【コラム】政治はやる人によって必ず変わる

2022/06/27 コラム

【コラム】政治はやる人によって必ず変わる

政治は”誰がやっても同じ”ではない

私が政治家として大切にしている思いは、”政治は誰がやっても同じ”ではない、ということです。「政治は誰がやっても変わらないよね?」と、投票には行かないという方からよく言われます。しかし私は、決してそうではないと思っています。政治には2つの意味があって、1つは政治家が国民のために良いこと・役に立つことをやっていくということ。これは当然政治の役割です。そしてもう1つ、政治家が未来のために必要なこと、しなければならないことを国民に約束をして実現していく役割を担っているからです。

より良い社会を作るために、やる意志のある人は必ずやる

実現をするべきことを達成するためには、一応の”権力”を持たないとやりたいことが言えなくなります。最近はこの権力闘争の部分ばかりが目立つので、国民の皆さんは政治に対して嫌気が差しているのだと思います。 しかし、将来の気候変動や環境問題に取り組むこと、障害を持った方、LGBTQの方が差別されない社会を作るというのはこの権力を持って実現します。「これをやりたい」という意思のある人が、実現をさせていただく力を国民の皆さんに与えてもらえれば、やる意思のある人は必ずやります。政治はやる人によって必ず変わります。

政治によって”変わった”さまざまな現場

私はその政治によって”変わる”場面を何度も見てきました。民主党(当時)の政権時代に「固定価格買取制度」で再生可能エネルギーの導入を決めたけれど、あれからわずか10年しか経ってないのに再生可能エネルギーは原発20基以上の設備容量が出来ています。「再生可能エネルギーなんか可能性はないんだ」と、10年前は多くの人が言っていました。高校の無償化も当時は「バラマキ」と批判する人がたくさんいました。農業の戸別所得補償制度も「後継者がいない。日本はどんどん減反している」という方々へ対する制度を作り、結果JターンやIターンで農業をやるために帰ってくる人もたくさん出てきました。

自分だけ、今だけ、お金だけ では政治は済まされない

政治はお金儲けと何が違うのか-- それは、国民に選ばれた政治は「未来に対して責任を持たなければならない」というところです。国民の皆さんに対して言いにくいようなことを言わなきゃいけないときもある。甘いことを言うのが全てではなくて、先のために必要だったらやらなければいけないのです。政治は、自分だけ、今だけ、お金だけ、では済まされないのです。もちろんお金も大事ですが、お金儲けだけが全てではない。効率一辺倒で社会が良くなるかというとそうはなりません。予算をどんどん削って効率化することによって、本当に厳しい生活を送らざるを得ない方が増えているのは事実です。

東日本大震災で経験した「無駄を許す力」の重要性

私は東日本大震災の対応を官房副長官として経験しました。災害というのは危機管理ですが、実は危機管理は「無駄を許す力」でもあるのです。災害に備え用意をしなければいけない備蓄品は「使うかどうかはわからないけど」という物まで用意をしないと本当に悲惨な避難生活になる場合があります。万が一のための用意を「これは無駄だ」と言ってしまえば、いざ災害が起こってからでは対応ができなくなります。東日本大震災当時は防災関係の職員を減らしている自治体もたくさんあって、罹災証明の書き方も分からず住民の救済が遅れた場所もありました。災害に限らずみんなが”リスク”を背負ったときのための準備をするということも必要なのです。

政治を諦めないでいただきたいと思っています

万が一に備えるためには、何でも効率一辺倒では進めることができません。使うか使わないかわからないけれど、必要性を説明して国民に納得してもらうのが政治の役割です。
東日本大震災で原発事故に向き合い、万が一のときの用意が全くできてなかったことが明らかになりました。福島の皆さまに多大な迷惑をおかけしている。家も財産も残して避難をされている方が今もたくさんいる。この現実を見た私は、やはり政治はただの効率性だけではない世界で機能をしないと、国民は幸せにはなれないと痛感をしました。将来的には絶対に原発はなくすべきだと思っています。

政治は考え方の異なる人たちがやっているからこそ、やる人によって違う、変わる。だから政治を諦めないでいただきたいと私は思っています。