たな要請を考慮すべきことは当然であるとしても、なお、前記のような考え方を離れて政府が自由に憲法の解釈を変更することができるという性質のものではないと考えており、仮に、政府において、憲法解釈を便宜的、意図的に変更するようなことをするとすれば、政府の憲法解釈ひいては憲法規範そのものに対する国民の信頼が損なわれかねないと考えられるところである。
以上でございます。
○福山哲郎君 ありがとうございます。
今安保法制懇で議論されている具体的な事案についてお伺いします。
基本的に、総理からの例示もありますが、我が国近隣で武力攻撃が発生し、米国が集団的自衛権を行使している状況で、我が国は攻撃国に武器を供給するために航行している船舶のいわゆる臨検をする必要があるのではないかということだと思います。なかなか外務大臣は国の名前を挙げることができないと思いますが、これ一般的に言えば、朝鮮半島有事です。アメリカが集団的自衛権を行使して、恐らく北朝鮮と、韓国と一緒に北朝鮮と対峙している状況だと思います。その状況でアメリカから臨検の要請があると。
答えられない場合は、外務大臣、答えていただかなくて結構ですが、そのような状況において、北朝鮮に何らかの物資を運ぶ船が想定されるのでしょうか、第三国として。
○国務大臣(岸田文雄君) 今御指摘のようなケースにおいて、武器を運ぶというようなことが想定されるかという……(発言する者あり)
第三国においてそういった行動が想定されるのかという御質問かと思いますが、これは、こうした有事においては様々なケースが想定されるとは思いますが、今ここで一概にあるかないか、それは申し上げることは難しいかと存じます。
○福山哲郎君 そのとおりだと思います。
どこの国が北朝鮮に向かうのか。一番あり得る例としては、恐らく当該国、北朝鮮の船だと思います。その船が何らかの物資を置くときに、臨検に行くと、これは一般的に言えば周辺事態です。周辺事態のときには、公海上においては我が国は周辺事態法において輸送しかできません。これは確かに問題提起としては重要な提起だと思います。
しかし、そういう状況のときに、相手が、相手がですよ、北朝鮮の船だとして、臨検を公海上でするということになると、これは国際法上、武力行使に当たりますね。外務省、お答えください。
○国務大臣(岸田文雄君) 国際法上、公海において船舶は一般にその旗国以外の国の執行管轄権には服することはないとの旗国主義の原則があります。しかしながら、この船舶が国籍を有していない場合など当該船舶を臨検することができるほか、経済制裁の実効性を確保するために、国連安保理決議に基づき行われる船舶検査等についても旗国以外の国が行うことができるとされています。
国際法上の武力の行使については、この国連憲章第二条四において、「すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない。」、このように規定しております。
よって、この武力の行使に当たるかどうかという御質問につきまして、個々の事案に応じて判断する必要がありますので一概にお答えするのは困難ですが、一般論として申し上げるならば、外国船舶に対して、国際法上の正当な法的根拠なく、実力の行使を伴う強制的措置をとれば、そのような行為が武力の行使と評価される可能性、否定はできません。
○委員長(山崎力君) おまとめください。
○福山哲郎君 もう時間がないので、本当はもっと長くやりたかったんですけど、旗国が同意をしなければ、臨検に行けば、それは武力行使に当たると解される可能性があります。
そうすると、本当に、ひょっとしたら、朝鮮半島で対峙をしている北の船に自衛隊が向かっていくことになります。これは本当に、ある意味でいうと、日本の安全保障上、大変大きな政策の変更です。これはマイナー自衛権とか領域警備ののりをはるかに越えています。こういった具体的な事例が検討されているということも含めて、この問題については非常に重要な論点だと思いますので、今後も議論を深めていきたいと思います。
どうもありがとうございました。